日本経済

2019年7月15日

【三橋貴明】数字は残酷で素晴らしい

From 三橋貴明

2018年の政府支出を2001年と比べると、
日本が1.1倍、アメリカが2.1倍、中国が15.7倍。

政府債務は、同じく2001年比の2018年の数値で
日本が1.7倍、アメリカが3.9倍、中国が16.5倍。

インフレ率は、21世紀平均で
日本が0.1%、アメリカが2.1%、中国が2.3%。
そして、2018年のGDPは中国が2001年の8倍、
アメリカが2倍、日本が1倍・・・。

「政府が財政赤字や国の借金を増やすとハイパーインフレになる!」

などと、荒唐無稽な財政破綻論が叫ばれる我が国は、
必要な政府の負債・支出すら増やさず、ひたすらデフレが継続し、
今や世界を代表する衰退途上国でございます。

まあ、よくよく考えてみれば、
上記の数字は確かに残酷ですが、
「原因と結果」を明確に示してくれています。

解決策を提示しているという点で、
「素晴らしい数字」と評価するべきなのかも知れません。

さて、MMTの知見を学ぶと、
自国通貨建ての国債しか発行しない国にとって、
実は「財政赤字」が「貨幣発行量の増加」である事実が分かります。

参考【2018年末時点 日本の統合政府のバランスシート(兆円)】
http://mtdata.jp/data_63.html#tougouseihu

バランスシート(貸借対照表)は、
各経済主体の債務・債権あるいは負債・資産の現状を、
数字で明々白々に示してくれます。

というわけで、日本政府と(子会社の)日本銀行を連結した統合政府のバランスシートを見ると、
「国の借金1000兆円!」と煽られている国債の半分が消滅し、
代わりに現金、日銀当座預金が貸方に計上されていることが分かります。

貸方計上されている以上、
現金や日銀当座預金といったおカネは「負債」なのです。
民間銀行にしても、預金は負債です。

現金や預金について「おカネではない」と主張する人はいないでしょう。

というわけで、我々が日常的に使っている現金紙幣や銀行預金を含め、
おカネとは「負債」なのです。
厳密には誰かの資産であり、別の誰かの負債です。

銀行において、
「償還期限が定められており、金利が多少高い預金」
のことを何と呼ぶでしょうか。

定期預金です。
定期預金について、「おカネではない」と主張する人も、
やはり存在しないでしょう。

さて、統合政府のバランスシートの貸方に計上されている、
「償還期限が定められており、金利が多少高い負債」
のことを何と呼ぶでしょうか。
国債、です。

定期預金と国債と、何が違うのでしょうか。
何も違いません。
共に「償還期限が定められており、金利が多少高い負債(=預金)」
なのでございます。

つまりは、国債はおカネです。
国債はおカネではないと主張することは
「定期預金はおカネじゃない」と認識することと
イコールになってしまいます。

バランスシートの数字が読めれば、
現在の日本政府に「財政問題」とやらは存在せず、
国債発行や財政赤字は「おカネ発行量の増加」
に過ぎないことが理解できるのです。
数字が残酷で素晴らしいというお話でした。

◆経世史論において、中野剛志氏との対談コンテンツ「歴史とナショナリズム」がご視聴可能です。是非、ご入会下さい。(8月15日まで限定公開です)
http://keiseiron-kenkyujo.jp/apply/
【三橋貴明×中野剛志「歴史とナショナリズム」】
http://keiseiron-kenkyujo.jp/keiseishiron/2019/06/15/video/

◆時局 2019年 08 月号に、連載「三橋貴明の経世論 第29回 「MMT」対「主流派経済学」」が掲載されました。
https://amzn.to/2l91b4w

◆経営科学出版「知識ゼロから分かるMMT入門」が刊行になりました。
https://38news.jp/38MMT/MT_TV/
ケルトン教授招聘プロジェクトにご寄付下さった方及び月刊三橋会員の皆様には、月末に特別価格でご案内が参ります。上記URLからのご購入はお控え下さい。

◆ビジネス社「米中覇権戦争 残酷な未来透視図」が刊行になりました。
https://amzn.to/2UEWkYK

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第328回 トリクルダウンという妄論
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol529 政府が発行するおカネの量に限界がない理由
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
なぜ主流派経済学が「財政破綻」を主張するのか。おカネの量に限界があるという間違った商品貨幣論だからです。現実には政府のおカネ発行量に限界はありません。理由は・・・。

◆メディア出演

三橋TV、続々リリースされています。

三橋TV第111回【絶望の向こう側のチャンスを!】
https://youtu.be/xZeGnPqYnH4
三橋TV第112回【公開収録でグローバリズムの歴史を語ってみた】
https://youtu.be/elbKhuXDqaE
三橋TV第113回【公開収録で安倍政権の緊縮財政を振り返ってみた】
https://youtu.be/ZE3Wpzk7SKs

7月6日(土) チャンネル桜「日本よ、今…「闘論!倒論!討論!」 」に出演しました。
【経済討論】MMT(現代貨幣理論)は日本を救うか?[桜R1/7/6] https://youtu.be/0B-wvXt86Zw

7月10日(水) チャンネル桜「Front Japan 桜」に出演しました。
【Front Japan 桜】習政権が企てた驚愕の香港マカオ工作! / MMTを最も活用している「中国共産党」[桜R1/7/10] https://youtu.be/RIcufbnT10Y

7月12日(金) チャンネル桜「おおきなわ」に出演しました。
【我那覇真子「おおきなわ」#77】三橋貴明沖縄講演会「令和の政策ピボット、救国の経済政策」[桜R1/7/12] https://youtu.be/PK4r9Rj5foY

◆三橋経済塾

令和元年7月20日(土)三橋経済塾第八期、第七回対面講義申込受付開始致しました。
https://members8.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=598
ゲスト講師は 施 光恒先生(九州大学准教授)でございます。

◆チャンネルAJER 
『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
https://youtu.be/6reFl9J8dBg

【今週のNewsピックアップ】
日米中のデータが証明する「MMT批判の嘘」
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12492647305.html
「財政赤字=貨幣発行」という単なる現実
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12493324139.html

数字とは残酷で、そして素晴らしい。
まずは、残酷な話。

参考【日米中の政府支出・政府債務・インフレ率の推移】
http://mtdata.jp/data_65.html#IMF

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【三橋貴明】数字は残酷で素晴らしいへの3件のコメント

  1. たかゆき より

    単式簿記を 採用する 国々

    北朝鮮 パブアニューギニア フィリピン
    そして 日本

    それらの 共通項は、、

    推して知るべし ♪

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  2. 神奈川県skatou より

    「残酷で素晴らしい→数字」

    さいきんおカネがまた分からなくなったところ、偶然にも当記事が自分の疑問を氷解して頂きました。ありがとうございます!
    (さいきんおカネが自分のなかでゲシュタルト崩壊してるんじゃないかと)

    一般的に通貨、カネとみなされる、日本銀行券はよいとして、そのほかに、使われ方という型式でいえば、日銀当座預金、政府小切手、そして、日本国債も、みんなおカネなんじゃないかと、ちょうど思ってました。
    図表で考えると、どうしてもそうとしか考えられず・・

    国債も、おカネですよね。。

    国債が千兆円でハタンーー!ならば、日本銀行券が千兆円で、こりゃ日本沈没、日本銀行、日銀が破たんしやしないかと
    夜も眠れず食もノドを通らず・・・いや、自分はまったく心配してませんが。

    なぜ非MMT派は日銀の巨額債務を心配しないのか、フシギです。ってか、日銀券の単位だけど、日銀の負債でもないし・・・

    おカネというのは、債務者だけでなく、債権者両方の関係をみて、初めて軽重を語れるのかもしれませんね。。

    あと一つ分からないのは、金融機関にとっての日銀当座預金と日本銀行券の関係(調整?)で・・・

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  3. 大和魂 より

    全ては、これまでの自民党政権による経済一辺倒の弊害であります。また沖縄の問題もアイヌも外交全ても、その核心政策をしてない事こそ大問題。それが富国強兵。それで何が政治の安定なのか全く理解できません。だからこそ、選択して決断する事が、最重要事項なんです。そして選挙でも考えない有権者が国を滅ぼす要因は明らかです。

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