コラム

2017年5月1日

【三橋貴明】地域を分断するグローバリズム

From 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】
ナショナリストの脅威に立ち向かう愛国主義者??
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12268428651.html
フランスで「何」が起きているのか?
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12268769875.html

日本のマスコミは、相変わらず国民戦線のルペン党首を「極右」扱いしていますが、フランスの有権者の21.3%が投票した人物に、この手のレッテル(しかも、間違っている)を貼り続けるのはいかがなものでしょうか。

ところで、フランス大統領選挙は得票率24%のマクロン前経済相と、ルペン党首が決選投票に進んだのですが、フランス各地の投票状況を見ると、非常に興味深いことが分かります。

【仏大統領選挙で各候補が得票1位だった県】
http://www.asahi.com/articles/photo/AS20170426004791.html

フランス東北部、および南部の地方はルペン、それ以外の地方及びパリではマクロンが勝利したと、地域別にくっきりと「色分け」ができてしまっているのです。マクロン前経済相は、全体的に都市部で強く、人口が多い上位10市を見ると、元々国民戦線の地盤であったニース、マルセイユ以外では圧倒的に勝っています。

特に、パリではマクロン候補が得票率36%であるのに対し、ルペン候補はわずか5%。まさに、マクロン圧勝です。
イギリスのブレグジットと同様に、「地域間」「地域と都市部」と、複数の断層でフランス国民が分断されていることが分かります。

フランス東北部は、炭鉱業が衰退し、地盤沈下が著しい工業地帯です。いわば、フランス版「ラスト・ベルト」でございますが、この地域では逆にルペン党首が圧勝しました。

グローバリズムの問題は、モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動を自由化することで、国民を「所得階層別」で分断していくことです。同時に、地域毎にも分断されていくということが、イギリス、アメリカ、そしてフランスの事例から分かります。

特に、インフラが重点的に整備された都市部の有権者は、グローバリストを支援し、それ以外の地域は反グローバリズム的になるという傾向が、三カ国の事例から確認できます。

日本におけるグローバリズムは、東京一極集中を加速しています。東京都民の多くは、「日本のインフラは、もう十分だ」といった、間違った認識を持っており、グローバリズム的な政策を支持する傾向が強いのではないかと考えます。現在の日本において、「反・グローバリズム」の候補と、グローバリストの候補が「決選投票」に至った場合、やはり「都市部 対 地方」で、投票行動が分断されることになるでしょう。

日本の不幸は、世界屈指の自然災害大国で、東京一極が進み、「都市部」と「地方」で、国民の価値観が分断され、国民統合が薄れてきていることに加え、「反グローバリズム」かつナショナリズムに立脚する政党や政治家が皆無に近いことだと思うのです。

関連記事

コラム

【施 光恒】「外需依存という罠」

コラム

【施 光恒】「脱グローバル化」時代の秩序構想を!

コラム

【三橋貴明】イギリスのEU離脱の是非を問う国民投票

コラム

【佐藤健志】保守と新社会主義

コラム

【三橋貴明】EUの罪

【三橋貴明】地域を分断するグローバリズムへの4件のコメント

  1. daimon より

    三橋先生へ
    いつも勉強になります。

    日銀の逆路的な量的緩和について、公定歩合ルート(こう呼ばせてもらいます)の機能という目標設定についても、考えてみてはいかがでしょうか? 需要サイドで考えた場合、本来この段階で資本主義が機能不全に陥ったのでは?という判断なり何なりが出来たはずです。そしてケインズ。(2006年ですね。)

    本来、需要側の発想であれば、外的環境や災害等の影響を除けば、我が国のような先進国であれば、現在の逆路的な手法は、先生も仰るように、論理的には必要無いはずです。(現実の政治においては止むを得ない場合もあるでしょうが・・)

    ここも金融に対する勘違いを払拭するに役立つテーマかと思います。っていうか、ココが崩れると金融に関する指標の連動性も崩れますよね・・。あれ!?羅針盤変更同様に、狙ってたのかな・・・。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. まさに世界的規模でグローバリズムによる都市部と地方の格差の問題が出てきてるんやね。
    私は大阪やけど、いろんな意味で「地方化」してきてると思います。「都構想」はまだしつこく言うてはる人がおるけど、それだけは絶対やめてほしいわ。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. 反孫・フォード より

    >東京都民の多くは、「日本のインフラは、もう十分だ」といった、間違った認識

     なのに東京(や過密都市)の民間投資は減らず、地方は減り続けているのでしょうか。
    やはり民間の活力でとか総理が言っていたら格差は止まらないですよ、中央政府が人(や産業)の流動を操作し分散化の長期計画を立てないと。

    竹中が導入し菅が復活させたPB、安倍内閣の専売特許たる閣議決定で破棄する気がないなら、安倍総理は確実に竹中、菅に並ぶスパイです。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  4. 経世済民 より

    応援しています。
    水道自由化の可決はショックでしたが、財務大臣は推進派なのでしょうか?
    ならば、日本はこれから資本主義化が進むということでしょうか?
    前に三橋先生の何かの講義で「日本は世界で最も社会主義的な側面と資本主義的な側面の両立に成功した国である」とお聞きしました。
    これらの日本は、社会主義的な側面が少なくなるということでしょうか?

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】スラムに消えた情けない男の話

  2. 2

    2

    【三橋貴明】続 財務省が日本を滅ぼす

  3. 3

    3

    【藤井聡】「10%消費増税」が日本を滅ぼすメカニズム ~京都...

  4. 4

    4

    【三橋貴明】財務省主権国家

  5. 5

    5

    【島倉原】インドブームに思うこと

  6. 6

    6

    【佐藤健志】若者が政治に求めているのは「結果」だ

  7. 7

    7

    【上島嘉郎】〈朝日新聞、死ね〉はただの暴言か

  8. 8

    8

    【浅野久美】君のいない場所

  9. 9

    9

    【三橋貴明】三橋貴明の「人手不足解消合宿」

  10. 10

    10

    【三橋貴明】人手不足は利益拡大の絶好のチャンスだ!

MORE

累計ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】大阪都構想:知っていてほしい7つの事実

  2. 2

    2

    【藤井聡】「公明党・大阪市議団が日本を破壊する」というリスク...

  3. 3

    3

    【藤井聡】「橋下入閣」は、日本に巨大被害をもたらします。

  4. 4

    4

    【藤井聡】「日本が再び、被爆国となる」という、今そこに在る危...

  5. 5

    5

    【三橋貴明】人間の屑たち

最新記事

  1. アメリカ

    【佐藤健志】トランプ来日と横田基地

  2. 日本経済

    【藤井聡】「10%消費増税」が日本を滅ぼすメカニズム ...

  3. 日本経済

    【三橋貴明】人手不足は利益拡大の絶好のチャンスだ!

  4. 日本経済

    【三橋貴明】三橋貴明の「人手不足解消合宿」

  5. コラム

    【浅野久美】君のいない場所

  6. メディア

    【上島嘉郎】〈朝日新聞、死ね〉はただの暴言か

  7. 日本経済

    【島倉原】インドブームに思うこと

  8. 政治

    【佐藤健志】若者が政治に求めているのは「結果」だ

  9. 政治

    【藤井聡】スラムに消えた情けない男の話

  10. 日本経済

    【三橋貴明】共犯者育成プロパガンダ

MORE

タグクラウド