From 適菜収@哲学者
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●●マスコミが報じない不都合な真実とは
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こんにちは。適菜収です。
バンドというのは、人を束ねるから「バンド」なのですね。
私と山田さんはこれまで100以上のバンドをつくってきましたが、その中にはわれわれと同じ構想でメジャーになったプロミュージシャンもいますし、結成して二時間くらいで解散したバンドもあった。
つくったものはいつか壊れるし、どうせ死ぬし、だったらバンドをやったほうがいい。
以下、バンドをつくるときの心構えについて、私の先輩のミュージシャン山田大介氏と語ったものです。
「与太じゃないか!」と批判するのはやめてください。
与太なんだから。
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すぐに集まってコンセプトを決めよう!
適菜 思い立ったら吉日というか、鉄は熱いうちに打てというか、友達と連絡がついたらすぐに集まったほうがいい。そこでバンドのコンセプトを決める。
山田 次の土日には、とりあえず集まって、喫茶店でコーヒーでも飲みながら、話をしたらいいよ。フットサルの場合は、ある程度人数が集まらないとチームが組めない。それに、対戦相手がいないと試合になりません。でも、バンド活動は、空いた時間を有効に使うことができるのでお勧めです。
適菜 わざわざスタジオを借りなくても、最初はカラオケボックスで練習したっていいんだから。
山田 スタジオ代はばかにならないからね。せっかくお金を払って練習しても、いいものができないと、仲たがいの原因にもなる。だから、なるべくお金がかからない場所を確保することが大事。暖かい季節だったら、公園でやるのもいいね。
適菜 高校生や大学生だったら、学校の施設を利用してほしい。
山田 うまくいかないことがあるかもしれないけど、試行錯誤することも楽しいよ。
適菜 とにかく最初はまず集まって、担当する楽器を決める。でも、昔からそうだけど、「ギターをやりたい」って奴が多いんだろうな。
山田 未来のバンドの形式として全員ギターでもいいと思う。イーグルスだって、ギターが5人くらいいるからね。それでドラマーがボーカルという画期的なバンドでしょう。
適菜 あれは、「オレはギターがやりたい」って譲らない奴が5人いたんでしょうね。
山田 だから、そんなにこだわらなくていい。この際だから、全員ベースだっていいよ。
適菜 全員ボーカルでもいい。ゴスペラーズだって全員ボーカルなんだから。ハモれなくてもいいんですよ。全部ユニゾンで唄い倒す。
山田 スマップもそうだからね。
適菜 きちんとハモリが決まると、なんだか腹立ちませんか?
山田 偽善のにおいがする。
適菜 だったら、スマップのほうが面白い。バンドのあり方としてはね。今はテクノロジーが進化しているから、微妙な音程まで修正してしまうでしょう。あれはつまらない。
山田 音程が若干ずれているのが重要だったりするからね。
適菜 スマップがきちんと唄えるようになったら、スマップの魅力は半減すると思う。だから、どういう音楽をやりたいかを最初に決めなければダメです。
山田 やりたいものをとりあえず提案していく。反対されても、「オレは絶対これがやりたいんだ」と食い下がってもいい。それはそれでホットなコミュニケーションが生れるはずです。
適菜 絶対、ヨーデルをやりたいとか。
山田 気概があれば、伝わりますよ。収ちゃんが昔つくったR・M・O(リハビリテーション・ミュージック・オーケストラ)は画期的なバンドだったね。
適菜 とりあえず、友達をほとんど入れた。もちろんバンド名は、チャーリー・ヘイデンの『リベレーション・ミュージック・オーケストラ』を文字ってつけました。あのバンドも、チャーリー・ヘイデンの友達が集まって、みんなで楽しそうでいいなと。
山田 チャーリー・ヘイデンの呼びかけに応じて、15人ほど集まった。それで「自由とは何か?」をテーマにコンセプト・アルバムをつくるんだよね。
適菜 カーラ・ブレイ、ドン・チェリー、デューイ・レッドマン、ポール・モチアンといったそうそうたるメンバーが集結した。それで後から気がついたんですが、「リベレーション」の頭文字は「L」なのに、「リハビリテーション」は「R」だった。それで、「L・M・O」を名乗るつもりだったのに、「R・M・O」になっちゃった。
山田 生きていくのは大変だから、音楽で魂を解放しようということだね。
適菜 身体のリハビリ、魂のリハビリとしてのバンド活動です。宗教やイデオロギーで魂が解放できるわけがないんだから、酒飲んで音楽やっていたほうがいいんですよ。音楽は自分の価値観を投影したものだから、自分のカッコいいと思うものを素直につくればいいわけです。
山田 バンド活動は、どういうものがカッコいいのかという価値観を仲間と共有するプロセス。だから、面白いんだろうね。会社だと利害も絡むし、勝手なことも言えないでしょう。「気持ち悪い」なんて言われて仲間はずれにされる。
適菜 仲間を集めて酒を飲む口実にするというのも、バンドの目的のひとつだよね。
山田 みんなで集まって話をするのは楽しいからね。たとえ、バンド活動が失敗しても、そのまま野球チームにすればいい。4人だったら麻雀でもいいし。
適菜 それで麻雀に飽きたら、バンドを再開すればいい。気軽にやったほうが成功する。
バンド名が決まらなかった場合はこうしよう
適菜 その次はバンド名ですね。バンド名はバンドの方向性を決めるようなものだから、重要です。
山田 それはすぐに決めたほうがいい。バンドに魂が入るからね。バンドに名前がついた瞬間に、満足しちゃうこともあるけど。
適菜 バンド名が決まれば、半分は達成したようなものですよ。広い意味では、それもバンド活動ですから。
山田 「オレ、バンド始めたんだよ」って、世の中に自信をもってアピールできるようになる。会社の同僚や友人も「へえ、バンドやっているんだ」なんて羨望の目で見てくれるかもしれない。だから、どんどん広言したほうがいい。
適菜 なにもない人にとっては大きな変化だし、ハクがつく。
山田 日々アピールしていれば、バンドに参加したい奴もでてくるかもしれない。でも、大酒くらってヨタを飛ばしつつ、バンド名を決めるのは楽しいよ。最初に二つくらい作っておいてもいい。
適菜 バンド活動が停滞してきたら、同じメンバーで違う名前のバンドをやることもできる。だから、10個くらいバンド名があってもかまわない。
山田 今日は演歌をやるから、このバンド名を使おうとかね。
適菜 Pファンクはまさにそうでしょう。メンバーはほとんど同じなのに、バンド名はたくさんあった。最初に曲をつくって、「これはファンク色が強いからパーラメント」「これはロック色が強いからファンカデリック」と各バンドに割り振っていた。
山田 オレたち昔、ほかにどんなバンドつくったっけ?
適菜 コンセプチュアルなバンドだと、ケミカルズってありましたよね。当時、上野駅周辺にイラン人がたむろしていたじゃないですか。それで彼らが履いているケミカルジーンズを買ってきて、みんなでそれを履いて、中東問題を唄うというバンド。
山田 そこからまた、歌詞もうまれるからね。思いつかなかったら、自分の名前を出してもいい。それに適当なグループ名をつければいいんです。敏いとうとハッピー&ブルーとか。
適菜 秋庭豊とアローナイツみたいに。ハッピー&ブルーとかカーディガンズとか、どういうバンドなのか、名前からはイメージできない。ほとんど意味を持っていない。でもそれでいいんですよ。有名バンドでも、たいした名前ではない。ローリング・ストーンズとかね。
山田 あれは、マディ・ウォーターズの「転がる石」が元ネタ。
適菜 ドゥービー・ブラザーズの「ドゥービー」はドープのことでしょう。大麻が大好き。チック・コリアのリターン・トゥ・フォーエバーは「永遠回帰」だね。
山田 あれは『ビッチェズ・ブリュー』の時代に作られたバンドだから、マイルスの思想的影響下にあったんだろうね。
適菜 あれも変なバンドでしたね。
山田 自分に正直にやったら、ああいうバンドができたんだろうな。そういう意味ではニーチェやゲーテもネタとして使えるね。
適菜 すでに有名な単語を利用したり。かつてのライブドアは倒産したけど、広告を打ちまくっていたので知名度があった。それでオン・ザ・エッヂというIT企業の社長だった堀江貴文が、「ライブドア」という名前を買って、一気に表舞台に出た。
山田 すでに有名な名前を拝借すると。
適菜 すでに存在しないバンドの名前をもらってしまえばいい。落語の世界でも勝手に名跡を襲名する奴がいるじゃないですか。個人名をパクってもいい。鮎川誠の「サンハウス」みたいに。
山田 江戸川乱歩の『人間椅子』など文学作品を利用する方法もある。
適菜 兄弟三人でバンドを組むなら、カラマーゾフの兄弟とかさ。
山田 それでロシア民謡をやる。
適菜 あと、人が書いた詞を勝手に歌ってもいい。著作権が切れた作品だったら、なんの問題もないですよ。
山田 高田渡なんか、それやってるからね。
適菜 アマチュアだったらなおさらです。
土地の力を最大限に利用する
適菜 バンドのコンセプトを決めるときに、土地の力を利用する方法があります。たとえば、AKB48と秋葉原。宮沢和史は山梨県出身なのに沖縄の力を利用している。われわれも昔、適当なバンドをいくつかやったじゃないですか。「練馬系ファンク」とか「御徒町系フリージャズ」とか。当時は、渋谷系に対抗しなければならないという、ムダな危機意識がありましたからね。
山田 年寄り集めて巣鴨系とかね。
適菜 でも、あれはなんで渋谷系だったんだろう?
山田 先日、渋谷のHMVが閉店しましたよね。1990年の開店のときは、今までにない外資系のレコード屋ということですごい話題になった。それがレアグルーブのCDを再発売するという動きに繋がっていく。
適菜 なるほど。
山田 あのムーブメントはHMVがつくりだしたんですよ。いい作品はいいんだから、幅広く昔のアルバムも陳列しようという方針。それと試聴機をたくさん置いた。今だと珍しくもないけど、当時は画期的だった。それで、若い人たちが過去の作品を聴くようになった。その発信源がたまたま渋谷だったんだね。
適菜 具体的にいうと渋谷系ってどういう人たちなんですか? オリジナル・ラブとか?
山田 日本独特のレゲエバンドのフィッシュマンズだったり、ピチカート・ファイヴだったり。
適菜 地名の力はすごいですね。高円寺系は自給自足で成り立っているし。
山田 高円寺には、変なレコード屋やライブハウスが多い。あれはあれでアマチュアを相手にした商売が成り立つという一つの証明だよね。売れないバンドが4組くらい出てきて、ショボイ音楽やっているんだけど、ライブハウスを経営しているおじさんはそれで飯が食えている。
適菜 だから、中野でも荻窪でも吉祥寺でもなんとかなる。
山田 都内だったら、なんとかなりますよ。長万部とかそういう僻地はつらいと思うけど。
適菜 それと、曲を作るうえで、地名を利用する方法がありますね。演歌だったら上野とか。
山田 出稼ぎ労働者が東北線でやってきてねえ。集団就職もあったし。
適菜 それで恋に破れると上野から電車に乗って地元に帰るわけですよね。「津軽海峡・冬景色」って。成功すると、銀座の歌になるんだけど。ロックの場合は、あまり地名を歌詞に組み込まないですね。
山田 単純に田舎のことを唄いたくないんじゃないの。都市民としての幻想の中で暮らしている人たちだから。
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今回もこんな感じですが、次回もたぶんこんな感じ。
適菜収のサイトはこちら。http://www.geocities.jp/tekina777/
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呉智英先生との対談『愚民文明の暴走』
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PS
マスコミが報じない不都合な真実とは
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_sv2.php
【適菜収】どこから始めればいいのか?への3件のコメント
2014年7月19日 3:11 AM
チャーリー・ヘイデン、つい最近、死んでしまいましたね。http://www.cnn.co.jp/showbiz/35050803.html
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2014年7月20日 7:56 AM
ビッチェズ・ブリュとかP-ファンクとかドゥービーとかチックコリアとか、適菜のオジサン、、、モロ同志(笑)小生、ブラックサバスのギーザー・バトラーのプレイでベース一筋なのん…ちなみに尊敬するスティービーやハンコックが草加って本当なのん?ショックなのん。
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2014年7月21日 11:25 PM
人間椅子、カラマーゾフの兄弟ウケた!笑ってもうた。
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