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2015年6月22日

【三橋貴明】アメリカとは?

From 三橋貴明 http://keieikagakupub.com/38news/

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●●日本は「発展途上国」へと転落するのか? 豊かで安全な日本を後世に残すための条件
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_3m.php?ts=hp

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【今週のNewsピックアップ】
●国民のための政治
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12039447128.html

●亡国の法
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12040995058.html

昨日の続きなのですが、日本が中東からガス・原油を輸入し、国内で電力エネルギーに変換し、繁栄したいならば(してきたわけですが)、本来であれば自国で巨額の防衛費を負担し、限られた供給能力を軍事面に投じ、中東−日本列島という長大なシーレーンを防衛する必要がありました。ちなみに、中東のカタールから日本まで、LNG船で片道2週間かかります。

大東亜戦争敗北後の我が国は、シーレーン防衛のためのリソースをアメリカに依存し、繁栄を謳歌してきたわけです。もっとも、アメリカにしても、別に日本と国益が100%一致するなどという事はあり得ません。冷戦が終結した以上、アメリカが日本の安全を保障する義務など、本来的な意味ではないのです(一応、日米安保条約はありますが)

いうなれば、現在の日本は温室でぬくぬくと育てられ、日本国憲法に象徴されるように「諸国民は正義で信頼できる」というファンタジーの中で成長し、いきなり、
「実は、諸国民は正義でもないし、信頼もできない。アメリカにしても、自国の国益にならないならば、日本の安全を保障したりはしない」
という、極々当たり前の事実を突き付けられた「子供」なのでございます。子供が自らの意志で考え、自らの身を守るために動かない限り、世界中に満ち溢れた悪い大人たちの餌食にされるだけです。

しかも、厄介なことに、現在の世界では「新自由主義者」「構造改革主義者」という、自分の利益のこと「だけ」を考える個人主義者たちが権力を握っています。とはいえ、彼らはあくまで「個人」なので、そのままであれば別に我々日本国民に害を及ぼすわけではありません。

カーギルが、日本に、
「日本の食料流通を担う全農を支配下に置きたいので、協同組合の全農を株式会社化し、株式を外資にも開放しろ」
と、言ってきたとしても、本来であれば、
「うるせえ、黙れ」
の一言で終わる話です。何故に、日本の食料安全保障と密接に関連する全農を、株式会社にして外資にくれてやらなければならないんだ? 頭、おかしいんじゃないの? で、話が済むのです。

そんなことは先方も分かっているので、「自由貿易」「自由競争」「市場原理」「消費者利益」といった様々なキーワードを並べ、日本国内でプロパガンダをおこなうことで「改革」の機運を高め、さらに「国家間交渉」という手段を用い、自分たちのビジネス上の目的を達成しようとしてきます。これが、厄介なのです。

年次改革要望書やら、日米経済調和対話やら、在日米国商工会議所やらが、「農協を株式会社化せよ」「独占禁止法の例外規定を外せ」と言ってきたとして(言ってきています)、それは「アメリカ国家」の意見ではないのです。あくまで、アメリカに本社を置くグローバル企業(カーギルやモンサントなど)の意見を、アメリカ政府が代弁しているに過ぎません。

ところが、ナイーブ(幼稚)な日本国民は、上記を「アメリカの意見」と受け止めます。冷戦期の温室から、いきなり「悪い奴らがいっぱいいる、現実の世界」に放り込まれた「子供」は、安全を保障してくれる可能性がある「大人」(=アメリカ)からの要求を受け、
「農協を株式会社化して、全農をカーギル様に差し出せば、アメリカ様が守ってくれるはずだ」
と、思い込むわけです。こうして、日本国という「子供」は世界に蔓延する悪い大人たちの食い物にされ、そのうち、世界から消滅することになるわけです。

何しろ、全農の株式会社かはカーギルという一民間企業の望みであって、アメリカ国家にとってはどうでもいい話です。アメリカの意見に従い続けたところで、日本の安全保障が強化されるわけではありません。アメリカが日本の安全を保障するか否かは、あくまで「アメリカの国益」に資するか否かで決まるのです。

というわけで、昨日や本日のメルマガの結論は一つだけです。

「思考停止に陥らず、自ら思考し行動する、真の意味における大人になりましょう」

PS
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https://www.youtube.com/watch?v=ox0dS84nBHQ

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【三橋貴明】アメリカとは?への10件のコメント

  1. メイ より

     今更かもしれませんが、どうして日本をアメリカのような国にしたいと思う人がいるのか、不思議でした。 アメリカが凄く好きで、同じになりたい、という感覚なのだろうか? 以前、父が「身近にあるものの価値は判りにくいんだよ」と申しておりました。もしかして、そんな感じで、アメリカという「遠くの価値」を正しいように思ってしまうのでしょうか? もしそうだとしたら、自国の価値や特性を、意識して見つめるように心掛けなければいけないですね?外国のやり方が、日本人に合うとは限りませんし・・。 アメリカにも素晴らしい所は、たくさんあると思っておりますが、今の政府は、問題点の方ばかりマネされているような印象があるんですね。 政治家や官僚の皆さんは、アメリカの問題点も知っている方が多くいらっしゃるのではないだろうかと推測するのですが、それならなぜ、変な押し付けに対し、拒絶できないのだろう?  実質上、立場はあちらの方が上だから、という事なのかもしれませんが、だからといって何もかも言いなりになって主張もしなければ、今後の我が国の立場はもっともっと、弱くなっていくばかりではないでしょうか? そんな日本を見て、アメリカも内心バカにしているかもしれませんね。  あるいは、政治に携わる役所の方々が、「自分が担当している時にもめごとをおこしたくない」と考える、とか。もしそうだとしても不思議ではないと思っています。自分が意を決して外国に物申しても、フォローしてくれる仲間が少ないとか、立場を失うリスクがあるとか、国民が・・アレなのに頑張りようがないよ・・とか・・。すみません・・そりゃそうですよね、という気持ちでございます。 官僚の方々の本音を聴けたとしたら、国民にとって耳の痛い事もたくさんあるかもしれませんね。 だから、期待や要望をする資格は、少なくとも私には無いかもしれませんが、それを判っていながらも、政治家で信用できる方が多くない現状で、最終的に頼れるのは、官僚の方、という事になるのではないかと・・・。

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  2. 阪井 より

    もはや政府には日本を守る気もないのでしょうね。グローバリストの思惑である各種政策が実現し日々アメリカ化が進行するなか国防に関しては威勢のいい事は言っておりますが、その実各国間の政策格差のすりあわせではないでしょうか?EUが終わるのであれば2つ目のEUを作ればいいとグローバリストたちの笑い声が聞こえる気がします。

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  3. メガゾーン より

    〉こうして、日本国という「子供」は世界に蔓延する悪い大人たちの食い物にされ、そのうち、世界から消滅することになるわけです。 完全に借金破綻理論に侵された新自由主義者である小泉Jr.二世とかなんかは、選挙演説で「次世代にツケを残すな!」と訴えていたけど結局ツケを残すどころか次世代を見殺しにしているも同然なのだ。まぁ彼だけでなく、国境を無くすと言った岸三世とか、郵政反対派刺客として送られた議員等総ての脳神経の総態は、反共でネオリベを推進すればいいと言う冷戦思考のまま絶対零度でカチンカチンに固まってしまい、超伝導で電流は流れまくり快感を得ながら暴走していき日本を破壊の渦に巻き込んでいくのだ。 そうなるとは深に考えが及ばない彼等の勘違いした高笑いが聴こえる。「あはははははははははは」(このコメント字体がオカシイんだろうなぁ。もう生きていたくない)

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  4. たかゆき より

    ピーターパン♪敗戦時マック船長から12歳の子供のようだ と称された日本戦勝国という悪魔から大人になれない魔法をかけられネバーランドというファンタジックワールドでずっとずっと子供のままなんでしょうね。ちなみにピーターパンのパンはギリシャ神話の牧神パンに由来するという説があるようですが、、牧神パンの恋は可哀想に実りませんでしたとさ、、、

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  5. 宮 禎宏 より

    農協問題に限ればお説に同感ですが、エネルギー問題(シー・レーン維持コスト)と安保問題を直結する論理には、他の選択肢(対ロシア・カナダなどへの依存度拡大など)をも総合勘案されるべきと日半の余地あり、念のためジャーナリスト出身の貴兄の信条を確認させていただいた上で、今後の議論に興味を持って参加致したく御高配乞う。御参考までに小生は戦中末期派(80歳)の元銀行マン。滞独合計15年で平均的日本人よりは対米批判的(最初の訪欧時、独仏トップの英国のEC加盟への『ノン』を体験した6・3・3制の一期生。憲法9条ヘのノスタルジー修正を慎重かつ現実的に考慮中です。

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  6. 宮 禎宏 より

    農協問題に限ればお説に同感ですが、エネルギー確保問題(シー・レーン維持コスト)と安保問題を単純に直結する論法は他の選択肢(将来の対ロシア・カナダへの依存度引き上げなど)も含めた議論も考慮されるべきで、貴兄の狙いが何処にあるのか判然としません。念のためジャーナリスト出身の貴兄の信条を確認させていただき、今後の議論を続行致したく、御高配乞う。

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  8. 神奈川県skatou より

    先週末、歌舞伎を観ました。連日寝不足なのに自分にはまったく眠くならず最後までぴっちり観てしまいました。その魅力は、こころです。戦後日本人が断絶してしまったと思われる、こころの記憶がそこにあると思ったからです。自分はさいきんのテレビ時代劇と言われるものを観る気にはなりません。ことばのやりとりがひどい。主張の投げつけあいで相手に答えてない。受け止めてない。特に男女の会話、もはやトレンディードラマ。大河もなにもあったものでありません。グローバルという時代は頻繁に元寇が起こるような、おもいやり豊かな日本にとって剣呑な時代になった、それは日本という「最古の国」の正念場なのかもしれません、ですね。

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  9. ぬこ より

    でも、よく考えると、それら財閥や大企業群が創ってきた様な国がアメリカであって、当の米国の左翼がネットなんかで言っているのは、政治や民主主義なんてそれを覆い隠す茶番的な側面がありますよね。その辺って、CROSSでたまに共演されているベンジャミンさんが詳しい気がしますが、いつの日か三橋さんと対談本でも書いて戴きたい気分です。

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  10. ぬこ より

    まさにそうです。米国内でもカーギルだのに抗議する人達は左右の枠を超えて相当数居ます。彼らの実態(カーギル側も、抵抗側も)を知り、場合によって協力していく事が大事だと思うのですが、民主党時代はあれだけ熱心に倒閣運動だの、シナ抗議運動だのに精を出してきた保守派は、何故か米国で問題になっている「彼ら」の抗議に対して及び腰ですよね。日米大企業による構造改革的流れに、自民も民主も中国も米国も無い気がするのですが、何故か黙殺しますよね。以前は保守派の言動や行動を信じていた部分もありますが、正直幻滅しました。でも、また他の何かを信じて、それらに幻滅していくんでしょうね(笑)。そういう過程を通じて、三橋さんの言う「おとな」の階段を上っていく事になるんでしょうね。格差問題等を考えた場合、よほど左派の方が日米の構造に関して冷静に理解されてますし、実際に日米の枠を超えて抗議の声を挙げようとしてますよね(保守派がシナコリアを連呼する横で(笑))。

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