アーカイブス

2015年1月19日

【三橋貴明】スイスの教訓

From 三橋貴明 http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/

——————————————————-

●月刊三橋最新号のテーマは「フランス経済」。

「ユーロという罠」に落ちた大国の選択とは?
フランスに今が分かれば、日本が見える!

https://www.youtube.com/watch?v=eQUSqYvie2s

——————————————————-

【今週のNewsピックアップ】
●凍り付くマネー
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11976976259.html

●スイスフラン暴騰
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11977784914.html

現在、日本は「デフレ」という資金需要不足に加え、日本銀行が量的緩和を実施しているため、国債金利が異常な水準に低迷しています。十年物国債金利が0.24%、五年物がゼロ、短期国債がマイナス金利。
金融市場は、完全に「国債不足」に陥っているのです。

国債とは、政府の支出の財源です。お金を借りて、そのまま預金しておく政府は存在しませんので、国債不足とは「政府の国債新発と、財政出動が足りない」という意味でもあるわけです。

それにも関わらず、政府は「プライマリーバランス目標」に囚われ、新規国債の発行は抑制。公共事業は「誤差」程度の増加。介護報酬は2%強の削減と、「国債新発と財政出動拡大」の真逆の路線を突っ走っています。

一般会計予算は96.3兆円で、「史上最大」などとマスコミが煽っていますが、実は補正予算分を含めると、前年比マイナスなのです。すなわち、緊縮財政です。

話は変わりますが、スイス国立銀行(スイスの中央銀行)が「1ユーロ=1.2スイスフラン」の為替防衛線をいきなり撤廃。スイスフランが、一時は何と40%以上も暴騰しました。

スイス国立銀行は、スイスフランの上昇を抑えるため、無制限のフラン介入(スイスフランを発行し、外貨を買う)を非不胎化でやってきました。非不胎化とは、為替介入時に、
「自国通貨の量の増加を相殺する金融調節」
を「実施しない」形の為替介入です。すなわち、スイスが為替防衛ラインを守るために為替介入した際に、外貨購入のために発行されたスイスフランがそのまま「マネタリーベースの拡大」になっていたわけでございます。

結果、スイスは日本の数倍のペースでマネタリーベースを膨張させたのですが、「物価」は上昇しませんでした。

そして、あまりにもスイスフランMBの発行額が増え、スイス国立銀行が怯えて(恐らく)防衛ラインを破棄した途端、超スイスフラン高が発生。さらに、スイスの十年物国債金利は「マイナス0.03%」になってしまいました。

信じがたいことですが、スイスの長期金利は「マイナス」になってしまったのです。もちろん、人類史上最低です。

人類史上初めて「長期金利が1%を割った」のは日本ですが、「人類史上初めて長期金利が0%を割った」国はスイスとなりました。いや、別に超低金利を競っているわけではありませんが。

スイスの事例は、日本に貴重な示唆を与えてくれました。すなわち、金融政策「のみ」で物価上昇や通貨安を目指すことは、「危険」であるという事実です。

日本政府は、金融政策に「合わせた」需要拡大策を講じ、需要牽引型の物価上昇、所得上昇を目指さなければなりません。需要牽引型の物価上昇が起きれば、物価の上昇率を賃金上昇率が上回り、実質賃金は上昇に転じます。

現状のまま、政府が緊縮財政路線を進むと、スイス同様に「金融政策のミス」が発生する可能性が濃厚なのです。

PS
三橋経済塾に入会するには、こちらをクリック
http://www.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

※月刊三橋会員の方には、数千円の会員限定割引が適用されます。

PPS
三橋経済塾の前に月刊三橋の会員になるには、こちらをクリック!
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php

PPPS
月刊三橋最新号のテーマは「フランス経済」。

「ユーロという罠」に落ちた大国の選択とは?
フランスに今が分かれば、日本が見える!

https://www.youtube.com/watch?v=eQUSqYvie2s

関連記事

アーカイブス

【藤井聡】 【警告】東京にとって、「大阪維新」現象は対岸の火事ではない。

アーカイブス

【三橋貴明】第四次産業革命

アーカイブス

【三橋貴明】バタフライ・エフェクト

アーカイブス

【三橋貴明】TPPという主権喪失(中編)~平成の売国

アーカイブス

【施 光恒】日本印度化計画

【三橋貴明】スイスの教訓への1件のコメント

  1. タロー より

    低金利のまま景気が良くなると、バブルにならないか心配です。国債をもっと発行して金利が上がるようにして、国民の所得を上げて欲しいものです。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

最新記事

  1. 日本経済

    【三橋貴明】手取りを増やさないのは自民党

  2. 日本経済

    【三橋貴明】人の意見を変える方法

  3. 日本経済

    【三橋貴明】最強の野党

  4. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】如何にすれば私達は「日本を滅ぼす売国石破政権...

  5. 日本経済

    【三橋貴明】人間万事塞翁が馬

  6. 日本経済

    【三橋貴明】手取りを増やす

  7. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】MMTの提唱者・ビルミッチェル教授をお招きし...

  8. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】【大胆予想】これからの日本の政治はどうなって...

  9. 日本経済

    【三橋貴明】キャスティングボート

  10. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】三沢カヅチカ京都拾得ライブ2024は満席の大...

MORE

タグクラウド