日本経済

2016年10月13日

【三橋貴明】脆弱国家「日本国」とジャパニーズ・スタンダード

From 三橋貴明@ブログ

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2016年はアメリカ大統領選挙の年。11月8日に予定されている投票で、その大勢が決まる。

三橋貴明は、このトランプ氏対クリントン氏の争いを
「グローバリズム対反グローバリズム」の戦いと位置付けるが、
「人類の歴史にも関わる戦い」であるとも語っている。

「自己責任」と「奴隷制」と「富の集中」が融合する世界が勝つのか、
「管理」と「助け合い」と「富の分かち合い」が融合する世界が勝つのか。

さらにはここに「経済学」が絡み合い、アメリカ大統領選挙という場でせめぎ合う。

月刊三橋最新号
「2016アメリカ大決戦 グローバリズムと反グローバリズム、勝つのはどっちだ?」
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

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まずは、事実を知っておいて欲しいのですが、
東日本大震災、福島第一原発の事故後に
日本中の原発が停止し、電力会社の収益構造は悪化。

結果的に、日本の各電力会社は「修繕費」を切り詰めていっています。

資源エネルギー庁によると、2014年度の修繕費(10社合計)は、
東日本大震災前と比較して14%減少しました。
特に、修繕費を切り詰めているのが東京電力です。

【日本の電気料金における総原価の内訳】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_54.html#denryoku

図の通り、東京電力の総括原価に占める修繕費の割合は7%と、
10社中最低になっています(ついでに、人件費が占める割合も最低)。

東京電力の決算は14年3月度より
黒字化していますが、これには理由があります。

当時の東電は何としても黒字化を達成しないと、
銀行から融資を受けられない危機的な状況にあったのです。

というわけで、東電は円安による輸入価格の上昇の影響で、
燃料費が2兆9152億円と史上最高を更新する中、
「修繕費の抑制」により最終黒字を達成したのです。

10月12日午後3時過ぎ、東京都内で大規模停電が発生。
「信号が停止する」レベルの停電です。

しかも、文部科学省や厚生労働省など霞が関の官公庁までもが停電。

『都内で延べ58万戸停電 埼玉の送電線から発火

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG12H8B_S6A011C1MM8000/

 
12日午後3時半ごろ、東京都内で大規模な停電が発生した。
東京電力によると、練馬区や豊島区など広い地域で延べ58万戸が停電し、
午後4時25分ごろに全面復旧した。東電によると、埼玉県新座市にある
地下トンネルの高圧送電線から発火し、火災が起きたことが原因とみられる。

同社や埼玉県警が詳しい出火原因を調べている。
 
東京消防庁などによると、同日午後7時までにけが人を伴う事故の情報はない。
 
停電があったのは新宿区や豊島区、
千代田区などを中心とした地域で、延べ58万戸が停電した。

影響で西武鉄道は秩父線と多摩川線を除く全線で運転を一時見合わせ、
都営地下鉄大江戸線なども一時運休した。

東京・霞が関では文部科学省や厚生労働省などの官公庁が停電。
一部の信号も消えた。東京消防庁には「エレベーターに閉じ込められた」との通報が相次いだ。

東電などによると、火災が起きたのは新座変電所(新座市)と
豊島区の変電所をつなぐ同市内の高圧送電線。

電線を覆う絶縁体が破損し、電流が漏れたことで出火したとみられる。(後略)』

大規模停電の原因とみられる埼玉県新座市の
東京電力施設内のケーブルですが、設置から約35年間、
一度も取り換えていなかったとの報道が流れています。

ケーブルの経年劣化が火災につながった可能性が高いのです。
 
東電によると、
「一律に(ケーブルの)寿命を定めておらず、
必要に応じて修理や取り換えをしている」
とのことです。

今後、ケーブルの経年劣化の危険性が重視され、
各ケーブルが交換されていくと、当然ながら
「修繕費」は上昇せざるを得ないでしょう。

いずれにせよ、今回の大停電のような事故が起きると、
それまでは散々に東京電力に「人件費を削れ! 東電は身を切れ!」
などと強引なコスト削減を迫り、同時に東電の(だけじゃないですが)
コスト高の主因である「原発停止」に賛同していた連中が、
「東電は何をやっていたんだ! 修理すらきちんとしていなかったのか!?」
と、東電を叩き始めるのが、最近のジャパニーズ・スタンダードです。

インフラの安全性とは、それなりの費用をかけて
メンテナンスをしなければ、維持できないのです。

特に、全ての産業、国家の安全保障、
そして国民生活の基盤である「電力サービス」は、
安易な「コストカット」で修繕維持費を削減してはならない産業分野です。

別に、東電を責めたいわけではなく、ルサンチマン丸出しで
何でも「他人のせい」にするジャパニーズ・スタンダードの連中に、

「ちっとは、まじめにエネルギー安全保障について考えろ!」
と、強く呼びかけたいのです。

電力会社を批判し、ルサンチマンを晴らしたところで、
サービスの供給能力が劣化すれば、損をするのは国民なのです。

このまま、メンテナンス費用を削減せざるを得ない状況が続くと、
我が国のエネルギー供給は発展途上国化していき、
日本国の脆弱化が進むことになります。

みんなで、真剣に、エネルギー安全保障について考えましょう。

今、皆さんが使っている電気は、同じ国民である電力会社の電力マンたちが
様々な制約(※原発を再稼働できない、など)の中で、
懸命に供給してくれている電気なのです。

ーーー発行者よりーーー

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2016年はアメリカ大統領選挙の年。11月8日に予定されている投票で、その大勢が決まる。

三橋貴明は、このトランプ氏対クリントン氏の争いを
「グローバリズム対反グローバリズム」の戦いと位置付けるが、
「人類の歴史にも関わる戦い」であるとも語っている。

「自己責任」と「奴隷制」と「富の集中」が融合する世界が勝つのか、
「管理」と「助け合い」と「富の分かち合い」が融合する世界が勝つのか。

さらにはここに「経済学」が絡み合い、アメリカ大統領選挙という場でせめぎ合う。

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