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2015年8月28日

【上島嘉郎】命より重い価値は存在しないのか

From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)

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●●自虐史観はなぜ作られたのか、、、
月刊三橋の今月号のテーマは、「大東亜戦争の研究〜教科書が教えないリアルな歴史」です。
http://youtu.be/cx6gcrylFvc

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戦後70年目の夏も過ぎようとしています。
この季節、テレビでは毎年のように「終戦記念」と銘打って、大東亜戦争の時代に材をとったドキュメンタリーや大型ドラマが放送されます。
今年も、TBS『レッドクロス〜女たちの赤紙〜』、テレビ朝日『妻と飛んだ特攻兵』等がありました。

個々のドラマの詳細には触れませんが、全体として感じたのは「戦争=悪」「戦争=愚行」という単純化された枠の中で、戦争と人間の姿を描く薄っぺらさでした。

今日的な価値観、人権観、生命観をもって“あの時代の日本人”を描くこと、あの時代を生きた同胞の価値観を理解し苦悩に寄り添おうとするのではなく、逆に今日的な価値観に一方的に引きつけて描くことに何の抵抗感も、恐れもないのだとしたら、私はそこに後世の平和な時代の高みに立った者の驕りを感じざるを得ません。

たとえば、明治生まれの歴史作家山岡荘八の次のような記述を、平成に生きる日本人はどのように感じるでしょうか。

昭和20年4月6日、戦艦大和以下の第一遊撃部隊が沖縄特攻に出撃します。

〈大和の前檣(ぜんしょう)に旗旒(きりゅう)信号があがった。
「各隊、予定順序に出港。針路百二十度」

ふしぎな国にうまれた、ふしぎな戦士たちの死への行進は開始された。世界の常識からすれば途方もない暴挙である。彼らには「生きる」ということは、つねに横の系列の中での自分しかあり得ない。

ところが、東洋に、世界一の戦艦を造りあげたこの日本国では、生命は横の系列ではなくて、永遠に続く縦の流れなのだ。自分の死によって滅することはない。死は往生、すなわち子孫のために生きることなのだとする、きびしい哲学を持っている。

したがって、死におもむくからと云って、残り少ないわずかの生に恋々と拘泥していることは許されない生死一如、どのように勝率のない戦でも、最後の一瞬まで全力を尽くしてゆく。〉(『小説太平洋戦争』)

大和が辿り着けなかった沖縄では、第32軍による血みどろの守備戦が展開されていました。

〈温厚をもって聞こえた牛島軍司令官が、
「――わが将兵には進死あるのみ! 断じて退生あるべからず!」
と云い切っている。これは沖縄全体のおかれた運命を考えれば、どこまでもきびしく正確な真実であった。(略)

「――どんなことをしても生き残って……」
などという自分中心の生き方の肯定は、ずっと後の占領政策の影響によるもので、当時の軍隊内の常識ではなかった。

日本人の生存本能は、自分を生命永遠の流れの中におくからだ。
この日本的な生命観が、実はアメリカにとっては最もおそろしい敵であった。〉(同)

「日本的な生命観」の発現は、何も軍人に限ったことではでありませんでした。

たとえば「成東駅員殉難」の話。

昭和20年8月13日、千葉県九十九里の成東町で起きた軍の火薬貨車の爆発――。
早朝から米軍機の機銃掃射を受け発火した貨車を、被害を最小限に食い止めるべく、身を挺して移動しようとした人々がいました。駅員15人、将兵27人で、彼らは避難しようと思えば避難できたものを、町民や旅客のために必死で消火活動を続け、貨車を動かしたのです。

被弾後18分、山かげまで来たとき、火薬満載の貨車は大爆発し、42人全員が散りました。このとき長谷川治三郎駅長は、貨車ホームで陣頭指揮していた位置で、胴体だけが転がっていたといいます。戸田義保助役は、駅長事務室の前で頭の骨を折ってうつ伏せに倒れ、出札係の橋本とし子、駅手の田谷歌子ら女子職員は駅前広場まで吹き飛ばされていたそうです。

この出来事を刻んだ石碑が、今もJR成東駅頭に「礎」として建っているはずです。平和の立ち返るわずか2日前に命を投げ出した人々の享年は、私を愕然とさせます。

転轍係・関谷昇18歳、同伊藤昭37歳、連結手・市東隆夫16歳、駅手・原俊夫14歳、同京相静枝18歳、同田谷歌子15歳、出札係・橋本とし子18歳……。

敗戦間近、男子駅員はそのほとんどが戦場へ行き、駅務は女子供が担っていました。いたいけな少年少女に一触即発の貨車の移動を命じたとは、それこそ恐ろしい、狂った時代の軍国主義の発露で残酷極まりない、と今日の反戦運動家や平和教育者は非難するのでしょう。

だが、果たしてそうか――。
生き残った一人は当時を回想して、「強制や命令なんかじゃない。みんな、子供心に、それが仕事だ、役目だと直感したからなのでした」と語っています。

もちろん、この言葉がすべてではない。「誰しも命が惜しい」と思うのは当然です。しかし、その当然のささやきに抗えるのが、人間のもう一面の真実ではないでしょうか。

「人は何かのために、誰かのために、命を投げ出すことができる」

成東町の悲劇は、戦争の悲惨さとともに、人間の崇高さも伝えている。醜悪さや狡さ、残酷さを持つ人間の、しかし、決してそれだけではない人間存在の真実です。

戦後の日本はこうした“日本人の命懸けの物語”を危険視し、封じ込めたり削り取ったりし続けてきたと思います。

何でもタカをくくって、恋愛も友情も、しょせんは打算の関係にすぎず、他人のために尽くす人間がいれば、そこには密かな計算があるはずだと疑う。

美談があれば必ず裏に何かあり、お金や利権のために動いたと言えば本当らしいと説得力を持つ。そうやって人間の足を引っ張って、それこそが偽善を排した進歩的な、個人の自由意思を尊重した人間観なのだと、冷めた目で見続けてきたのではないか。

人間はそんなものじゃない。たとえ綺麗事と言われようとも、それを押し通す力がある。押し通せば、それは綺麗事ではなく真実となる。
一人の英雄によって記憶される物語ではなく、“普通”の日本人がどう生きたのかに想いを馳せる。

70年前の特攻隊の若者たちも、成東の少年少女たちも、所詮は「犬死」だったのか。人として生き残ること、ただ生存することを超える価値は存在しないのか。

そして、こうした民族の生命観、それを抱いて生き抜いた人々の記憶は、果たして恥ずべき、忌むべきものなのか――。

**** メルマガ発行者よりおすすめ ****

●自虐史観の始まりはGHQの・・・?
●大東亜戦争という名称が消えた理由とは・・・?

答えはこちら
http://youtu.be/cx6gcrylFvc

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【上島嘉郎】命より重い価値は存在しないのかへの31件のコメント

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  2. ねこ より

    先も書きました通り、>上島さんの記事の論調に、「今の若者も、自分を主張せず、先の戦争で日本のために従容と死んだ犠牲者を見習え!」という空気を感じ、反発したのが、主旨です。私のコメントにかき込まれたのでお返事いたしましたが、そもそも、メイさんのコメントを批判をする意は全く!ありませんでしたので、どうか誤解なきよう、ご理解ください。

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  3. ねこ より

    いえ、スリルを楽しみましたけどもね。若さって、怖いもの知らずでおバカですから。後から思い起こして、ゾッとする、と。成東駅で死んだ若者たちも、その場は勢いで軍人たちの言われるまま行動し恐怖も感じることなく亡くなったと思いますが、もし生き残ったら、後からゾッとしたとおもいます。ですから、経験の浅い若者には、真の危険は、年配者、経験者が、教えてあげれるのが理想だと思います、、、が、今の日本は、第一次産業の肉体労働者が大勢いたかつての日本より、肉体的危険を経験した思慮深い大人が、少なすぎ、危険に対して、軽過ぎ、無思慮すぎる気がします。そして、今の大人の中には、自分が経験していない分、妙にマッチョや危険な状況での英雄的行動に憧れ、無定見に賞賛したり(『永遠の0』なんてまさにそうーー;)、さらに酷い場合、自分は安全域にいながら若者を危険にけしかける、はた迷惑な人がいるように思います。そういう人は本当の冒険者ではないですね、本当の冒険者は、若いうちに自ら冒険に飛び込んで、淘汰されるか^^;自分や人間の限界を知って謙虚に賢くなっているものですから。江戸の昔から、江戸っ子は無鉄砲でケンカ早い、と言われるのは、江戸の町の人は農村よりも、自然を相手にした肉体労働が少なく、安全が保障されヒマだったからだと思います。これは杉浦日向子さんの著書参照です。それでは、ありがとうございました、ごきげんよう。

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  4. メイ より

     大丈夫よ。 私も文章が上手な方ではないので、何か誤解をさせてしまったかもしれませんね。ネット上では、特に言葉に気を付けなくてはなりませんよね? 昨今、「白と黒のうち、どちらなのか?」みたいな単純化した議論が多く見受けられる気がします。「私はピンクだと思う」「緑だと思う」と、様々な意見を「聞いてみよう」という、余裕のある空気が高まれば良いように思っているのです。 ねこさんを否定した訳では決してありません。 そうではなく、最近「政権批判は、左翼の証拠」みたいな、非常に単純化した見方をしている方々を残念に思っているのです。日本が「民主主義」を取っている以上、健全な形で権力を監視・批判する事は必要と思います。ですが右派が、左派をあまりに否定して、政権批判を極端に封じようとすれば、今度は、全体主義的な独裁政権を作ってしまうかもしれません。どちらにしろ、あまり極端に振れる事は、好ましくない、と考えております。 あと、あの文章は、質問ではなく、このエントリーがどういう種類のものか、カテゴリーとして分けてみた、にすぎません。もう一度お読み下さったら、判って頂けると存じます。 ねこさんは、身に迫る危険を経験された事がおありなのですね。詳しくは判りませんが、恐くてお辛い事だったでしょうね・・。そんな記憶が、どうか癒されますように。 

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  6. ねこ より

    あと、「あなたがやむを得ず戦争に行くことになって、死んだら、手厚く祭ってあげるのと、無視と、どちらがいいか?」というご質問ですが、私にはほぼ非現実的な仮定なのでよいですが、(また、完全な個人的会話ならいいですが、このような不特定多数に公開されている場合、)真剣に自分自身が派兵される危機感を持って声を挙げている若者が大勢いる今、あまりに想像力の欠如した、他人事すぎる、無邪気に無神経過ぎる質問だと、私には思われるのですが。。「死んでからなんかどっちでもいいわい、自分や仲間たちが不用意に戦争に巻き込まれないように、今、真剣に考えて頑張っているのや!」今の日本はそれぐらい、切実で微妙な問題だと思います。

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  7. ねこ より

    今の若者の一部?は、自分たちが大人たちのために戦争に行かされて、理不尽な殺しあいを不本意ながらさせられるかもしれない、という恐怖をどこか共有している面がある、と推察しております。国会前に集まる若者たちからは、安倍総理への反感といい、まさにその切実な危機感が感じられます。「進撃の巨人」という漫画(私は愚にもつかない幼稚な作品に思えますが(^^;)の大ヒットからも、それがうかがえると思います。そのような緊張した状況下で、上島さんのこの殉死者礼賛記事と、それに加え、おそらく兵役年齢を過ぎた年配者がそれに手放しに賛同するようすは、若者に断絶感を与え、ますます不安感を煽ることとなるのではないでしょうか?今の若者に対して、あまりに無慈悲で無神経だと思われます。彼らの不安感を理解し、理性的で正確な情報を共有することが、今、大切な大人の役割だと思います。その点からも、安倍さんは最っ低ですね(^.^;

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  8. ねこ より

    メイさんと私の考え方はおおむね似ているようです。ほぼ賛同いたします。ただ、私は、肉体的危険を実経験、間近で見聞する立場であったので、成東駅事件の犠牲者に実感を持って状況を想像でき、より共感するのだと思います。私が犠牲者の立場なれば、一生不具にされて殺された事に対して、感動されて嬉しい、よりも、傷つけられた自分の身体、命、未来を希望を返してくれ、責任者出て来い(*`Д_)、となるでしょう。天災ではない、戦争は完璧に人災、指導者によって避け得た暴力なのですから。犠牲者の恨みつらみ、痛みを想像できますので、犠牲者の魂を慰撫する気持ちは、もちろんありますが、危険を経験して、無事にくぐり抜けた人は、そんなことより、再び犠牲者が出ないよう、後生の若者のことを第一に考えるように思います。上島さんの論調に、「今の若者も、自分を主張せず、先の戦争で日本のために従容と死んだ犠牲者を見習え!」という空気を感じ、反発したわけです。今まさに、国会と若者の主張がぶつかり、緊迫した時期ですから。気になるのは、上島さんは、犠牲者を手放しに褒めたたえていられますが、ご自身は、このような犠牲になってもよいのでしょうか?本当に?彼らの肉体的痛みも恐怖も、ご自分は覚悟されているのでしょうか?・・・そうでないのなら、大人として、少々無責任で思慮の浅い論調であるように思われます。私が知るのは、彼らに比べると取るに足らない痛みや恐怖ですが、成東駅事件犠牲者のような境遇になるのは、真っ平ゴメンですね。

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  10. メイ より

     東城駅事件、ではなく城東駅事件、と書いておられて、これは本文にあった、成東駅員殉難、の事ですね?色々、読み違え過ぎました。注意力散漫になっていてダメですね(苦笑)。ねこさん、すみません。

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  11. メイ より

     間違って、途中で投稿しちゃった・・。何度もごめんなさい・・。   過度な「日本賞賛」も、何か違いますよね。 「長所」も「問題点も」も、どちらも理解する事が必要なのではないかしら。更に当時の世情、欧米の有色人種に対する感性、宗教観、アジアの国々がどうなったのか、など、国を取り巻く環境も合わせ、考える事が、必要な気がするのです。 私は、安倍首相はとてもじゃないけれど支持できませんし、今の安保法案も、絶対に反対です。自衛隊員を、訳の判らない、変な任務に就かせ、危険にさらす事は、間違っていると思います。自衛隊には献身的に活動して下さる方が多いからこそ、指揮する側が慎重になってほしいです。自衛隊員の命を軽んじているんじゃないかと疑ってしまいます。 ですが、今回のエントリーの内容は、政治の分析では無いですし、何と言ったら良いか・・・。 例えば、本当にあくまで例えばの、仮のお話しですが・・・。 ねこさんが、やむを得ず兵士として戦争に行かれたとしまして(女の子だったらごめんなさい!)、勇敢に戦ってすごく傷ついてしまったとします。その背景にある、世界情勢や日本のまずかった点は、それはそれとして分析が必要でしょうね? でも、それとは別に勇敢に、懸命に戦って下さった個人であるねこさんを、心配したり、なぐさめたり、賞賛する事はしてはいけないとなると、人間の心を無くすしか無い気がします。 戦争の犠牲を減らし、防ぐにはどうしたら良いかを考える事と、個人個人の心境や覚悟に思いを馳せる事。このエントリーの内容は後半部分にあたりますね。兵隊さん個人を悼む事は、戦争を全面的に肯定する事では無いように思うのです。 それが、若い方を戦争に向かわせる事になるのかどうか、正直、判らないのですけれど・・。 これらは、私の考えですから、ねこさんにはねこさんのお考えがおありでしょうし、人それぞれ細かい点は違っていても良いと思っております。 今後、期せずして戦争になってしまった時に、国が、男性が、女性や子供を守れないかもしれない、となったら、自分を守るため、何とかしなければ、とも思ったりします。何とか、といっても、何ともならないでしょうけれど。 もし、ねこさんが、このコメントをご覧になっていて、ご面倒でなければ、東城駅事件とはどういうものなのか、判らなかったので、教えて頂く事は、できますでしょうか。ご多忙と存じますので、ご無理はなさらないで下さいね? 

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  12. メイ より

    ねこさん 「日本」を忌み嫌う事で、戦争を回避する事は、個人的な考えなのですが、できないのではないかと思います。 何かを理解するには、良い面と、反省点、両方必要に思うのです。だから、私、ねこさんの仰る事、全く否定しません。 総合的に観ようとする事で、より現実に近い事が見えるのではないかと・・。だから、「美化である」として、もう一方を観ようとしなければ、いつまでも片面しか見えない、そういう事ってないかな・・。

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  13. ねこ より

    城東駅事件の安易な賞賛は、今の若者に、彼らの英雄的行動を見習え!という、無言の強制的空気の形成につながると思います。たとえメイさんが意図しなくても。

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  14. ねこ より

    ちなみに、Only the Good Die Young 若死にするのは善人だけ、は、ビリー・ジョエルのヒット曲で、正確な情報ももらわずに良い子のまま死ぬな、という歌詞です。若い人たちに、私もそう望みます。

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  15. ねこ より

    わかっています。しかしその感動で、城東駅事件のように、善意の同胞を大量に犠牲にした、2-3世代前の日本人社会の無能と罪を、ゴマかしてはいけない、と思います。「若死にするのは善人だけ」、どうやら古今東西、共通することのようですが、元記事のような、仲間の凄惨な事件から発すべき教訓は、感動よりも反省ではないでしょうか。よって、上島さんの記事のスタンスには、同意しかねます。

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  16. メイ より

     あと、ねこさんが私に聞いて下さった、「江戸幕府と、明治政府はどちらがリーダーとして賢明であったか」、についてですが、私などが偉そうに論評する事は憚られるのですが、こっそり内心を申しますと、江戸幕府を倒す必要は無かったのではないかな、と考えております。情報力もあって、世界の情勢を的確に掴んでいたと思いますし、平和が長かったとはいえ、軍事知識の蓄積もあったでしょうから。 でも、失われてしまったのです。革命がおきると、大切なものをたくさん失って、後になってその事に気づくのでしょうね。

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  17. メイ より

     長くなってしまい、とても恐縮なのですが、すみません、続きを書かせて下さいね。 ねこさんが、戦争で傷ついた方々の痛みを、具体的にありありと想像され、若い方を「そのような目に合わせたくない」というお気持ち、とても良く理解できます。私も、ねこさんと同じ気持ちなのです。 戦争がしたい、という人は実際には、なかなかいらっしゃらないと思います。それはきっと、殆どの方が同じではないでしょうか。 ただ、その平和を維持する「方法」について、皆がそれぞれに、考えが違う、に過ぎないのではないでしょうか。 自国をどのように守るのかも、やはり考えざるを得ないように思います。自分が望まなくても、外国からの干渉はあり得ますし・・。ですが、現政権の安保法案は反対です。 先の戦争に関してですが、個人的には、私たちの為に命を懸けて下さった先人を、戦争だったからという理由で忌避され感謝もされないとなると、あまりにも非人情な感じで可哀想で、ご先祖様達がが浮かばれないように感じてしまうのです。だって、自分たちに繋がる家族と言える、両親や祖父の事であり、自分と関係ない他人の事ではないですから、難しい時代を生きる事を余儀なくされた世代の苦しみも努力も大きな愛情も、汲み取って理解したい、というのが、子供や孫の自然の感情ではないかな、と思うのです。当時の日本人の非常な苦しみを感じられて、貴方の死は決して無駄では無かった、意味があった、ありがとう・・と伝えたいと思ってしまう。でも、この辺りは、個人的な「感じ方」でしょうから、何が正解、という事ではないかもしれません。 普段、多くの人は、自分自身の為に生きているのかもしれません。神様が個体を生かすために与えた、自己保存本能なのでしょう。それは、無ければいけないですよね。自分を大切にするのは必要な事ですし、この世の現実を生きていくためには、「自分大事」の気持ちを完全に消し去っては、生きていく事ができないですから。 でも、咄嗟に、我を忘れて人を助けるために、自分の身の安全を忘れてしまう事が、人間には起こり得る。そういった話を聞くと、心打たれてしまうのは、理屈を超えていて・・仕方のない事なのだと、判って頂きたいのです。   

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  18. メイ より

     お返事下さってありがとうございます。 もしかして、いくつか行き違いがあるような気が致しますので、まずそれをお書きしますね。 私の、ねこさんへのコメント(9月4日)は、9月3日の分を拝見してお書きしたものです。その時には9月4日AM9:50以降のコメントはコメ欄に反映されておりませんでしたから。ねこさんの9月3日のコメントの方に「過去には過去のいやらしさがあった」と書かれておられまして、その「過去」というのがいつをさしているのか読み取る事ができなかったものですから、仮に江戸時代を例にしてみた、という事なのです。「過去」の問題点?としまして、「貧しさ」以外にもいくつか挙げておられましたが、コメントとしては長くなり過ぎてしまいますので、「貧しさ」の部分にフォーカスしてみたのですが・・まずかったでしょうか。 過去のどんな事象も、「良いか」「悪いか」、〇か_かと断定してしまうには、人によっても地域によっても色々な見方がありますでしょうし、複雑で多面的なものであると感じておりますが、学校の勉強や、今のメディアによる情報などでは、ねこさんのように捉えるのは、むしろ当然で自然だと思います。 でも、今日、残りのコメントと私へ下さったお返事が反映されておりましたので、「過去」というのは、先の大戦の事のようだな、と判りました。 8月31日に書きました、私のコメントですが、戦争とか、時代とかいうよりも、日本人のメンタリティや、言語から受ける影響や、文化的な事を、柄にもなく考えてみたくて書いたものなのですが、もしかすると、ねこさんは、それをお読みになって、「美化」とお感じになったのかもしれないと思い、僭越ながらコメントをさせて頂いたのです。 眠いので、続きはまた明日お書きしますね。 それでは・・。

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  19. ねこ より

    私は詳しくありませんが、江戸の町を戦火に巻き込まないよう、無血開城を判断した江戸政府と、東京大空襲など、大都市を灰塵に紛し国民に甚大な被害をもたらすまで降伏しなかった大日本帝国政府と、その判断の違いはどこからきたのか?どちらが、チーム(国)のリーダーとして、賢明で優秀であったか?真面目に一考に値することではないでしょうか。

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  20. ねこ より

    凄惨な城東駅事件を生んだ70年前の日本人社会と、長期の平和を謳歌した300年前の江戸元禄文化を、同列に論じるのは、論旨のすり替えに近いのではないでしょうか。2つを同時に論じるならば、長期平和と繁栄を実現した江戸政府と、悲惨な敗戦を喫した大日本帝国政府の、それぞれの政策の成果と責任の所在比較、という視点から論じるべきではないでしょうか。

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  21. メイ より

     ねこさんの仰る事、判ります。その通りだと思いますよ。 歴史も、国民性も、多面的なものですものね? 褒められない面や、残念な歴史もある事でしょうね。人間だもの。 歴史、といっても、日本は長いから、どのあたりの時期を想定するかにも、よると思いますが、例えば江戸時代に入って生活が安定してくると、税負担が減って、庶民も貯金ができる人が出てきた、ともいいますし、時代劇なんかを観ていると、庶民でも簪などのアクセサリーを楽しんでいたり、観劇したり、お花見をしたり、花火を観たり、地方の農民でも短歌や俳句を嗜んでいたりと、同時代の外国と比べると、色々恵まれていたような印象もあるなあ。 人にもよるでしょうけれど、日本人にとって幸せを感じるのは、欧米的な「個」を意識した、少し孤独な生き方よりも、本当は、仲間と共に生きる事のように思うのです。一方で、押しの弱さや曖昧さなどが、外交等の場面では弱点になってしまうかもしれませんね。 難しい時代を乗り切るため、そのあたりは考えるべき課題でしょうか。 

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  22. ねこ より

    心身に、取り返しのつかない傷を負うくらいなら、そのような危険は経験しないほうがよい、という持論です。イケイケのアメリカ人とは違いますね。危険を経験したことのないど素人(例:安)や、経験しても肉体的には無傷でも恐怖で精神的に歪んでしまった人(例:米)が、無責任なヒーロー願望もしくは無意識の悪意的に、無垢で無知な素人や若者をおだてて危険に向かわせると、観察しております。

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  23. ねこ より

    技術や経験なしで、無知な素人が危険な業務につかされるとどうなるか。怪我でリタイアするか(上記例はその最悪のパターンでしょう、全員死亡リタイアという)、恐怖で人格崩壊して精神的にまたは倫理観がおかしくなります。私の観察では、ほぼ大部分の人がそうなります。平常心を保って心身とも全うに乗り越えられるのは、2〜5%程度でしょう。9割以上の人は、精神的もしくは肉体的に、駄目になる方に所属している可能性のほうが高い、と思います。駄目になった人をおとしめるつもりはなく、私も悼む気持ち、再起を応援する気持ちはありますが、表ルールで全うな人と比べると、駄目な状態の人はやはり負けです。そのような社会は、やはり負けるでしょう。ですから、危険な事は、極力、自分の意志で自由参加であるべきだと思います。経験のない若者に危険を押し付けたその頃の日本人社会を、賞賛する気には全然なれません。

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  24. ねこ より

    はじめまして。一旦、自我に目覚めたら、目覚める前に戻ることはできません。そして私は、目覚めないより目覚めたほうが断然よい、という立場です。過去には過去のいやらしさはあった、隣近所の相互監視の窮屈さ、あからさまな身分や性差別、狭い不自由な世間での嫉みいじめ、今より圧倒的な貧しさ。いやなことは忘れる、というのは、一般的で健全な精神行為だと思いますが、安易な過去の日本イメージの美化は、ほとんど間違いで、大衆に対する偽誘導だと思います。

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  25. メイ より

     「永遠に続く縦の流れ」。 この言葉をお読みして、「君が代」を連想しました。 日本国歌には、色々な解釈やご意見があるようなのですが、私は、好きです。自分個人の事ではない、子や孫、同胞を含めた皇国の末永い存続と幸福を祈っている歌で、エゴイズムの入る余地が無く、本当に日本的だな、と感じます。 欧米人に比べると、自我意識が淡いというか、自他の区別をあまりはっきりさせない面を持っている日本人らしさが、国歌に表れているような気が致します。  10年位前になると思いますが、TVで「鉄腕アトムの最終回をアメリカ人にみせたらどう感じるのか?」という内容をやっていて、アメリカの数か所で、テレビ局の人がDVDか何かをお見せしながら、感想を聞いていました。最終回は確か、アトムが地球を救うため核爆弾を抱いたまま太陽に突っ込んで行く、でした。 結果を聞くまで、私はこう思っていたのです。「アメリカは、キリスト教の国だから、キリスト教の主な教義の一つは、自己犠牲の愛、だと思うので、アトムがキリスト的な自己犠牲を見せた事に共感されるのではないかしら」。 でも、意外でしたがあまり共感は得られず、「日本のヒーローはすぐ死んでしまう」というようなコメントがいくつかあって、残念に思いました。 当時の世相もあるかも知れませんが、アメリカの人が求めるのは、絶対に死なない、負けない無敵のヒーローなのかもしれませんね。 アトムの最期は、悲劇的ですけれど、アトム本人も、哀しんでいる皆も、全て日本的でした。 日本人が身の内に持っていると思われる、己を滅するような心性は、自己主張の強いアメリカ人とは、恐らく、対照的と言えるかもしれませんね。言語にもその違いが表れているように思います。 ご先祖様がしてくれたように、私たちが子孫を守るにはどうしたらよいのか、難しい事ですが、考えなくてはいけないと思わされました。  

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  26. 拓三 より

    仰る通りで御座います。ただ、今の日本国民はまだまだ縦の流れを大切に思う気持ちはあります。それを痛感したのが消費税増税、大阪都構想、緊縮財政であります。この20年、どれだけの犠牲者(自殺者)が出、どれだけの貧困層が増えどれだけ国民の心が荒んだ事でしょうか。それでも国民は『将来の子孫の為』と言う言葉を信じ我慢しているのです。他国で『将来の子孫の為』という言葉で20年どころか2〜3年我慢するのが関の山で御座いましょう。私はこの日本人が大切に思う縦の流れを利用し、日本人を操る奴らを許す事は出来ません。計算高い人間は計算高い人間を食い物にしますが計算高い人間は真っ当な人間を目の前にすれば己の小ささを感じ黙ってしまうものです。(経験ずみ、反省)上島氏をはじめこちらの先生方の様な真っ当な人間が政治家、学者、そして国民に広がる事を祈っております。国民の心が荒んだとは言え『将来の子孫の為』というフレーズに騙される素晴らしい心はまだまだ健在で御座います。

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  27. 學天測 より

    命とは何か?おそらく真これに回答が出来るとしたらそいつは神しかいない。つまり我々が命とは何かに対して持ちえる回答はわからないという事なんですよ。そのわからない事を尊重するという事は同じく神様とは何かの答えである、わからない事を尊重する事であり、神も含めすべてにおいてそうであろう、わからない存在を見認める事。その聖域に安易に答えを出そうとするのは不幸であり、神怒りを買う行為だと思います。我々は何でこの現実世界があり命として存在するのか全くわかっていない。イージーすぎる。

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  28. メザメ より

    全くその通りだと思います。このような文章に触れられ感動しました。洗脳されているとはいえ、諸外国の味方になって正義面して自分の国を汚しているTVに出ている多くの日本人を見るたびに、嫌な気分になっていましたが、これを読んで当時の日本人の気高い精神に触れられ救われた気がします。誰が何と言おうとも。

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  29. あまき より

    「平日は朝5時に起床。主要新聞すべてに目を通し、6時半のNHKニュースをチェック」(産経28日付「番頭の時代」)『新』日本経済新聞もぜひお読みください、菅官房長官。正直なところ、特攻作戦をどう捉えたらよいのかいまだによくわからない。しかしご遺族ならともかく、犬死だったと括ってみせるような人とは友達になりたくないです。犬死という言葉からは供養や連帯がほとんど感じられない。

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  30. 池田元彦 より

    先程、上島嘉郎氏の本日の小論を、三橋貴明氏メルマガで読み、久しぶりの当メルマガでの感動的な一文だったので、敬意を表してコメントする次第です。引続きの著述等でご活躍ください。序で申し訳ありませんが、このメルマガには何名かの投稿者が居られますが、往々にして学術論文的な委細詳細を書かれていたり、逆にチャライ戯言を書かれる方もいます。女性の方の普段着姿の随筆は読めますが、微にいる細に入る論文調や、替え歌合戦のような文章は、見ただけで読む気がしません。本来の三橋貴明氏の、論調に賛同して読んでいますが、最近張ご多忙のようで、メルマガでのきちんとした小論が読めないのが残念です。以上

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  31. 神奈川県skatou より

    さいきん「結婚なんて無駄」というつぶやきをネットで散見します。「己のためだけの生」と考えると、その先は虚無か退廃と決まっております。また公共の場で傲慢な初老が問題になってるとも聞きます。いつまで「縦」が見えないのか。「とりもどす」というのは、そういうことだったと思いたいですね。(ヒスパニックなアメリカになれば、少しは共有できるのでしょうか。。)

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