アーカイブス

2014年12月22日

【三橋貴明】グローバリゼーション

From 三橋貴明

——————————————————-

●『月刊三橋』12月号のテーマは「2015年の世界と日本はどうなる?」
世界はデフレ破局へと向かうのか? なぜ、マスコミの経済予測は信じてはいけないのか?

もし、あなたが、世界を正確に知り、嘘情報の被害に逢いたくないなら、、、

http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php

——————————————————-

【今週のNewsピックアップ】
●ギリシャとロシア
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11965976415.html

●「再」デフレ化する日本経済
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11966302354.html

ギリシャとロシア、そして日本の「問題」には、一つ共通項があります。それは、「グローバリゼーション」です。
実は、「グローバル化の度合い」を比べたとき、上記三カ国で「グローバル化が浸透した順位」は、ギリシャ、ロシア、日本の順番になります。意外かも知れませんが、日本はロシア以上にグローバル化していません。国民の認識の話ではなく、実質的な話になります。

グローバリゼーションとは、モノ、サービス、ヒト(労働者)、そしてカネ(資本)の国境を越えた移動を自由化する。そのために政府の規制(関与)を可能な限り小さくし、企業家や投資家が「グローバル」市場において、自由にビジネスを展開することを可能とする。結果的に、経済は成長するという「考え方」になります。

何しろ、政府の関与を小さくするため、「国民経済の成長」「国家の安全保障強化」といった「考え方」とは、置き去りにされざるを得ないわけです。そして、グローバリゼーションに組み込まれてしまった国家は、否応なしに「グローバル投資家」「グローバル企業」に都合がいい政策を採る羽目になり、「国民」が置き去りにされていきます。

とはいえ、何しろロシアも含めたほとんどの国家は「民主主義国」です。民主主義国において、主権を持つのはその国の「国民」になります。結果的に、民主主義が「グローバリズム」にとって最大の敵となり、時にマスコミや言論界を支配し、時にロビイストや産業協力会議の民間議員を用い、民主主義を操作し、もしくは民主主義を無視して「グローバリゼーション」が推進されます。

その国がある程度「グローバリゼーション」に組み込まれてしまうと、民意に基づき政府が「国民のため」に「グローバル」に対して反発しようとすると、制裁を受けることになります。代表的な「グローバリズムの番犬」が、先日も取り上げた記憶がありますが、格付け会社です。

ギリシャは「ユーロ・グローバリズム」に完全に組み込まれてしまっており、国際金融市場で「ユーロ建て」で国債を発行しています。ギリシャ政府は「国際金融市場」における資金調達に際し、ドイツやフランスと「ガチ」で競争をせざるを得ないのです。結果、ギリシャは格付けが引き下げられると、金利が上昇し、下手をすると財政破綻という事になります(2012年に実際に財政破綻しました)。ギリシャは、グローバリゼーションに逆らえない立場なのです(それでも、国民が抗おうとしているのが、現在のギリシャ混乱ですが)
ロシアですが、同国は1998年の財政破綻時とは異なり、現在は対外純資産国です。外国人投資家がルーブルを売り浴びせたとしても、98年時のようにデフォルトには至らないでしょう。

とはいえ、ロシアに対しては「原油安」という武器が使えます。ロシア経済は自分たちで「原油こそが我らが全て」と自嘲する通り、原油・天然ガスの輸出への経済と財政の依存度が高いのです(おかげで、ロシアの貿易黒字対GDP比率は他国よりも相対的に大きいです)

もっとも、ロシアの場合は「原油安」と「ルーブル安」が同時に起きているため、資源価格の下落は、ある程度は通貨安でカバーできます。また、食料とエネルギーを自給できるという点は、やはり強みです。ロシア国民はルーブル安で輸入品を買いにくくなりますが、98年のような財政破綻には至らないでしょう。

そして、日本。日本は国債が100%日本円建てであるため、為替レートがどうなろうとも政府のデフォルトはあり得ません。格付け会社の評価など、無視すればいいのです。もちろん、日本は食料やエネルギーを外国から輸入していますが、原子力発電所を再稼働すれば、貿易赤字は縮小できます。食料についても、多種多様な国々から食料輸入を継続しているため、突然、国民が「飢える」などという事態にはなりません。

日本は単に、国内のデフレーションを解決するために、政府が需要を創出し、国内の供給能力を有効活用することで、国民の実質賃金が上昇する環境を構築すればいいのです。「外需」に頼らなければ、経済成長できない。などという話は、日本ではありません。

それにも関わらず、現実には安倍政権がグローバリズム的な政策を推進し、かつ軍事面ではアメリカ産兵器に「依存」している状況にあります。

現在の世界を支配する「考え方」である「グローバリゼーション」が、各国の様々な問題に関わり合っていることが、現在のギリシャ、ロシア、日本の現状を見ると、つくづくと思い知らされるわけです。

PS
なぜ、経済学は間違えるのか?
なぜ、日本は再びデフレ化してしまったのか?

マスコミと経済学の「嘘」を見抜いて
世界と日本の動きを正確に知りたいなら、、、、
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php

関連記事

アーカイブス

【佐藤健志】未来は誰の手の中に

アーカイブス

【三橋貴明】人口ボーナス論という謎理論

アーカイブス

[三橋実況中継]環境が歴史を動かす

アーカイブス

【藤井聡】『プライマリー・バランス亡国論』こそ、参院選の最大争点である。

アーカイブス

【室伏謙一】岸田政権の脱「改革」は意外といい方向に進むかもしれませんが・・・

【三橋貴明】グローバリゼーションへの3件のコメント

  1. コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. kanata より

    上から目線で何を言っているのですか?「一般人を寄せ付けない」ってどういう意味?「絵にかいた餅」って何のこと?「チャレンジャーとかニッチャー」がなぜ妙な言葉遊びなの?ただ人を不快にするだけの無意味な意見を書き込むのは止めた方が良いと思いますよ。「ゴジラさん」という唯一の親しみを込めた呼び方で、あなたの立ち位置はわかりますけど。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. 匿各希望 より

    三橋氏出演のチャンネル桜の討論「選挙結果とこれからの日本」を観ました。桜の番組をちゃんと見たのは約1年ぶりくらいかな。相変わらず何か一般人を寄せ付けない妙な展開に、かなり引きました。次世代の党が壊滅したのもうなずけます。絵にかいた餅を皆でワーワー騒いでいるだけで、ほとんどの人が地に足がついていませんでしたね。チャレンジャーとかニッチャーとか妙な言葉の遊びにも失笑しました。ゴジラさんの55体制に関する意見はわりと面白かったですけど。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

最新記事

  1. 日本経済

    【三橋貴明】パズルを解く選挙

  2. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】立民・維新の「食料品だけの消費減税」は,まっ...

  3. 日本経済

    【三橋貴明】日本人はどこから来たのか?

  4. 日本経済

    【三橋貴明】「低所得者 対 高所得者」のルサンチマン・...

  5. 日本経済

    【三橋貴明】付加価値税という世界的詐欺

  6. 日本経済

    【三橋貴明】鳥は三匹しかいないわけではない

  7. 日本経済

    【三橋貴明】混迷の政局

  8. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】小泉八雲『日本の面影』の読書ゼミを本日開催....

  9. 日本経済

    【三橋貴明】石破を引きずりおろす手法がない

  10. アメリカ

    政治

    日本経済

    【藤井聡】なぜ,『石破茂という恥辱』という特集号を編纂...

MORE

タグクラウド