From 三橋貴明
【今週のNewsピックアップ】
●改革
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11928491708.html
●フランスよ、お前もか
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11930388311.html
今年3月に刊行された、中野剛志氏と本メルマガ執筆者、佐藤健志氏の対談本「国家のツジツマ」を、今頃になって読んでいます。
本書の中で、お二方は「保守主義」「自由(市場)主義」「社会主義」の関係について見事な整理をされているのですが、現在の世界はレーガン・サッチャー以降、
「保守主義を装い、『新』自由主義を推進する」
政治スタイルに席巻されてしまっています。
理由について、同書では、
「社会主義が崩壊し、21世紀において自由主義に対抗する思想が生まれておらず、保守主義が組む相手がいない」
と、分析されていますが、心底から同意してしまいました。
そもそも、保守主義とは「ゼロベースの改革」やら「抜本的改革」、「グレート・リセット」といった激しい「改革」ではなく、既存のシステムの良い部分は認め、「メンテナンス」を繰り返すことで社会を少しずつ良い方向、安定し、秩序だった方向に導くという考え方だと思っているわけですが、ある意味で「日和見的」にならざるを得ないわけです。日和見的な「思想」は、強烈なインパクトを人々に与える「別の思想」には、なかなか勝てません。
しかも、小泉政権はもちろん、フランスのサルコジ政権、韓国の李明博政権にせよ、
「保守主義を装い、『新』自由主義を推進する」
結果、いつの間にか各国で「保守主義」と「新自由主義」がイコールになる状況になってしまうわけですから、極めて厄介です。新自由主義のベースとなっている新古典派経済学は、社会主義とは「逆方向」に理性中心主義の思想であり、市場の力を過大評価し、政府の規制や関与を徹底的に減らすことを求めます。
結果、既存のシステムが「構造改革」の名の下に壊されていくわけですが、
「それが、保守主義です」
と言われても、どう考えても違うでしょう、と反論せざるを得ないわけでございます。正直、三橋には社会主義も新自由主義も、既存のシステムを破壊し、社会の安定を喪失させ、「国民」を勝者と敗者に分けていき、ナショナリズムや安全保障を揺るがすという点で、同じに見えてしまうのです。
現在の日本では、保守派の政治家と考えられていた安倍総理が、「改革」の名の下に、我が国の既存のシステムを破壊する(ドリルで貫くそうですが)政策を推進しています。特に、TPPと外国移民は、将来に渡り修正が困難という点で、「保守主義」的には極めて危険な政策であると思うのです。
そして、グローバリズムと戦うことを標榜して選挙戦に勝利したフランスのオランド大統領も、ついにトリクルダウン政策、つまりは新自由主義的政策に舵を切りました。結果的に、支持率が暴落してしまっていますが、フランスの場合はユーロ加盟国です。ユーロ加盟国は金融政策や財政政策が施政者の自由になりませんので、オランド仏大統領が高失業率を改善するために「何か」をやろうとした場合、構造改革以外にほとんど選択肢がないのでございます。
日本の場合、選択肢、あるいは「正しい政策」を採用できるにも関わらず、各種の規制緩和やTPP、移民受入が推進されています。なぜ、こうなるのでしょうか。
「国家のツジツマ」でも取り上げられていましたが、結局は「思想」「考え方」の問題なのでしょう。三橋は「価値観」という言葉を使うケースの方が多いですが、大本の思想が間違っている限り、正しいデータを使ったとしても、適切な解決策は導き出せません。
ケインズではないですが、
「世界を支配しているのは、考え方以外にないといえるほどだ」
が真実なのです。だからこそ、三橋はできるだけ多くの「国民」の方々に「正しい考え方」を知ってもらいたく、今日も講演で語り、メディアに出演し、キーボードに指を走らせるわけでございます。
PS
韓国が絶対に日本人に知られたくないこととは?
https://www.youtube.com/watch?v=ZK5RY5rIGs8
【三橋貴明】世界を支配するものへの4件のコメント
2014年9月30日 5:18 PM
なんで保守を自負する年輪を重ねた政治家が、国民の暮らしを衰退させる新自由主義的政策に邁進するのか私は、「国民のポジション」に対しての「考え方」が違うからだと思いますこれはジェネレ−ションギャップであると思います石原慎太郎さん辺りは「国民は国に為に死ぬべき」という教育が潜在意識に刷り込まれた世代三橋先生あたりは、そんな事を言う大人がいなくなった世代の違いですゆえに前者は国が盛り上がる為なら国民の暮らしが犠牲になって然るべしと(無意識に)思い、新自由主義に傾倒し後者は「国民を貧乏にするとは何事か!」と経世済民を説くのだと思いますQ:ちょっと待て!若いのネオリベがいるのはどう説明する?A:「俺もきっと弱肉強食の世界でセレブになれる」(中学2年生)や、若いうちにトントン拍子に事業がうまく行ってしまった企業家や、生まれもってお金の心配の無い2・3世議員。珍説を説いても何故かクビにならない大学教授etcの事だと思いますが「単に庶民の苦労を知らない、他人の痛みがわからない」という浅い理由で、「世代間による価値感の相違」みたいな小難しいものとは違うと思います今は泰平の世である日本国において「生きて事を成す」これこそが最大の報国でありその環境を作るのが政治家の使命であり「生き難く、産み難く」の世の中を作る新自由主義こそ最大の亡国でありそれを推し進める者は誰であれ日本人の敵であると私は考えるのです
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年10月2日 4:25 PM
「考え方」♪囲碁でいうところの「勝手読み」新自由主義は勝手読みの見本消費増税ひとつを例にとっても大失着なのは目にみえてるのに己の非を認めず屁理屈をつけては負け碁を打ち続ける無様な態度プロが一番嫌う棋譜を汚す行為をなさるようではプロの資格などありません。ザル碁しか打てないような彼らをプロに推したのは誰だ??そうです 我々でございます。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年10月3日 3:11 AM
前も書かせて戴きましたが欧米のエリート層や大企業の資本構造に詳しい、ベンジャミンフルフォードさんと共著して戴けますと嬉しいどす。CROSSでも前に共演なさっていた事どすし。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年10月3日 11:31 AM
三橋先生の御活動を常につねに応援しております。> 既存のシステムの良い部分は認め、「メンテナンス」を繰り返すことで社会を少しずつ良い方向、安定し、秩序だった方向に導くという考え方だと思っているわけですが、諸手を挙げて賛同いたします。”保守”という言葉、ビジネスの世界では「maintenance」を思い出しますが、思想や哲学の世界での訳語は「conservative」をつかうことがあるようですね。どうやら日本語では概念の空間が違うようで、「保守」と「守旧」の差異で説明しないと、一般的には意図が通じにくいのかなと思いました。あ、でも、「そうだっ!メンテとしてのドリルだ!!」なんていまどきの偉い人に言われたらもう、「見解の相違であります」としか答えられなくなっちゃいそうですね。そのような関係性で具体論を交わすのは建設的でなく、仮に、より根源的な議論ができるならばそのときに会話して解決を、ということですが、それじゃ人生哲学の論争になるわけで、このあたりは人生や社会が(インテリでなく)大衆に教えてくれることを待つことになるのでしょうか。。。。。先生が適切な考え方を広めている精力的な活動の今後のますますのご発展を、自転車操業サラリーマンの場からお祈りいたします。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です