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2015年6月19日

【上島嘉郎】安倍談話に望むこと(その八)

From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)

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●●日本は「発展途上国」へと転落するのか? 豊かで安全な日本を後世に残すための条件
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_3m.php?ts=hp

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村山富市元首相と河野洋平元衆議院議長が6月9日、日本記者クラブで対談しました。

対談で河野氏は、村山談話について「村山氏のリーダーシップで作られた、バランスのとれた立派な談話だ」と述べ、これを受けて村山氏も河野談話を、慰安婦に関する「事実を明らかにし、韓国に謝罪したのは河野談話が初めて。日韓和解の起点を作った歴史的な文書だ」と互いに“絶賛”したそうです。

さらに村山氏は、河野談話の発表後、日韓関係は前進していたのに現政権が「寝た子(韓国)」を起こしたと、安倍晋三総理を批判し、今夏の戦後70年の談話に関しても、「村山談話を継承すると談話の中に明記し、国際社会の誤解を解消することが大事だ」と強調しました。

独善的で軽薄な言動を繰り返すご両人は、「老醜」という言葉の実際を見せてくれています。

産経新聞政治部編集委員の阿比留瑠比氏の記事によれば、河野氏は、日本記者クラブから色紙への揮毫(きごう)を求められ、
「真実」
と書いたそうです。

記事全文は以下のサイトにあるので、是非読んでください。
http://www.sankei.com/premium/news/150611/prm1506110010-n1.html

村山、河野両氏に表象される歴史観を端的に言えば、「東京裁判史観」ということになります。
東京裁判が占領政策の一環であったことは疑いようがありません。
そのアメリカの対日占領政策の基本に据えられていたことは何か。

「降伏後における米国の初期対日占領方針」という文書があります。その第一部「究極の目的(Ultimate Objectives)に、「日本国に関する米国の究極の目的にして初期における政策がしたがうべきもの左のごとし」とあり、

「日本国が再び米国の脅威となり、または世界の平和および安全の脅威とならざることを確実にすること」という一項があります。

「米国の脅威となる」ことが第一に懸念されているということは、「米国の脅威」となることが即ち「世界の脅威」であるという考え方です。アメリカ=世界という認識がここに現れています。

そして、かつて脅威だった日本を打ち破りはしたが、それで事は終わりではなく、将来ともアメリカの脅威にならないようにしなければならない、二度と刃向かえないように日本国と国民を「改造」しなければならない、という具体策に繋がっていくわけです。

これを指摘した故江藤淳は、
「これが米国の対日大原則であって、これは民主党政権であろうと共和党政権であろうと変わりはない」と断じました(『日米戦争は終わっていない』1986年7月刊)

この具体策の柱が、「日本国憲法」であり、「日米安保条約」であり、「東京裁判」でした。

いずれ別稿で詳述したいと思いますが、現行憲法第九条は日米安保(旧安保)条約と貼り合わせの関係で、「憲法九条を守れ! これこそ戦後日本に平和をもたらしたのだ」と叫ぶ人たちは、論理的思考に基づけば、同時に「日米安保条約を維持しろ」と叫ばねばならないはずです。

日本を二度と米国の脅威たらしめないための装置の一つが東京裁判であり、それによって刷り込まれた歴史観から私たちは今も解き放たれていない。

自らの来し方を省みることは大切ですが、事実の正確な認識を棚上げしてまで自虐的になるのは、人としてけっして健全な在り方ではありません。

河野氏や村山氏の独善性、その押しつけは、健全であろうとする日本人にとって甚だ迷惑かつ害あるものと言わざるを得ないのです。

国と国との和解や相互の平和は何によって達し得るか。その可能性を現実的に考えるとどうなるか。

《百田尚樹も尊敬する元零戦パイロットが安倍首相を批判!「戦前の指導者に似ている」と》というタイトルの記事を読みました。

元海軍のエースパイロットで、『永遠の0』の宮部久蔵のモデルの一人だった原田要さん(98歳)が、安倍総理の歴史観や安保法制について米紙ニューヨークタイムズのインタビューに答え、強く批判したというものです。
[記事全文]
http://lite-ra.com/2015/04/post-1050.html

実際に、自らの命を懸けて大東亜戦争を戦われた方の発言ですから、私も真摯に受け止めたいと思います。
しかし、戦場の悲惨さ、残酷さを語ることと、平和を希求する現実的な手段を語ることとの間には、なんと距離があるのかという思いを禁じ得ません。

その距離を、私は“大空のサムライ”坂井三郎さんの次のようなエピソードからも痛感します。

この半年編集に携わってきた石原慎太郎氏の『歴史の十字路に立って─戦後七十年の回顧』(PHP研究所)という本に、石原氏自らの筆でこう記されたエピソードです。

〈平成六年(一九九四)の暮れ近く、私もアソシエイト・メンバーでいる外国人特派員協会の午餐会に珍しい客を迎える案内が来たので出席した。ゲストスピーカーはかつての大戦の撃墜王坂井三郎氏だった。

冒頭、隻眼の氏はこう語った。

「私はご覧の通りあの戦争で片眼を失いましたが、後悔などしていません。ただあの戦争で実の多くの優れた仲間と部下を失ったことは痛恨であります。彼らがもし今日生きてあるならば、数多の才能を発揮して素晴らしい貢献を国家のために為したでしょう。私はそれを信じて疑いません。

彼らには年に必ず二度靖国神社で会って、その度報告をしています。貴様たちの死は決して無駄ではなかったぞ。あの戦争のお蔭で、世界は明らかに発展して良くなったのだからなと」

その途端聞いていた白人の記者たちの間に得も言われぬ空気が醸し出されるのがわかった。

歴戦の撃墜王はそれを察してニコリと笑い、

「だって皆さん、そうじゃないですか。あの戦争が終わってから国連に新しく誕生した国が数多く参加しましたな。今までに確か七十数カ国あります。しかしその中に、白人の国を探せば、正確には違うのかも知れないが、強いていえばイスラエルただ一国だけです。

あとは皆かつて植民地支配を受けた黄色、褐色、黒色の民族が独立を果たし、一人前の国として認められることになった。これすなわち人類の進歩に違いない。そしてその事態を招くためにあの戦争は大いに意味があったということは、誰も否定出来ますまいに」と。

会場は寂として声がなかった。
私は痛快のあまり一人拍手したら、目の前にいた白人の若造のどこかの記者が振り返り険しい目で睨みつけてきたので、私は坂井氏に真似てニッコリ笑ってやったら、その男がしばらくして途中で席を立ち上がり、私の前にいた日本人の客の手になにやら紙切れを渡してそれを私に手渡すように促し、そそくさと部屋から出ていった。

受け取った客は怪訝そうにテーブル越しにそれを手渡してくれたが、二つ折されたそれを開くと中に、

“Ishihara,you are ultra rightist, lunatic!”

と書いてあった。私を極右の狂人だと。

彼らにとって正鵠を射られた腹いせであろう。あの勝負はどう見ても我が日本チームの勝ちだった。〉

さて、件の河野・村山対談には、中韓の主要メディアを含め約300人の報道陣が詰めかけたそうです。

これも石原氏の『歴史の十字路に立って』からですが、氏が昨年(平成26年)、外国人記者クラブで講演した際に、居並ぶ外国の記者たちに、「日本の戦争目的は自衛(安全保障)のために他ならなかった」というマッカーサー証言を知っているかと尋ね挙手を求めたところ、「手を上げたのはわずかにヘンリー・ストーク一人だった」という。

原田要さんのインタビューを載せたニューヨークタイムズに、同じく先の大戦の経験者としての坂井三郎さんの講演録を載せる度量、歴史に対する公平な感覚があるでしょうか。

いわんや日本のメディアはどうでしょう。

私たちは、戦後ずっと置かれてきた言語空間、歴史認識の桎梏から、意を決して脱け出す秋(とき)に来ています。

PS
もしあなたが、「健全な言語空間と歴史認識を育むには、健全な情報読解力が必要だ!」
とお考えなら、こちらをクリック
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php

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【上島嘉郎】安倍談話に望むこと(その八)への2件のコメント

  1. ぬこ より

    ヘンリーストークス氏芸人のハリー杉山氏の御父上どすわね。小生も、顔が白ユダのアシュケナジ系どすので、よくハリポタのラドクリフに間違われマウスのん。先日も、初対面の米国人に、目の色以外、完璧にラドクリフちうて言われましたのん。イスラエルって、中東の地なのに、何でアシュケナジの白ユダばかりなのでせうか?(彼らって、元々現ウクライナ地方の民どっさろ?)

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  2. たかゆき より

    You are right.☆☆☆right、、右翼という意味ではありません。(念のため)洋の東西を問わず自称mass media なる存在はmas king media であるとぼくは 認識しております。臥薪嘗胆 幾星霜念いは上島嘉朗さまと同じであります。

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