From 宍戸駿太郎@筑波大学名誉教授/国際大学名誉教授
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●●マスコミが言わない「韓国の不都合な真実」とは
https://www.youtube.com/watch?v=e9f7FntISwU
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1. _ _ _人口予測は絶対であり、経済予測は人口予測の従属変数か?
これまでは少子高齢化は日本の宿命で、今世紀末には人口の半減化が避けられない。特に地方の人口減は加速化し、最近の人口動態予測では65歳以上の高齢人口は増えても、現役人口は頭打ちから徐々に減少化に転じ、15歳未満の年少人口の低迷傾向も改善していない。25年後の2040年には、総人口は一億人を割るかもしれないなどと言われ始め、アベノミクスの震源地:政府部内でも漸く危機感が表れ始めている。
成長悲観論者は、なぜ今更騒ぐのか?20年続いたデフレ時代のあとに少子化と人口減少が続くのは当たり前で、日本は少子高齢化社会の最先進国だから、世界にその範を垂れるべきだと楽観している。
しかし最近安倍政権の下の内閣府では有識者委員会:選択する未来委員会を立ち上げ、人口問題を本格的に取り上げると報じられている。あまりにも遅すぎたっという感じはあるが、アベノミクスの今後前途多難を考えれば、この委員会に期待するところは大きいかもしれない。
その場合のテーマは3つ考えられる。
1、 _ _ _少子化対策(財政支援をふくむ)
2、 _ _ _雇用対策:特に婦人の活用と高齢者再雇用
3、 _ _ _海外からの移民対策
このうち3の移民対策は問題が多く、欧州各国をはじめ、移民国家アメリカでも深刻な社会問題があり、慎重な考慮が必要であるから、以下1.と2.に議論を集中して考えてみよう。
2. _ _ _人口理論と経済理論
元来人口問題は優れて経済問題であり、両者は相互依存の関係にあり、古典派経済学では両者を陽表的に扱ってきた。しかし近年経済学が人口離れして純粋化すると、人口理論も純化する傾向を示し、両者の相互依存関係は次第に希薄になってきた。とくに人口予測が長期化し、技術化すると、経済学との離婚現象が顕著になり、人口政策自体も狭い視野の中に閉じこもり気味となって今日に至っている。
人口分析の分野では保険手法の適用が中心となり、いわゆるコホートモデルが主流となり、社会医学的視点からの協力が人口予測の補完的役割を果たしてきた。
社会保障政策もこの傾向に流され、経済政策の役割も補助的な傾向が強くなっているのが今日の現状である。
3.DEMIOSモデルと日米共同研究の始まり
われわれは、1985年に総合研究開発機構(通称 NIRA)の支援のもとで、アメリカのペンシルバニア大学のノーベル賞のL.R.クライン教授グループと共同研究チームを発足させた。
われわれ日本グループは筑波大学と国際大学の共同研究者が中心で、日米の中期計量モデルの共同研究が主要テーマであった。
具体的には、日米の経済依存関係について2つの多部門年次モデルを結合し、貿易と資本の相互依存関係を加え、マクロの財政・金融政策と産業政策の効果を中長期にわたりシミュレーション分析を行うことが目的であった。
この場合両国とも年次ベースの計量経済モデルであり、通常の4半期データをベースとする短期予測のマクロモデルと違って、2〜3年予測ではなく、5年ないし10年間の中期経済変動の予測と政策シミュレーションを目的としていたため、雇用と人口予測も重要な変数として登城した。この場合必要な人口変数は、出生数、死亡数、年齢階級別人口数、移出入人口数であり、研究の結果はこれら人口変数が生産、雇用、消費支出、住宅投資等に与える影響も極めて大きいことが判明した。
人口政策との関係では出生数は雇用規模、失業率、政府支出(とくに医療・保険・育児対策)と住宅投資が大きく影響し、一方、死亡数は医療費、介護費、社会保険給付が有意に影響することが、日米共通の貴重な研究成果として記録されている。一方人口増加が与える影響は、家計消費と住宅・設備関連投資については需要拡大効果を、他方、雇用・賃金・物価に関しては供給サイドの拡大効果を与えていることも両国共通に検証されている。
一方死亡率は医療介護支出や社会保険給付が延命効果を通じて人口の拡大効果を発揮していることも検証され、ここでも人口政策と経済政策との積極的な相互関係が有意に検出されたのである。
日本経済の20年デフレは、政府の慢性的な財源不足から積極的な人口対策は抑制され、非常勤雇用の拡大などの雇用不安が拡大し、一方で少子化対策の手遅れから晩婚化、独身人口の増大など、経済不況と人口少子化の悪循環環が定着したのである。これは日本経済の宿命ではなく、人災そのものであって、今日の深刻な人口問題の実態は、経済問題こそが主因の一つで、日本の人口問題を悪化させ続けてきたのである。人口 → 経済ではなく、経済 →人口の側面がほとんど無視されて、今日政府による人口減少予測がこれに拍車をかけてきたといってよい。
では人口予測を今後いかに改善すべきかを以下に検討してみよう。
私は、アベノミクスはが女子の就業促進や、高齢者の雇用誘導などとともに、総合的な経済成長の加速化と積極的な少子化対策に今こそ乗り出す絶好のチャンスにあると考えたい。このためには積極的な財政出動と金融支援が不可欠であるが、最後に人口変動が経済政策といかに密接に連動しているかを示す分析例を掲げて読者のご参考に供したい。
4.経済政策と人口変動
以下に掲げる回帰分析結果(第1表)は、1970年以降の人口変動を高齢化比率のような1)人口要因とGDPや、失業率、物価のような2)経済と景気要因、政府消費、公共投資、長期国債金利、住宅資産のような3)政策要因の3要因から説明したものである。
決定係数、ダービンワトソン比率ともに良好であるが、タイムラグの検出にはやや苦心を要したが、一応満足な結果が得られている。公共投資は7年、住宅投資は6年、長期国債金利は5年のラグを伴い、人口増加への説明力の向上に寄与していることがわかる。経済事情の改善が雇用と所得の増加を通じて婚姻と出産に至るまでのラグを考えると、この程度のタイムラグは妥当であり、一方、同じ財政支出でも政府消費比率は少子化対策や医療費支援などによる人口増加への影響力は極めて高いことがわかる。
国土強靭化のための公共投資は一見タイムラグが長いように見えるが、短期ではGDPの増加と失業率の減少と物価の上昇とをもたらす効果をも考慮すると、意外に早い効果が期待できる。
今後、アベノミクスに期待できるとすれば、人口減少の兆候におびえ、マイナスの指向に陥ることなく、大胆な経済成長と完全雇用への早期の切り替えこそが重要で、これこそが人口対策への第一歩であることをまず自覚すべきであろう。
<第1表 総人口の回帰分析結果>
http://www.mitsuhashitakaaki.net/images/regression_analysis_table.jpg
PS
日本のマスコミが語らない不都合な真実とは
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php
【宍戸駿太郎】人口と経済:バラバラの発想から抜け出そうへの3件のコメント
2014年7月27日 6:32 PM
面白いのは海外留学を声高に叫び、若者を海外に棄民させようとしている人たちの世代は留学人数が今よりも少ないということ。ある元官僚がデフレでも失業率が高くても問題ないと豪語し、その理由として「若者は海外に行けばいい、そうすればイノベーションを起こせるから、それを日本に持ち帰り起業すればいいだけ」と断言していましたw自分はそんなことをしたこともないのに、どうしてこういう妄想を真顔で言えるのか不思議です。昔なら海外志向すぎると、しっかり足元を見ろ!と老人や年長者には一括されることもありました。しかし、現在は海外に出ることは善で、何も問題が無いかのような雰囲気が蔓延しています。一昨年だったか、右も左も分からないような大学生の御嬢さんが、海外協力?ということでルーマニアに一人で行き、到着まもなくに強姦殺人されるという事件がありましたね。リスクから目をつぶり、海外に行くことは良いことという短絡的な風潮は国内を軽視し、今与えられている日本という恵まれた環境への感謝の念を忘却してしまう危険性をはらんでいるように思います。その状況が長引けば、いずれその恵まれた環境を失うことになるのではないかと危惧しています。そして、もっと重要なのは日本人を海外へとする一方で、中国人、韓国人はなぜか日本に招き入れる日本政府に非常に疑問を感じますね。(そうすることは中国、韓国の一般国民のためにもならないと思う)安倍さんもその流れの中にいる。。。彼も彼なりの国益を追求しているのかもしれませんが、正直期待はずれですね。日本派の政治家はもう登場しないんですかね。。。
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2014年7月27日 7:42 PM
政府は、お絵描きからお勉強したほうがよろしいですな。構図の全体像もなく、またキャンパスの大きさもなく、おもくもに自分勝手に落書きをしているレベルです。絵の題名も途中でかわるし。日本を病気でよく例えることがあるけど、病気ちゃうで。飯(財出)食うたら治るで。唯一の病気は頭の病気ちゃうか。
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2014年7月27日 11:15 PM
経済(成長否定の主思考蔓延) →人口(実態に影響してきた)の側面 男女同権やフェミニズムが少なからず影響してきている部分もあるのでしょうか? 内閣は何故先生のような方々を奨励しないで、シャブ汚染業界たる方々を重宝するのでしょうか?残念でなりません。 やはり実態が引っ繰り返っているとしか思えません。アンタッチャブル内閣です。
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