From 三橋貴明
————————————————————–
●「月刊三橋」最新号のテーマは、「イラク危機」。
三橋貴明の無料お試し音声を公開中
https://www.youtube.com/watch?v=KHNs1OBKsVc
————————————————————–
【今週のNewsピックアップ】
●バイトマン独連銀総裁と魔物
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11899490526.html
●財政均衡主義が日本を壊す
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11899962063.html
財政均衡主義という魔物が、再び日本を覆いつくそうとしています。
4月の消費税増税の悪影響が深刻であることが判明する中、政府は来年度の概算要求基準(シーリング)において、
「義務的な経費も抜本的な見直しを行い、可能な限り歳出の抑制を図る」
「社会保障について合理化と効率化に最大限取り組む」
「公共事業などに充てる費用を10%低く抑える」
等を骨子に盛り込むことを明らかにしました。さらに、来年10月の再増税に向け、経済環境が極端に悪化する状況を「想定の範囲内」と抽象論で片づけ、各種の既成事実化を始めています。
今の時点では、今年の12月に安倍総理が「再増税」を宣言するのは、既定路線であるとしか言いようがありません。
この財政均衡主義という魔物は、極めて厄介で、97年以降の日本の衰退化と「財政悪化」の主犯と言っても過言ではありません。
しかも、財政均衡主義が政権を支配すると、国民が貧困化するのに加え、例えば、
「介護報酬を抑制する。結果、介護サービスの賃金水準が(さらに)下がり、人材が流出。人手不足が深刻化し、外国移民受入が推進される」
「公共投資を抑制する。結果、労務単価引き下げにより人材が流出。土木、建設の人手不足が深刻化し、外国移民受入が推進される」
「高度医療の保険適用を抑制する。結果的に、自由診療の割合を高める混合診療が推進され、【平等な医療】が崩壊する」
などなど、国家の国の形を変えかねない政策への「道」を切り拓いてしまうのです。
現実には、国債が100%自国通貨建てで、金利水準が世界最低。中央銀行が毎年70兆円もの国債を買い取り、政府の「実質的に返済しなければならない負債」が減り続けている我が国に、財政問題など存在しません。
我が国に存在する問題は「国民の所得の縮小」であり、財政問題でも「国の借金」とやらでもないのです。
ところが、財政問題が(存在しないにも関わらず)クローズアップされた結果、増税や政府の支出削減が断行され、国民の所得をが縮小します。国民は税金を所得から支払っているため、
「国民の所得が下がり、税収が減り、財政赤字が増え、それを理由に緊縮財政が断行され、国民の所得が下がり、税収が減り、財政赤字が増え、それを理由に緊縮財政が断行され」
という、悪夢の悪循環が延々と続いていくことになってしまうのです(続いています)。
安倍政権は、上記の悪循環を断ち切ると謳い、政権を握ったわけですが、結局は財務省に取り込まれてしまいました。しかも、国政選挙はしばらくはありません。
そうなると、国民にできることは二つ。
一つ目は、安倍政権の支持率を下げ、レームダック化し、余計な政策(国民の所得を引き下げる政策)を推進できないようにすること。
同時に、二つ目として、与党の議員に働きかけ、国民の所得を引き下げる政策を国会などで妨害してもらうこと。
今回の消費税増税のインパクトは、正直、三橋の想定以上に大きい(酷い)です。これはまことに不幸な状況ですが、逆に景気の低迷が安倍政権の支持率を引き下げ、レームダック化し、国会議員の声が通りやすい環境が生まれるかも知れません。
とにもかくにも、安倍政権には早急に「想定外」を認め、大規模な景気対策(補正予算)を組んでもらわなければなりません。そして、安倍政権に想定外を認めさせ、補正予算を組ませると、
「今回の消費増税は失敗だった」
という国民的コンセンサスが形成され、財務省主導の緊縮財政路線に歯止めをかけることができる可能性が生まれるわけです。
というわけで、とりあえずの目標は政府に「想定外」を認めさせること。これに尽きるのです。
PS
イラク問題から見える日本の危機とは?
https://www.youtube.com/watch?v=KHNs1OBKsVc
【三橋貴明】日本を壊す考え方への3件のコメント
2014年7月28日 4:17 PM
安倍政権の支持率自体は下げたくないですね。支那朝鮮に対峙するには、安倍総理の外交手腕が重要と考えます。万能な御仁はこの世に存在しないですから、経済が苦手な事自体、責める気にはなれません。が、それだけに、新自由主義とか言う勢力に付け込まれ易い。また、新自由主義の筆頭者の、背景の勢力が勢力ですから。除き方を間違えれば厄介だし、かと言って、総理自体は経済が苦手。財務省に取り込まれた故に、三橋先生方が訴える、「日本に合った経済政策」が安倍総理に届かないなら、「財務省主導による失敗」として、官僚機構を叩いた方が良い。「体勢を崩す」事が出来れば、風を送り込める可能性が出て来ます。安倍総理自体は、(外交)戦上手とお見受けします。これはパワーバランスを背景とした、力加減による駆け引き。これを大雑把に「水平ライン」とすると、経済成長云々、って、「軸を縦に」取っていると思うんです。「時間軸」ですよね。新自由主義、筆頭の経済識者が、「実は某勢力の代表に過ぎない」とか、「それ、経済学関係無いじゃん(呆)」とツッコミたいのですが、「ホンモノの経済のプロ」が参戦するには、戦況として恐恐とし過ぎていると。新自由主義なんて、強弁ですよ。あの勢力の目的は「国益」ではなく、「個の利益」でしょう。勢力と勢力の潰し合いになった時、結局追い出されてしまっては、戻って来るのは大変です。その苦労は、安倍総理、誰よりもご存知でしょうから。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年7月28日 9:37 PM
>一つ目は、安倍政権の支持率を下げ、レームダック化し、余計な政策(国民の所得を引き下げる政策)を推進できないようにすること。概ね賛成ですが、支持率を下げることが目的化してしまっても危険だと思うのですよ。やはり問題点(経済政策が根底から誤っていること)を明確にして、相当声高に批判していかなければ、例によってまたおかしな連中に巧妙に論点をミスリード(たとえば国土強靭化や原発再稼働政策に問題があったかのように印象操作)されると、次にできる政権がろくなものにならないからです
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年7月29日 5:16 AM
恥ずかしながら私、読書スピードが遅くて、図書館から何度も繰り返し借りて今読み続けている本『ショック・ドクトリン』。著者はカナダの女性ジャーナリスト、ナオミ・クライン。出版は岩波書店なので左翼本ですが、”左翼と日本派の共通の敵”であるミルトン・フリードマンのシカゴ学派、新自由主義のワールドワイドな悪行の数々が記されています。その流れが、中曽根の国鉄民営、日米構造協議、年次改革要望書、NTT民営化、郵政民営化、TPP、消費増税、移民問題など、日本の市場を狙っている。安倍さんは「悪魔をやっつける」と言ったそうですが、シカゴ学派の歴史を見れば悪魔は、安倍さんの心に巣食っている新自由主義(原理的資本主義)です。安倍さんの心に巣食っているものは、なぜ悪魔か?天安門の虐殺・インドネシアのスハルトの虐殺・エゴイスチックな富裕層の誕生・貧困層の拡大…などを生み出す経済システムだからです。思うに、本当の経済学は『瑞穂の国の資本主義』であって、三橋さんや渡邉さんや藤井さんや東田さんなど日本派保守層が考えている経済学です。今、世界を席巻していて、IMF、世銀などを根城にし、ワシント・ンコンセンサスなどを根拠にするような勢力は、リーマンショックでだいぶ力を落としたはずですが、まだこの経済観は生き延びています。これに代わる『本当の経済学』は、日本に生まれていますが、まだメジャーとはいえません。『資本原理主義』は、環境問題と同じで、自然搾取か、社会搾取かの違いだと考えられます。自然搾取し続けると、自分の生存基盤が崩れる。同じ理解を新自由主義者・富裕層はすべきです。 2674.7.28
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です