FROM 藤井聡@京都大学大学院教授、内閣官房参与
———————————————
【PR】
プライマリーバランス黒字化はなぜ愚かな行為なのか・・・
なぜ政府債務1000兆円越えを騒ぐことが無意味なのか・・・
その答えはこちら
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php
———————————————
こちらのグラフをご覧頂ければ一目瞭然ですが....
https://www.facebook.com/Prof.Satoshi.FUJII/posts/773556466078632
デフレになったせいで,日本の国力は,奈落の底へと凋落しつつあります.
わが国は90年代には全世界のGDPの約2割をたたき出していたのですが,20年ほど前に日本だけがデフレになり,それ以後,衰弱していった一方で,世界各国は,先進諸外国も含めて力強く成長し続けました.
その結果,今やGDPシェアは,かつての三分の一以下の5%台にまで落ち込んでしまったのです.
どうすれば,この奈落の底から這い上がることができるのか―――?
この問いに対する答えは,本記事で何度も主張してきたように,
・緊縮財政から積極財政に転換し,
・デフレから脱出するための十分な『脱出速度』を確保するために,
・3年限定で徹底的な財政出動を図る,
・こうしてデフレ完全脱却を果たすことで,2020年に完全なる財政再建と600兆円経済を実現する――
という道こそが,今求められているものと,考えています.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-05-11/O6ZNIN6S972901
そして今まさに,そのための具体的な構想が,総理総裁を中心に伊勢志摩サミットに向けて検討されているのではないか――と僭越ながら想像してございますが,その時に何よりも重要となるのは,一体何に支出するのか――? という一点です.
どうせデフレギャップを埋めるために限られた財源を活用して財政政策を行うのなら,「国益を最大化」する項目へ支出する方が,いいに決まっています.
これこそ,「ワイズスペンディング」と呼ばれる,財政の考え方.
この「ワイズスペンディング」の議論は,先に紹介したデフレ脱却のための「マクロ経済」の話しではなく,個別具体的なプロジェクトや行政についての「ミクロな具体論」です.
ついては当方はこれまで,上記の様なマクロ経済についての主張に加えて,「ミクロな具体論」として,実に様々な支出項目を検討して参りましたが,その中でもとりわけ優良な支出項目であり,今日の日本政府にとって欠くことのできない最重要項目の一つが──
「新幹線」
なのです!
なぜ,新幹線が,とりわけ今,重要なのかと言えば――
1)北陸新幹線の例を振り返るまでも無く,新幹線は「地方活性化」つまり,「地方創生」の切り札である.さらにこれを三大都市圏におけるリニア投資も含めて全国で進めれば,文字通りの「日本経済再生」「成長戦略」の根幹となる.
2)新幹線が整備され,地方が活性化すれば,東京一極集中が緩和される.つまり地方の新幹線整備は,「国土強靭化」の切り札でもある.
3)新幹線整備にはこれまで国費があまり注入されてこなかったため,整備水準が著しく低い(約半世紀前にたてた全計画の内,たった3割程度しか整備が進んでいません).だから,優良区間が数多く残されている.つまり「わずかな投資」で「大きな効果」が得られる区間が数多く残されている.
4)新幹線は利用料金をとるインフラであるため,政府による財政負担は最小化できる.
5)新幹線整備プロジェクトは,大規模であり,かつ,それが完成するまでに一定期間が必要であるため,効率的にデフレギャップを埋めることができる(なぜなら,完成するまでは供給は上がらず,その結果,デフレギャップの拡大を抑制できるから)
つまり,新幹線は,それを作る段階で効果的にデフレ脱却を進める「フロー効果」が即効的にもたらすのみならず,それが出来上がれば,地方を活性化し,分散化を促進することで,「成長戦略」「地方創生」「国土強靭化」にとって重要な「ストック効果」をもたらすものなのです.
しかも,その投資は(財投なども含めて)民間資金も活用しながら進めるものですから,財政的な視点から考えても,その困難性は最小化されているのです.
さらに言うなら,昨今の超低金利の状況を活用すれば,その整備費用は,きわめて低いコストで調達できるのですから,「今」これをやらない合理的理由は,ほとんど存在しない,といって良い状況にあるのです.
・・・・
では,具体的にどの区間が「優良」区間なのかと言えば,現在工事が進められている札幌,敦賀,長崎,三大都市圏を貫通するリニア新幹線に加えて,
・関空新幹線(新大阪―関空),
・大分新幹線(大分―北九州),
・四国新幹線(岡山―高松),
・山形新幹線(山形―福島)のフル新幹線化,
・日本海国土軸の長岡―上越間(これが開通すれば,新潟から一気に金沢までの日本海軸が完成する!),
等の各区間が挙げられるのではないかと,考えています.これらはいずれも採算性が十分に期待できる区間であり,したがって,大きな地域活性化効果,ひいては日本全体の「成長戦略」への貢献効果が発揮されることが大いに期待されるのです.
そんな状況認識を踏まえ,筆者は次のような認識の下,本書を,出版いたしました.
『本書では、それらの計画の内実を論ずるだけでなく、それを具体的に進めるための「政治行政プロセス論」や「財源論」にも踏み込んで、筆者の学者としての所見をとりまとめた。
「スーパー新幹線が日本を救う」――実際にその本書の構想を実現するにあたって、唯一今、欠けているものは、現実政治の中での政治決断だけ──であると感じている。』 (『スーパー新幹線が日本を救う』はじめに,より))
日本は,「国民民主主義」の国家です.
ですからその政治判断は全て,国民世論に根ざしたものです.ついては,適切な政治判断を促す最善の道は,適切な国民世論を醸成することの他にありません.
だから是非とも,日本を救う新幹線を巡る適切な「政治判断」が実際に下される状況を創出するためにも――一人でも多くの日本国民の皆様に,本書にお目通しいただきたいと考えています.
そしてその上で,日本を救う新幹線をつくる,というビジョンに向けた多面的な議論と実践――例えば,各地域の財界,官界,政界の方々に本書のビジョンを紹介さしあげたり,各種会合でその趣旨をご発言いただいたり,等――をあらゆる地域のあらゆる立場の方々が展開されますことを,心から祈念いたしたいと思います.
何とぞ,よろしくお願いいたします.
PS 「スーパー新幹線」が日本を救う――是非,ご一読ください!
(※ ちなみに,帯のキャッチコピーは『マイナス金利だから出来る究極の公共事業.それが,新幹線だ!』です)
http://www.amazon.co.jp/dp/4166610775
ーーー発行者よりーーー
【PR】
財政政策の出動を阻むのは誰だ?
その黒幕の正体はこちら
http://www.keieikagakupub.com/sp/38DEBT/index_mag2.php
【藤井聡】「スーパー新幹線」が日本を救うへの7件のコメント
2016年5月17日 10:20 AM
今日のエントリーの内容から外れてしまうかもしれませんが・・、最近何だか旗色が変わって来たように感じます。 これまで長い事、「内需拡大」という言葉をテレビその他で聞かなくなったなあ、と思っていました。正直、放送禁止用語なのかと思うくらいです。 かなり昔、20年以上前?に観た、あるミュージカルで「内需拡大それこそが今日の大課題」という台詞があったのですが、同じミュージカルを久しぶりに見た時には「政治改革それこそが今日の大課題」と台詞が変わっていたりで、ナマイキながら個人的に違和感を持っていたのです。 それが最近、久しぶりに「内需拡大」という言葉がテレビで使われていているのを聞きました。徳川家康が江戸の町をどう作ったか、どのように経済を安定させようとしたか、等について解説している番組で「徳川家康は内需拡大に舵をきったのです」という言葉が使われ、不思議な気がしたのです。気にしていたワードだったせいか、言葉の方から耳に飛び込んできて・・。 何もおかしくないと言えば、おかしくないのですが、これまで、このような文脈であってもあまり使われなかった言葉が、目立つ形で使われたので、「あれ?」と思ったのです。あくまで私の主観でございます(笑)。 でも、良い方への変化の兆しだったらいいなあ、と思います。 そして、藤井先生や他の先生方の長年のご苦労が、少しでも報われますように!と、やはり願ってしまいます。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2016年5月18日 8:11 AM
Amazonと言えば自分家の庭がそのような状態と化してしまったまさにAmazonのような家に住んでいるのに身体は貧粗なヘタレ読者で申し訳ありませんけど、スーパー御著書、普通の本屋さんで買おうと思います。 (エントリー内容からは脱線してすみませんけど)先日国会質問での福島瑞穂議員からの公務員の削減(人員についてでしたが給与体系も問題でしょう)について総理はあらかじめ用意された答弁を読んでいたようでしたが、その内容に対して疑問は持たれているのでしょうか。答弁には人員については地方それぞれが判断するべきと言われていましたが、地方に人員や給与の増進の意志があったとしても中央政府がデフレーション推進政策、緊縮財政を至上としている限りは削減方向にしか向かうのではないのでしょおか。ミクロ(地方自治)的なことはマクロ(中央政府)的なモノ(新自由クラブ?)に阻まれてしまっているのです。ある意味、親(中央政府)の子(地方自治体)殺しになっていることに政府政策立案している方々は思いもよらないのでしょう。 政府がデフレーション下で緊縮財政に励むことは、心臓(ポンプ)としての役割を放棄しています。民間民間と蝉のように鳴いているべき思考をする場合ではないと思います。 己自身そんなことを知らなかった者ではありますけど、エリート様達はスーパー都市空間での中だけでの思考はやめて頂きたいものです。失礼しました。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2016年5月19日 9:02 PM
県都一極集中と地方線の廃線で、結局は限界集落の消滅、山野の崩壊は止まらないというご指摘に賛同いたします。見方を変えれば、県都が栄えた前提ならば、県の主導による細やかな地域再生ビジョンをそれこそ地方分権ではないですが、独自に推進するのもひとつの方策かもしれませんですね。順序が違うと大問題だと思いますが。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2016年5月21日 4:29 PM
藤井先生の言う通りでリニアも含めたスーパー新幹線や国土強靭化が日本の成長率名目GDP600兆円に近付ける物だと思いますが。国の借金やプライマリーバランスという考え方や、構造改革的な考え止めないといけないと思います。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2016年5月22日 9:31 PM
新幹線整備自体は大いに賛成します。ただ、近年は、新幹線ができると在来線が第三セクター化され、運転回数が減るどころかそのうち廃線になっていく運命にあると思われます。東京一極集中よりましとはいえ「県都一極集中」になってしまうのも問題です。こういうあたりにも配慮した提案をしてください。大多数が心から納得できる発言こそが、権力者の強弁に打ち勝つことができると考えます。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2016年5月23日 10:58 PM
現実的ミクロを具体化することが今の日本を救う早道!っと言うよりもホンマ早よせなヤバイしな。今の国会、学者、メデイア、を見てたら国土強靭化をマクロ的側面から理解するのは不可能に近いしな。まずは直近の課題(生命)を一つ一つクリアーすることが今の日本を救う事であり、その積み重ねが強靭化を形成するのもになれば良いのであって、1も解らん奴に100解らすよりも1個1個解らしていけば良いと言う事でんな。日本にとって国土強靭化はホンマによう出来た政策なんやけど、解らんかなぁ………。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2016年5月25日 5:13 AM
早速、予約注文いたしました。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です