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2012年9月12日

【東田剛】アメリカがはまった罠

FROM 東田剛

現FRB議長のベン・バーナンキは、1990年代から2000年代
にかけて、日本がデフレを脱却するには中央銀行が貨幣を
増刷すればよいと主張し、日銀を激しく批判していました。

バーナンキは、貨幣をヘリコプターからばらまくという喩えを
用いたことから、「ヘリコプター・ベン」とあだ名されました。
長いので「ヘリベン」と略しましょう。
いかにも流動性が高そうな感じがしますね。

アメリカ経済学が大好きな日本のエコノミストたちの中には、
ヘリベンの日銀批判に乗っかって、調子ぶっこいて日銀叩きに
興じるものが出てきました。

そうした批判があまりに激しかったせいか、日銀は、01年から
06年にかけて量的緩和を実施しました。しかし、ヘリベンの説
と違って、日本はデフレから脱却できませんでした。

むしろ、資金が高利の運用を目指して海外に流出する
「キャリー・トレード」が起き、アメリカの住宅バブルを
促進してしまいました。

その結果、円は安くなり、輸出も伸びました。
しかし、それは日本も手を貸したアメリカの住宅バブルのおかげに
過ぎなかったのです。

ところが、その住宅バブルがはじけ、リーマン・ショック
が勃発しました。

焦ったヘリベンは、08年から11年まで、持論の量的緩和を
二度も実施しました。しかし、いくらブリブリやっても、
景気は回復せず、失業率も下がりません。

それどころか、過剰な流動性のせいで、投機マネーが商品市場に
なだれ込み、食料や原油の価格を高騰させてしまいました。
ヘリベンの薬の副作用です。

金融緩和は、金融危機を一時的に食い止めるのには効果は
ありますが、それだけでは景気回復を実現できないのです。

しかも、欧州債務危機や中国の景気後退など、世界中どこも
不景気という状況ですから、金融緩和によるキャリー・トレードすら
低調にならざるを得ません。そうだとすると、通貨安の効果すらも
限定的なものに終わるかもしれません。

アメリカでは、七日に発表された八月の雇用統計の数字が
悪かったので、ヘリベンが量的緩和第三弾を実施するとの観測が
高まっています。でも、もはや誰も、ヘリベンの薬の効果には
期待してはいないようです。

ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンは、かつては
ヘリベンと同じような主張を展開していましたが、さすがに間違いに
気づいたようで、財政出動を声高に唱えるようになっています。

もうヘリベンは水に流して、
これからは、公共投資をウンと出しましょう!

PS
今日の参考文献です。
服部茂幸『日本の失敗を後追いするアメリカ 「デフレ不況」の危機』
http://amzn.to/PYpXZS

それと、これも参考になります。
中野剛志『レジーム・チェンジ』
http://amzn.to/OTfVek

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【東田剛】アメリカがはまった罠への2件のコメント

  1. 流散恥男 より

     思わず笑ってしまいました。  なんでこんなに面白い話に変えることが東田さんには可能なのか。について考えれば・・・。 ・・・でも私も生活が少しは深刻なんです。そんな暇は無い。とは言っても国内あるいは世界にはもっと生活が深刻な人は増えているのでしょうね。 最近、維新八朔・・・でしたか、に対してもう同じこと繰り返さないでほしい気持ちばかりが湧き出してきます。押して駄目ならプッシュしてみな。って言われてるみたいで。何同じようなこと言ってんだよ。って感じです。一愚民の暴言です。 でも実際に困窮している人ばかりではないのでしょうから、なんとなく閉塞感漂う流れは急にはかわらないのでしょうね。 執筆陣の方々、体は壊さないように、努めてください。                             ・・う・・なんか腹具合が

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  2. 糸川英宏 より

    いつも疑問に思うのは、どうしてこんなに明快な理論が検証されないのかということです。私には自分を疑うことしか出来ませんが、何度考えても実需と供給力のギャップがある限りデフレを止めることはできないのはあきらかであり、財政出動いくらしてもあくまで効果は直接的な因果関係では説明できないため、なぜ適切な規模での政府による買い上げがおこらないのか理解できません。賢いはずの人たちがこれを理解してないわけがないとすると、彼らはただ単に出来レースを仕掛け儲けてるとしか認識できません。

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