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2013年7月12日

【施 光恒】グローバル化で「削減」されるもの

From 施 光恒(せ・てるひさ)@九州大学

おはようございます(^_^)/

参議院選挙の投票日が近付いてきていますね。
各種報道をみると、やはり自民党が圧勝のようです。

ただ、投票率は下がりそうです。
いくつかの報道によれば、40%台後半〜50%台前半あたりになるのではないかと予想されています。史上最低だった、1995年の44・52%を下回る可能性も指摘されています。
http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2013/news2/20130704-OYT1T00253.htm

先日の都議会議員選挙も史上2番目の投票率の低さでしたので、その可能性もなきにしもあらずかと思います。

「自民党批判の受け皿となる政党がいないから」、「有権者の関心を引くような争点が出されていないから」などの指摘が、マスコミなどではなされています。

確かにそういう面もあると思うのですが、欧米の政治理論家のなかには、もっと構造的な問題ととらえる論調もあります。

投票率の低下傾向は、国によって相違はあるものの、80年代あたりから共通して著しい低下傾向がみられるため、現代の先進国の政治に共通する問題だと考えるべきではないかというのです。

たとえば、イギリスの政治学者コリン・ヘイは、そうした政治理論家の一人です。ヘイは、たとえば下記の点を、データにもとづき指摘しています(ヘイ/吉田徹訳『政治はなぜ嫌われるのか』岩波書店、2012年)。

先進自由民主主義国での投票率は1960年代から長期的な低落傾向にあり、90年代から加速している」

「政治家や政治制度への軽蔑は、1950年代と60年代と比べた場合、80年代になって上昇しており、その水準は高止まりしたままである」

そのうえでヘイは、近年の投票率の低下や政治不信の高まりの原因として、主に、次の二つの要因をあげます。

一つは、新自由主義や公共選択論が、先進諸国で普及し、大きな影響力を持つようになったことです。また、それに伴って、「政治」や「公共の事柄」が、不効率で不透明で、胡散臭いものとみられるようになってしまったことだと指摘します

英国や日本を含む多くの先進国では、80年代ごろから、新自由主義や公共選択論が受け入れられるようになり、90年代に入ると「主流の学説」の位置を占めるようになりました。

そして、有権者やマスコミはもちろん、政治家や官僚なども、新自由主義や公共選択論の見方を共有するようになりました。そこでは、「政治」や(公共事業などの)「公共の事柄」は効率が悪く、汚職の温床であり、できることなら市場に任せるべきだと考えられるようになったのです。

ヘイは、新自由主義や公共選択論の普及の流れのなかで、本来は「社会のさまざまな利害関係者が集い、丁寧に話し合って、公共の利益の実現を目指して調整を行っていくこと」という意味での「政治」の領域が、どんどん削られ、小さくなってしまったと指摘します。

————————————————————

●月刊三橋最新号のテーマは、
「中国大炎上〜破壊し尽くされた大国の断末魔」。

http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980_2013_07/index.php

※バブル大崩壊、目前か?

※マスコミでは何かと華々しく取り上げられるお隣の大国ですが、、、
「21世紀の覇者」や「世界のリーダー」というのは虚像で、

「とてつもなく歪んだ最貧国」が実際のところかもしれません。

※中国の金融問題については、月末配信のQ&Aで取り上げます。

————————————————————

投票率の低下や政治的無関心の要因としてヘイがあげる二つめのものは、「現代はグローバル化の時代だから」という言い訳が、先進各国の政治家や財界人の間に一般化したことです。

「グローバル化の時代だから」という言い訳も、新自由主義や公共選択論の広がりと同様に、国内の「政治」の領域を削減するために使われることがふつうとなりました。

たとえば、「グローバル化の時代だから、外国からの投資を呼び込んでこなくてはならない。そのため法人税は引き下げていかなければならないし、外資が参入しにくい各種規制は撤廃しなければならない」、あるいは「国の政策形成もグローバル市場の声に従っていくほかはない」というような言い方が、先進各国では90年代以降、すっかり日常化しました。

ヘイによれば、こういう動向が先進各国でみられるようになり、「社会のみんなに関わる公共の事柄を、多様な利害関係者の声を聴きつつ、話し合い、調整する」という意味での「政治」の領域が、90年代以降、どの国でも縮小してしまいました。

それにともなって、一般の人々の政治的関心や政治への関与は少なくなり、投票率も長期低落傾向に陥っていると、ヘイは指摘します。

つまり、「新自由主義や公共選択論の普及」や「グローバル化の時代だからという言い訳の蔓延」の影響で、「政治」や「公共の事柄」は効率が悪く、不透明で胡散臭い領域だというイメージが、一般の人々にすっかり共有されるようになりました。また、実際に、「政治」の領域は削減され、人々は、公共の問題について皆で話し合い、調整するというプロセスに参加することが難しくなってしまいました。

先進各国で共通してみられる、投票率の低下や政治的無関心の背後にあるのは、そういうことだというのです。

コリン・ヘイが述べていることは、あらためて指摘するまでもなく、日本にもよく当てはまりますよね。

日本でも、新自由主義的見方がすっかり一般化した90年代あたりから、政治家や官僚、公務員は、すっかりワルモノ視されるようになったように思います。また「公共事業」は、不効率で不透明なものの代名詞として語られるようになりました。

また、たとえばかつては、町に大きなショッピングセンターが進出してくることを認めるかどうかは、「町づくり」という「公共の問題」だったわけです。「経済的な便利さ」だけではなく、「地域社会の存続」や「町の特色」などの観点から、皆で話しあうことができる問題でした。

ですが、大店法の廃止以降は、ショッピングセンターの進出は、たんなる経済的効率性の問題となり、皆で是非を話し合えるものでもなくなりました。

たしかに、「政治」のプロセスには、市場プロセスと比べて、不効率で不透明な要素は多いかもしれません。ですが、「社会のさまざまな利害関係者が集い、丁寧に話し合って、公共の利益のために調整を行っていく」という「政治」本来のプロセスにも、重要な役割は当然あります。

特に、医療や教育、安全、社会的インフラ、食料、資源、労働、福祉、環境などのいわゆる公共性の高い領域に関してはそういえるでしょう。しっかりと「政治」によって調整し、よいかたちで維持し発展させていかなければならない部分は多いはずです。

ですが、このメルマガの読者には周知のとおり、竹中平蔵氏などは、「医療関係、教育関係、農業関係といった規制産業」は、今後、まっさきに「改革」し、市場化・自由化しなければならない領域だといっています。

まあ新自由主義者にとって、「政治」とか「民主主義」などは、正直なところ、メンドクサイものなんでしょう。

本心では、一般有権者は、政治的関心などもたず、政治的関与も行わず、地域社会への愛着ももたないほうがよいとでも考えているんじゃないでしょうか。

新自由主義者が育てようとしている「グローバル人材」というのは、案外、政治的関心をもたず、政治に関与せず、地域社会への愛着ももたない、そういう人々のことを指すのかもしれません。

結局、投票率、今回やっぱり下がるでしょうね…。
(_・ω・`)ショボーン

いつもながらまとまりがなく失礼しますた
<(_ _)>

ps
TPPに入ると選挙の意味ってなくなるのかも…
http://amzn.to/1aao2uo

pps
それぞれいいたいこと言っています<(_ _)>
amzn.to/16ByIlH

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