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2014年12月3日

【佐藤健志】「この道」について問うべきこと

From 佐藤健志@評論家・作家

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今回の総選挙は、ひたすら「経済」がポイントになりそうです。
自民党は「まっすぐ、景気回復」とか、「景気回復、この道しかない」と謳っていますし、野党は野党で「アベノミクスの失敗」を説くでしょう。

現在の日本をめぐる国際情勢を思えば、外交や安全保障も、もっとポイントになってほしいところ。
ついでに安倍政権は、むしろこれらの分野で成果を挙げているように思われるのです。

しかし、そうなりそうにはありません。
攻めるも景気回復、守るも景気回復という感じです。
集団的自衛権や特定秘密保護法などについて、(批判的な立場から)争点にしようとする人々もいないことはないものの、広がりを見せているとは言いがたい。
パターン化された「反戦・平和」論の繰り返しにとどまっているせいもあると思いますが、やはり有権者の関心が「経済」に集中しているためでしょう。

さて。
「この道しかない」は、安倍総理の好まれるフレーズなのだそうです。
イギリスのマーガレット・サッチャー首相がしばしば使った「There is no alternative」(他に選択肢はない)の日本語訳とか。
もとのフレーズは、頭文字を取って「TINA」とも呼ばれます。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130629/plc13062912000023-n1.htm

良く言えば、強力なリーダーシップで国を導こうとしている。
悪く言えば、「結論先にありき」になっている。

中野剛志さんはこのフレーズについて、「あなたが(他の選択肢を)知らないだけで、いくらでもあるだろ!」とツッコミを入れたことがありますが、これは脇に置きましょう。
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だとしても「他に選択肢はない」と断じるからには、「この道」がいかなる道なのか? という点はハッキリしていなければなりません。
困るのは、まさにそこがよく分からないこと。

藤井聡さん(「一体、どの<アベノミクス>なのか?」、本紙11月25日配信)や、三橋貴明さん(「全部乗せ」、同11月28日配信)が指摘されている通り、総選挙にあたって自民党が掲げた経済政策には、方向性の矛盾が目立ちます。

積極財政によるデフレ脱却を謳う一方、新自由主義的な構造改革も謳い、ついでに2017年の消費税増税は既成事実化、という調子。

「この道しかない」と言うものの、肝心の道が三叉路か何かになっているわけです。
となると藤井さんにならって「この道って、どの道?」と聞き返すしかありません。

しかし見方を変えれば、「景気回復、この道しかない」が意味するところは明快でもある。
問題のフレーズ、「デフレ脱却が果たされていない以上、とにかく景気回復にポイントをしぼることで、有権者の支持を集めるしかない」とも解釈できるのです。

有権者の関心が「経済」に集中しているのを思えば、もっともな話。
けれどもこれは、「日本を、取り戻す」とか「日本再生」といったスローガンの内実が、「景気さえ上向けばそれでいい」というものに移行する可能性も暗示します。
国のあり方全般を見直すはずだったのに、もっぱら経済のテコ入れになってしまう次第。

今に始まったことではありません。
石油危機によって高度成長が終わった1970年代半ばいらい、戦後日本のあり方を見直そうとする動きは何度も生じましたが、決まってこのパターンをたどってきました。
すなわち、

1)見直しの動きが生じる背景には、経済の低迷にたいする不安がある。
2)したがって、景気回復が最優先課題ということになる。
3)景気回復が達成されると、(1)の不安が解消されるので、それ以外の見直しを行う気運が(とくに国民の側で)なくなる。
4)回復が達成されないと、(1)の不安が解消されず、「景気回復が最優先課題」という状態が続くので、やはりそれ以外の見直しを行う気運が(同じく、とくに国民の側で)なくなる。

「2→3」のパターンが目立ったのが1980年代で、「2→4」のパターンが目立ったのが1990年代だったと言えるでしょう。
2000年代は両者の中間だった気がします。
詳細はこちらをどうぞ。
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となると現在、われわれがすべきは
「この道って、どの道?」という問いかけと、
「この道って、もう何度も通った道じゃないの?」という問いかけを、
同時にしてゆくことではないでしょうか。

争点がないと言われる今回の選挙ですが、なかなかどうして、そうでもないのです。
http://chokumaga.com/magazine/free/152/11/
http://ch.nicovideo.jp/k-chokuron/blomaga/ar672975

ではでは♪(^_^)♪

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PS
「この道」の中味を数字を基に具体的に検証するなら、
「月刊三橋」が参考になります。12/10まで。
http://youtu.be/FYzYGcCtZpI

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