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2014年4月7日

【三橋貴明】中国とアメリカの構造

FROM 三橋貴明————————————————————

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【今週のNewsピックアップ】
●中国共産党というグローバリスト
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11812223533.html

●資本主義制民主主義
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11814088284.html

現在の中国とアメリカを見ていると、「グローバリズム」が最終的に目指す姿が分かります。すなわち、民主主義を可能な限り抑制し、一部の投資家(国内投資家には限りません)が所得を独占する社会の構築です。

言う前でもなく、中国には民主主義がなく、すでに、
「共産官僚、太子党、国内企業家たちがグローバル投資家と組み、中国国内の環境や人民の安全を無視した事業展開を行い、所得をトリクルアップ(吸い上げ)し、築いた財産は外国に移し、家族を移住させ、最後は自分も逃げる」
という「キャリアパス」が成立しているわけでございます。

2014年3月30日、中国の広東省茂名市でパラキシレン工場建設に反対する1万人規模のデモが発生。地元政府は武装警察を動員し、催涙弾や高圧保水で鎮圧しました。武装警察に殴打され、市民八名が死亡し、負傷者は数百人。共産党政府はすでに情報統制に乗り出し、ネット上の書き込みが大量に削除される事態になっています。

中国では現在、年間に二十万件近い暴動、政府への抗議行動が発生していると「言われている」わけでございます。以前の共産党政府は、年間の暴動件数を律儀に公表していました。ところが、05年に年間の暴動件数が8万7千件(!)を超えたという発表を最後に、公表しなくなってしまいます。06年以降、年間の暴動件数が10万件を超すようになったためと考えられています。

現在は、少なくとも一日に500件以上の暴動が発生している計算になるわけですが、何しろ中国人民には選挙権がありません。投票行為で「政治的」に問題を解決できない以上、中国人民に残された手段は陳情、賄賂という手段に訴えるしかなく、それでもだめならば命がけで「暴動」に走るしかないのです。

茂名市のパラキシレン工場建設は、石油大手の中国石油化工集団が地元政府と連携し、プロジェクトを立ち上げようとしたものになります。地元政府とは言っても、もちろん地域住民の投票で選ばれたわけではありません。北京政府から派遣された共産官僚です。大手企業が共産官僚と結び、地元の「環境」「安全」を無視してプロジェクトを進める。お馴染みのパターンでございます。

イギリスがインドを支配していた帝国主義時代、ネイボッブという言葉がありました。すなわち、東インド会社に統治された当時のインドで巨万の富を築き、イギリスに帰国した「インド成金」たちです。東インド会社の社員たちは、それぞれが会社の業務以外に個人的な交易をすることが認められており、それぞれが植民地インドにおける「ビジネス」で多額の所得を懐に収め、財産家として帰国したのです。

当たり前ですが、東インド会社はインドにおいて「インド人のための経世済民」など考えず、インド地域の環境や住民の福祉、安全にも考慮しません。とにかく自らの所得を最大化すること「のみ」を目的にビジネスを行い、現地から収奪した富を蓄積して財産を築き上げたわけです。

現地のインド住民には、もちろん民主主義に基づく投票権はなく、政治的に状況を変えることはできませんでした。まさに、現在の中国人民の多くが、植民地時代の現地人と同じ立場に置かれていることが分かります。中華人民共和国は「中国人民である共産党員、太子党、富裕層」が、同じ中国人民から容赦ない搾取を行う、現代版植民地国家なのです。

また、民主主義があればそれで話が済むかというと、そうでもなく、アメリカでは政治資金に関する「規制」が次第に緩和されていき、議会制民主主義ならぬ資本主義制民主主義が成立しようとしています。すなわち、「お金」を多く持つ者が政治を動かし、自分たちの所得をさらに増やすための制度構築が可能なよう、規制が緩和、撤廃されていっているのです。そして、アメリカの政治資金における規制緩和の理由が、「言論の自由」というわけでございます。

言論の自由をお題目に、政治資金に関する規制緩和が進み、次第にアメリカのマジョリティの国民は民主主義を(事実上)奪われつつあります。ジョセフ・スティグリッツ教授などが「1%対99%の状況にある」と主張しているのは、まさに現代のアメリカが「1%の高所得者層」による所得簒奪を許す社会構造になりつつあるためです。

上記の中国やアメリカの構造が理解できると、今後の日本が「どうするべきなのか?」「いかなる国を目指すべきなのか?」が、明確に見えてこないでしょうか。

PS
三橋チャンネルができました。毎日更新中!
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【三橋貴明】中国とアメリカの構造への6件のコメント

  1. びちゃらん より

     考えていたのですが、左的民主党(中身は様々混在していたのでしょうが)も経済政策的にはネオリベ(新自由、緊縮切捨)的だった。ことを考えると、自民党(中身は様々混在していたのでしょうが)も左面的(名称からすれば)部分は絶つにしろ、経済政策的にはネオリベであれば、自由でありながら社会が分断される管理、階級社会が創られ、行き着く先は過去の共産主義社会、をめざしていくのでしょうか? 経済的にネオリベ志向者、党と言うのは、共産全体主義を目指しているのを隠していると言えるのか?。 だとすると‥‥頭内破壊。チャイナとアメリカ、どっちにもなりそうな雰囲気あるよ。オーマイガー!発狂コメント。

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  2. cheesetoast より

    中国とアメリカは似てきたから引き合うのですね。まさに「類は友を呼ぶ」と言うところです。毛沢東というひとは中国ではさぞ立派な統率者であったのだろうと写真が出てくるたびに思っていたのですが、上念氏によると4500万人もの国民を虐殺したと「悪中論」の宣伝で語っておられました。中国もアメリカもついに自分の足まで食べだした。人間の体でもそうですが末端が働かなくなると機能不全になって社会が立ちいかなくなるでしょう。お金だけ奪ってよそへ逃げるのは犯罪ですよね。弱いものをたたいて強いものがのさばる生き方は日本人の性癖には向いてないと思いますが、原発事故を日本が抱えた十字架と認め、社会福祉を本当に充実させなければそれこそ切り捨ての社会になってしまいます。能天気な安倍ちゃんはどう考えておられるのでしょうか。もうすでに消費税が上がったことで悲鳴が上がり始めてる。また自殺者が増えるのではないでしょうか。せめて普通に働いて助け合えば生きれる世の中に置いといてほしいと思う庶民です。消費税10%を阻止する手立てはありますか。

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  3. ヌコ より

    三橋大老も、国際金融資本に多数占めるアシュケナージ改宗ユダヤ教徒(及び、ロックフェラーCFRやビルダバーグ会議等に関しても)に関して分析戴きたく思います。米国でリバタリアン等が小さな政府を提唱しているのは、金融業界(彼らアシュケナジム)と政府の癒着が酷過ぎるからこそ、彼ら国際銀行家に対して抗議している事が背景にあると言われています。日本が新たな日米同盟を模索する時に共闘できる相手は、こういう田舎というか、行き過ぎた銀行家の暴走に警鐘を促し、国民経済を希求するアメリカ人なのではないでしょうか?ミッツ師匠の提唱する、グローバリズムVS民主主義、は、今まさに世界中がそれをリードしてくれる存在を求めて居る所かと思いマウス。その辺、頼んマウス。

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  4. ofu_1 より

    すみません、少し話題がちがうのですが、時節がらです。stap細胞について。 厚生労働省はアホの集団か? 結果として小保方晴子(敬称略)の虚偽だとしても、stap細胞の人間の生命限界への破壊力はダイナマイト(ノーベル)級と思います。 厚生省の介入理由として、もし本当ならstap細胞の人間社会に与える影響の大きさから個人の虚偽、真実を超えて、stap細胞再現を支援することに決定しました。国内の信頼できる機関のなかから3社、米国2社、中国1社、英国、ドイツ、フランス、カナダ、各1社にstap細胞再生実験を依頼する決定をしました。上記くらいのことをしないのかな? 福島原発事故で、もしや核爆発かも?と、関西のホテルが満室になったように自分に関する以外は無関心で、社会的な重大事かは理解できないフシを感じます。 世界中のどこかの医薬、医療の大企業が成功しましたと発表することも考えられます。とすると担当者には、小保方はウソつきのほうが都合がよくなります。 スポンサーと自分の利益の為だけに小保方を叩いてるマスコミにはうんざりします。ひょつとすると大手医薬医療企業の暗躍があるのかも?(映画のみすぎと思う) やまとなでしこの実験が成功しますように応援しましょう。マスコミも応援してね。

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  5. ゆう より

    シナやアメリカの状況を知るとホント恐ろしいですね。 日本は絶対にそのような状況になってはならんですね。 台湾の学生達のデモから学ぶ事はたくさんあると思います。 彼らは自由貿易よりも民主主義を想い、自分達のアイデンティティを護るために行動を起こしてるのですから。

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  6. 横須賀鬼太郎 より

    中華人民共和国は「共産党員、太子党、富裕層」が、中国人民から搾取を行う、現代版植民地国家です。アメリカは、資本主義制民主主義が成立し、「お金」を多く持つ者が、自分の所得をさらに増やすための制度構築が可能なよう、規制が緩和、撤廃されていっている。上記の中国やアメリカの構造が理解できると、今後の日本が「どうするべきなのか?」「いかなる国を目指すべきなのか?」が、明確に見えてこないでしょうか。 三橋さんの指摘、全く同感です!

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