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2015年9月28日

【三橋貴明】貨幣の定義を教えて下さい!

From 三橋貴明 http://keieikagakupub.com/38news/

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安倍総理が13年5月に国会答弁で「デフレとは貨幣現象です」と発言した頃から、わたくしはしつこく、

「デフレは貨幣現象ではない。総需要の不足である」

と、繰り返してきました。読者の皆様の中には、

「何を細かいことを・・・」

と、思われた方も少なくないでしょうが、この「定義の違い」は決定的に重要なのです。

わたくしは未だに「デフレは貨幣現象」の「貨幣」の定義を聞いたことがありません。マネタリーベースなのですか? マネーストックなのですか? それとも、モノやサービスの購入に使われたマネーなのですか?

「モノやサービスの購入に使われたマネー」が「貨幣」の定義ならば、要するに総需要が不足する現象ということになりますので、わたくしと言っていることが「同じ」という話になります。

ところが、「デフレは貨幣現象」と語る人は、誰一人として「貨幣」の定義を明らかにしません。

いや、厳密には一人、わたくしの前で「貨幣」の定義を明言した方がいらっしゃいます。岩田規久男教授、つまりは現在の日銀副総裁その人です。
岩田教授(当時)は、ある会合でわたくしに「貨幣の定義はマネタリーベースです」と、断言したのです。

わたくしは聞き違えたのかと思い、
「マネタリーベースですか? マネーストックではなく」
と、確認したのですが、岩田教授は「マネタリーベースです」と断言しました。つまり、岩田教授は「マネタリーベースを増やせば、デフレから脱却できる」と明言したのです。

マネタリーベースが「デフレは貨幣現象」の「貨幣」の定義ということは、全ては「日銀の問題」という話になります。実際、第二次安倍政権が発足し、黒田日銀がスタートして以降、日本銀行は岩田教授の提言のままに、マネタリーベースを恐るべき勢いで増やしていきました。

2013年4月のマネタリーベースの額は、およそ150兆円でした。それが直近の15年8月には、327兆円にまで膨張しています。二年強で、日本銀行は180兆円近くもマネタリーベースを増やしたのです。

結果、インフレ率(コアCPI)は? マイナス0.1%でした。
「デフレは貨幣現象」ではなかったのですか? GDPの三割以上もの日本円を新たに発行したにも関わらず、デフレ脱却できないのはなぜですか?

答えは、簡単です。インフレ率の定義が「モノやサービスの価格の変動」を意味しているためです。日本銀行がどれだけ莫大な日本円を「日銀当座預金」に積み上げても、モノやサービスが買われなければ、インフレ率は上がりません。日銀がおカネを発行する際に買い取っているのは、国債であり、モノでもサービスでもありません。そして、モノやサービスの購入、すなわち消費と投資の合計こそが「総需要」なのです。デフレとは、総需要の不足という現象です(しつこいですが)。

「日銀の日本円発行」と「総需要の創出」の間を、岩田教授らは「期待インフレ率」や「コミットメント」という定性的な論理で埋めようとしました。

結果は、どうでした?

「政府が消費税を増税したせいで、デフレ脱却が遠のいたのだ」
はい、その通りです。

ということは、デフレは「総需要の不足」という話ですね。何しろ、消費税増税は「総需要縮小策」という財政の政策であり、金融引き締めではないのです。

日本銀行が金融緩和を継続し、マネタリーベースを約180兆円も拡大したにも関わらず、政府が消費税増税や介護報酬削減などの緊縮財政という「負の財政政策」を実施した結果、我が国はデフレ脱却できませんでした。

問題は金融政策ではなく、財政政策なのです。

安倍政権が「財政の【十分な】拡大」という総需要拡大策に転じない限り、我が国が今年度、再デフレ化することは確定したと思います。アベノミクスは、終わりました。

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●マスコミが語ることができない亡国への道

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「なぜ地方議員は党執行部に逆らえないのか?」
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【三橋貴明】貨幣の定義を教えて下さい!への3件のコメント

  1. ななし より

     介護報酬削減が一番意味解んない政策でしたね。介護業界は政府と役所の「仕事やってますアピール」のダシに使われてズタボロになってます。 他人のシモの世話までして、給料は深夜のコンビニ以下。従事者が減るのも当然です。 票田(高齢者)の機嫌取ってくと、緊縮財政になりがちなのかも知れません。彼らは資産と年金で暮らしてるから、物価を上げたくないんでしょう。 議員が財務省の御用を聞く⇒マスコミに緊縮財政賛成の空気を作らせる⇒民意が緊縮財政に傾く⇒民意を汲んで緊縮財政っていうシナリオなんでしょう? 我が国のみならず、世界中がこのシナリオに巻き込まれている。世界中で同じ様な財政を掲げてるなんて異常です。 そして、高齢化の激しい国程、このシナリオが上手く動くんでしょう。ウチの親も一日中テレビ見てますからね。政治談議すると必ず喧嘩になります。三橋先生の御本も読ませてみましたが、何と言うかもう理屈が通じない段階になっているのかも知れません。 「誰かが得するのが許せない」人が増えすぎている気がします。誰かが得してるんじゃなくて、自分たちが貧しくなってるだけなのに。パイの分け方にケチつけるばっかりで、パイを増やそうという議論が出来ない。 希望の持てる世の中にしていきたいですね。

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  2. robin より

    財政出動、公共投資を頑なにしたくないらしい安倍政権は教育投資についてどう考えているんだろう。世代間を超えて引き継がれるのが投資で即時結果が分かるのが投機とかギャンブルかな。この即効性が無いものには価値が無いと信じてる人が多いのか。株価先行の経済って投機が動機の経済では。確実にリターンのある教育投資なんて無いから一部エリートにしか教育投機は行われない社会になるのでは。平等とか自由とか世界平和なんて実現不可能な理念を前提にすると最初から打てる具体的手段を狭める結果になると思う。

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  3. ぬこ より

    捻くれた観方をすると、彼らがした事は、結果、ウォール害へギャンブルの種銭をばら撒いた事になりますよね。それが本意か不本意か知りませんが….(笑)企業に需要が無い中、低金利マネーを借りる人と言ったら、投機屋位ですもんね。もっと日本の大企業や金融機関の株主構造が、バブル崩壊のデフレ経済下でどう変遷していったのか、読み解かないと判りませんよね。以前、本屋で、ベンジャミン・フルフォードさんの「図解 世界を牛耳る巨大企業 」を読みました。あれって普通に欧米人が酒場とかで語っている事なんですが、日本では何故か陰謀論になるんですよね(笑)。欧米亜の王族が色々と関与しているらしいですけど、現代って巧みに資本主義だ民主主義だと装ってますけど、株主経営と言う名の建前で、昔ながらの大資本家や王族が庶民を金融奴隷にしているだけなのではないでしょうか?隠し方が巧みになっているだけなんだと思います。なんか共産党的な考えを持って居る自分がおります(笑)。

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