日本経済

2017年3月3日

【三橋貴明】フリーゲージトレインの恐怖

From 三橋貴明@ブログ

昨日は、長崎県佐世保市で講演をして参りました。
ご存知の通り、すでに事業化されている長崎新幹線は、
九州新幹線の新鳥栖から西に向かい、佐賀、肥前山口、
武雄温泉、嬉野温泉と佐賀県内を通り、長崎県の大村、
諫早を経由して長崎に至るルートになっています。

元々は、長崎新幹線は佐世保に近いルートを通るはずでした。
それが、諸般の事情により、大村ルートになってしまい、
県北の佐世保は取り残された形になってしまいました。

というわけで、佐世保の皆様は、長崎新幹線に
それほど好意的ではないのですが、それでもあえて、
長崎新幹線についてお話いたしました。
理由は、長崎新幹線の新鳥栖から武雄温泉までが
「いかなる方式」になるかが、日本国の運命を
決定的に変えてしまうためです。

武雄温泉から長崎までのルートは、フル規格の新幹線が
建設されています。すなわち、時速200km以上です。

それに対し、新鳥栖と武雄温泉間がもめていまして、
とりあえずは在来線特急を走らせ、武雄で長崎新幹線に
対両乗り換えするというバカバカしい話になっています。

なぜ、新鳥栖、武雄温泉間でフル規格の新幹線の建設ができないのか。
フリーゲージトレインという「恐怖」の技術を押し込もうとしている連中がいるためです。

『「フリーゲージ」よりフル規格? 建設中の長崎新幹線
http://digital.asahi.com/articles/ASK1N5V6WK1NTIPE038.html?_requesturl=articles%2FASK1N5V6WK1NTIPE038.html&rm=542

新幹線と在来線を直通できる新車両「フリーゲージ
トレイン(FGT)」の国の開発計画が難航している。
建設中の長崎新幹線のほか、誘致をめざす各地にも影響を与えそうだ。

九州新幹線の新八代駅に昨年12月、金と赤の流線形の
試験車両が姿を見せた。2022年度に開業する予定の
長崎新幹線に、国が導入を計画するFGTの走行試験だ。
約2年ぶりに再開された。

FGTは、車輪の幅を伸縮させて、在来線(線路幅
1067ミリ)と新幹線(同1435ミリ)を行き来できる
軌間可変電車。国は新たな新幹線の建設費を抑えながら、
列島の隅々まで新幹線の時短効果を広げられるとうたい、
早期の実用化をめざした。(中略)

今回の走行試験は耐久走行試験の前段階の検証走行で、
この夏までに再び耐久走行試験に移れるかどうかを見極める。
量産化に向けた車両づくりはその先だ。開発費は膨らみ、
すでに約490億円の国費が投じられている。(後略)』

フリーゲージトレインとは、新幹線の車輪の幅を縮小
することで、在来線の線路で新幹線を走行可能にする技術です。

通常の新幹線に比べ、耐久性が確実に落ちるため、
JR九州の青柳俊彦社長は昨年12月の記者会見で、
「安全性など運行事業者としてお受けできる状況ではない」
と、新鳥栖-武雄温泉ルートについても、フル規格の
新幹線とすることを求めています。それはそうでしょう。

青柳社長は、
「これまで(耐久性などの向上に)かけてきた対策が不十分なら、
FGTの開発はかなり先に延びる。それは適切ではない。
安全性についても十分確認できるレベルではない」
と、フリーゲージトレインの安全性について疑問を呈しています。

それにも関わらず、長崎新幹線の新鳥栖-武雄温泉では、
フル規格新幹線の整備が一向に進みません。
理由は、佐賀県が反対しているためです。

佐賀県は、
「将来の佐賀県の基盤づくりに必要な新幹線の整備は、
福祉や教育の予算を確保したうえで、投資的な経費の
枠の中で計画的に進めています」
と、予算不足を理由に、フル規格の線路を建設することに反対しているのです。
が、佐賀県の背後には、もっと厄介な相手がいます。

長崎新幹線でフリーゲージトレインを実用化することで、
メリットを得る省庁。すなわち、財務省です。

何しろ、フリーゲージトレインが実現すれば、財務省は今後、
フル規格の新幹線に予算を出す必要が無くなります。
というわけで、技術的に困難極まりないにも関わらず、
財務省はフリーゲージトレインの開発に対してだけは、
着実に「予算」を回し続けているのです。

すなわち、長崎新幹線でフリーゲージトレインが
実現してしまうと、我が国の新幹線整備計画は、
事実上、終わりを告げることになります。
もはや二度と、フル規格の新幹線整備は行われないでしょう。

「フリーゲージトレインにすればいいじゃん」
という話になってしまいますので。

というわけで、今後の日本の運命を、佐賀県民の
方々が握っているという状況になっています。

別に、佐賀県民を批判したいわけではありません。
本日のエントリーで書かれた類の情報を、
佐賀県民のほとんどが全く知らないでしょう。

佐賀県民、特に佐賀市の皆さん。皆さんの前には、分岐路があります。

一つ目は、フリーゲージトレインで佐賀区間を整備し、
日本の新幹線整備計画を終わらせ、我が国の将来を暗澹たるものにする道。

二つ目は、フル規格の新幹線を整備し、
佐賀市を九州北部と経済的に一体化させ、
同時に日本の将来を繁栄へと導く道。

どちらを選びますか?

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【三橋貴明】フリーゲージトレインの恐怖への5件のコメント

  1. たかゆき より

    どうして
    2流じゃダメ なんですか??

    レンなんたら さんの
    雄叫びが 脳裏をよぎる。。。

    上を目指さなきゃ
    落ちるところまで 落ちる

    このままでは
    日本も 2流3流
    落ちるところまで 落ちる べ、、

    財務省栄えて 国滅ぶ ♪

    返信

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  2. 拓三 より

    財務相は絶対、女にモテへん!

    舛添よりセコイ!

    なんでエリートはケチを通り越してセコイんや?
    金が無いならともかく、金があるのに….と言うよりも紙切れ(カネ)を価値に変えるのがアンタラの仕事やろ!そのくせ己の自己評価価値を過大評価してからに。

    頼むから己の仕事とは何かを見つめ直してくれ!財務相!

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  3. robin より

    技術的な話はさっぱりだがこの軌間可変電車は新幹線より各段に遅いし安定性安全性の面でも劣るのだろう、投資は元々長期的な視野でなされるもので短眼的なコストカットを目的にしてもあくまで一時凌ぎその場凌ぎでしかないだろう、財務省の目的が元々コストカット、人件費の抑制、投資の抑制、経済学の前提にバブル崩壊後のデフレ期が想定されていない、デフレ期はインフレ期と変わり人々の嗜好指向や閾値が変化、あるいは逆転する、物よりお金の方が好まれる、価値が高くなり借金の価値も上がり負担も大きくなる、民間の投資も抑制される、のでは。これに基づいた政策の結果が4年間で400兆の量的緩和でインフレ率がマイナス、0%という結果なのでは。時機に適った政策を期待したい。

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  4. 善徳 より

     鉄オタ歴38年、39才男です。長崎新幹線に限らず、新幹線は基本、フル規格で建設すべきと考えています。長崎新幹線フル規格の最大のメリットは東海道、山陽新幹線との直通運転ができることです。
     現在、山陽新幹線から九州新幹線に乗り入れ車ている列車は、8両で運転されていますが、東北新幹線でやっているような併結(8+8)で新鳥栖で切り離し、鹿児島、長崎行きで運転されれば、ダイヤ的にも余裕ができ、乗り換えもなくなるので関西方面からのメリットが大きいです。
     この案では、16両編成しか運転させないJR東海を説得できる材料にもなり、東京発、鹿児島中央、長崎行きも実現可能ではないでしょうか。
     FGTが実現化できない現状で在来線とリレーとなれば、乗り換え回数が増え、佐賀、長崎方面の客足が遠のくことは目に見えており、早急にフル規格を押し通す必要があると考えます。

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