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2013年4月24日

【東田剛】麻生大臣の「衝撃」発言

FROM 東田剛

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麻生太郎財務大臣が、4月19日にCSIS(米戦略国際問題研究所)で、耳を疑うようなショッキングな講演を行いました。
これは、Ustreamで視聴することができますが、文字起こししたブログもありますので、まずは読んでみてください。

http://www.ustream.tv/recorded/31681043

http://daisukeblog.com/?p=2089

この講演のどこが酷いか、分かりましたか?

TPPをマンセーしている?そんなの、今さら驚くことではないでしょう。

消費税?
確かに、消費税についての発言は、ちょっと意外でした。

「今後、税制抜本改革法に基づき、経済環境を整備し、予定通り消費税率を引き上げる決意です。」

もちろん、税制抜本改革法には景気弾力条項(附則18条)があり、「今後、税制抜本改革法に基づき、経済環境を整備し」と述べているので、経済環境が整備されなければ、消費税は上げないと読むこともできます。
でも、「経済環境の整備に失敗しましたので、予定通りにできませんでした」なんて、普通は言えません。おそらく、年内に補正予算でも打って誤魔化しつつ、あとは何とでも理由をつけて、消費税を上げるつもりなのでしょう。

ま、附則18条も「聖域なき関税撤廃を前提とする限り」と同じようなもので、「また、その手ですか」というだけの話ですな。

もっと驚いたのは、Ustreamの48分あたりからの発言。麻生大臣は、水道を民営化するとか発言しています。
同席しているジャパン・ハンドラー君も、ちょっとびっくりしてます。

でも、こんな話は、正直、どうでもいいんです。

どうしても許せないのは、この発言。
これは、最悪です。

「日銀の黒田東彦新総裁は、実に大規模で迅速に、まさに「衝撃と畏怖(shock and awe)」を実行しました。」

まだ、分かりませんか?
「衝撃と畏怖」というのは、2003年のイラク攻撃の作戦名なのですよ。

アメリカは、イラクが大量破壊兵器をもっていると因縁をつけ、国連安保理の決議を経ずに武力攻撃を行いました。
無辜の民が多数犠牲になりましたが、結局、イラクからは大量破壊兵器が見つからず、中東を大混乱に陥れただけに終わり、オバマ政権はイラクから撤退しました。

当時の日本は、このイラク攻撃を支持しました。
しかし、イラク攻撃は、国連安保理の決議を経ていない武力行使ですから、国際法違反の「侵略」です。
最近、集団的自衛権だの、憲法改正だのといった議論がありますが、日本は、十年前に、現行憲法はもちろん、憲法改正しても認めないであろう「侵略」にあっさり賛成していたのです。
このときも、日米関係が理由でした。

日本というのは、日米関係のためなら、侵略への加担もOKだという国なのです。ならば、TPPごとき、日米同盟のためなら安いもんだということです。

私が、TPPにむかつくのは、それが国益を損なうからだけではありません。
TPP推進論の背景にある国家観が、このように腐りきっているからです。
その腐臭(これは「ふしゅう」でOK)が、麻生大臣の「衝撃と畏怖」発言から漂ってくる。
「こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーーーッ!!」

しかも、この発言は、麻生大臣が後生大事にしている日米関係をも傷つけるものです。

なぜなら、イラク攻撃は、アメリカにとっても、触れてもらいたくない汚点だからです。
「衝撃と畏怖」は禁句なのです。

それなのに、麻生大臣は、ボストンの爆破事件でテロの記憶がよみがえっているアメリカで、何という配慮のない発言を・・・。

外交とは国家と国家のつきあい。ですから、国家観が腐っていると、外交にも失敗するのです。

この講演で麻生大臣は、正しいことも言ってはいますが、そんなことは、もうどうだっていい。
国家観が腐っていることが分かってしまった以上、何の慰めにもなりません。
もっとも、株価の上昇に浮かれる日本人たちは、そんなこと気にもしないんでしょうけど。

麻生大臣、靖国に参拝したそうですが、いったい、どの面下げて英霊の前に行ったんだよ。行くなよ。

PS
先週に引き続き、今週もジョジョに嫌気がさしてきた方は、本当の「保守」について学んでみましょう。
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PPS
『反官反民』は、イラク攻撃批判から始まっています。
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【東田剛】麻生大臣の「衝撃」発言への19件のコメント

  1. アホやね。 より

    イラクの作戦が衝撃と畏怖と言うのはどこから聞いたの?軍事用語で意味は「急速なる優位性の確保」だよね。麻生の発言は「日銀の黒田東彦新総裁は、実に大規模で迅速に、まさに急速な優位性の確保を実行しました。」となるわけで、あなたの出鱈目な解釈と違って筋のとおった発言になりますね。

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  4. なんだかな より

    ありましたね、そういえば。っつことで、三橋さんが知らずに、憶測で叩いてるだけじゃん

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  5. モジラン より

    CSISって小泉新次郎とかがちょこっと在籍しており、そして日経新聞と密接に結びついているシンクタンクですね。日経・CSIS・バーチャルシンクタンクとか言うのが2011年から出来ているようです。知と権力とマスコミの恐ろしい結託ですね。(アメリカにおいては20世紀頭からCFRもこの結びつきに目を付けて世論形成を行ってきていますもの。これが日本に拡大されていても別段驚くことではないのですが、ただこういう攻撃にカウンターできる独立系、保守系のシンクタンクが日本に育っていないことが危険ですね。)この点を考えれば、アベノミクスが今のところ、マスコミの批判をほとんど受けていないのは、こういう形で日経新聞や他の日本のメディアの目を欺いているからなののでは? とも考えられます。高支持率を維持し、参院選勝利、そしてその後TPP交渉離脱(ここが大事)、最終的には憲法改正へと向かう。そのための布石であればいいのですが。その点不明です。いずれにせよ地元の自民党議員に抗議メールを送ります。負けるな日本。

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  6. thyst より

    ぐぐって見たら2010年のニューズウィークの「金融の「衝撃と畏怖」作戦を実施せよ」ってタイトルの記事が出てきたわけだが。アメリカの大学の経済学の教授の寄稿文ぽいのが。段階的ではなく一気に進める量的緩和のことのようだけど、こっちの意味でこの単語をつかったのなら別に衝撃でもなんでもない発言になってしまうのだけど。

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  7. GKH より

    酷使さんが釣られてますねー。経済分野でShock and Aweという表現が何年前から使われていると思っているのやら。東田さんが言ってるのは、脊髄反射してないでググれってことですよ。

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  9. 名無しの権兵衛 より

    「国家観が重要である」とのことですが、全くその通りだと思います。例えば、靖国参拝したり、反日的行動に対して毅然とした態度をとっていれば、国柄を変えてしまうような急進的な構造改革を進めても良いのか?あるいは、どういう結果になるか深く考えずに安易に規制緩和しても良いのか?等々・・・。正しい国家観があるならばデフレの真っ只中に消費税増税して可処分所得を減らす方向にもっていったり、デフレで供給過多なのに競争を煽る(TPP等の)自由貿易を推進したり(TPPの場合は非関税障壁の方が問題ですが…)しないはずです。しかもTPPは安保問題と安倍首相は発言してるようですが、では交渉中に東アジアが不安定になるたびにアメリカに譲歩してしまうのでしょうか?そうであればこれはもう交渉とは呼べません。一方的な通知です。正しい国家観を持っているなら、経済と安全保障を切り離して交渉する意地を持ってほしいですね。

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  10. ひろ より

     イラク攻撃の作戦名との関係については知りませんでした。麻生氏講演書き起こしでイヤだなと思ったのは、悪性インフレを防ぐためであるという「成長戦略」のくだりで挙げていることを「全て」輸出に結びつける点です。何か、「輸出増を達成しないと悪性インフレになる」という前提をもっているように見受けられ、空恐ろしく思います。 

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  11. はっちゃん より

    イラク攻撃の作戦名が「衝撃と畏怖」ということは私は正直知りませんでした。それを知った上で、間違いなく知っているだろう麻生大臣が現在の金融緩和をそれになぞらえたとしたら(なぞらえてるけど)私もショックですね。あの頃は1人の日本国民としてなんか悶々とした気持ちになりました。アメリカという乱暴者がイラク(という少なくとも直接9.11をしたわけでもない国)に因縁つけてめちゃくちゃにいじめているのを横から真っ先に手を挙げて「支持します!」なんて言わされているみたいな気持ちになったのを思い出します。最初から最後までおかしかったし、だいたいあれやってたのは共和党のブッシュ大統領とその周りの獰猛そうな人達でしたからね。そういえばあの当時も攻撃を支持した小泉首相について自民党の年配の議員がラジオで「支持したことが正しかったと歴史が証明する時が来る」などとコメントしてましたよ。「歴史が証明する」って言い方、つい最近も聞きましたけど確かにこれってずるいですね。まともに説明できないときに出てくるんじゃないでしょうね。イラク攻撃を支持って、例えば広島長崎の原爆投下をどっかの国の首相が支持するみたいなもんですよ。たまに日本にも支持してる人も居てるみたいですが。アメリカでは未だにあのキノコ雲をどちらかというと勝利の象徴みたいに捉えているらしいですが、そのアメリカでさえ恥ずかしいと思っている何の大義名分もないあのイラク攻撃ですからね。確かにこの一言は単なる一言ではないと思います。ちなみに、TPPマンセーも消費税も水道民営化も実はかなりショックです。僕って精神力弱すぎるんですかね・・・。

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  12. 鈴木太一 より

    麻生さんは、クリスチャンだと伺っております。クリスチャンの彼が、神になった英霊を崇めるなんて、どういったジョークなのでしょうか。麻生さんは、国家観どころか宗教観すら、崩壊している。神や霊、魂、国家についてさえ、何も考えていない、何の哲学も持っていないのでしょう。60を超えて、晩酌をするようでは、脳も相当劣化しているはずです。

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  13. 小牧匠 より

    同盟関係を傷つけるから相手の嫌がることはしない?今までそうやってきたからこそ、今の体たらくじゃ無いのですかね。日本国民の多くが「イラク戦争は正しい!!、大量破壊兵器が見つからなかったのはイラクを叩いたから分かったんだ!!」と思っているとすると問題ですけども。

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  15. dhaaranii より

    考えすぎじゃないですか?行為そのものより、どんな気持ちで言ったかが問題です。政治家の言葉は重いとは思いますが、この記事に関しては麻生大臣の政策が気に喰わないからこじつけで叩いているようにしか見えません。あなたは聡明で、論陣の張り方もうまいようですし、あなたのようにTPPに真っ向から反対するような方もいた方がいいとは思います。でもこの記事では、あなたがゲロ以下の人間に見える。安全圏から人を小馬鹿にするような小賢しいあんたのほうが腐臭がするよ。

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  16. nanashi より

    >日本というのは、日米関係のためなら、侵略への加担もOKだという国なのです。正義、自由、民主主義を標榜する米国がどうして侵略戦争をするのだろうか。その辺の機微が分かると鬼畜米英からマッカーサー(米英)万歳という日本人の無節操も理解できるかもしれない。つまりこのような無節操は別に米国や日本に限ったことではないのではないかということだ。常に武士は食わねど高楊枝でいられるといいんだけれど。麻生さんの義太夫英語は通訳を通した隔靴掻痒ではなかったという意味で米国の聴衆に大きくアピールしたと思う。質疑応答時の通訳も発音はまずいが過不足のない的確な通訳で立派だった。西尾幹二さんが外国人記者相手に通訳を通して慰安婦問題についてスピーチしていた(dametv.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/44-279e.html)が、麻生さんみたいに発音は下手でも自分の英語でやるべきだった。それに「慰安婦問題とは別に日本軍は戦争犯罪を犯さなかったのか」という聴衆からの質問(23:30あたりから)にちゃんと答えないで河野談話の批判を始めた。このような応答は彼の慰安婦問題についての主張の信憑性を傷つける効果はあっただろう。この人のアイデアはしっかりしているのだが、口頭伝達が下手(冗長)だ。聞いていてイラつく。口下手な日本人の典型だろう。チャンネル桜の水島社長も流暢とは言えないが要点を衝いていて分かり易い。口調に好もしい人柄がにじみ出ている。ただし最近のユーチューブの言論封殺はよくない。

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  17. 小野正生(やさぐれ保守思想研究会) より

    (ジョジョは大好きな漫画なんですが)ほんとに徐々に嫌気がさして来ました。安倍総理に新自由主義的傾きがあることは随分前から承知していたので最近の流れもさして意外ではなかったのですが、まさか麻生さんまで・・・・勿論麻生さんも思想的には安倍さんとほぼ同じだとは思っていましたが、もっと、ずっと分別があるだろうと。いくらまだ、西田先生がいるとは言え、もう自民党は御終いです。そう思ってほかを見渡すと、それ以下の顔しかありません。どこかに希望があるかもという気持ちが、まさに、徐々に、消え去っていきます。石仮面があれば躊躇なくかぶりたいくらいです。日本に絶望しきって、だからと言って他国民に生まれ直すわけにもいかず、粉々に砕け散ってドロドロに腐りきって、「日本」という国が嘗てあった、と言われるようになった頃に、地球上のどこかで離散した元日本人の末裔の心の中に宿っている何か。それが「日本」だと信じて、もう暫く最前線の中野・・・・・いえ東田さんや、西部先生たちの応援をしていきます。

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  18. takeshi より

    お世話様です。TPP を初めとした米国の理不尽さがどんどん明らかになれば日本も核武装して日米同盟を破棄せよという声がでます。そうしたニュアンスも考えれば麻生氏の発言は別に気になりません。じっくりと国力を見直す時期に来ている気がします。三橋氏の活躍に期待いたします。

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