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2013年7月5日

【柴山桂太】BRICsの終焉?

From 柴山桂太@滋賀大学准教授

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●今月の月刊三橋では、電力自由化やメガソーラービジネスに絡んだ、
とんでもない問題を取り上げました。配信は7/10まで

http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980_2013_06/index.php

構造改革、恐るべしです。

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このところ、途上国や新興国と呼ばれる国々の政治情勢が悪化しています。
まずエジプト。大規模な反政府デモが起き、軍が大統領を拘束する事態に発展しました。「アラブの春」と呼ばれた政変から2年で、ふたたび情勢が混迷しています。

トルコでは、エルドアン首相の政治手法に抗議する若者のデモが、広がりを見せています。警察当局が強権的にデモを鎮圧したことで、念願だったトルコのEU加盟交渉が先送りされてしまいました。

ブラジルでも、物価高やワールドカップでの「無駄遣い」に抗議する街頭デモが起こりました。資源国ブラジルは、世界経済の混乱による需要減で成長率が急落、高いインフレ率と相まって、国民の不満が大きくなっています。

今後、中国の動向にも注意が必要でしょう。昨月末から盛んに報道されているように、バブル崩壊による金融の混乱が、次第に抑えきれなくなっています。一般にバブル崩壊による不良債権の増大は金融機関を痛めるだけでなく、実体経済を急激に冷え込ませます。過剰投資の調整には相当の時間がかかるでしょう。

次にどのような展開が待ち受けているのか、内情が見えないので分かりませんが、急激な景気減速と国内格差への不満が結びつけば、トルコやブラジル以上の混乱が起きたとしても不思議ではありません。

リーマンショックに始まる世界的な危機は、アメリカ、ヨーロッパを経由して、次に新興国へ連鎖するだろうと『静かなる大恐慌』に書きました。ここまでは、世界経済の情勢をみれば、予想できることでした。(ちなみに戦前の大恐慌も、まさにその順番で危機が連鎖していきました。)問題はこの先です。

危機が新興国に波及すると、影響は経済だけにとどまらず、統治体制を揺るがせたり、周辺国との軍事的な軋轢を高めたりします。危機の次元が経済から、政治や国際政治の次元に、上がってしまうのです。

そうなると何が起きるのか。政治は経済よりさらに複雑なので、予測が限りなく困難です。ただ、これまで順調に成長してきた国の方が、そうでない国に比べて政変が起きやすいとは言えそうです。

経済成長が進むと、将来の生活への期待が高くなりますが、それが実現しなかった時の落胆も大きくなります。
加えて、自分たちよりも別の集団(例えば社会の上流層や支配層)の方が良い暮らしをしている場合、自分たちが本来得るべきものが「奪われている」と感じるため、よけいにその不満が大きくなる。
これが社会学で「相対的剥奪」仮説と呼ばれるもので、暴動や政変を説明するのに、よく用いられます。

加えて最近では、「ユースバルジ」と呼ばれる仮説にも注目が集まっています。これは15才から29才までの、血気盛んな若者(特に男性)の人口に占める割合が大きいと、政変や戦争が起きやすいという経験則から導かれた仮説です。
一般に新興国では、出生率の高さなどから「ユースバルジ」(若年層の膨らみ)が発生しやすく、雇用機会の減少などをきかっけに不満が爆発しやすい傾向にあります。

先進国でも60年代、「ユースバルジ」を形成した戦後第一世代(日本だと団塊世代ですね)を中心に学生運動の嵐が吹き荒れました。あれと同じことが、もっと過激なかたちで、これから新興国で起こると予想されるのです。

これらの仮説が正しいとすれば、これまでグローバル化の波に乗って成長してきた新興国で、これから政治や社会の混乱が起こるのは避けがたいことでしょう。経済成長が続いてきたものの格差が大きく、若年層の人口圧力の高い地域で経済ショックが起きると、社会は一挙に不安定化していくのです。

「一人っ子政策」の影響もあり、中国全体では若年層の人口比率は必ずしも大きくありませんが、内陸部、特に少数民族では一人っ子政策が緩和されているため、事情が異なるようです。そうした地域で、これから何が起きるのか。よくよく目を光らせておくべきでしょう。

世界経済の混乱は、アメリカ、ヨーロッパと来て、いよいよ第三幕目が始まろうとしてます。「これからはBRICs の時代」とか「人口が多い国はこれからも成長が続く」といった楽天的なお話は、もうとっくに過去のものなのです。

PS
「TPPも安倍内閣の構造改革も許さん」という方、
月刊三橋最新号で電力自由化の驚きの事実を聞いてみてください。7/10まで
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980_2013_06/index.php

PPS
新興国の暴動もリーマンショックと関係があるの?と思われた方はこちらを。
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ユースバルジって何?という方はさらにこちらを。
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【柴山桂太】BRICsの終焉?への3件のコメント

  1. hinomoto より

    日本も今後各国の不安定な情勢に巻き込まれないよう注意、ですね。ところで、トルコの反政府運動に関しては、「背後に中国共産党がいる」と先日、世界ウイグル会議総裁のラビア・カーディル氏が語っておられます。エルドアン首相が中共のウイグル弾圧に断固として抗議したことへの報復だとか。

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  2. kazuo より

    なるほど、以前はbricsが発展すると言われました。若い人が多く期待できるとのことです。今の日本も、団塊の世代が老人になり、国力が、おちていることです。新しい国も同じ轍を踏むのでは、。資源のある国が多いのが強みですが、技術は、先進国のまねです。一丁一旦ですね。 インドも、国力がどんどん増えていくといいますが、人口が多すぎます。やはり、青年になって、失業者が、ふえて、国が不安定になるのでは。 余談になりますが、気温が高い国が多いです。暑いと、いちぶをのぞいて、勉学、仕事も、低下するのは当たり前です。その辺もある気がします。 

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  3. ごうだたけし より

    「ユースバルジ」初めて知りました。とても面白い仮設ですね。団塊世代・・・・・あぁw

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