From _藤井聡@京都大学大学院教授
————————————————————–
●99%を不幸にする経済学の正体とは?
本当に豊かな日本を目指すためのコミュニティ、三橋経済塾2014が間もなく開講
http://members.mitsuhashi-keizaijuku.jp/
※月刊三橋会員は三橋経済塾の受講料が7000円割引されます。
http://keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_video.php?ts=sidebar
————————————————————–
いよいよ大晦日、今年も残すところ、今日一日!、となりました。
振り返りますと、この一年はホントにいろんな事がありましたね。
たまたま、当方のメルマガ配信日が大晦日となりましたので、今回は今年の総括と来年への展望をさくっとまとめてみたいと思います!
・・・
日本国家(の歴史)にとっては、やはりこの一年は、昨年12月26日に誕生した安倍内閣が本格的に起動した最初の年、という意味が最も大きな意味を持つものだったと言えるのではないかと思います。
中でもアベノミクスは一定成功を収めたといって差し支えないと思います。株価のみならず、デフレの状況を示す各指標も随分と改善しました。
。。。。とはいえもちろん、デフレは完全に脱却したわけでも何でも無く、まだまだデフレ中であり、しかも、中小企業や地方経済などにはまだまだ深刻な問題が残されています。来年はこの点を絶対に忘れてはなりません。
何しろ、来年4月には消費税が増税されます。この問題をある程度軽視する方も専門家筋にもおられますが、深刻な問題と捉える方々も多数おられます。
言うまでもありませんが、当方はもちろん後者ですが、当方が後者であろうとなかろうと「危機管理」の点から考えるなら、双方の意見が理性的に存在すると判断される場合には、悲観的な見通しを想定し、それに対する対応を図ることが、全ての基本です。
次年度は、そんな「対応」を図れるかどうかが、安倍内閣の重要な試金石となるのではないかと、筆者は考えています。
そんな中で、アベノミクスの第一、第二、第三の矢のそれぞれをどの様に活用しつつ、そんな「対応」を図るのかが問われることになるでそう。つまりいよいよ来年は、アベノミクスの真価が試される年になる訳です。
これまでは、(第三の矢についてはまだその効果を発揮するタイミングではありませんから)第一と第二を全力で進めてきた。。。。ということが、デフレ状況の改善に繋がった訳ですが、これから、やり方を間違えれば、結局、4月1日における「経済の崖」(消費税増税による崖+それによる「前借り需要」による崖+補正予算が10兆円→5兆円強に削減されることによる崖)は、日本経済に深刻なダメージを与えることになるでしょう。。。
一方、外交については、尖閣諸島問題をはじめとした日中関係が、日韓関係の問題深刻化と併せて顕著になった年でもありました。そして年末には、日本国民の悲願の一つであった、国民を代表するお立場の内閣総理大臣の靖国神社の公式参拝が叶いました。それにあわせて、TPPを中心とした自由貿易推進、グローバル化推進の流れが、国内の新自由主義的あるいは新古典派主義的改革を深化させる議論と共に加速した年でもありました。
専門家の間では、「尖閣問題の解消のためにこそ、TPPをはじめとした自由貿易の推進を」という議論を提示する方々がおられた一方、「そういう議論は全くナンセンス。尖閣問題は尖閣問題、自由貿易問題は自由貿易問題である」と論ずる方々もおられました。
この点については、一体的に議論することも可能なのでしょうが、それによって国益が毀損するようなことがあっては元も子もありません。そもそも、前者の議論は「尖閣問題における支援を受けるために、自由貿易推進による日本のデメリット(=外国の利益)を甘受しましょう」という側面を孕みますから、可能な限り後者を目指すのが、国益の視点から正当であると考える事は十二分以上に可能でありましょう。
ただし、国際情勢は、来年は大変に厳しい局面を迎えそうです。中国(シャドーバンク問題等)、EU(ユーロ危機)、そしてアメリカ(財政の壁問題)、韓国(構造的な不況)といった我々に関係の深い諸外国はいずれも大きなリスクを抱えています。自由貿易問題を考える上では、こうしたリスクを明確に見据えなければ、「国益の期待値」は確実に毀損することとなるでしょう。
さらに、尖閣問題は靖国問題を通してさらに緊張が深化することも見込まれまれています。この問題は、「適切に振る舞う事」ができれば、黒船来航、あるいは、福沢諭吉以来、本当の意味での日本国家の「独立自尊」(戦後という言葉を使うなら「戦後レジームからの脱却」と言い換えてもいいでしょう)へと明確に繋がり得る状況にあるのが、今日の情勢ではないかと思います。
ここで「独立自尊」とは、主権を(歴史と伝統に裏打ちされた!)国民が保持することを言います。そして、その主権とは、政治的なもののみならず、社会的、そしてなにより「経済的」な側面を持つものです。
そして、それらが「全て」満たされたときに初めて、我が国民が主権を持ち、そして、独立自尊を獲得することが可能となるのです。逆に言うなら、政治的、社会的には主権があるが、経済的には主権が無い、なんてことになれば、それは、折角、政治的、社会的な主権によって得られた価値や富が全て、「経済的従属」関係の中で諸外国や多国籍企業に「かすめ取られる」ことになる。。。ということになる。。。。ということは改めてここに記載するまでもなく、常識以前の当然の事ですよね(笑)。
そして平成25年、(これはとりわけ筆者にとっては重要な意味を持ちましたが!)「国土強靱化」がスタートいたしました。12月には基本法が成立し、安倍総理を本部長とする推進本部が設置され、そして、その第一回会合で、国土強靱化の「政策大綱」がまとめられました。
「国土強靱化」とは、「ナショナル・レジリエンス(国家的な強靱性)の確保」を意味しています。
そして現時点では、主に首都直下地震や南海トラフ地震と言った「巨大地震」を主たるターゲットとしたレジリエンス確保=強靭化の取り組みが、政府の中で議論され、その取り組みが進められていますが、その基本法の理念も、大綱における考え方もいずれも、「あらゆる国家的リスク」に対する強靱性を確保する、というものです。
これを素直に考えれば、論理的に言うなら国土強靱化は、以上に論じた、
・増税に伴い立ち現れる4月の「経済の壁」リスク
・尖閣問題に関連した外交上のリスク
・TPPをはじめとした自由貿易による経済リスク
・TPP/自由貿易問題と連動して進められる構造改革問題に伴う経済リスク
・諸外国のグローバル経済危機のリスク
といった諸リスクに対処していこうとするものとなり得るのです。そして、そうしたリスクの全てについて強靱に対処できてはじめて、
・戦後レジームからの脱却とそれを通した独立自尊の確保
が叶うこととなるでしょう。なぜならそもそも独立自尊は、各種リスクに対して、自分自身の力でどうにかこうにか対処することができてはじめて、叶うものだからです。
そもそも国土強靱化の基本法は、「全ての領域の国内の計画は、国土強靱化の基本計画の理念に基づいて作られなければならない」と明記するものなのですから、法学的に言って、上記の様に、政治、経済、社会のあらゆる側面の政治行政が、国家の強靭化を促す方向に展開されていく「べき」であることが、今年平成25年度に、国民を代表する国研の代表機関である国会にて、明確に定められたのです!
ついては、この基本法に理念に基づいて、今日の世界情勢と自然状況の空恐ろしい実情をしっかりと見据えながら、「あらゆる領域のリスク/危機」に対処できる、強靱な、レジリエントな国家に、我が国日本が一歩でも二歩でも近づける。。。。いよいよ始まる平成26年度がそんな年になりますこと、心から祈念しつつ、新しい年をお迎えいたしたいと思います。
・・・・
では、いよいよ本年もこれでおしまいであります、
この一年、本当にいろいろとお世話になりました。
それでは皆様、よいお年をお迎え下さい!!
PS
「反日メディアの正体」キャンペーン中。
https://www.keieikagakupub.com/sp/FURUYA/index.php
<藤井聡からのお知らせ>
●今年一年を総括する討論にご関心の方は、大晦日の夜8時からの三時間は是非、
「国土強靱化が日本を救う」
をご覧下さい!
http://www.ch-sakura.jp/topix/1571.html
●新しい年はどうなっちゃうんだろう。。。とお感じの方は、元旦の夜7時からの2時間は是非、下記番組をご覧下さい!結構グダグダな展開があるかも知れませんが(苦笑)、これが平成の御代の日本の世論の実情なのだ。。。ということを、正月早々ご認識いただき、今年一年のあらゆる側面でのバトル(!)にお備え下さい!
http://www.ent-mabui.jp/schedule/23213
【藤井聡】新年を強靭化しよう!への6件のコメント
2014年1月1日 3:36 AM
「国土強靱化が日本を救う」の討論を拝見しようとリンクを追いかけましたがたどりつけませんでした。 どのようにしたら拝見できますか?
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年1月2日 3:27 PM
藤井さんと 先崎彰容さんとの「しなやかなナショナリズム」をつくる という対談を拝見致しました。誠に有意義なお話を聞かせていただきました。私は藤井さんの意見に全て賛成だと思う訳ではありません。(特に村上春樹はちょっと苦手です。)ですが人間は俗悪な欲望追及と利己主義に基づくニヒリズムに堕してはならないというお二人のお話には本当に共感致しました。重要なのは政策が一致しているとか保守であるか否かではなく真に活力ある生を追い求める誠実さがあるかどうかなのだと思います。個人的にはネットで散見される『ホシュ』の大半(プロも素人も)の人にはもはや嫌悪感すら感じます。右も左も本当に劣化しております。生命のきらめきを感ずるような言論が一つでも多くあらん事を願って。お身体にはくれぐれもお気をつけ下さい。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年1月3日 5:25 PM
先生、日本の為に今年、ありがとうございました。来年は精神の強靭化が求められる年でもありますわね。今まで保守側の言う工作員とは、シナ朝鮮であったかと思いますが、これからは特アの親玉たる宗主さまの工作員との戦いでもあるかと思います。今年は、既存の保守さま(自称)の化けの皮が剥がれてきた年でもあったかと思いマウス。キーワードはNew World Order≒お花畑左翼(アメこそが左翼親玉)ちう事なのでしゃうか?合掌!
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年1月5日 3:10 PM
藤井先生が今年一年、内閣参与として国土強靭化法案(日本国家そのものの強靭化に向けて動き出すための法整備)の成立に全身全霊をかけて下さったことが、決して無駄になりませんように。日本が消費税増税(今度は十%?)によるデフレ圧力に耐えられますように(白目)
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年1月6日 7:05 PM
あらゆる制度変更の際には、「市場化テスト」ならぬ、「強靭化テスト」を経なければならぬ、という風になるとよいですね。
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
2014年1月7日 9:15 AM
一応法律学を学んだ端くれなので、新自由主義の推進、財政均衡論こそが国家を強靭化するのだ、とかいう一種のすり替えが行われないか不安ではあります。そう云った詐術とも闘う事が必要になるかもしれません迷妄将に砕くべし
コメントに返信する
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です
コメントを残す
メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です