From 島倉原@セゾン投信
————————————————————–
●知らないと怖いチャイナ・リスクの実態とは?
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_china.php
————————————————————–
おはようございます。
週明け8日に発表された4〜6月期GDPの2次速報値は下方修正。
実質GDPは前期比のみならず、前年同期比でもマイナスに。
「1〜6月を平均して6カ月ベースで前年同期と比較するとプラス1.3%と、全体のベースは上がっている」(by 宮下財務副大臣)とのことですが、今後どうなることやら。
http://s.nikkei.com/Ys1J4V
同じ日のニューヨーク市場では、6年ぶりとなる1ドル=106円の円安ドル高。
「円安なら株高」と言われますが、グローバル経済の動向によっては、「円安でも株安」の局面が来ないとも限りません。
実際、前回増税のあった17年前はそうでした。
さて、今回のタイトルである「危ういデフレ脱却期待」。
実は今年の3月、消費税増税直前に私自身が書いたブログ記事(およびチャンネルAjer動画でのプレゼン)のタイトルそのままです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-44.html
「ブレーク・イーブン・インフレ率」という指標があります。
元本・利息が固定された一般的な国債と、消費者物価の動向に応じて元本・利息が変動する「物価連動国債」の「市場利回りの差」から算出されるもので、「金融市場における、将来のインフレ率の平均予想(いわゆる予想インフレ率)」を示すとされています。
この指標が順調に上昇しているとして、岩田日銀副総裁が景気の先行きに自信を示したのが今年の2月。
http://bit.ly/1AsRWqN
http://bit.ly/1qBo2iU
「ブレーク・イーブン・インフレ率も全然上がらない状態が続いており、予想インフレ率が順調に回復しているとは言えないのではないか」という指摘に対して、「年度後半にかけて再びインフレ率は徐々に加速してくると思っています」と黒田日銀総裁が答えたのが先週9月4日、金融政策決定会合後の定例記者会見。
http://bit.ly/1rUiR0e
http://bit.ly/1ry3Gna
ブレーク・イーブン・インフレ率は、消費税増税が実行に移された4月以降頭打ちになっていますが、この要因は2つあります。
1つ目は言うまでもなく、先行きの景気見通しに対する悲観が時間の経過と共に強まっていること。
2つ目は、消費税増税自体がブレーク・イーブン・インフレ率の押し上げ要因になっていること(!)。
後者は、計算の根拠となる物価連動債の元本と利息を決定する消費者物価指数が「消費税込み」であることから生じる現象です。
だからこそ、安倍首相の消費税増税意向が報道されるようになった昨年9月以降上昇に弾みが付き、実際に増税されて「将来の伸びしろ」がなくなった今年4月以降は頭打ちになっている、というわけです。
でも、そのせいで上昇していただけだとしたら、どうでしょう。
「真の意味でのデフレ脱却期待や景気改善期待を反映していない、見せかけのパフォーマンスに過ぎなかった」ということにはならないでしょうか…。
「デフレ脱却期待の指標として使うのであれば、『増税によるかさ上げ分』は取り除くべきではないか?」
「実際取り除いてみたら、既に昨年5月に頭打ちになっているではないか!」
「実質的に頭打ちになったのは、政府が増税(=緊縮財政)の姿勢を打ち出したからではないか!!」
という着想で、裏付けとなるデータを示しながらまとめたのが上記「危ういデフレ脱却期待」です(URL再掲)。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-44.html
残念ながら、「実質的なデフレ脱却期待」の低下トレンドは、その後も変わっていないようです。
今度は、(年度後半に?!)消費税10%への引き上げが確定した途端、再びブレーク・イーブン・インフレ率の上昇に弾みがつくかもしれません。
そうなった時に、「さすが黒田総裁、予想的中!!」という報道や言説が踊るようならケッサク、もとい笑うに笑えません。
その後に控えるのは…財政の崖?!
やはり、日本経済を救うのは積極財政しかありません!!
というわけで、今月25日(木)に開催される、日本経済復活の会のご案内です。
今回は、日本原子力開発機構の小型高温ガス炉研究開発ユニット長である橘幸男先生をお招きして、次世代原発の1つと目される「高温ガス炉」の開発状況について講演いただきます。
(参考記事)注目高まる安全な原発 日本がトップ「高温ガス炉」 国が開発推進(産経ニュース)
http://on-msn.com/1tvfMls
本メルマガの初回記事で述べた通り、緊縮財政によって引き起こされた電力会社の設備投資意欲引下げが、原発の安全対策を怠らせて事故を引き起こした構造的・マクロ的な要因である、というのが私見です。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/07/17/shimakura/
この問題を解決するには、原発の安全対策を電力会社にとっても割に合うものにするために、積極財政を実行して経済全体を持続的な成長軌道に乗せるべきであることは言うまでもありません(当然、今のままでは不十分)。
他方で、現行方式の原発には、「安全対策によるコストアップ」「使用済み核燃料処理」「大型化(小型では費用面で割に合わない)に伴う(万が一の場合の)事故リスクの高止まり」「立地面での制約」といった課題があるのもまた事実です(意見が分かれるところかもしれませんが、核兵器開発技術との親和性、という問題もあるでしょう)。
こうした課題の解消あるいは極小化をもたらすのが次世代原発ではないか。
積極財政の具体策として次世代原発の実用化支援を加速することには、国民経済上の、あるいはエネルギー安全保障上の意義があるのではないか。
【島倉原】危ういデフレ脱却期待?への1件のコメント
2014年9月11日 4:01 AM
原発に関しては、技術や現場力云々以前に、現在の政府の如き不誠実、かつ高圧的な連中に核技術を持たせる事そのものが非常に危険ではないか、と危惧しております。たかが経済問題でさえ直視できないような腑抜けに核汚染や核事故といった国家の一大事に対してまともな対応を期待する事ができるでしょうか私は甚だ疑問に思っております。例え国民がバタバタ死ぬような事態になったとしても自分たちだけは無関係だ、と頬かむりを決め込むような懸念がどうしても晴れない原発自身のリスクというか、それを用いる上で政治的な成熟性が日本には無いのではないか少なくとも事実を過不足なく捉えて迅速に対応する気が見えないと俄かには賛意を示しがたいのが本音です
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です