日本経済

2016年4月19日

【藤井聡】熊本・大分地震:徹底的に迅速な国家的支援を

FROM 藤井聡@京都大学大学院教授 

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かつて日本は「一億総中流」などと言われ、比較的、経済格差の少ない国だとされていた。その「一億総中流」の経済力によって、大きな経済成長を遂げてきた国だった。

しかし、それも「今は昔」。デフレが深刻化するとともに、経済格差の拡大が問題視されるようになっている。

三橋貴明はその原因を政府が「デフレを甘く見ていること」と「実質賃金を軽視していること」と指摘する。特に「実質賃金」は重要なキーワードであるという。

実質賃金とは物価変動の影響を除いた賃金のことだが、要するにモノやサービスを「買う力」を表している。

この実質賃金が、日本では1997年をピークに下がり続けているという。株価が上昇していたアベノミクス初期ですら、実質賃金(=買う力)は下がり続けていたのだ。

なぜ、日本国民の「買う力」は低下し続けているのか。また、この事実はデフレや格差拡大とどのように関係しているのか。

三橋貴明が、デフレの正体やその脱出法とともに詳しく解説する。

『月刊三橋』最新号
「日本経済格差拡大のカラクリ–実質賃金の軽視が招いた大災害」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

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熊本大分地震の被害が広がってきています。

多くの人々が4月14日のM6.5の熊本地震が本震であり、それ以後それよりも規模の小さな余震が続くであろうと考えていたところ、16日にはなんとその規模を上回るM7.3の地震が発生。さらに被害が拡大していきました。

これまでの常識を覆したこの度の地震はこれまでに40名以上の方々の命を奪い、未だ行方不明の方もおられる中、人的被害はさらに拡大する事が危惧されています。

住宅損壊は2442棟、電力は約10万戸で停電し、ガスは約10万5千戸で供給停止、水道は約42万戸で断水という事態になっています。そうしたあおりを受け、今、19万人を越える方々が被災者となっています。

http://mainichi.jp/articles/20160418/k00/00m/040/045000c

亡くなられた皆様方の冥福を、心よりお祈り申し上げたいと思います。そして被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

――安倍内閣は今、「国土強靭化」を重要な政策方針の一つとして掲げています。

「国土強靭化」とは、日本を、あらゆる被害に対して「強靱」である国家にする、という意味。そして強靱であるとは、何が起こってもその被害を最小限に食い止めると共に、迅速に「回復」できる能力を意味します。

したがって今、安倍内閣は、被災した熊本をどれだけいち早く「回復」させることができるか否かを問われているのです。

かの3.11の東日本大震災から5年強。そして安倍内閣で国土強靭化をはじめて3年強。その間に我々の国は一体どれだけ「強靱」になったのか――。

もしここで、その回復が遅々としか進まないのだとすれば、国土強靭化という方針は、看板だけの見せかけスローガンであった、と言われても致し方ない、ということになってしまいます。

実際、管官房長官は「政府の総力を結集して取り組む」と言明、今、その方針にそって、様々な救護、救援、復旧活動が展開されています。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20160416-00000047-ann-pol

例えば、1万五千人の自衛隊が派遣され、

http://www.sankei.com/affairs/news/160416/afr1604160118-n4.html

災害時の救護救援、復旧のプロ集団である災害対策現地情報連絡員(リエゾン)や緊急災害対策派遣隊(テックフォース)が、全国の国土交通省地方整備局から派遣されています。

http://www.decn.co.jp/?p=66380

そして、総務省、消防庁の采配なども受けつつ、全国の各自治体からも、自主的判断で、災害の専門家や消防援助隊が現地に派遣しています。

一方、阪神淡路大震災と同じクラスの破壊エネルギーをもった「本震」をはじめとして、度重なる地震は地域に凄まじい傷跡を残しています。未だ、その被害の全容は明らかではありませんが、その復旧、復興のためには、相当な「国家的エネルギー」が求められている事は間違いありません。

その迅速な復旧、復興を図る上でまず重要なのはその支援体制を確立するところ。現時点では、未だ確定してはいませんが、その基準を大至急確認した上で、いち早く「激甚災害指定」することが望まれています。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160418-OYT1T50042.html

そしてその上で、徹底的、かつ、迅速な財政支援が求められる事は間違いありません。

そこで必要なのは、まずは中央政府の財政支援。この点について、次のように報道されています。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20160418-OYT1T50042.html

『復旧・復興のための2016年度補正予算の編成についても「あらゆる手段を講じたい」と語り、検討する意向を示した。
 激甚災害は、道路や農地などの復旧費用の見込み額が基準を超えた場合に国が指定するもので、復旧事業への国の補助率がかさ上げされる。河野防災相は同特別委で、「関係自治体になるべく早く復旧(費用)見通しを出していただくようお願いしている」と語った。』

5年前の東日本大震災の折り、震災後即座に捲き起こったのが、

「財源論」

でした。

借金まみれの日本では、いかに復旧復興が大事だと言っても、国債を大量に出すのはよくない、だから増税をすべきだ、復興税をつくって財源を確保すべきだ――そんな議論が、政界やメディア上でかまびすしく論じられました。

当時、我が耳を疑うほどに、信じがたい議論――だと感じたことを今でもよく覚えていますう。

そもそも怪我をした子供を持つ親は、治療費をどうやって稼ぐかを考える前にまず、お金の事をとやかくいわず、十分な医療を施すために必要なら借りるだけ借りで、徹底的な医療を施すべし、と考えるもの。

その意味において、現政府においてはやはり、総理がおっしゃった、復旧・復興のために「あらゆる手段を講じる」という姿勢が、是が非でも求められるところです。

ここでまかりまちがっても、プライマリー・バランスの制約があるのだから、復興財源の規模は一定値以下にしよう――と考えてはならないことは論を待ちません。

プライマリー・バランス制約はデフレ脱却の障害となり、回り回って財政健全化の障害ですらあるのですが、この場合には、熊本・大分復興の直接的障害ともなるのです。

その意味において、プライマリー・バランス論こそが、国家を脆弱化させる最大のリスクの一つとなっている――という可能性すら考えられるのではないかと、筆者は真剣に危惧しています。

いずれにせよ、国家国民のための財政です。財政のための国家国民ではないのです。人の命、地域の命運、国家の未来を論ずるにあたって、本末転倒は絶対に避けねばならないでしょう。

・・・

以上を前提として、ようやく少しずつ、現地の復旧、復興を始めることが可能となります。以上の議論はあくまでも、復旧復興のための「環境整備」の議論に過ぎません。

被災したそれぞれの地域では、最低限の救護、救援が終わったまさにその時から、長く苦しい復旧、復興の茨の道が待っているのです。我々日本国民は、日本国政府を中心として、その復旧、復興支援を支援し続けていく必要があります。

もしその体制がとれないのなら――関東であろうが関西であろうがどこで大災害が起こっても、迅速な復旧、復興などできない、わが国はそんな情けない国なのだ、ということになってしまうでしょう。

我々は真に強靱な国家なのかそうでないのか――それはまさに、我々全員が傷ついた地域とその人々を、立ち直ることができるその日まで、支援し続けることができるか否かにかかっているのです。それはつまり我々国民一人一人は、真剣に日々を生きているのか否かを問われている――と言い換えてもいいのではないかと思います。

熊本、大分のために、未来の大災害のあらゆる被災地のために、そして、我が日本国家のために、わずかなりともわが国の強靱性が確保されん状況を創出するために、筆者もできる限りのことに従事いたしたいと思います。

PS この度4月14日に出版した「国土学」の思想と実践が、その出版の2日後に試されることになるとは、夢にも思いませんでした。私たちの国土を強靱なものとせんがために一体何が求められているのか――ご関心の方は是非、ご一読ください。
http://www.amazon.co.jp/dp/4779305004

ーーー発行者よりーーー

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かつて日本は「一億総中流」などと言われ、比較的、経済格差の少ない国だとされていた。その「一億総中流」の経済力によって、大きな経済成長を遂げてきた国だった。

しかし、それも「今は昔」。デフレが深刻化するとともに、経済格差の拡大が問題視されるようになっている。

三橋貴明はその原因を政府が「デフレを甘く見ていること」と「実質賃金を軽視していること」と指摘する。特に「実質賃金」は重要なキーワードであるという。

実質賃金とは物価変動の影響を除いた賃金のことだが、要するにモノやサービスを「買う力」を表している。

この実質賃金が、日本では1997年をピークに下がり続けているという。株価が上昇していたアベノミクス初期ですら、実質賃金(=買う力)は下がり続けていたのだ。

なぜ、日本国民の「買う力」は低下し続けているのか。また、この事実はデフレや格差拡大とどのように関係しているのか。

三橋貴明が、デフレの正体やその脱出法とともに詳しく解説する。

『月刊三橋』最新号
「日本経済格差拡大のカラクリ–実質賃金の軽視が招いた大災害」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

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【藤井聡】熊本・大分地震:徹底的に迅速な国家的支援をへの5件のコメント

  1. はっちゃん より

    私などは今まで地震などで家や家族を失ったり、避難所暮らしをしたことはありません。ですからそれがどれほど辛いものか、想像することしかできません。実際に遭ってみないとわからないこともあるでしょう。想像しただけで辛い気持ちになります。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。こういった時こそ、大きな力を持っている政府に被災地の方々を助けてあげて欲しい。そう思います。過疎地であったりすると平均年齢も高く、精神的にも体力的にも経済的にも自力で復興できる部分が厳しくなるのではないでしょうか?少なくとも被災された方々が前向きに復興に取り組めるよう、環境づくりを政府が思い切ってやってくれることを希望します。また、それをやってくれる政治家を支持することも、募金をしたりボランティアをしたりする程とは言いませんが、そんな風に私たちのできる復興に効果的なことの一つかもしれません。なぜなら、政治家や政府は復興を支援できる、個人の働きとは比べ物にならない大きな力を持っていると思うから。

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  2. 學天測 より

    国土強靭化という方針は、看板だけの見せかけスローガンであった、と言われても致し方ないと先生はおっしゃってますが、参与としてのご立場ですから言いたいことも言えないでしょう。だから私が言います。明らかに選挙で票を取る為のスローガンで有り、水島社長から全て騙されているだです。安倍総理は財務省の下僕であり、それ以上以下でもありません。先生には安倍総理が獅子身中の虫である事をとことん暴いていただければいいと思います。

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  3. 日本晴れ より

    >もしここで、その回復が遅々としか進まないのだとすれば、国土強靭化という方針は、看板だけの見せかけスローガンであった、と言われても致し方ない、ということになってしまいます。正に仰る通りだと思います。言われるほど進んでると思いませんしむしろなんか風化されてるように思います。国家の消滅より財政規律の方が大事だというキチガイと言っていい論理がまかり通るのは本当におかしいと思います。

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  4. penname より

    トップダウンではなく、知事・現地の要請により最大限・・・こんな視点も・・・

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  5. Jiggly puff より

    ショックドクトリン一発!!安倍政権断固指示や!! 藤井様! ありがとうございます!!

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