From 三橋貴明
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プライマリーバランス黒字教徒の狂気
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続 プライマリーバランス黒字教徒の狂気
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本来の「財政健全化」ではなく、プライマリーバランス黒字化に固執する勢力を、「プライマリーバランス黒字教徒」と命名致しました。
いうまでもなく、財政健全化の定義は「政府の債務対GDP比率の引き下げ」です。
そして、骨太の方針2017に、
「基礎的財政収支(PB)を2020年度(平成32年度)までに黒字化し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す」
と、本来の財政健全化である「債務残高対GDP比の安定的な引下げ」が入りました。
つまりは、財政健全化という「定義」から言えば、「まともな方向」に向かったことになります(まともになった、とは書けませんが)。
ところが、それを受けて大手紙が社説で、
「財政健全化から遠ざかった!」
と、平気で書くわけです。
話はまるで逆で、「債務残高対GDP比の安定的な引下げ」という、本来の財政健全化の定義が骨太の方針に加わった、という話なのですが。
要するに、大手紙のバックにいる財務省は、端から財政健全化など目的にしていないことが分かります。彼らが望むのは、あくまで「増税」と「政府支出の抑制」なのです。
何しろ、「債務残高対GDP比の安定的な引下げ」が目標になってしまうと、政府がデフレ脱却のために財政出動を拡大し、需要を創出し、実際にデフレ脱却。名目GDPが堅調に成長していく「だけ」で、目標達成となります。
それに対し、PB黒字化にこだわると、デフレ脱却のための財政出動を政治家が望んだ場合、
「他の予算を削減するか、もしくは増税」
という話になってしまうのです。PB黒字化とは、そういう話です。
結果的に、日本はデフレ脱却が果たせず、政府の債務対GDP比は上昇します。デフレ経済が続くと、税収は減り(2016年度は減りました)、PB黒字化が遠ざかることになります。
すると、「財政が悪化した! PB黒字化の達成を!」と、さらなる増税や緊縮財政が繰り返されるというスキームになっているのです。
そもそも、政府がPBを黒字化する必要などありません。と言いますか、過去に日本政府が数年続けてPBを黒字化した時期があるのです。すなわち、バブル期です。
85年から92年にかけ、日本のPBは黒字化しました。統計的に確認可能な1980年以降、日本のPBが黒字化したのはバブル期のみです。
それはまあ、バブル景気で税収が激増し、景気対策も不要になったわけですから、PBは黒字化するでしょう。
というわけで、財務省が本気でPBを黒字化したいならば、政府の財政拡大と減税を繰り返し、景気を過熱させ、超好景気にすればいいのです。
財務省の官僚の皆さん。本気でPB黒字化を「目標」に掲げるならば、日本経済が超好景気になるよう、財政拡大路線を認めましょう。それを認めないというのであれば、結局のところ、財務省はPB黒字化「すら」望んでいないという結論になります。
【三橋貴明】日本のPBを黒字化したいならばへの2件のコメント
2017年6月19日 3:13 PM
財政規律を守ることを使命とする財務省が増税や緊縮に向かうのは理解できます。しかしマスコミを使って不安を煽ったり、増税緊縮を国民に認めさせるような手法は異常なものがあります。
やり口が扇動家にそっくりです。民主主義の弱点を的確についてくるというのは、明らかに戦略的で違和感を覚えます。
もし彼らの目的が財政規律を守るためなら何をしてもいい、というだけなら、彼らが手に入れるのは昇進とか昇給程度でしょう?絶大な力を持っていて手に入れられるのがその程度なら、何もここまで必死にやる必要はないと思うのです。
やっぱり財務省が主導しているというより、その背後に何かがいるように思います。それが経団連だかアメリカの投資家だか知りませんが。
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2017年6月19日 9:18 PM
自分にもよく分からないのですが、
日本人には論理がなく、そのかわりに条理がある。
<『日本教について―あるユダヤ人への手紙』(山本七平)>ということがあるそうです。
どうも財務省や新聞マスコミがやっていることというのはこれなんじゃないか…と思うわけです。
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