日本経済

2017年1月10日

【藤井聡】「インフラ・イノベーション」こそ、成長戦略の要です。

FROM 藤井聡@内閣官房参与(京都大学大学院教授)

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【オススメ】

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財政赤字国のどこにそんな大金が?
TVが放送を自粛する意外な真実とは
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag.php

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今、わが国の経済政策でその重要性が繰り返し主張されているのが、「イノベーション」です。

「イノベーション」と言えば、新しい技術開発、というニュアンスで語られることが多いのですが、そもそもその言葉の語源に基づいて考えたとき、浮かび上がってくるのが、道路や鉄道や港、水道などの、

  「インフラ」

をつくり上げていくことこそが、私たちの社会、あるいは、文明にとっての「最大のイノベーション」なのだ、という実態です。

当方はそんなコンセプトに基づいて今、毎月、様々なインフラについて、それが如何に、我々の社会、あるいは、文明に巨大なイノベーションをもたらしているのか、あるいは、もたらし「得る」のか、を論ずる『インフラ・イノベーション』という連載を書き進めています。
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/member/fujii#infra

例えば….

「港湾」をつくれば、数十年の間にそこに何もなかった漁村が巨大なコンビナート都市ができあがり、
https://goo.gl/eF8hS4

「川辺」空間のまちづくりを進めれば、殺風景な河川敷が人々が憩う事ができる文化的な都市空間ができあがり、
https://goo.gl/7sPqwq

「下水道」に特殊な技術をもちこめば、これまで単に邪魔者でしかなかった下水からたくさんのエネルギーや資源を、都市が「自己調達」可能となり、
https://goo.gl/nCsUKw

そして、「鉄道」をつくれば、同じく何もなかった場所にたった数年で大きな街ができあがる(現在、印刷中)、

――こうした事例はいずれも、インフラを作り上げることで、その土地が、地域が、都市が、そして社会が、根底から新しいものへと「変革」していく、という「インフラによるイノベーション」が生じた典型例を示しています。

この連載「インフラ・イノベーション」では、こうした様々な事例の一つ一つについて、毎月様々な現場や関係者の話を「取材」し「記事」にしていく、という作業を続けています。

この取材を通して、当方もこれまで知らなかった技術や事例などに触れ、毎月大いに刺激を受けているところです。

・・・・

さて、冒頭にて、「イノベーション」の語源に基づいて最も効果的なイノベーションとは何かを考えたとき、浮かび上がるのが「インフラ」を通したイノベーションだ―――という事を申し上げましたが、ここでは、この点について少し、お話ししておきたいと思います。

そもそも「イノベーション」といえば、「革新・改革・刷新」と訳されることが多いのですが、詳しく言うなら、革新する、改革するという「innovate」の動詞の名詞形です。

そして、このinnovateという動詞は「in」と「novate」という言葉から構成されています。

で、novateという言葉は「新しくする」(新しいもの=nove、化する=ate)というもので、inは「内部」という意味。

つまり、ある対象を、(その表層的に新しくするというのではなく)「その内部から新しいものにしてしまう」というのが、innovate(イノベート)という言葉の意味です。

つまり、深い部分での構造変化――それこそがイノベーションだという次第。

したがって、どれだけ新しい技術が開発されたからといって、それが何も活用されず、世間が何も変わらなければ、それはイノベーションとは呼べない、ということになります。

では、私たちの暮らしや社会、経済に、そんな「深い構造変化」である「イノベーション」をもたらすものと言えば一体何なのでしょうか――?

ここで、「私たちの暮らしや社会、経済」というものを全てひとまとめにする概念として

  「スープラストラクチャー(スープラ、あるいは上部構造)」

というものがありますが、この「スープラストラクチャー(上部構造)」に対応するものが、

  「インフラストラクチャー(インフラ、あるいは下部構造)」

です。それは、自然環境に、道路や鉄道、水道、橋、そして切土や盛土などの形で人間が手を加えて作り上げた「都市」や「国土」を意味します。

つまり、「都市や国土」というインフラ=下部構造の上に、私たちの社会や文化、経済などのスープラ=上部構造がのっかっている、という次第。

だとすると、その上部構造は、その下部構造であるインフラに徹底的に影響を被ることになります。

すなわち、下部構造であるインフラが、私たちの社会の文化、文明という上部構造を決定付けている以上、インフラの整備こそが我々の文明社会それ自身のイノベーションを導く最大の契機だ、というポイントが浮かび上がってまいります。

(以上の議論の詳細は、下記をご覧ください。
https://goo.gl/ihyfca)

例えば非文明社会から文明社会へ、そして、前近代社会から近代社会への社会構造のイノベーションはいずれも、交通インフラや河川インフラによって導かれたものだった、というのがその典型例です。

そのあたりは、拙著『国土学』でも詳しく論じたところですが、
https://www.amazon.co.jp/%E5%9B%BD%E5%9C%9F%E5%AD%A6%E2%80%95%E5%9B%BD%E6%B0%91%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E3%81%AE%E7%8F%BE%E8%B1%A1%E5%AD%A6-%E5%8F%A2%E6%9B%B8-%E6%96%B0%E6%96%87%E6%98%8E%E5%AD%A64-%E5%A4%A7%E7%9F%B3%E4%B9%85%E5%92%8C/dp/4779305004

最近では、例えば中野剛志さんの『富国と強兵』でも包括的に論じられています。
https://www.amazon.co.jp/%E5%AF%8C%E5%9B%BD%E3%81%A8%E5%BC%B7%E5%85%B5-%E4%B8%AD%E9%87%8E-%E5%89%9B%E5%BF%97/dp/4492444386

この『富国と強兵』でも論じられている重要な論点の一つは、世界の経済や安全保障には、

  「地理的条件」

に極めて甚大なインパクトを受けている、というものでしたが、これは要するに、国土や都市などの「インフラ」が政治・経済などの「スープラ」に甚大な影響を及ぼしている、ということを意味しています(無論、『国土学』は主として内政問題、『富国と強兵』は外交問題を取り扱うという点で相違はありますが、両者は同じ視座を持って問題が語られている、ということができます)。

したがって、「イノベーション」を語るにあたって、とりわけ「経済成長」を見据えたイノベーションを考えるにあたって、「インフラ」の議論を避けて通るのは、著しく不条理な愚かしいことになる――という次第なのです。

ついては筆者もこれからは、経済政策を考えるにあたって財政や金融などの「マクロ経済論」のみならず、財政出動で一体何をなすべきなのかを考える「インフラ・イノベーション」を様々な視点から考えていきたいと思います。

むろん、こうした議論は、財政政策だけでは十分に検討することができない「ワイズスペンディング」(かしこい財出の仕方)の議論に直結するものとなるでしょう。

ついては皆様も是非、時折、下記HPに掲載するインフライノベーションの記事を、ご一読ください。
http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/member/fujii#infra

—発行者より—

【オススメ】

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【藤井聡】「インフラ・イノベーション」こそ、成長戦略の要です。への3件のコメント

  1. 學天則 より

    かば焼きの匂い内閣とそれを支持構成する緊縮財政思想の人々にとってインフラは素の自然なのかもしれません。かのルソーはいったかもしれません自然に帰れ!おいおい、そう言う意味ではないだろう・・・。主体的な思考を放棄し、何事も単純明快で解りやすい答えを求める彼らは巨大かつ複雑で常人には捉え難い近代文明社会を考える事に疲れて果ててしまったのでしょうか。宗教観としてですね、つまり神に対して自分に何かをして下さる人というのがやはり主体性がない野蛮に直結すると言える。教育を受ける以前に主体的に思考する文明人であるという気概がもともとない城壁の向こうから文明を襲撃、略奪してくるヴァンダル族が彼らの正体なのやも知れません。

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  2. 反孫・フォード より

    >「港湾」 数年前の超人大陸での漁礁の話が頭の中に甦りました。考えてみると、東京都言う漁礁は大発展はしましたが、あろうことか賢くない大改革を掲げて、ハード的なインフラ(新規開発だけの意味ではなく)に指向することは無く、ソフト的なぶった斬り指向に爆晋?中です!!>「その内部から新しいものにしてしまう」 ブラックホールと成った時点での超重力は、その時空間とは同じではない別次元時空間を内部?に創り、別宇宙を創造している。宇宙創造にも繋がる話だと思えてなりません。 ブッ飛んでしまいました。失礼しました。

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  3. 神奈川県skatou より

    もしもイノベーションとは、科学(サイエンス)でも応用化学(テクノロジ)でもなく、社会、社会システムの変容を指すとすれば、つまり人の考えや動きを変えること、それをさせたsystem(有形無形)だとすれば、インフラの改良もとうぜん社会にイノベーションを与える、ローマに通じる道路ができたから巨大帝国になったのは道路整備がイノベーションだと。そう考えてみたところ、藤井先生のインフライノベーションのお話は至極「まっとう」に感じます。(よい言葉の誕生も、イノベーションか、そのSEEDSですね)で、そういう話になれば、ヒトのcreativeness、creationというのも自明なわけで、ああIntelligenceの条件みたいのまで見えてきて、そして身体性という必須条件からロボットこそが(Not A.I.)、云々という面白そうな未来まで、、、おっと違う分野でした。

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