日本経済

2018年8月1日

【藤井聡】政府の「東京一極集中」対策、未だ成果まったく見られず。〜EBPMに基づく「本気」の対策を進めよ〜

From 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)

皆さん、こんにちは、
内閣官房にて参与を務めております、
京都大学大学院の藤井聡です。

さて今、我が国では、
巨大災害から日本を守るための「国土強靱化」が、
五年に一度改定される『基本計画』に基づいて、
推進されています。

そして今年はその五年に一度の改定年次。

ついては今、新しい「基本計画」の策定に向けて、
様々な議論を重ねています。

その中で、とりわけ重要な対策として、
改めて認識されているのが、
「東京一極集中緩和」

言うまでも無く、
首都直下地震や東京湾の巨大洪水、巨大高潮の
想定被害が甚大なものとなっている最大の理由は、
偏に「東京一極集中」

だから、
首都圏から地方への人口分散化が
必要不可欠
なのです。

にも関わらず、現状における
東京圏への人口流入は、実に年間12万人。

つまり、「東京一極集中」は緩和されるどころか、
未だに年々「悪化」しているわけで、
「国土強靱化」あるいは「地方創生」と言いつつ、
それとは逆に、
「国土脆弱化」と「地方衰弱」が進んでいるのです。

もちろん、政府はこの現状をかねてより認識し、
東京圏への人口流入量を、
「10万人からゼロにする」という目標をたて、
様々な「地方創生」政策
を展開しました。

その中身は、
東京から地方に移転する個人や法人への
「補助」や「税制優遇」等の
いわゆる「ソフト対策」だったのですが・・・

そうした展開も空しく、
東京圏への人口流入量は、ゼロになるどころか、
12万人にまで拡大したのです。

しかも・・・こちらをご覧下さい。

http://qq4q.biz/Lj5h

このグラフは、首都圏への人口流入量が、
過去五年の間に
徐々に拡大していることを示しています。

つまり、政府の取り組みにも関わらず、
「東京一極集中」はさらに悪化しているのみならず、
「悪化の速度」それ自身すらもが「悪化」している、
という、文字通り「最悪の状況」にあるわけです。

そうである以上、
政府による東京一極集中対策は、
具体的な成果を挙げていない

いわざるを得ません。

なぜこうなるのかと言えば、
偏に、「地方インフラ投資」を進めていないから
に他なりません。

たしかに、「地方創生」の行政担当者達は、
自分達ができる範囲でがんばって、
何とか一極集中を止めようとしているのだとは思いますが・・・
「投資」もなく、「工夫」だけを重ねても、
限界があるのも致し方無いのです。

実際、土木学会は
全国の主要な新幹線の計画路線を全て整備すれば、
東京圏から約150万人が
地方へと「流入していく」
という
「定量的な分析結果」
を示しています。
http://ur2.link/Ljei

つまりやはり、
未だに毎年12万人ずつ東京一極集中が
「悪化」しているという現状を食い止め、逆転させ、
地方への人の流れを作り出すには、
やはり新幹線整備をはじめとした
地方インフラ投資が不可欠
なのです。

もしも政府が本気で東京一極集中を緩和したいのなら、
まずはデータに基づくこうした技術的分析を重ね、
新幹線のみならず、高速道路等の地方整備が、
東京一極集中をどの程度緩和するのかを
明らかすることが必要不可欠
です。

そもそも政府では今、
「証拠に基づく政策決定」を意味する
EBPM(Evidence Based Policy Making)の必要性が
執拗に叫ばれているのですが、
こと「東京一極集中」対策に関しては、
そのEBPMが全く採用されていない
のです。

このままでは、政府は、
地方創生や国土強靱化を、
口では「やる」と言いながら、
「本気では進めようとしていない」
と批判されても致し方ないのではないでしょうか。

繰り返しますが、
東京一極集中は「改善」しているどころか
「悪化」しているのであり、
かつ、その「悪化の程度」すらもが「拡大」するという、
加速度的に悪化し続けている状態なのです。

そんな批判に対して正々堂々と応えるためにも、
EBPMの考え方で、
東京一極集中を効果的に食い止める対策を
「定量的」に明らかにし、
その上でその対策に、
政府資源を「大胆」に投入していく姿勢が必要です。

国土強靱化基本計画の改定年次でもある本年、
政府の本気がまさに今、試されています。

追伸1:
こんな当たり前の議論を続けていくためにも、
危機と対峙する保守思想誌『表現者クライテリオン』
を是非、ご購読下さい。
https://the-criterion.jp/subscription/

追伸2:
『表現者クライテリオン』の世界にご関心の方は、
是非、下記無料メールマガジンもご購読ください。
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【藤井聡】政府の「東京一極集中」対策、未だ成果まったく見られず。〜EBPMに基づく「本気」の対策を進めよ〜への3件のコメント

  1. 神奈川県skatou より

    >Evidence Based Policy Making

    とても難しそうなお話ですね。でも、ロジック展開の限界を探検するのならば、とても興味深いです。そして、官僚行政にもマッチする??そこまで作為ですと、またまた応援するばかりです。

    さいきん仕事で同僚とのワーク中、こんな話をしました。
    指標の無いチャレンジな世界での活動はどうすべきか、という文脈で、視点を自由にしよう。以下を意識することを例示しました。

     抽象←→具体
     理論←→情緒
     言語←→絵画
     経営←→顧客

    (政治分野だと、革新←→保守、という移動も必要でしょうか)
    大事なのはどれかでなく、どれかを突き詰めたら、反対側にも移動して勘案すべき、という話です。

    では、東京一極集中問題において対義語になる「地方」とはなにか。
    (その問に答えがあるか、含め)

    たとえば、解決方法について、東京以外の大都市活用、大阪、福岡、名古屋、仙台を地域の核として再編し「都会ニーズ」の受け皿化するというのは一極集中対策の一案です。いや、危機管理として分散居住こそ「あるべき」として、東京とそれ以外の職住対策を施すことも可能かもしれません。

    ただ、地方の対策とは、先生の著書「クルマを捨ててこそ地方は蘇る」のとおり、地域の経緯・特色活かしてこそ、であり、どの地方にも利用できる方法論、理論化可な抽象論は存在しないとすれば、国家という枠組みでできることはなんだろうか、と疑問に思いました。

    いや、地域活性化の中身は現場主導であり、国はインフラ整備を提供するだけ、というのも可能そうですが、それはある程度の「想定」(=需要可能性)があって具体化できるでしょう。でもそれは地方それぞれの経緯もあるので、事前に定量化して計画するのは難しく、すぐに「無駄だからやめろ」と短絡する意見に押し流されそうです。
    (その限界にチャレンジがEvidence Based Policy Making!?)

    ・・・・

    計画された街を作るということはなにか。
    もしかすると国家の行政という枠組みは「都会」しか作れないのかもしれない?
    いや、事前予測できないからこそ、集落の育つ基盤だけは等しく与えなければならない??
    予測できない世界はFail Early,Fail Often、すぐにかつ繰り返し取り組め!?
    できること、できないことを知り、やること、やらないことを知る、
    ふとそんなふうに感じました。

    返信

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  2. たかゆき より

    特区

    地方の住民税 固定資産税を軽減

    地方の高速道路料金の無料化 

    小中学校の給食費 などの無料化

    いっそ地方の消費税をゼロとか、、、

    そんな地方があったら
    小生はすぐに 移住 ♪

    返信

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  3. 反孫・フォード より

     アホな言葉かり書き続けて5年強ですが失礼します。

    >EBPM

    思いました。えらい馬鹿なピープルメンバー。

     思うのですが8年前、せっかくの悪としての民主党時代、参議院に於いて先生は(記憶が曖昧になってしまった)ほら話がまかり通っている講義をしたにもかかわらず、衆議院いや醜議院と呼びましょう。醜議院に於いてはいまだにほら話がまかり通る状態にしか見えません。私はEXILEなんて好きではありませんけど安住首相?だった方が少しはほら話から抜け出せる質疑の場が在ったのではないかと妄想してしまうほどです。自民党に戻った途端にバトンを渡されただけで、辻も党用語で言えば、疑惑のほら話の館の永遠なる繰り返しです。マンネリです。メルケリ?です。メルヘン?です。もう飽き過ぎです。なにがIRだっ!アルファベット並べる言葉かりに頭使いやがって゛!ハッキリと名を付けれやっ!(外国版)博打打ち法案って!ミリタリー客寄せパンダ進次ケートJr.も会場に来たるっ!こうご期待!って広告もね。
    政府が竹中とフレンドリーで経済のパイを抑えてデフレをまかり通らせて民間には博打打ちで競争潰しIR?にさせる。もうこれは政治家ではありません。悪事家の与野党血栓症です。モチッと志井いや思惟を働かせてリーダーシップしたらどうなんでぇっ!
    つい支離滅裂脱線を長々と失礼しました。お赦しくだせぇ。お代官さまぁーっ。わしはほら話にはこれっぽっちも係わってねぇだ。この徹?。ドテッ♪(ずっこけた効果音)

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