「新」経世済民新聞

From 藤井聡＠京都大学大学院教授

いわゆる「大阪都構想」、すなわち「大阪市廃止構想」の11月1日の住民投票まであと一ヶ月。

世論調査によれば、前回の投票時よりも「賛成派」が多く、このままいけば、可決される見通しのようです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0db3b36b53a7fcda51b27e88dd42804810c77edb

ただ、その差はまだ僅か「5％」だけなので、2，3％の「賛成派」が「反対派」に回るだけで結果は変わりますから、投票日までの後一月で、結果がどうなるかはまだ分からないところでしょう。

・・・というような記事が一週間前（9月23日）にYahooに掲載されました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7ffc8ca2ced8436622b614f0b386f65b9f62052a

この記事を見て居たときに、なにげに「コメント欄」を見たときに、少々驚きました。高評価（おすすめ度が高いコメント）をざっと見たのですが、一つの例外もなくいずれもきわめて理性的で公正なものだったからです！

大阪都構想については当方はこれまで実に様々に発言して参りましたが、
（詳細は当方のHP『大阪都構想を考える』https://satoshi-fujii.com/参照）
当方が話をすると、当方「個人」、あるいは、当方の様な「都構想についての発言者」に対して、いわゆる「色眼鏡」で見られてしまうところがどうしてもある様です。

無論、当方個人はそういう話を意に介せず、これからも当方が発言すべきと思う発言を続けて参りますが、今日は少し趣向を変えて、このコメント欄に掲載されている「おすすめ度上位7つのコメント」を機械的に紹介してみたいと思います。（以下、抜粋紹介しますが全文を確認されたい方は下記ページをご参照下さい。なお、このランキングは9月30日午前11時時点のものです）
https://news.yahoo.co.jp/articles/7ffc8ca2ced8436622b614f0b386f65b9f62052a

【No.1コメント】―――――――――
「このままの情勢でいけば、おそらく大阪都構想は可決されるでしょう。何故なら、大阪では維新の会の力が強いこと、前回の失敗を糧に公明党を都構想賛成側に引き込んだこと、コロナ禍で吉村知事の対応が評価されたこと、菅政権の後押しがあること、反対勢力が、本来なら真逆の立場である自民党と共産党というわかりづらい構図であること等。ただ、これらの事由は、大阪都構想の本質を理解して投票するというよりも、ふわっとした民意によるものだと思います。
これは、本当は恐いことなのですが、一般市民はなかなか気付きません。
大阪市民の皆様、大阪都構想は行政機構を大転換する重要な事案です。
賛否は別として、よくよく考えて投票して下さい。」
――――――――――――――――――

当方が構想について様々な情報を都配信しているのもまさに、この方がおっしゃる認識があるからです。是非、「賛否は別としてよくよく考えて投票」してもらいたいと思います。このままだと、本当に怖いことになります。

【No.2コメント】――――――――――
これから選挙直前まで激しさを増す感情に訴えて思考をさせまいとする意見には要注意ですね。
――――――――――――――――――

これもまたおっしゃる通り。例えば「反対」をされている方のツイッターに凄まじい罵詈雑言、誹謗中傷が集中する現象がしばしばあるのですが、そういうものにこそ、ご注意をということですね。

【No.3コメント】――――――――――
広報誌や維持チラシ見ても、デメリットは一切無くバラ色の将来が待っている事しか書かれてないが、未だに都構想の事よく分からない大阪市民が圧倒的に多いデータもあり、松井市長が一番懸念している「大阪市廃止」というこの5文字は、投票当日最後の最後に物凄く重くのしかかる文言だと思う。
――――――――――――――――――

まさにその通り。当方の5年前の住民投票直後のアンケート調査によれば、大阪市廃止を理解する大阪の方はわずか「8.7％」に過ぎず、9割以上が、大阪市廃止、という事実を知らなかったのです。そして、その真実を知っている方の9割が「反対」するが、知らない方は概ね賛成だったことも分かっています。
https://twitter.com/SF_SatoshiFujii/status/1311149423578152961

つまり、この方がおっしゃるように（推進派が隠そうとする）「大阪市廃止」という一点が周知されるか否かで賛否が全く変わるのです。

【No.4コメント】――――――――――
今後の大阪の未来を決める大切な投票です。そして一度特別区になったら政令指定都市には戻れない片道切符の判断を迫られています。
わからないから、難しいから、興味がないから投票に行かないという選択は避けて欲しいです。無投票や白紙投票は意思表示ではなく、意思表示の放棄です。
また、一人一人が自分で考えて投票できるよう大阪市も正しい情報を知らせて欲しいです。
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ある改革をする場合、「一回やって失敗したら、元に戻せば良い」と言う話なら気楽に賛成できますが、「二度と元に戻れない」なら、そうやすやすと賛成できない筈です。したがって、この方がおっしゃるように「片道切符」なのだったら、賛成者はぐっと減る筈……なのですが、その点をしっかりと認識している方は決して多く無いようです。

このままでは投票結果がゆがんでしまうことは必至。是非、この投票が「片道切符だ」という「真実」をご理解ください。

【No.5コメント】――――――――――
公明党がいきなり賛成に回ったいかがわしさを大阪の人は敏感に感じて欲しい。
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今回の住民投票の最大のポイントが、これまで徹底的に「反対」し続けてきた公明党が賛成に回ったこと。

なぜこうなったのか知らない方は多いと思いますが、詳しくは下記を参照頂ければと思いますが、この「翻意」は純粋に、公明党の党利党略の帰結なのです。決して、都構想の中身が良くなったからではない、という点をしっかりご認識下さい（むしろ、悪くなってしまったのです……）。
『「大阪都構想」は、維新と公明党による大阪市民を対象にした巨大な詐欺である』
https://foomii.com/00178/2020072618024669006

【No.6コメント】――――――――――
投票での可否で進退を掛けるのは、ちょっとずるい。市長と府長は信頼・人気があるから、そこから票は得やすい状態だと思うが、しっかり考えないと、こんなはずじゃなかった・・となりかねない事にも繋がるから、本当にしっかり考えて投票すべき。単純な感情に流されないようにしてください。
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まさにおっしゃる通り。イメージや人気で、大阪市の未来を決めないで頂きたいですね。しっかり考えて判断して頂きたいと思います。さもなければ、後生の大阪の人達に顔向けできなくなってしまうでしょう。

【No.7コメント】――――――――――
政令指定都市である大阪市を廃止して個別の特別区が基礎自治体になれば行政効率は落ちるし、予算は減るから、普通に考えて住民サービスの水準は落ちますよ。その事をきちんと理解して投票するなら良いけど、事実を理解せずに雰囲気だけで投票するのはやめた方が良いと思います。
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極めて常識的な判断です。付け加えるべき解説は特にないくらいの、まっとうなご意見です。

これ以下のコメントも拝見しましたが、見渡す限りそのほとんどがまともなものばかり。
ご関心の方は是非、じっくりご覧になってみて下さい。

そして、お知り合いに大阪市民の方がおられるなら、是非、このメールを転送頂くなり、お話し頂くなりして、このコメントの皆さんがおっしゃる「真実の声」をお届けください。

そもそも、冒頭で紹介した「電話調査」なら賛成多数ですが、「ネット調査」なら反対多数でもあるようです。つまり、大阪都構想の投票結果は、こうした「ネットの真実の声」がどれだけ一般の有権者に伝わるか、という「一点」にかかっていると言っても過言ではないんです。

大阪都構想までわずか一月………このままだと、大阪市はほとんど吟味されないままに、廃止解体されてしまうことになります。

何卒、よろしくお願いします。

追申：
・・・こう考えますと、大阪都構想を巡る大阪での世論現象というのは、こういう視点（↓）から考えてみないと。分からないのかも知れません。是非、ご一読ください。
『なぜ、大阪では「大阪都構想」が人気なのか？　～「豊田商事事件」的解説～』
https://foomii.com/00178/2020092711350871308