FROM 藤井聡@京都大学
前回、
「最近,圧倒的な力を持っていた新古典派経済学が
どれほどの害悪を与えたかは,簡単には記せないほどである.」
〜『なにがケインズを復活させたのか?』より〜
というロバート・スキデルスキーの言葉をご紹介しましたが、
今回はこのスキデルスキーが言う
「新古典派経済学がどれほどの害悪を与えたか」について、
お話したいと思います。
簡単なおさらいですが、「新古典派経済学」の考え方というのは、
簡単にいって、規制の無い自由な「市場」で、
いろんなものを売買すれば、
モノをつくる人も買う人も皆ハッピーになる!
これがまぁ、滅茶苦茶なとめどないウソ話なのです。
こんなものがウソ話であるのは、
「欲しいモノは何でも盗んでもいい自由」とか、
「むかつく奴はスグに殺してもいい自由」
皆メチャ不幸になるのは、どんなアホでもバカでも分かるだろう、
というだけのことで、簡単に証明できてしまうわけです(笑)。
が、ここではそんなアホバカウソ話を
「正しい!!」なんて皆が熱狂的に信じちゃうと、
どんなことが起こるのか…について、少し考えてみましょう。
まず、新古典派経済学の考え方が正しいとしたら、
兎に角、いろんな市場取引されていないものを
市場取引化していけば良い、ということになります。
が、市場取引してはいけない、
と「社会的」に決められているものなんて、
いくらでもあるのです。
典型的なのは「人間」です。
ペットならいざ知らず、
子供や親や兄弟を売り買いしてはならない、
というのは、もう常識中の常識ですよね。
が、昔は、売買していたのです。
アメリカの奴隷売買なんてのがその典型です。
しかし、それは、南北戦争という政治的闘争をへて、
人間は「売買してはいけないもの」になったのです。
そんなものを許していたら、
奴隷の人達の不満は止めどなく大きくなって、
社会が不安定化して、
結果、長期的に考えれば富裕層も不幸になってしまうからです
(それにそもそも人を売って良い自由が認められてたら、
私たちはいつ何時売り飛ばされてしまうか…..
についてびくびくしながら
生きて行かなきゃならなくなりますよね)。
選挙の「票」だってそうです。
昔は、世界中どこだってそんなものは
平気で「売り買い」されていたわけですし、
未だに平気で売買されているような
発展途上国もあったりします。
が、様々な政治闘争を経て、多くの国で、
選挙の票は、売買してはいけないものになったのです。
なぜかというと、票を売買していたら、
とにかく「金持ち」が権力をとめどなく握って言ってしまって、
「正義」なんて無視されて、
「弱い人達の安寧有る暮らし」なんてものも
潰されていくこと必定だからです。
だから、皆の幸福のためには、票は売買しちゃだめで、
あくまでも「言論戦」で票を獲得していかなきゃぁだめだよね、
となったわけです。
。。。ということで、
昔は、結構おおらかに何でもかんでも
「市場」で売買されていたのですが、
そんなことやってちゃ、結局社会がメチャメチャになって、
皆が不幸になっちゃうじゃないか!ということで、
様々な血で血を洗う「政治闘争」をへて、
市場が徐々に小さくされてきたのでした。
で、そもそも市場というのは、
「カネのモノを言う世界」であって、
「金持ちが好き勝手できる世界」。
ですから、市場が小さくなる、ということは、
「カネだけじゃどうにもならなくしていく」ことであって
「金持ちが好き勝手できないようにしていく」
ということなのです。
…….が、新自由主義者は、兎に角
「自由な市場を拡大すりゃぁそれでいいんだよぉぉ!!
ファッキューーー!!!!」なる、
パンクロッカーのごとき中指つきたて
技をかましながら絶叫して、
市場を拡大していったわけです。
…….そうなると、要するに、
「金持ちが好き勝手出来る世界」がどんどん拡がっていって
「正義」や「倫理」や「社会の安寧」や「皆の幸福」が
どんどん蔑ろにされていったわけです。
そんな状況が世界で一番過激に推進してしまったのが……
アメリカであり、ウォール街なわけです。
さながら、
アナーキー・イン・ザ・WS (Wall Street!)な世界が、
今まさに拡がってきちゃったわけです。
で何ともおぞましいことに、
アメリカを年がら年中崇拝しつづけてる
馬鹿な日本のインテリ共が、
「おれたちも、イン・ザ・JPでアナーキーやっちゃおうぜ!!」
なるノリで中指つきたて技をかましつづけている….
というのが、我が国の恐ろしい状況なんですね(笑)。
まぁ、もちろんそれが、
TPPとかになっちゃってるわけです。
あぁ、恐ろしい恐ろしい、くわばらくわばら…….
ということで、この続きはまた来週!
京都大学 藤井聡
http://www.facebook.com/Prof.
PS
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