北京駐在続行中の、台湾人の友人夫妻からメールが来ました。
「今いちばんしたいことは、
新鮮な空気を思い切り深呼吸すること(泣)」とのこと。
ちょうど31日から旧正月に入った中国では、
大気汚染を助長するという理由で規制されていたにも拘らず、
爆竹や花火は減ることなく、
あちらこちらで煙幕が上がりさらに視界不良(この煙にもPM2.
5が含有)。
しかも休暇で工場は止まっているはずなのに息苦しさはまったく変
わらないそうです。
確かに、目に見えるほど汚れた空気では、誰でも大きく呼吸などしたくもありませんよね。
そのご夫婦も、もはや外出時は浅めに息を吸う習慣がついてしまったそうで、ご主人は「煙草の煙の方が健康的」などと、大手を振って喫煙を再開する始末。
元舞台女優さんの奥様は、「こっちの役者は腹式呼吸なんて自殺行為ね」などと毒づいたりして、想像以上に大変な状況になっている模様です。
しかし、強烈な大気汚染で数メートル先が見えない『経済大国』の首都なんて、他に存在するのでしょうか。
沿岸部だけでなく、内陸部もひどいようです。かつて私が留学していた四川省の成都などは、AQI(Air Quality Index )で空気の質を見ると、さらに殺人化学兵器レベルの重い汚染。
http://aqicn.org/city/chengdu/jp/
当然、四川といえば歴史マニアの方には有名な土地ですが、私は『蜀』より『食』好きの激辛料理マニアなので、常にどこからか唐辛子を炒める匂いが漂い、適度な湿気に混じって鼻を刺激する、あの街の独特の空気が大好きだったんです。でも、空気自体が猛毒の刺激物になった今では、美味不美味以前に、四川料理の唐辛子や山椒のパンチの効いた刺激ももはや台無し。
都合の悪いものは、何でも埋めたりごまかしたり揉み消したりがお家芸の中国でも、さすがに空気ばかりは隠せないようですね。
とりあえず、前出のご夫婦は仕事の事情でしばらく帰国不可能らしいので、防塵専門の工業用マスクを送ることにしました。とてもエレガントで美しい奥様、北京では鼻毛が伸びる速度が200倍加速したそうです(ご本人データ)。
GDPの成長率は数値が限りなく怪しいけど、鼻毛の成長率だけは間違いなく世界一!!という、今世紀最大のハナモゲラな国、それが中国なのですね。
我が国日本のAQIを見ると、だいぶほっとします。
東京の空のダークさがフォークソングのネタになった時代もあった
そうですが、
今では都心でもそこそこ青い空や夜空の星を観ることが出来るよう
になりました。
ただ、単に数値を見ただけでは、
北海道よりも空気がキレイな東京、
というおかしなことになる場合もあるので、
さすがにデータだけでは体感のさわやか度合いまでは測れずムリは
あります。
でも、少なくとも、『汚れた東京』『灰色の空』のイメージがピークだった頃よりは、大きく変化した東京の空といえるでしょう。
光化学スモッグ警報も排気ガス規制も知らない、という世代も、今では花粉アレルギーや、隣の国から飛んでくる黄砂やPM2.5と格闘することになってしまいましたが。
私は今は東京都民ですが、プチ田舎育ちの自称『空気ソムリエ』(笑)の勝手な目線で見ると、どうも今だに馴染めないのが六本木という街の空気。
同様にごちゃごちゃしていても、新橋や有楽町、神田あたりで飲み会なんかあればちょいとときめくものなのですが、六本木だとそれほどワクワクしないのは何故か・・・考えてみたのですが、別に私がオヤジの街が好きだ、という理由だけではなく、多分、『第一声』のせいだと思うのです。
誰もが認める『トウキョウ』な街であることは間違いないのですが、どんなに素敵なバーやクラブが目的地でも、そこが六本木である以上は、駅から地上に出るといきなり首都高を頭上に頂くあの大騒音が第一声。そして、横断歩道を渡れば、高架下の煤けた空気と薄汚れた橋脚の色の切なさが、限りなく貧乏臭くて昭和なグレー。
昔からの王道『アマンド前の待ち合わせ』なんて指定された日には、相手の遅刻は許せないぞ、と短気キャラになりそうな圧迫感もあり、居心地は決して良好とは言えませんね。
カラオケで、クールファイブの『東京砂漠』という曲を唄いながら、必ず泣き出すおじさんの知り合いがいます。上京した頃の、冷たくて寂しいと感じた東京を思い出してしまうそうな。
さて、いよいよ都知事選。
新しく都のリーダーになる方には、ぜひ、わが東京を明るく人情のある、安全で温かい場所にしていただきたいです。
より清潔な空気、そして、ご自身の立場も金や利権に関係ない、クリーンで頼もしい方におまかせしたい。
私の知り合いの号泣おじさんが、『東京砂漠』を唄ってももう二度と泣かないように、優しくてあったかい最高のふるさと、と胸を張って言えるような東京づくり、心から期待したいです。
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