日本経済

2017年3月18日

【三橋貴明】2016年末 日本国債保有者別内訳

From 三橋貴明@ブログ

さて、日本銀行の資金循環統計(16年末 速報値)が出ましたので、国債保有者内訳をアップデートしたいと思います。果たして、日本銀行の保有の割合は、どこまで増えているのか?

【2016年末(速報値)日本国債保有者別内訳】

http://mtdata.jp/data_55.html#2016JGB

というわけで、2016年末(速報値)段階で、日本国債の38.71%が日本銀行保有となっています。17年春頃(今だけど)には、四割を突破していると予想します。

それよりも、気になることがあります。
2016年9月末(速報値)の日本国債の発行残高は971兆円。そして、16年末(速報値)が958兆円でした。

国債発行残高が減っている!
速報値同士の比較なので、確報値では多少のズレは出るでしょうが、16年9月末からの四半期で、日本政府が「借金返済」をやった事実は動かないでしょう。

国債発行残高が減ると、十分な財政出動が行われていないことに加え、パックマンの口が開き、日銀のXデイが早まってしまうという問題が深刻化します。

2016年9月末(速報値)で、預金取扱機関(銀行)の保有国債残高は215兆円。それが、2016年末(速報値)には203兆円にまで減ってしまいました。

四半期で10兆円強の国債が、預金取扱機関のバランスシートから消えた。

ということは、一年で40兆円。一年後、日本の預金取扱機関の保有国債残高は150兆円前後にまで縮小し、強制的な量的緩和の終了、すなわち日銀のXデイが金融市場的には「見えてくる」事態になるのではないかと予想します。

もちろん、政府が国債を金融市場に供給すれば済む話ですが、今のところその兆候は見えません。
興味深いことに、安倍総理大臣は昨年秋、複数の与党議員を前に、
「デフレ脱却を考えると国債を返し過ぎだ。国債は実質的には日銀が全部引き受けている。いまはマイナス金利だし、実質的に借金は増えない」
と、語ったことが、3月7日の日経新聞で報じられています。

『描けぬ出口(2)シムズ理論の甘い誘惑 消える?「20年度黒字」看板
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO13744900X00C17A3MM8000/

「デフレ脱却を考えると国債を返し過ぎだ。国債は実質的には日銀が全部引き受けている。いまはマイナス金利だし、実質的に借金は増えない」。昨年秋、安倍晋三首相は複数の与党議員を前にこう漏らしていた。
年明け1月20日の施政方針演説。第2次安倍内閣発足以来4年続いた「約束」は消えた。2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化だ。(後略)』

上記の発言が正確だとすると、総理は正しい認識をお持ちという話になります。後略部には、
「政府と日銀は親会社と子会社みたいなもの。連結決算で考えてもいいんじゃないか」
という、総理の発言が載っています。
それにも関わらず、16年10-12月期も「国債を返した」可能性が、速報値の数字を見る限り濃厚なのです。

結局、一部の政治家が「正しい認識」を持ったとしても、実際の政治は動かない。むしろ、逆方向に突っ走るというのが、現在の日本の宿痾なのでしょう。

日本経済新聞の記事にしても、もちろん日本政府と日本銀行を統合的に考える統合政府に「批判的」な論調になっていました。今更、
「日本銀行は日本政府の子会社なので、日銀が国債の四割を保有する以上、日本政府に財政問題などないのですよ」
と言われても、戸惑う国民が「圧倒的多数派」でしょう。
だからといって、言わなければ何も変わりません。正直、わたくしが「国の借金問題の嘘」を指摘し始めた十年前(もう十年!)と比較すると、状況は間違いなく「改善」の方向に向かっています。

とはいえ、解決には全く至っていません。

それでもまあ、十年前と比べると、随分と状況は改善したのは間違いありません。この流れを止めない限り、やがては「解決」に届くと信じ、進むしかないのです。

関連記事

日本経済

【藤井聡】「ゼロ金利」活用戦略 ~「政府プロジェクト」「ゼロ金利融資」「ゼロ金利投資」の三大作戦を推進せよ!

日本経済

【島倉原】いわゆるリフレ派の功績

日本経済

【三橋貴明】信濃毎日新聞による典型的なデマゴギーな社説

日本経済

【三橋貴明】マイナス金利で、もう終わりです

日本経済

【佐藤健志】ブーメランをあげつらうというブーメラン

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【三橋貴明】2018年 戦争へ向かう世界(前編)

  2. 2

    2

    【藤井聡】元経済学会会長と元日銀副総裁による「フェイクレポー...

  3. 3

    3

    【施光恒】伝統の意義と謙虚さ

  4. 4

    4

    【小浜逸郎】歴史用語削減に断固反対する

  5. 5

    5

    【佐藤健志】「痩せ太り」の経済、デフレ型の幸福

  6. 6

    6

    【三橋貴明】存在しない問題

  7. 7

    7

    【青木泰樹】濫用される経済論理

  8. 8

    8

    【三橋貴明】ルンバと議会制民主主義は似ている

  9. 9

    9

    【藤井聡】日本経済は3年以内に「どん底」に落ちる ~日本経済...

  10. 10

    10

    【三橋貴明】2018年 戦争へ向かう世界

MORE

累計ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】大阪都構想:知っていてほしい7つの事実

  2. 2

    2

    【藤井聡】「公明党・大阪市議団が日本を破壊する」というリスク...

  3. 3

    3

    【藤井聡】「橋下入閣」は、日本に巨大被害をもたらします。

  4. 4

    4

    【藤井聡】「日本が再び、被爆国となる」という、今そこに在る危...

  5. 5

    5

    【三橋貴明】人間の屑たち

最新記事

  1. 日本経済

    【藤井聡】「賃上げ」のための7つの対策

  2. 日本経済

    【三橋貴明】存在しない問題

  3. 日本経済

    未分類

    【三橋貴明】経済学の効用

  4. 日本経済

    【青木泰樹】濫用される経済論理

  5. メディア

    【施光恒】伝統の意義と謙虚さ

  6. 政治

    【小浜逸郎】歴史用語削減に断固反対する

  7. 日本経済

    【佐藤健志】「痩せ太り」の経済、デフレ型の幸福

  8. 日本経済

    【藤井聡】元経済学会会長と元日銀副総裁による「フェイク...

  9. 日本経済

    【三橋貴明】2018年 戦争へ向かう世界

  10. 政治

    【三橋貴明】ルンバと議会制民主主義は似ている

MORE

タグクラウド