コラム

2017年1月16日

【三橋貴明】世界を正しく理解するために

From 三橋貴明

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【オススメ】

月刊三橋最新号
「2017年の世界と日本『政治的タブーの罠』を見破れ!」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

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 【今週のNewsピックアップ】
雇用の問題(後編)
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12237627521.html
不思議な不思議な、フィリップス曲線
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12237918047.html

世界を正しく理解する(大袈裟ですが)ためには、
具体的にかつ完璧に理解する必要があります。
さもなければ、例えば「経済学者」と
称する人たちに騙されることになります。

日本の雇用が改善している。具体的には、
有効求人倍率が上昇し、完全失業率が下がっている。
同時に、安倍政権、日本銀行が金融緩和を継続している。

上記、二つの「現象」を受け、頭の悪い方々は
「金融緩和の効果で、雇用が改善している」と
主張してくるのですが、それが事実であれば、
別にそれはそれでいいのです。

とはいえ、「金融緩和で、雇用改善」というのであれば、
「金融緩和」から「雇用改善」までのプロセス、
政策の波及経路を明示しなければなります。

ちなみに、「金融緩和で、デフレ脱却」という、
岩田規久男教授(現、日銀副総裁)のリフレ理論は、
「インフレ目標と量的緩和のコミットメントで、
期待インフレ率を高め、実質金利を引き下げ、
消費や投資という『需要』を拡大することで
デフレギャップを埋め、デフレ脱却する」
と、波及経路が一応、明示されていました。

現実には、上記の政策波及経路は最初の段階で
躓いてしまったわけですが、岩田教授のように
チャートを明確化して下されば、政策の効果に
ついてまだ検証できます。

「金融緩和で、雇用改善」のみでは、現在の
雇用環境の改善が本当に金融緩和の成果なのか
どうか、検証することが不可能なのです。

と書くと、経済学者や経済学に「かぶれた」連中は、
「あのね、フィリップス曲線というのがあってだね、
金融緩和によりインフレ率が上昇すれば、失業率が下がるの」
などと言ってくるわけですが、フィリップス曲線など
ブログ「新世紀のビッグブラザーへ」が始まった頃から、
何度もエントリーで取り上げております。

以前の日本のフィリップス曲線は、
確かに「美しい形」だったのですが、
最近、異変が生じています。
【日本のフィリップス曲線 95年−16年(単位:%)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_55.html#Philips

特に、2016年は失業率が95年以降で
最低になり、「同時に」インフレ率がマイナスに
落ち込んでいるわけで、明らかに異常です。

この手の異常な数値を見たときに、
「いや、フィリップス曲線は正しい。
間違っているのは現実の方だ」などと
やってくるのが、経済学なのです。

事実を事実としてきちんと受け止め、
「なぜだろうか?」と考えることで初めて、
経済学者に騙されずに、世界を正しく
理解することが可能になります。

というわけで、世界を正しく見るための知識、
スキル(コツ、と呼んでも良いですが)を
身に着けるための「三橋経済塾第六期」が、
1月22日に開講となります。

経済塾では毎月のわたくしの講義に加え、
ゲスト講師をお招きし、ご講演頂きます。

初回は、以前も書きましたが、完全なる理解を目指し
「経済」「お金」に関する知識を集中的に叩き込むため、
ゲスト講師はお招きしておりません。

2月以降は、講義の後半にゲスト講師に
ご講演頂くことになります。現時点で
決定しているゲスト講師の皆様は、以下の通りです。

第二回:ゲスト講師:竹村 公太郎氏(日本水フォーラム代表理事・事務局長)
「水力発電が日本を救う」
「日本史の謎は「地形」で解ける」など著作多数!
第三回:ゲスト講師:藤井 聡氏(京都大学大学院教授、内閣官房参与) 
第四回:ゲスト講師:青木 泰樹氏(京都大学レジリエンス実践ユニット・特任教授)
第五回:ゲスト講師:中野 剛志氏(評論家)
第六回:ゲスト講師:施 光恒氏(九州大学准教授)
第十回:ゲスト講師:柴山 桂太氏(京都大学大学院人間・環境学研究科准教授)

もちろん、講義当日に会場にお越し頂かなくても、
インターネットから受講、あるいはゲスト講師の講演を視聴できます。

三橋経済塾の入塾申込は、以下から可能です。
http://members6.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

何卒よろしくお願いいたします。

—発行者より—

【オススメ】

2016年は激動とも言える一年だった。

イギリスのEU離脱(ブレグジット)、
アメリカ大統領選挙のトランプ氏の勝利、
さらにはフランスやドイツでテロが多発した。

これから世界はどうなっていくのか。
その中で、日本はどう動くべきなのか。

三橋貴明が思考停止の世界と日本を目覚めさせる。

月刊三橋最新号
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【三橋貴明】世界を正しく理解するためにへの2件のコメント

  1. 學天則 より

    論外です、相手にするにしてもこれらは主張する高橋さんらが証明される事でしょう。私ならその場でまず目的に対して寄与しているかの証明を主張する側に要求します、それが一般論で前提の常識だからです。もう、人間の礼儀でしょうね。相手を舐めてるからこういうざっくりとしたええ加減な事を言う。相手が皇帝で間違えば処刑ならおいそれといいますかね?そういうレベルの人々だと言う事です、気をつけたほうがいい。高橋氏も悪気はないなら、もっと丁寧に主張されるべきですね。気付かない悪意ほど悪質な部類は無い。まともな論として主張すべきではない。実際、昔の中国では日食の日付けを誤った学者?が処刑されとか。悪魔の証明を要求する奴はマインドが腐ってるから警戒ですよ。推論なんて真実真理を見たい欲求というか良心的なマインドがあって初めて意味がある。だから数学での推論の前に前提の一般論たる真実があるのだろうと。三段論法を例におかしな推論を挙げれば鳥は飛ばなくなりますからねwペンギンは飛ばない(常識的な一般論より個別)ペンギンは鳥だ(常識的な一般論が後)だから鳥は飛べないこうでしょうwペンギンは鳥だ(常識的な一般論が先)ペンギンは飛ばない(個別の事)だからペンギンは飛べない鳥だ専門知識の前に基本が壊れた論外の奴が多すぎるんですよ。まあ一言で言えば馬鹿です。だって6・3・3・4の教育はどう見ても基本を主軸にやってるでしょうw16年かけても治らないのを馬鹿=ウソツキ以外なんと言うのか?誰か教えて下さいwそういうわけで現状につける薬は無いでしょう。いっぺん死んでもらうか、それと同等の状態に置かれるかです。だから中国の皇帝は処刑したのかもね。ガハハハハ!

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  2. 拓三 より

    現在、失業率=賃金上昇=インフレ上昇でフィリップス曲線が考えられてますが、マクロ的長期で考えれば正しいかもしれません。しか〜し! 国境を超えた自由貿易、人の移動がこれだけ活発な世界においてマクロ的長期の長期が長すぎる! 本来なら国境の壁があるからこそ、その壁に当たる事で力の行き先が上に上昇していく原理がフィリップス曲線の力学! な.な.なのに壁がなくなれば力の行き先は横に横に伸びるだけや!火山(国)と同じようにマグマ(力)が次から次へと噴き出す状態なら壁を壊す事も必要かもしれませんが(壊せば後が大変)そんな力のある火山は今何処にも御座いません。それを誤魔化すかの様に金融と言う液体をマグマに混ぜる事でマグマの量を嵩増し、流し続けているのが現状。本来ドロドロのマグマであれば火山近辺に大量に止まるのですが必要以上の金融と言う混ぜ物でマグマをシャバシャバに薄めた結果、横に伸びるスピードが上がり残念ながら火山近辺には殆んど止まらないのが今の現状で御座います。

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