日本経済

2020年8月4日

【室伏謙一】日本否定の元凶は何だろう?

From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表

 

 私の知合いがSNSでこんなことを書いていました。「日本のイノベーションを阻害している要因は何でしょうか?」

 その答えは、当然、コーポレートガヴァナンス改革、金融ビックバンや会計ビックバンに始まる金融資本主義の進展、そしてMBA。更にその結果生まれた短期主義、なのですが、コメント欄に並ぶのは、「前例主義」、「既得権益」、「同調圧力」、「縦割り行政」、「固定概念」、「減点主義」、「近視眼的」等、的外れというか頓珍漢な日本否定論ばかり。しかも大喜利よろしく楽しんで書いているような様子。

 イノベーションが生まれる前提条件は、長期的で安定的な雇用や投資であって、短期間でどうにかなるものではありません。当然、財政面を含めて国の関与も重要です。

 これら「大喜利」で書かれていた概念というか言葉たちは、端的に言ってイノベーション云々とは全く関係ないものばかりか、言葉の意味、更に今我々が享受しているイノベーションの果実はどう生まれてきたのか等について全くの無知ばかり。あまりにも◯カすぎて、怒りを通り越して呆れてしまいました。

 「大喜利」参加者にとってのイノベーションとは、実際のところ、M&Aで買ってこいとか、今まさに果実になろうとしている技術や研究開発の成果をいいとこ取りするとか、その程度の認識なのでしょう。

 それにしてもどうしてこのような日本否定論、日本否定思考は生まれてきたのでしょう?しかもそれを楽しむかのような、ある種の精神構造が出来上がってしまったのでしょうか?

 少し考えれば、「おかしい」ということが分かりそうなものですし、そもそも関連性がないわけですから、少なくとも矛盾や疑問を感じてしかるべきです。ところがメディアを通じて流布されるこの「大喜利」のような嘘話を鵜呑みにして更に拡散させる、こんなある種自虐的な民族は他にはいないのではないでしょうか。

 だから、ほとんど日本破壊計画と評してもいい「成長戦略実行計画」、別名「特定勢力のための利益増進計画」も、批判的に注目されることはなく、「当然の内容だ」程度の認識でやり過ごされてしまうのでしょう。何が問題かについては、拙稿「コロナ禍のドサクサで進む「成長戦略実行計画」は、日本を破滅させる」 (https://diamond.jp/articles/-/244503) をご参照ください。

 さて、現在に直接的につながる日本否定論の源泉はバブル崩壊後に求めることができるでしょう。しかしそんな日の浅いものではなく、もっと根深いものであると私は考えています。大東亜戦争敗戦でしょうか?それも日本否定を強化する転換点にはなったと思いますが、それよりももっと前なのです。

 そんな話を解説した、経営科学出版のオンライン講座「政・官・財で読み解く日本解体30年史」を現在収録中です。第一弾の「官僚編」が9月上旬頃には販売が開始されますので、ご関心のある方々は是非ご購入いただければと思います。

関連記事

【室伏謙一】日本否定の元凶は何だろう?への6件のコメント

  1. 神奈川県skatou より

    とても興味深く拝見いたしました。

    >イノベーションが生まれる前提条件は、長期的で安定的な雇用や投資であって、短期間でどうにかなるものではありません。

    さらっと仰っておりますが、ものすごく大事なお話だと思いました。
    長期的・安定的な雇用や投資、の意味することが、もしも「当事者意識」というものを含意しているとすれば、とても賛同いたします。

    イノベーションが生まれるのは、若くて柔軟なアタマが、とか、新しい技術が、とか、あるいは規制の緩和が、とか、そういう話を自分もよく聞きますが、それらはいわゆる「HOW」であり、二次的な要件です。

    もっとも大事なのは「WHY」、なぜ、なんのために、だれのために。それを「わざわざ苦労して新しい形を創りだすのか」という、強烈な動機=エンジンが必要になります。

    だれも好き好んで坂道を、逆風を進みたいわけではなく、「かっこいいから」「すげーと言われたいから」「もうかるから」ぐらいのモチベーションで死の谷を乗り越えられるほど簡単なものでもありません。いや、そういうカンタンなものは既に実現済みです。

    本当に新しいものへリーチする。
    万難を排しても自分(たち)はそれを実現したいのだ。
    自分のしっている先駆者たちには、静かな熱い想いがあります。

    でも、その熱い想いも、ひとりではなかなか実現できず、協力者、支援者、同志などが必要になります。でも、やろうとしていることはこの世にないものです。この世にないもの、ということは、つまり、それを説明する言葉がない、それを測る物差しがない、ということです。

    説明する言葉が無い、物差しが無い。でも、共感して連帯しなければ乗り越えられない。どうすればよいか。

    人と人がある程度の時間、継続して付き合うことで、言葉だけでなく伝わるもの。つたない表現の間隙に見えてくるもの。

    新しいものにチャレンジするには、人と人が部品のように、つまりあらかじめ明瞭な設計(分担)によって組み合わさる集団(プロジェクト)ではなく、共感するチームとして、継続的に存在し、発生する課題に、協力し合うことで柔軟に対応する。

    それこそがイノベーションを生む土壌であり、可能性ではないかと。自分と自分の同僚は、そう話しております。

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  2. 大和魂 より

    現在その本題について考えながらリアルタイムの猛暑日の中で災害ボランティアを展開しております。それから先日にも名前は忘れましたが元日銀副総裁で現政策大学院の奴が日本の経済政策の間違えを認めていましたが、国家の中枢がコレでは少子高齢化になるのも必然だと思いました。つまり学歴重視社会が破綻していることだということですし、加えて森喜朗やら橋本聖子などのスポーツバカは役立たずだと確定していることも重大な社会問題なので迷惑な存在でしかないわけです。

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  3. たかゆき より

    イノベーションとは、

    物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」のこと。一般には新しい技術の発明を指すという意味のみに理解されているが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する(ウィキペディア)

    とのこと

    しかるに 日本

    二言目には そんなカネが どこにある 

    人類の繁栄に貢献する気など まったくなし。。

    今般のコロナ騒動において

    日本発の 治療薬やワクチンを開発しよう

    などという意見は皆無

    他人様の おこぼれ頂戴

    一言で申せば 精神的乞食

    ちなみに

    >日本否定論の源泉

    小生が思いつくのは

    明治時代 か しら ん。。。

    森鴎外の『鼻ほじり論』が

    頭に浮かんだ 次第

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  5. 日本晴れ より

    室伏さんの言うとおり ほんと日本否定論が多いですよね
    マスメディアとかSNSでも平成の時代に洗脳されてしまった人も
    居て。なんでそんな日本の文化や思想を破壊して日本の土壌をどんどん壊す事に自分で自分の首を絞める事に爽快を感じてしまうのか?平成の時代は無差別殺人も多かったし、本当に何か同胞に対する思いやりや、情が欠けてたし。愛国心も無くなっていった時代でした 特に経済や学者やエリート方面に

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  6. 赤城 より

    ほんと昔から自虐が大好きになちゃった国だよな日本は
    低レベルなコンプレックスみたいだ

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