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2022年3月25日

【藤井聡】クライテリオン叢書・創刊 ~「愛国」としての「反日」:奇形の軍民関係を正す(小幡敏著)~

From 藤井聡@京都大学大学院教授

この度、『クライテリオン叢書』を刊行することとなりました。

これは、言論誌『表現者クライテリオン』を中心に展開している言論・思想運動の一環として刊行するもので、本誌で論じた各種言論をより広く、より深く、そして、より長く国民各位に届けることを企図して刊行する、書籍シリーズです。

そして、その第一作目として刊行されたのが、

~「愛国」としての「反日」:奇形の軍民関係を正す(小幡敏著)~

 https://www.amazon.co.jp/dp/4899920784

です。

これは、表現者クライテリオンの最新号でも第二特集として取り上げたテーマですが、今の日本では自衛隊、そして軍隊に対して許し難き不道徳が横行しているが故にその不道徳をただすためにも、「愛国」の意識を持つ者ほど、「反日」たらざるを得なくなる……と論じた書籍です。

第一回目の表現者賞を受賞された木幡氏の処女作でもあり、『クライテリオン叢書』創刊号に相応しい一冊です。

一人でも多くの読者の方にご覧頂きたく、以下に本叢書の創刊の辞をご紹介すると共に、その第一冊目の『「愛国」としての「反日」』をご紹介差し上げます。

是非、ご一読ください!

 

 

クライテリオン叢書 創刊の辞

                                           表現者クライテリオン編集長 藤井聡

 グローバリゼーションに伴う世界的な国家の溶解と各地の戦争とテロの拡大、国内では20年を超えるデフレとそれに伴う格差・貧困の拡大と、あらゆる伝統文化の蒸発、それらに伴う急激な国力低迷とそれを背景因とする周辺領土問題の深刻化、そして追い打ちをかけるように我が国に襲いかかるパンデミックと巨大自然災害―――どれ一つとってみても我が国は今、20世紀にはほとんど想像もできなかった深刻な数々の危機に直面している。
 

『クライテリオン叢書』はまさに、こうした数々の現実の深刻なる危機と対峙し、乗り越えんことを企図して刊行されるものである。

 危機無き時代には昨日行ってきたものを今日そのまま行ったとしても大過はない。しかし危機の時代には、一人一人の国民、一つ一つの地域、そしてこの日本国家が如何に判断し振る舞うべきかを考え成すべきを成す振る舞いを続けねば、瞬く間にその精神は溶解し滅び去る。
 かくして我々は今、それぞれの状況に相応しき判断と実践のための「クライテリオン」(基準)を考え、探し続ける実践的なる思想、ならびにそれを踏まえて展開される思想的なる実践を循環し続けねばならぬ事態に至っている。

 本叢書は、今日的なあらゆる危機(cri-sis)を乗り越えるためのクライテリオン(cri-terion、基準)を探し求める実践的なる批評(cri-tique)を全面展開するという大方針の下創刊された保守思想雑誌『表現者クライテリオン』の思想的実践的運動の一環として、その思想をより幅広く、そしてより長期にわたって国民に共有せんことを企図するものである。
 もちろん、こうした社会的、実践的かつ思想的な批評活動によって何がどう変わるのかを推し測ることなど誰にもできない。しかし我々が誇り高く生きんとする心がある限り、「逆境であればこそ希望の炎が立ち上がる」との逆理が誰の内にも立ち現れることだけは確かである。であるなら我々はその炎をいかにして重ね合わせ、灯し続けることができるかを思想的かつ実践的に考え続けねばなるまい。
 そして、時宜を得た時には一気呵成に大きな火炎を巻き起こし、それぞれの危機を乗り越える生の実践を全力で模索せねばなるまい。繰り返すがもちろんその帰結がいかなるものとなるのかは分からない。しかしだからこそ、その思想と実践を駆動する「希望の炎はより大きく立ち上がる」のである。

 こうした思想的実践運動、実践的思想運動の試みが僅かなりとも奏功することを心から祈念したい。そしてそのためにも読者各位におかれては本叢書を末永くご支援頂き、ここに企図する運動に僅かなりともご参画賜らんことを平に御願い申し上げる次第である。

追伸:先週、九州大学の施先生が主催された地方再生のためのシンポジウムでの議論のご報告。地方再生をどうすればよいのか……是非、ご一読ください。
『「地方再生」の為に一体何をすべきなのか? ~インフラ論と「甘木商店街」「甘木の市」消滅を通して考える』
https://foomii.com/00178/2022032110141392402

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