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2013年7月30日

【藤井聡】全体主義

FROM 藤井聡@京都大学大学院教授

「全体主義」という言葉を,耳にされたことはおありでしょうか?

おそらく,軍国主義,ファシズムなど,こないだの戦争の時に,我が国やドイツ,イタリアなどで生じた現象だ,なんていうイメージをお持ちの方は多かろうと思います。

つまり,それは,第二次大戦時代の古い概念で,今はもう,あんまし関係ないだろう,なんていう風に理解されているやに思われます。

もともと「全体主義」を詳しく論じたのは,ハンナ・アーレントという方なのですが,彼女の議論を踏まえると,私たち現代人のそんなイメージと,彼女が論じようとした「全体主義」とはかなり異なっているように思います。

「全体主義」っていうのは,なにも,かの大戦の時にあったというだけのイメージなのではなくて,むしろ,「現代」の方が,その影響力が大きくなっているんじゃぁないかと思います。

なぜなら全体主義とは,そもそも,

「(真理を志向する態度によって裏打ちされたものではない)何らかの意見や価値に対して,理由の如何に関わらずに従う『べき』であると考える主義」

だからです。

つまり,この「全体主義」がはびこれば,どっかの誰かの思いつきや好みでポコッとでてきたアイディアや,事実からは乖離しまくったへんてこな市場原理主義から出てきた理屈なんかが,急になんかの具合で,「これを信じろ!!」なんて言われまくって,誰も刃向かえなくなっていく空気が作られちゃうわけです。

ここで重要なのが,そんなアイディアや意見は,「真理を志向する態度によって裏打ちされたものではない」というものだ,という点です。

だから,「真理を志向する態度によって裏打ちされたもの」だけを志向する真面目な人々は,この全体主義の空気の中では,永遠に「冷や飯ぐらい」となちゃって,徐々に封殺され,最後には抹殺されちゃうわけです。

。。。。っていう様な事を,ここ最近あれこれと考えていたのですが,そんな矢先,モロ,そんな「全体主義的な光景」を目の当たりにいたしましたので,ご報告。。。であります。

某全国ネットの番組に出演していた時のこと,消費税増税について,あれこれと討論していた折に,司会の方が,国内のエコノミストの方に「記名付き」で,消費税増税を,来年四月から行うことについての賛否を問うたアンケート結果をパネルをつかって説明されました。

ざっと20人から30人程度の,「○○証券」とか,「○○研究所」の「アナリスト」「エコノミスト」の方々の「増税についての賛否」の一覧のパネルが(所属・記名付きで)提示されたのですが,何と
驚くべき事に,「一人の例外もなく」,全員が,来年四月から消費税を8%にすることに「賛成」だという結果でした。

こりゃもう,全体主義そのものだ。。。。なお話なわけですが(笑),真っ当に考えれば,これは驚くべき結果です。

「消費税増税にはメリットだけしかなく,デメリットが一切論理的に存在していない。。。」ということが客観的事実であるなら,こういう結果になったとしても不思議ではありません。

しかし,デメリットは,山のように指摘されているわけです。ここで一々指摘することは避けますが,景気にブレーキがかかることはほぼ万人が認めており,しかも,税収そのものが減る懸念さえ,あからさまに危惧されている状況なわけです。

こんな状況で,専門家達が,「虚心坦懐,真摯な気持ちで状況判断をした」として,「全員が賛成」という結果が得られることは,統計学的に考えて(有意確率99.999%で!)絶対にありません。

。。。。しかし,そんな,普通なら統計学的にあり得ない事であっても,そこに「全体主義」が存在していたと考えるのなら,平気の平太郎でカンチコチンに理解することができることとなりますが・・・・これをさらに簡単に言うなら,次の様に考えれば,よりわかりやすいのではないかと。。。思います。

『もし仮に(!),「○○研究所」なり「○○証券」なりの大看板と,「エコノミスト」 の個人看板の双方しょってるにも関わらず,あそこで,ひとりだけ,

「反対」

って書いてあったとしたら,それを書いた彼には,どんな近未来が待ち受けているのでしょう〜〜か!
(倍率ドン!さらに倍!!)』

。。。。

ちなみにちなみに,ハンナ・アーレントは,ナチスドイツを「全体主義」として批判する訳ですが,そのナチスの全体主義をより強力なものに仕立て上げたのは「ゲシュタポ」の存在です。

ゲシュタポは,「○○すべし!」という「全体主義」に「刃向かう」人がいたら,そいつをとっ捕まえる,という組織でした。

もちろん,今の日本にこんなゲシュタポは,「明示的」には存在していませんが,日本の今日の全体主義を強化する様な強力な組織は,存在して「いない」とも「いえません」。百歩譲ってそんなものがない(!)としても,そういう組織が「存在する」という「共同幻想」に皆が絡め取られているなら,そんな共同幻想が「全体主義」そのものを圧倒的に強化しちゃうことは,避けられないでしょうね。。。。。

。。。なんてことを(抽象的に!?)書いてると,なんだかややこしい話ではありますが,あの「賛成」で埋め尽くされたボードは,なんとも「全体主義チック」な雰囲気を,感じちゃいました,ってだけのお話でございます(笑)。

で。。。。この全体主義を打ち破るには。。。。なんてのを書いてるとまたまたややこしい話になりますが,

「そこには,そんなの(ゼンタイ主義!)が有るんだぁ」

ってことを理解することは,初めの第一歩となるのではないかと,思いますので,あまり深刻に捉えないで,全体主義なヤローを見かけたら,お仲間さん達複数で是非,おちょくってやってください(笑)。

彼等は,そういうおちょくりに極端に弱いはずです。だってそもそも,彼等は何が正しいか,なんてよくわかっちゃいないけど,ひょっとしたら,ホントはそんなものがあるのカモ。。。。程度は,何となく思ってるかもしれませんからね(笑)。

ってことで,また来週!

PS
そんな全体主義じゃない,「みんなの協力」ってなんなの??ってお感じの方は,是非,下記をご予約ください(笑)。
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PPS
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【藤井聡】全体主義への8件のコメント

  1. 女子高生は異常、野田佳彦はどじょう より

    上の記述に若干の論理的欠陥を認めます。批判すべきを批判してはならない、ということでは勿論、あり得ません。ただ、「批判」の名のもとに他罰的な言動を自己目的化すること、それも衆を恃んでそれを行うことの危険さ、不毛さ、醜さを言いたかったのです。「お仲間さん達複数」というフレーズにひきずられて、あらぬ方向に想像が向いてしまったために、上の記述のようなおかしな書きかたになってしまいました。なお、「全体主義者を排撃すれば、全体主義が解消される」という単線的自己流出的思考の不十分さを問題視してゆきたい気持には今のところ変わりはありません。(でも、明日には飽きているかも知れないw)

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  2. 名無しの権兵衛 より

    この前NHKを見ていたら、消費税増税の話題を取り上げていました。その内容は大体次の通りでした、『今回の消費税増税に関して、景気状態によっては見送りもありえるようです…が!、もし見送った場合は以下の件に支障が出ることが予想されます。 ・全国の認可保育園の増設 ・後期高齢者医療制度』凡そこんな感じでした。仮にこれがその通りだとしたら、増税派財務官僚はなかなかの策士ですね。だって消費税増税派の利害一致関係者を取り込んだわけですから。増税派財務官僚の声が聞こえてきそうですね。増税派財務官僚:「これが政治なんですよ。わかってくださいよ。」

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  3. 名前はまだ無い より

    山本七平さんの言うところの『空気』というやつでしょうか。前日の三橋さんの記事におけるTPP議論にしろ消費税論議にせよ結論がなぜかとっくに決まった上でプロレスばかりが繰り広げられているようです。いったい誰が仕掛けているんでしょうか?もちろんユダヤ人が全部決めているんだなどとは思いませんがそれにしても何かテレビで流行を仕掛ける人がいるように何らかの力が働いているように思えてなりません。尖閣でこれほど緊張が高まって、韓国大統領は狂ったように反日発言を繰り返すにも関わらず日中韓FTAの会合はやはり開かれる。『保守』政治家やその周りにいる人でさえ東アジア共同体に対して積極的。一体何なのでしょうか?

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  4. 女子高生は異常、野田佳彦はどじょう より

    >全体主義なヤローを見かけたら,お仲間さん達複数で是非,おちょくってやってください(笑)。それは絶対やっちゃいかんでしょう。「民主集中制」の排撃が「民主集中制」の形成強化を促す、というロジック(遂行的矛盾の論理)は「保守」を自認される(であろう)みなさまにおかれましては、語るも陳腐なくらい、重々ご承知のはずです。しかもタイマンではなくてリンチ(「お仲間さん達複数」)。想像してみるだけで情けなくなってくる。それに、途中まで「共同幻想」とか「雰囲気」とか「空気」の話をしてきたのに、どうして急に「実詞化」して「全体主義なヤロー」なるいかにも「実体」チックなものが登場するんですか? これ見よがしに、射的の的みたいに。大学の先生らしく、「ひっかけ問題」を作るのがお好きなようですが、だからといって、こんなところで「職業的エートス」を発揮せずともよろしい(笑)。もう少し、TPOを弁えてくださいw

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  5. 谷垣 より

    テレビに出てる!有名人や!!なんて意識で恍惚となってるような人達なんでしょうね〜。立身出世のスタート時点から、「成功さえすれば、何でもよし!」みたいな意識の人も少なからずいらっしゃるでしょうけれど、そんな低俗でなく世のため人のため身を粉にして・・とスタートした人であっても、テレビに出る頃には悪魔に魂を売ったりするんじゃないでしょうか??なにせ、多数派でいるほうが、もといTV局に睨まれないようにしなければ“自分の身が”危うくなりますから。。この悪魔がかなり入り込んだ体の資本主義のテレビに、藤井教授が出演されてる奇跡だけで、満足であります。色々ご苦労がてんこ盛りとは存じますが、今後も(なぜかしらごく少数らしい)まともな日本人の代表として、ご活躍を期待致しておりまする。

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  6. no56 より

    あの番組のパネルを見て私も笑ってしまいました。たしか回答しなかったのが10人くらいとありましたが正直に答えてひや飯ぐらいになるのが怖かったんですかね

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  7. 航海長 より

     参院選が終わって、果たして国土強靭化の議論は進むのだろうかと思っていたら、開けてびっくり!今度は増税の議論を始めましたぞ。 太平洋戦争直前や戦時にも、「日本の勝利を信じて戦い続けなければならない!」という全体主義が流行りましたが、これは、もちろん軍部も国民に強いた節はあると思いますが、国民自身も進んで受け入れていたんですね。 そういう意味で、日本国民は太平洋戦争の真の意味での反省が全く出来ていないと言えるでしょう。太平洋戦争をあれ程悲惨なものにして日本をメチャクチャにしたのは、日本国民の意思そのものだったと言えるはずなのです。東南アジア諸国は独立を果たしましたがね。 今度は、増税とTPPで日本のGDPがメチャクチャになりそうです。このまま事が進むと、もはや取り返しのつかない最凶のデフレーションに見舞われるでしょう。これから就活なのに、どうするんだろ・・・

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  8. teng より

    全体主義というものに対する誤解は人という種の一個体に個性があるという誤解から生まれている。
    我々が個性だと誤解しているものは本来は人という群れの中で生物同士の生存競争を生き抜くために与えられた群れの中で役割であって個性ではない。食料を集めるのに適した性格、偵察に適した性格群れを率いる役割の性格と全ては群の中での役割として与えられる。生命に個なんていう無駄なものは存在しない。
    群れとして生きているので全体主義に陥るのは必然である。

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