From 適菜収@哲学者
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●知らないと怖いチャイナ・リスクの実態とは?
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暴走族は大きな音を出して迷惑です。
でも、気持ちはわからないでもない。
大きな音はわくわくしますから。
では他人に迷惑をかけずに大きな音を出すためにはどうしたらいいか。
バンドをやるべきでしょう。
どれだけ爆音を出しても、せいぜい難聴になるくらいです。
というわけで、今回は先輩のミュージシャン、山田大介氏と、バンドをはじめるときの心構えについて語り合いました。
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【コンセプトを確定させる】
山田 ロックンロールを演奏したいなら、ローコードでもいいので、まず三つコードを覚える。それと、ちょっと跳ねた8ビート。ベースもルート音だけで十分。これでたいていのロックバンドはできますよ。
適菜 そこまで出来れば、プロのミュージシャンとは程度の差の問題ですからね。今は有名な曲はMIDIになってフリーで公開されているから、パソコン上でそれを引っ張ってきて使えばいい。ドラマーやベーシストがいなかったら、そのパートだけ使えばいい。
山田 スパークリングパートナーとして、練習にも使えるよね。
適菜 ノートパソコンをスタジオに持っていってもいいし、実際のライブで使ってもいい。ライブで緊張するなら、事前に録音しておいて、ステージでそれを流せばいい。それで、楽器を弾いているふりをする。
山田 昨今のJポップはそうでしょう。
適菜 ステージに立って脚光を浴びるのが目的なら、それでもいいわけです。
山田 デュラン・デュランの武道館公演もそうだったらしい。もともと口パクのバンドなんだけど、そのときは開き直って全員なにも持たずにステージに出てきたんだって。
適菜 そこまで徹底していれば立派だなあ。でも口パクでもグラミー賞くらい取れるんですよ。昔、ミリ・ヴァニリって二人組の歌手がいたんだけど、別のバンドに歌わせておいて、本人たちは口パク。それでグラミー賞の最優秀新人賞をとっちゃった。
山田 口パクでも相当なところまで行ける。
適菜 後でバレたらしいけど。音痴な人にとっては、明るい話ですよ。北京オリンピックの開会式で唄っていた女のコも口パクだった。あれは不細工な女の子が唄ったのを録音して流していたんだよね。それを批判している奴もいたけど、あれは中国の歌謡界がデュラン・デュランやミリ・ヴァニリと同じステージに立ったということなんだよ。
山田 オレらが子供の頃、学校の掃除の時間に、ほうきをギターに見立てて弾いているマネをしたじゃないですか。リッチー・ブラックモアのマネとか。あれでもいい。ダイソーに行ってほうきを買うの。部屋もきれいになるし。楽器ができないうちはエアーもいいんです。
適菜 形から入るのは大事ですからね。AC/DCやりたかったら、まず半ズボンを買いに行くとか。
山田 だから楽器の技術をみんなからほめられたい奴は練習すればいいし、手っ取り早く人気者になりたかったら、とりあえずステージに立てばいい。
適菜 音楽の本質においては、テクニックは二の次です。いいバンドは技術が高いかというとそうも言えない。技術を求めるなら、スタジオミュージシャンを使えばいい。でも、特にアマチュアバンドの場合は、そうではないものが求められているわけでしょう。
山田 そうだね。
適菜 だから、テクニックをいくら磨いても、いいバンドになるとは限らない。もちろん、技術は大切だけど、それが目的になってしまうとつまらない。
山田 モテるのが目的だったら、演奏よりもファッションのほうが大事だし。本当に緊張してしまうなら、お酒を大量に飲んでベロンベロンになってステージに上がるのもいい。
適菜 演奏なんて間違えてもいいんですよ。だって、ライブで曲を正確に再現してもつまらないじゃないですか。そこからはみ出るものが面白いわけで。
山田 でも今の若者は、CDの演奏どおりにライブで再現しないと批判するらしいよ。「ライブは下手だったねえ」って。一方、CDどおりに演奏するバンドは高く評価される。それなら、自分の部屋でCDを聴いていろという話なんだけどね。
適菜 それだったら、ライブ会場でCDを流せばいいんですよ。
山田 だから、バンド活動はコンセプトを決めることが大事。
適菜 自分がなにをやりたいのか。それが決まれば、バンド名から演奏する曲まですべてが決まる。人前に立ちたいのか、立ちたくないのか。自分の曲をやりたいのか、他人の曲をやりたいのか。プロになりたいのか、なりたくないのか。最初にそれだけは決めておいたほうがいいね。
【どんな曲からはじめたらいいの?】
山田 多くの人はギターで簡単なコードを鳴らしながら唄ってみたりすると思うんでけど、男の人が歌う場合、キーはGがいいんです。歌本はCからはじまっているものが多いけど、それだとダイヤトニックスケールでは絶対にFのコードが出てくる。C→F→Gって。このFのコードで挫折する人が多いんですよ。
適菜 1フレットを「せいは」しなければならないからね。
山田 でも、Gの場合はG→C→Dとなる。これだったら、初心者のハードルも低くなる。GのキーだとDmがたまに出てくるけど、Fより簡単。それに男の声だと、Cでは高すぎる。
適菜 Cだと女性ボーカルでちょうどいいくらいですよね。カラオケで女性歌手の曲の場合、キーのメモリを6個くらい下げなければならない。
山田 そのあたりがGです。そのまま唄おうとするから挫折する。
適菜 でもカポつければいいわけですよね。
山田 便利なものがあるんだから、初心者ほどカポをつかったほうがいいよ。
適菜 それと簡単な曲を選ぶことですね。最初から難しいことをしようとしないほうがいい。ギターだったら、Am、Dm、Emだけ覚えるとか。
山田 岡林信康みたいなフォークの曲は、それだけで結構弾ける。演歌もそうです。これは日本人の琴線に触れるコード進行ですよ。このコードを鳴らすだけで、日本人ならおのずと頭にメロディーが浮かびますよ。
適菜 美空ひばりの「悲しき口笛」とかね。
山田 エレファントカシマシも、ほとんどの曲が簡単なコード進行。
適菜 「チューリップ」や「エーデルワイス」みたいに、バンドメンバーの頭の中にすでに入っている曲はやりやすい。最初は、ユニゾンでメロディーだけを弾いてもいい。「エーデルワイス」をユニゾンで爆音でやる。
山田 それだけでもサウンドとして面白い。地球上であまり鳴らない音楽だからね。
適菜 どちらかというと、爆音でやるのが大切。
山田 あと30年くらいしたら、電気も配給制になるかもしれない。そしたら、爆音出せなくなるかもね。だから、「せめて2010年代、みんなで爆音出しましょう」ってオレは思うんだよ。他人が出している爆音は、「うるせえな」って思うこともあるけど。
適菜 自分が出す爆音はそんなにうるさくないんだよ。
山田 「8時だョ!全員集合」がはじまるときに、長さんが「8時だョ!」って叫ぶでしょう。オレの友達はあれを見て泣いていたの。「どうして泣いているの?」と訊いたら、「大きな音を聞いたら、不思議に涙がでたんだよ」って。
適菜 その気持ち、よくわかります。
山田 たしかに、オレも涙腺がウルっときたんだよね。収ちゃんは、オーケストラの音圧でやられたことってない?
適菜 ありますよ。
山田 生楽器が鳴るだけで、ウルっとくる。
適菜 最初から最後まで爆音でやっても、そのうち耳が慣れてしまい面白くなくなる。その点、クラシックは、メリハリをつけて爆音を聴かせる技術と計算がありますね。
山田 オレが小学校のときに市民オーケストラが新潟に来たことがあって。その演奏を聴いて泣いてしまった。とにかく音圧がすごかった。ああいう衝動があったから、今も音楽を続けていられるような気がするね。
適菜 パーラメントのライブで、一曲目が「Pファンク」だったりするじゃないですか。最初は静かに演奏を始めて、焦らしに焦らす。20分くらい経ったところで、やっとジョージ・クリントンがステージに出てきて、ラップというか語りを始める。その間にメンバーが30人くらいステージに上っていて、合図と共にホーン隊とギターが一気に爆発する。
山田 ああいう演出には学ぶところが多いな。
適菜 たとえば「チューリップ」という曲をやるにしても、一番は「咲いた、咲いた」と静かに弾いて、二番からは爆音でやればいいと思うんですよ。
山田 みんなで同時にファズとディストーションを踏む。
適菜 ドカーンと。
山田 子供が泣くくらいの勢いがいいかもしれない。
適菜 つまらないバンドって音が小さいじゃないですか。音が大きかったら、とりあえずOKみたいなところがありますからね。人間って130デシベルくらいで失神するらしい。だから、120デシベルくらいまでは出してもいいんですよ。
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知らないと怖いチャイナ・リスクの実態とは?
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_CN_mag_china.php
【適菜収】大きな音を出そうへの4件のコメント
2014年9月13日 8:58 PM
日本人が委縮して活力が失われている事を心配して、書いて下さっている気がしました。
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2014年9月15日 4:13 AM
最近、適菜収さんの「はさみとぎ」で(まだ一部分ではありますが)色々読ませていただいており、大変ためになりました。つきましてはこのメルマガのほうでも「B層」や「おしゃべりは身を滅ぼす」といったテーマの話も伺ってみたいな〜と思い、コメントした次第です。
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2014年9月16日 7:01 PM
コード覚える前にイングヴェイの速弾きを覚えてしまってスミマセン
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2014年9月18日 2:39 AM
敵菜さんのメルマガは初めて最後まで読ませていただいたのですが、面白かった、というか、ためになりました。楽器など下手でもいいんだ、弾けなくてもいいんだ、というのは目から鱗です。こうした真理を若い頃に知っていれば、僕も爆音スターになれたのではないかと…。
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