From 浅野久美@チャンネル桜キャスター&「月刊三橋」ナビゲーター
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先日、チャンネル桜の収録本番中に、スタジオの天井から何かがポトンと落下して来ました。一瞬、雨漏りかな・・・と思い、隣でニュース解説をされている西村幸祐さんの渋い声に相づちを打ちながらも、もう一方の意識でその物体を目で追ったところ、小さな蜘蛛が私の左上腕部を軽快に這い上がっている最中でした。
「蜘蛛とヘビは殺してはならない」と、我が家では代々伝えられているので、画面に映っていないところで軽く振り払ったのですがなかなか離れてくれません。まぁ、派手なブローチと見まがうような大きなクモならさすがに映像的にどうなの、といったところですが、1センチくらいの可愛い蜘蛛なので通常なら放置すればよいもの。
ただ、ふと、脳裏をよぎったのが、たまたま数日前に何かで見た、最近再び全国で増殖中だという特定外来の毒種『セアカゴケグモ』の画像だったりするのです。なんでも、噛まれると5分〜数時間で全身に痒みや痛みを感じ、発疹が出るのだとか。命にかかわるようなものではないと聞きましたが、あまり人サマの前でバリバリ身体を掻きむしるわけにもいきません。
そして、まさにトコトコと這い上がって来ようとしているその蜘蛛のボディにも、確かに細いオレンジ色のラインが入っているような・・・
「はっ!もしかしてこれは誰かが持ち込んだ毒蜘蛛テロ」「私は本番中に痒みを我慢して卒倒してしまう悲劇のハロウィン」・・・などと思ったとか思わなかったとか。
まぁ、そうこうしているうちに、背中に回ってしまったので、朝日新聞の『信頼回復云々・・の委員会』に選ばれた社外委員4氏(ただのお友達委員よね)や、産経前支局長の在宅起訴(すでに拉致監禁じゃないですか)を語る西村氏の怒りの美声?に再び意識が戻ったところで、ちょうどニュースのコーナーは一区切りとなった次第です。
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蜘蛛は、蠅や蚊、ゴキブリなどの害虫を食べてくれるので、見た目は悪いけれど決してヒール役ではない、ということは知られていますが、かつて江戸時代には、飼っている蜘蛛を個々に持ち寄り、蠅を捕獲させて競わせるお座敷遊びが流行った、というのですから、昔から蜘蛛のハンター魂の強さには定評があったのですね。
しかも、あのビジュアルなのに『座敷鷹』などと愛され、なかでも強いものは高値で取引されたらしく、専用の容器に凝る文化にまで発展したらしいのです。
ふだんはおっとりとした歩調なのに、瞬時にして俊敏に動くハエトリグモは、調べたら英語では『ジャンピングスパイダー』と呼ばれているそう。捕獲瞬間の動画なども観てみると、鮮やかな狩り方が意外にもちょっと感動モノ。あらためて、有益(人間にとって、ですが)なのか害毒なのかは見た目で判断してはいけない・・などと、今さらながら自分に言い聞かせたりする今日この頃です。
というわけで、足の長いクモの動きを遠目で観察していると、なぜかタラバガニが食べたくなる、最近は冷酒嗜好の浅野です。
みなさま、今週もお天気不安定の中、お仕事お疲れさまでした。
芥川龍之介の『蜘蛛の糸』は、私も子供の頃に何度も手に取り、読む度に納得しながら読了感を楽しんだお話のひとつですが、「自分さえ良ければいい」という身勝手な考えが、どれほど邪悪なものであるかを、挿絵の美しい蓮池のイメージとともに刻まれるのは、道徳の授業で何度も先生に教わるより強い刺激でした。
ただ、大人になるにつれ、このストーリーにふと、疑問も残ったりします。
一度だけの善行で、極悪非道の大罪による罰から主人公のカンダタだけが救われる(チャンスを得られる)・・・というのは、なんだか現代に照らし合わせるとちょっぴりバランスが悪いようにも思えてしまうのですよ。
しかも、お釈迦さまが垂らした命綱の蜘蛛の糸に、善行もなしの他の罪人たちまでが便乗してそのまま天国に上がってしまったら、それはそれで別の不公平が生じるかも・・・なんてね。大罪を犯したら、それに見合う罰はきちんと受ける・・・その思考も必要ですよね。ま、それより先に、まずは『ごめんなさい』ですが。
・・関係ないけど、任務を全うしただけなのに朝日新聞に『死神』などと中傷された元法務大臣の鳩山邦夫さんも、このお話は子供の頃に兄弟で読んだりしたのかな。
そうそう、蜘蛛の糸といえば、昨年、山形のバイオ繊維会社がQmonos(くものす)という、人工的に合成した蜘蛛糸繊維を作ることに成功しました。蜘蛛の糸って実は大変丈夫なもので、同じ太さの鋼鉄に比較すると、なんと5倍の強さ。今後は車のボディなどに応用するべく、強化複合材料を開発中なのだとか。
以前から世界でも研究されていて、
アメリカでは陸軍の防弾服に蜘蛛糸を使うお話もあったというくら
いですから、
伸縮性や耐熱性にも相当優れた素材なのだと言えますね。
糸の束で電車を止めるスパイダーマンのパワーも、
あながちスーパーフィクションではないのかもしれません。
あの緻密な蜘蛛の巣、子供の頃に度々制作過程を観察しましたが(子供ってヒマなんです)、彼らの仕事は存外に速く、あっという間に仕上げてしまう職人芸です。屋根裏で古い巣が頭に引っかかったりすると気分は最悪ですが、ただ、雨上がりにキラキラ揺れる、作り立ての蜘蛛の巣なんて、見とれてしまうほどのアート。レース編みの達人だった祖母の腕前にも匹敵するくらい、仕事が正確で迅速だ、と驚いたものです。
いやはや。蜘蛛の世界にもどうやら色々な未来がありそうですね。
お釈迦様が垂らした極楽からの蜘蛛の糸も、実は鋼鉄の5倍もの強度があって簡単には切れない・・とわかっていれば、大泥棒のカンダタも、安心して仲間を連れて天国に到達し、ストーリーは大きく変わっていたのかもしれません。
さて、秋の夜長、今夜は『スパイダーマン』を観ながらタラバガニ(缶詰だけど)のグラタンかな。
ではでは、みなさまよい週末を!
PS
秋の夜長に『チャンネル桜』を観よう
http://www.ch-sakura.jp/
PPS
『チャンネル桜』といっしょに、このVideoを観よう
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【浅野久美】蜘蛛をつかむお話への1件のコメント
2014年10月19日 4:18 AM
くものすまう♪蜘蛛合戦の様子を映像で拝見したことがございます。大の大人が強い「力士」を求めてモンゴルの、、もとい鹿児島の山奥まで分け入る様子はとても微笑ましいものでした。日本各地に季節ごとのさまざまな風物詩がありますけれどもわが家の秋の訪れは南側の網戸に卵を産みにいらっしゃるカマキリと北側の裏庭に咲くホトトギスで感じております。今夜はお部屋の蜘蛛の巣を愛でながら渋茶に羊羹を頬張りつつ消え入りそうな虫の音に耳を傾けようかと。
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