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2015年6月26日

【施光恒】「有権者教育」と保守

From 施光恒(せ・てるひさ)@九州大学

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●●日本は「発展途上国」へと転落するのか? 豊かで安全な日本を後世に残すための条件
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_3m.php?ts=hp

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おっはようございまーす(^_^)/

最近、ちょっとばたばたしていて、メルマガを休みがちになってしまってすみません<(_ _)>
気合を入れ直していきたいと思います!
ε-(`・ω・_)オッス

6月17日に国会で、選挙権が得られる年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる公職選挙法の改正案が、成立しました。来年夏の参議院通常選挙から、18歳以上が有権者となるようです。

ということは、高校三年生も、18歳の誕生日を迎え次第、有権者になるんですね。なんか違和感もありますが、高校2年生ぐらいまでにしっかり「有権者教育」(主権者教育)をやっていかなければならないということです。

ただ、政府や自治体にしても、学校教育の側でも、「有権者教育」として提案されるのは、「模擬選挙」や「ディベート」などが多いんですね。

児童・生徒たちが、実際の政党や候補者の見解を学び、どこに投票するのがいいか議論したり、その結果に基づき、投票の「予行演習」を行ってみたりするなどの試みです。

私は、こういう試みは大切だと思うのですが、これだけじゃないだろう、とも感じます。「模擬選挙」や「ディベート」といった試みは、いかにも「リベラル」というか、「啓蒙主義的」というか、「市民」派というか、そういう人々が好みそうだなと思います。

それで先日、私は、産経新聞の地方版のコラムに次のような記事を書きました。かなり違った「有権者教育」の提案です。

施 光恒「18歳選挙権 『おかげさま』の自覚」(『産経新聞』(九州・山口版)2015年6月18日付)
http://www.sankei.com/region/news/150618/rgn1506180018-n1.html

保守の側というか、「市民」ではなく「庶民」「国民」の側というか、もっと落ち着いた、常識的な「有権者教育」の側面もあるだろうと思い、それを提案したわけです。

政治思想的に言えば、啓蒙主義の流れを汲む「リベラル」派の考え方では、人間の理性や知性を重視します。人間の理性や知性を、すべての物事の出発点として捉えるわけです。そして、社会や国といったものは、人間が、自分たちの権利や利害を守るために、設計し、作り上げたものとみなします。

対照的に、保守主義の見方では、社会の文化や伝統、風土、慣習などが、人々の精神や各種能力を育んできたと捉えます。例えば、日本人の場合、日本語や日本文化、日本の風土が、日本人ひとり一人の知性や感受性を作りあげてきたことを強調するわけです。

「リベラル」と保守との間では、このように人間や社会の捉え方が大きく異なっているため、当然ながら、「有権者教育」に対する見方も変わってきます。

「リベラル」の立場からすれば、「よき有権者」とは、「自分たちの権利や利害を主張し、他者と議論を交わし、政治に強い関心を持ち、積極的に政治参加し、社会を合理的に変革していく人々」といったイメージでしょう。

他方、保守の側からすれば、「よき有権者」とは、例えば、次のようにいえるでしょう。(上記リンク先の拙コラムからの引用です)。

「人は、自分自身だけで存在しているのではない。他者の厚意や、国や地域の伝統文化の蓄積、先人の苦難のうえに今の自分がある。つまり、「おかげさま」で生きている。自分の権利や利害を主張するだけでなく、地域や国のあり方、文化伝統に大いに関心を持ち、さらなる発展に貢献し、次世代へ引き継ぐ義務や責任も負わなければならない。こうした自覚を持つ者こそ、よき有権者である」。

こうした類の理想的有権者像に基づく保守の立場からの有権者教育というのも、もっと提案されていいと思います。

ですが、残念ながら、この種の有権者教育の提案は、あまり目にしません。

例えば、「保守」を自認する産経新聞や読売新聞も、18歳選挙権をテーマとする社説をそれぞれ書いていますが、保守の側からの有権者教育の提案は、ほとんどなされていません。

社説 18歳選挙権 若者が国を考える契機に 『産経新聞』2015年6月18日付
http://www.sankei.com/column/news/150618/clm1506180003-n3.html

社説 若者の政治参加を促進したい 『読売新聞』2015年6月18日付
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150617-OYT1T50141.html

産経新聞は、「国家や社会の一員であることの意識を強く持つ必要がある」と書いてはいますが、これだけでは十分ではないでしょう。

読売の社説は、「リベラル」派の新聞の社説とあまりかわり映えしません。

両者の社説にみられる「保守らしさ」とは、せいぜい日教組の政治介入に対する警戒心を表明しているぐらいだといってもいいかもしれません。

「リベラル派」の提案だけでは、「有権者教育」のごく一部だけしかカバーできません。「有権者教育」が、一面的なものとなってしまう恐れがあります。保守の側も、有権者教育のあり方を積極的に提案していくべきです。

しかし、産経と読売の「有権者教育」の社説にみられる「保守らしさ」が日教組に対する警戒心だけというのは、少々さびしいですね。
(_・ω・`)

他の面でもそうですが、日本の「保守」は、たんなる反サヨクになってしまい、保守としての役割を十分果たしていないのではないかと懸念してしまいます。

だらだらと失礼しますた…
<(_ _)>

PS
「大阪都構想」騒動とは一体、何だったのか? 三橋貴明が解説中
https://www.youtube.com/watch?v=ox0dS84nBHQ

<施光恒からのお知らせ>
●7月17日に、新しい本を集英社新書から出します(^_^)/
施 光恒『英語化は愚民化──日本の国力が地に落ちる』集英社新書
http://www.amazon.co.jp/dp/4087207951
発売されましたら、ぜひ手に取ってご覧ください。

●7月12日(日)に福岡のカフェで開催されるこじんまりとした勉強会の講師を務めます。
「産業革命遺産から考える日本の国づくりと国際貢献」というテーマで話します。
お近くの方はぜひ。
日時:7月12日(日)午前10時半〜12時
場所:箱崎水族舘喫茶室(福岡市東区箱崎1-37-21)
http://www.hakosui.net/
JR鹿児島本線 箱崎駅 徒歩8分、地下鉄箱崎線 箱崎宮前駅 徒歩7分
会費:1500円(学生1000円)※今回は、飲食は任意となりました
問い合わせ先:学ぶカフェ事務局
manabucafe@gmail.com

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【施光恒】「有権者教育」と保守への10件のコメント

  1. メイ より

     選挙権年齢を18歳に引き下げたのは、自民党がネット住民に多い若い世代が、情報に左右されやすい事もあり、自分達の票田になり得ると、目論んでいるのではないかと、疑いを感じています。 ならば、なおのこと施先生の仰るように、適切な有権者教育はとても大切なものと、共感しつつお読みしました。 しかし、何でも簡単に決まり過ぎですよね?議論する暇も無く、どんどん話が進んで、焦りや戸惑いを感じます。良くない表現かもしれませんが、安倍政権に気持ちの悪さを感じてしまいます。 リベラル的な理性って、結局、自己利益の為の合理的考え、という意味のように感じます。リベラルの全てがそうではないかもしれませんが・・・。 これまで外国で起きた、いくつかの革命を思い起こしてみますと、「自分の利益にならないなら、国などひっくり返れ」と、理性というよりも、心の乾きで獣性をむき出しにした残酷さ、攻撃性があって、こういう思想は、人間をダメにするもののように感じます。 相手が、自分を苦しめ権利を損なう加害者で悪で、自分は被害者で善なのだ、と思い込まされれば、相手に対し何をしても正当性があると、考えてしまう、人間が増長していくような要素を、その思想は有しているように思います。 それに対し、施先生の仰る、主張の「おさまり」を見出す、という考え方は、人間性を見失わないために、若い方だけでなく、社会全体にとって、一番大切な考え方のような気がします。 強い主張で相手をやり込めて、勝ち負けばかりこだわるのは、本当は少し見当はずれかもしれない。お互いが不完全な存在として補い合う、という施先生のお話に全く同感です。 大切に助け合う仲間として存在する事の方が、日本人の気性に合っているように思います。

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  2. robin より

    理性を信仰すると動機は個人的なものに、世間を信仰すると動機は社会的なものになるのかな。だから理性信仰だと格差社会になるのでは。

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  3. 日本晴れ より

    >対照的に、保守主義の見方では、社会の文化や伝統、風土、慣習などが、人々の精神や各種能力を育んできたと捉えます。例えば、日本人の場合、日本語や日本文化、日本の風土が、日本人ひとり一人の知性や感受性を作りあげてきたことを強調するわけです。施先生の仰る通りです。それが日本の保守主義であると思います。左翼リベラルの社会観には共感しませんが。保守と言われてる人達も悪い意味で西欧リベラル的な感覚で日本の社会を語ってる人が多いのが物凄い違和感を持ちます。日本は2000年以上国家として社会や共同体を作ってきたんですから。

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  4. あまき より

    「おかげさま」の自覚。要するに道徳教育が肝要で、それで十分だと思います。有権者教育などと色めき立つ向きが自分には理解できません。18歳引き下げ決定にも、これを国際潮流と肯定的に報じた左派マスコミにも驚きです。主流に足並みを揃えるのがいいのなら、集団的自衛権も輸入農産品への関税も何ら問題ないことになる。『英語化は愚民化──日本の国力が地に落ちる』ご新著、楽しみにしています。先日も学校の先生と意見交換したのですが、あるとき教育大学からアドバイザーと称する言語系の教授が研究授業に来て講演。その内容が、いま少子化で日本語だけで仕事をする人が減っている、働き手が減っているから経済移民が来て日本人も海外に働きに出る時代、よって好むと好まざるとに関わらず国際化=英語化教育が必要で、先生方のご奮闘に期待がかかっているわけです云々と、サプリメントの宣伝にみられるような脅し商法の如きご高説だったらしいのです。あとで職員室に戻って来た英語の先生たちが、おいおい、さっきのあれって変じゃないか、国民が食っていくために英語化が必要だとか言ってたけど、じゃあ英語圏の移民国家で日本より失業率が高いのはいったいどう説明するんだよ、とふだん仲の良くない英語科がこのときだけは和気に満ちていたそうです。愉快な文科省お勧めの英英授業も進学校から順に離脱、密かに通常授業に戻しているとも聞きました。観念で動くわけにはいかない現場の先生たちほど危機感を肌身で感じているのではないでしょうか。

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  5. ぬこ より

    いつも大事な事を指摘くださる施大老。何で政治家はこうした本質的な事を議論してくれないんでしょうか。ちなみに、理性(思考)や言葉と言う、いわゆる「呪」すらも、歴史を背負っていると言うのに、リベラルと言う方々は不思議どすわね。小生、昔は保守「派」って良いなと思っておりましたが、最近は心底絶望しております。

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  6. ソウルメイト より

    目下、施さんがお書きになられた「リベラリズムの再生」というご著作を拝読しております。中野剛志さんには、「保守とはなんだろうか」というご著作がありますが、施さんがリベラリズムについてお書きになられたことは、少なからず意外でしたが、間違いなく名著であると思います。とりわけ、正当化主義にたいするに可謬主義をもってして、人間は固有の知的、認識能力の限界から、絶対に正しいことを知ることができず、ゆえにいかなる人物のいかなる意見や主張も正当化することは、不可能と言わざるを得ない、人間にできることは、自説を多元的で多様な批判にさらすことによって、改良や修正に務めることで、暫定的な妥当性を担保することができることのすべてである、とのご見解は、まことに卓見であり、ポストモダンの地平において、もっとも有力なご見解だと思いました。ぜひ、リベララル派の奮起を促し、喝を入れるような記事をお願いしたく存じます。

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  7. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    >過程「家庭」の間違い。言わずもがな、ですが。

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  8. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    >市民「国民」でも「庶民」でも、「県民」でも何でもいいのです。そこは譲ってもいい。参政権の保有者であることが重要なのです。

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  9. 日本財布論、改め、日本連帯保証人論 より

    市民の自己統治(これなくしては、権利や利害はもちろんのこと、義務や責任もまた果し得ない)の技術的側面について、年少者に対する啓蒙を施す。「有権者教育」となるものは。それ以上のものでも以下でもないし、あってはならない。「一面的」で「一部」でしかないのは、むしろ望ましいことです。「おかげさま」でどうたらこうたら、みたいなお茶の間の説教は各家庭で済ませておけ、ということです。それとも何ですか。そんな事も教えてもらえないほど、そんな「常識的」wなことを教わるのに公教育の救済が必要なくらい、本文の執筆者の過程は荒んでいたとでもいうのでしょうか。そういうモンスターペアレントみたいな要求を呑んだら最後、「道徳と渾然一体化せる権力」なる究極のモンスターの出現を許すこととなりかねません。というより、必ずや、そうなる。

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  10. メガゾーン より

    〉たんなる反サヨク 私も昨今政府有識者会議って反共(冷戦意識)なだけなんだなぁ。と生意気にも感じてしまっている日々です。18歳のことにしても自由主義諸国がそうだから‥‥なだけ、が根源な気がしてしまう生意気な日々です。(経済対策にしても反共(インフレ)なだけやんっ!と生意気にも思っています) 最近読んでいた″生命とリズム″と言う本の中に、「〜学級閉鎖ひとつとっても年中行事みたいですが、これは抗生物質の使い方と関係があるようです。いわば中毒でリンパ系が駄目になってしまった。この組織は外から来たものに反応します。それがなんだか骨抜きになったみたいです。〜(文字を少し省きました)」ある意味、自由諸国から来たものには反応しなくなって、反共には反発するだけの骨抜きになっている気がしてしまう生意気なことばかりを考えてしまう日々です。 先生(他諸先生)方にはこのリンパ系?かどうかはわかりませんが、機能を回復させる為にも更に気合いを入れてください。などと生意気なコメントを書いてしまいました。オスッ!(ナイーブな僕には似合わないなぁー。ウ゛ニャーッ!)

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