日本経済

2016年11月19日

【三橋貴明】経済成長をもたらす「黄金の循環」を阻む嘘

From 三橋貴明@ブログ

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 今週は講演が週に六回・・・。来週は五回・・・。
さすがに、秘書に愚痴を言いたい気分になっております。
もちろん、地方講演が多いため、
まるで新幹線の中に住んでいる気分です。

 ところで、最近の講演のテーマは
「日本経済の嘘と真実」が多いのですが、
冗談抜きで「日本を滅ぼしかねない嘘」
というのがあるわけでございます。

すなわち、いわゆる「国の借金問題」の嘘です。

 その他の嘘、例えば「デフレは貨幣現象」
「日本は公共投資をやりすぎた」
「人口減少で衰退する」などは、
何とか修正が効くかも知れません。

と言いますか、「デフレは貨幣現象」の嘘は、
すでに貨幣現象派筆頭でいらっしゃった
浜田宏一教授も間違いをお認めになられたわけで、
徐々に修正されていくでしょう。

 「人口減少で衰退する」は、生産年齢人口比率の
低下が人手不足を深刻化させ、生産性向上のための投資が起き、
経済成長が続けば、次第に忘れられていくと思います。

 そして、「公共投資をやりすぎた」という嘘も
少しずつ暴かれつつあり、しかもアメリカが
トランプ新大統領の下で公共投資の拡大に転じ、
日本も追随する可能性があります。

そして、日本政府が立ち遅れたインフラ整備や、
国土強靭化に支出をしていけば、我が国は今度こそ
真の意味でのデフレ脱却を果たし、国民が豊かになる
経済を取り戻すことができます。

 と、講演で話した後に、わたくしは必ず言うわけです。

「いかがですか? ご納得頂けましたでしょう。
デフレギャップ(総需要の不足)を埋めるために、
医療サービスや介護サービスへの支出を増やし、
公共投資でインフラを整備し、新幹線ネットワークで
日本をコンパクトにし、地方や都市部が互いを
互いの市場と化し、日本全体で経済成長を遂げ、
安全保障を強化する。素晴らしいじゃないか。
 でもね、と思ったのではないのでしょうか?」

 でもね、と思う人が日本国民の多数派でしょう。
言っていることは理解できるが、あの問題があるからできない。

すなわち、

「クニノシャッキンガー」

『財政政策が再び焦点に、アベノミクスにはジレンマ−トランプ氏勝利で
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-13/OGF8606JIJUT01

 アベノミクスのけん引役として財政政策に再び焦点が集まってきた。
デフレ脱却に向けた日本銀行の金融政策が
長期戦にシフトする中、積極財政を掲げる共和党の
ドナルド・トランプ氏が次期大統領に決まったのが追い風だ。

しかし膨大な債務を抱える日本は財源確保とのジレンマに直面する。

 複数の政府関係者によると、台風対策費など
事務的な調整のため2016年度第3次補正予算の
編成は不可欠になっている。補正に経済対策の
要素を盛り込むかどうかは解散総選挙を
前提とした政治判断になるという。

 内閣官房参与の藤井聡京都大学大学院教授は
11日の電話インタビューで、内需拡大とデフレ脱却に向け、
経済対策の要素を含む3次補正や17年度予算の拡充を
検討すべきだと強調。安倍晋三政権の軸足は
財政政策に移りつつあり、5500億ドルのインフラ投資を
確約しているトランプ氏の政策と「非常に親和性が高い」と述べた。

◆主役の座を降りた日銀
 アベノミクスの第2の矢である財政政策が
再びクローズアップされている背景には
第1、第3の矢である金融政策と成長戦略の停滞がある。

日銀は金融調節の操作目標を量から金利に切り替え、
物価2%目標の達成時期も「18年度ごろ」に後ずれさせた。

成長戦略も、柱と据える環太平洋連携協定(TPP)の
発効がトランプ氏の登場で先行きが見通せなくなっている。

 SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは
11日の取材で、マイナス金利の失敗をきっかけに
「日銀は主役の座を降りた」ため、「財政政策を
やるしかなくなったということだ」と分析する。

トランプ次期大統領の下で米国も財政拡張路線に
進むことから、今後日本が財政出動を増やしたとしても、
国際社会からの「風当たりは和らぐ」とみる。(中略)

 国・地方併せて1000兆円を超える債務を
抱える日本の財政事情は米国と大きく違う。
経済協力開発機構(OECD)によると、
債務残高の国内総生産(GDP)比(2106年)は、
日本の232.4%に対し、米国は111.4%。

政府は国・地方の基礎的財政収支を20年度までに
黒字化する財政健全化目標を掲げるが、名目成長率を
3%とした試算でも達成できない見通しだ。(後略)』

 ほらね。典型的なので、藤井聡先生のインタビューも
掲載されたブルームバーグの記事を載せますが、
財政拡大というまともな政策について書いた後、必ず、
「クニノシャッキンガー」
 で、否定しようとするのです。

 そして、ブルームバーグの論調は、
日本国民の多数派の意見と同じだと思います。

 日本には、まだ技術も人材もあります。
潜在需要も医療、介護、インフラ整備を中心に、大量にあります。
さらに、我が国は世界最大の対外純資産国であり、資金は国内に有り余っています。

 普通に政府が国債を発行し、資金を銀行から借り入れ、
国内で消費や投資に支出をすれば、国民の雇用や所得が生まれ、
完全雇用が達成され、企業の生産性向上の投資を引き出し、
「インフレギャップを生産性向上で埋め、国民の実質賃金が上昇し、
豊かになった国民が消費や投資を増やすため、
再びインフレギャップとなり、ギャップを生産性向上で埋め・・・」

 という、我が国に高度経済成長をもたらした「黄金の循環」が始まるのです。

 ところが、「クニノシャッキンガー」の嘘により、
政府の国債発行や財政拡大が抑制され、
我が国は猛烈な勢いで発展途上国化していっています。

 経済成長をもたらす黄金の循環を阻む嘘、
「いわゆる国の借金」の嘘を打破しなければなりません。

—発行者より—

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【三橋貴明】経済成長をもたらす「黄金の循環」を阻む嘘への3件のコメント

  1. たろう より

    国の借金ガーのマスコミが、発展途上国への膨大な援助に対しては何も言わないのが不思議です。実のところ日本が借金で潰れることはないと知っていて、緊縮財政により官から民への流れを作り、外資の参入を促したいのだろうと考えてしまいます。またアメリカが参加しないことが明白になったTPPに拘るのもおかしな話です。日本が参加してアジアで主導権を握る?日本の有利の条件で結ぶ?いろいろいもっともらしい理由を述べる人がいますが、アメリカが入らなければ日本を除く国はルールなど守らないだろうし、ルールを頑なに守る日本だけが損をするでしょう。アメリカが後で入っても、いつもの我儘でアメリカ有利なルールに書き換えられるかもしれません。こんなものに拘ってるのは 移民を増やして日本の主権と国境を奪おうとする特定勢力があり、その特定勢力が安倍政権を操ってるとしか思えませんね。

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  2. 拓三 より

    ノーベル経済学者ジムズ氏がこちらの先生方と同じ見解を示した事で少しでも日本が変わればっと願うのですが….。な.な.なのに…情けない! 金利が0、1にも満たない上昇に対してニュースで取り上げるってどう言う事や。何が言いたいねん。糞財務相&マスゴミ!こんな自国の事も自国で考えられへん幼稚園児がTPPをリードする?片腹痛いわ!お花畑もええ加減にせいよ!商売やったら、自分のテリトリーをよお耕さん人間にテリトリー拡げさすバカ社長何処におんねん。仕事の出来らん人間ほどテリトリーの文句ばかり言うんやけど、バカ企業の典型例や!TPPは完全にデフレ型企業の考え方や。資本のデカさに任せて全てを支配する事で業績を上げていく。このやり方は、資本がデカければデカイほど債務が大きくなるので短期の業績を重視しなければならない。その結果需要を食い潰すだけに終始し、需要を育てる事は決してしないと言うより出来ないのです。(それに比べ政府は通貨発行権があるので短期的業績を考えず長期の視点で見ることが出来るのです)自由貿易は短期的には良く見えるかもしれません。また分配を前提条件と言う人もいますが資本家が操る政治に税のルールが平等に考えられるとは到底思えません。資本家が世界中を支配し、需要を食い潰し初めて需要を育てる事に目を向けるかもしれませんが、そこまで我慢できるバカはいないでしょう。

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  3. 學天則 より

    嘘つきが全てを亡ぼすのですね。どんな組織だろうと普遍的に意思決定をし、それを実行する組織がある。意思決定という組織運営の根源を狂わせるのが嘘つきです。その様なデマゴーグは社会動物と定義される人間の追求する法=契約=ジャスティス=真善美を頭から否定する論外の輩です。だから嘘つきを決して許してはいけないし、嘘つきを舐めてはいけない。だから嘘つきの研究とその解明と対策こそ国家運営の要である事は言うまでもない。学校教育から何から徹底的に対策する必要がある。教室のいじめさえ言いがかりの嘘から始まってるのでしょうからね。

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