日本経済

2017年3月4日

【三橋貴明】日本の実質消費の減少はギネスブックに載るか?

From 三橋貴明@ブログ

先日、倉吉市で講演した際に、冒頭を、
「新幹線、羽田空港、首都高速と、日本で一番交通インフラが充実した品川から、
日本で一番交通インフラが貧弱な鳥取県に講演に参りました」
という語りで始めたら、聴衆の皆さんにバカ受けしていましたが、
まじめな話、何とかしましょう。とりもなおさず、地元の政治家
(石破茂氏)を動かさなければなりません。あまり自虐ネタで
盛り上がるのも、どうかと思いますので。

わたくしは、明日は鳥取に匹敵するほどに
インフラが貧弱な秋田県に入ります(講演は明後日)。
「秋田は新幹線が届いているじゃないか」と、
倉吉市の皆さんは思われるかも知れませんが、
秋田に繋がっている新幹線は「ミニ新幹線」であり
、フル規格ではありません。普通の鉄道の線路の横に、
もう一本、線路を引き、小型の新幹線車両が通れるように
しているだけです。当然、最高速度はJR線と同じです。

東京駅から秋田に向かうと、盛岡まで速い速い!
そして、盛岡から秋田まで遅い遅い!
何しろ、最高時速110キロ程度でございますので。

さて、日本の実質消費が減り続けています。
これはもはや「ギネスブック」に登録できるのではないの?
と、皮肉に思いたくなるほど、
日本国民は消費の「量」を減らし続けているのです。

『1月の実質消費支出、前年比1.2%減 食料品の低迷で
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL03HKC_T00C17A3000000/

総務省が3日発表した1月の家計調査によると、
2人以上世帯の消費支出は1世帯あたり27万9249円で、
物価変動を除いた実質で前年同月比1.2%減少した。
11カ月連続で前年実績を下回った。

QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.4%減だった。
家計の節約志向が続き、食料品を中心に買い控えが続いた。
季節調整して前の月と比べると0.5%増加した。

消費支出の内訳(実質)をみると、「食料」は2.6%減少した。
外食や魚介類、穀類、野菜など幅広い品目が減少した。
キャベツなど生鮮野菜の高騰が続いていることが重荷になった。
自動車に関連した費用など「交通・通信」は4.0%減少。
軽自動車など自動車購入の低迷が響いた。
「保健医療」も7.6%減少した。(後略)』

というわけで、日本の実質消費の対前年比をグラフ化しました
(「新世紀のビッグブラザーへ 」が復活しました)。

【日本の実質消費の推移(2人以上世帯、対前年比%)】

http://www.mtdata.jp/data_55.html#RC1701

ちなみに、日経の記事では11カ月連続で前年実績を
下回ったとありますが、2016年2月はうるう年でした。
うるう年による消費増分を除くと、何と17カ月連続です。

日本国民は、実質的に17カ月連続で実質消費を減らしているのです。
ね?ギネスブックに登録できそうな勢いでしょ?

実質消費を減らすとは、
「米を買う量が減っている」
「パンを買う個数が減っている」
という話であり、国民の貧困化そのものです。

消費の減少に最も影響したのは食料品の購入で、
外食や魚介類などの支出が減りました。
魚介類ではイカやカニ、野菜はキャベツや
ハクサイの減少が目立っています。

あれですかね?日本国民にとっては、
すでに外食や魚介類を食べることは
「贅沢」という領域に入りつつあるのでしょうか。

ちなみに、消費税増税後の1月の対前年比を見ると、
15年1月が▲5.1%、16年1月が▲3.1%、
17年1月が▲1.2%なので、何と我々は14年1月と比べ、
約9%超も実質消費を減らしているのです。

14年1月と比較し、国民が実質的に一割近く、
モノやサービスを買えなくなっている。

これが、安倍政権の「結果」です。

間違いなく、安倍総理大臣は日本の憲政以上、
最も国民の実質消費を減らし、貧困化を進めた総理大臣です。

実質消費が一割近く減るということが
「深刻な問題」であることを理解する脳みそを持っているならば、
日本の全ての国会議員は「消費税の減税」の議論を始めなければなりません。

関連記事

日本経済

【三橋貴明】安倍政権の移民政策に反対する

日本経済

【三橋貴明】安倍政権ブレーンが認めた嘘

日本経済

【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」:第四十九話

日本経済

【藤井聡】「橋下入閣」は、日本に巨大被害をもたらします。

日本経済

【青木泰樹】安倍総理の三つの誤算

【三橋貴明】日本の実質消費の減少はギネスブックに載るか?への1件のコメント

  1. ぽりんきー より

    長年魚屋に従事しております。
    魚介類はほぼすべての商品が値をあげています。
    とくにカニ、イカは絶望的で、いままで2杯398円ほどで販売していたスルメイカは1杯500円以上。
    原料不足でイカ塩辛なども値上げ状況です。
    カニも年々高くなっています。
    アジやイワシといった大衆魚も高い日が続いていて、干物の徐々に値を上げてきました。
    お客様(売っている私も含め)の意識では「魚は贅沢品」という意識が上がっているのを実感します。
    事実、スーパーの中で鮮魚だけが前年を大幅に割っているので。
    話しはそれますが、求人を出しても人も集まりません。
    2週連続で新聞折り込み求人チラシを出しましたが、電話ひとつもありません。
    神奈川の最低時給で募集しても、魚屋で働こうと思う人はいないようです。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

最新記事

  1. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】【追悼:安倍晋三】暗殺事件から3年、奈良・西...

  2. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】今、日本国家にとって一番大切なのは「石破おろ...

  3. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】【石破クマムシ論】自公過半数割れでも「石破続...

  4. 日本経済

    【三橋貴明】財務省様が保証して下さっている

  5. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】「石破野田タッグで消費「増税」の流れができあ...

  6. 日本経済

    【三橋貴明】「さや」さん関連のイベントが始まりますよ

  7. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】今、何故日本は、「核武装論」を徹底的に議論し...

  8. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】本日発売『トランプ・ディールで日本復活!』~...

  9. 日本経済

    【三橋貴明】経済統計入門~GDPから国富まで~

  10. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】三沢カヅチカ「ミニアルバム」プロジェクト始動...

MORE

タグクラウド