アメリカ

2016年12月7日

【佐藤健志】信頼できる指導者の発言、またはグッバイTPP

From 佐藤健志

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お休みしている間に、「『新』日本経済新聞」が「『新』経世済民新聞」へとリニューアルされました。

手元のコンピュータで「しんけいせいさいみん」を入力すると

(*^_^*) 神経性催眠 (*^_^*)

と変換されるものの、
執筆陣のみなさんが、催眠どころか目の覚めるようなメルマガを寄稿されていることはご存じの通り。
というわけで、これからもよろしくお願い申し上げます。

さて。

11月8日のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプの勝利が確実になったとき
「話が違うじゃないか!」
と叫んだと言われる安倍総理ですが、
しっかり立ち直りを見せました。

11月17日(現地時間)にはニューヨークのトランプ・タワーで、
次期大統領と1時間半にわたって会談。
終了後、総理は周辺にこう語ったそうです。

会談は非常にうまくいった。
これは大丈夫だなと感じた。
彼は人の話をよく聴くタイプで、うまくやっていけると思った。
br />(攻撃的だった)選挙中の彼とは別だということだ。
(安全保障面でも経済面でも)信頼関係を絶対に築けると確信した。

カッコはどちらも原文です。
http://www.sankei.com/politics/news/161119/plt1611190008-n1.html

さらに記者団にも、トランプについて
「信頼できる指導者と確信した」と語りました。

http://www.afpbb.com/articles/-/3108390

この記事には、会談に関連した画像が8点ほど添付されていますので
ご覧になると面白いでしょう。
それはさておき。

「確信した」という表現は、意地悪く解釈すれば
〈論理的な根拠は存在しないものの、
何か言わないと格好がつかないので
とりあえずそういうことにしておく〉
と取れなくもない。

信じるだけなら、何をどう信じようと自由。
あとで見識を疑われる恐れはありますが、ウソをついたことにはなりませんからね。

しかしここは、もっと素直に
〈安倍総理は本当にトランプを信頼できると判断した〉
と解釈いたします。

とはいえ「信頼できる指導者」とは、具体的にいかなる指導者でしょうか?

いろいろな見解があると思いますが、
「言動がブレないこと」が重要な条件となるのは
みなさん、異論はないでしょう。

1)自分の発言や行動に、できるだけ一貫性を持たせる。
2)一貫性を崩さねばならない(=発言や行動を変えねばならない)ときは、
  なぜそうするのか、納得のゆく理由を提示する。
要するに、この二つです。
br />ただそうなると、
〈当選後のトランプは、選挙期間中のトランプとは別だ〉
と語った総理の認識は
〈トランプは信頼できる指導者だ〉
とする評価と
なにげに矛盾するというか、
いわゆる認知的不協和をきたしている気がするのですが
これは脇に置きます。
br />なぜならトランプは
〈当選後の自分も、選挙期間中の自分と決して別ではない〉こと、
すなわち
〈自分が信頼できる指導者である〉ことを
証明しようとしているように見受けられるのです。
この記事をどうぞ。

アメリカのトランプ次期大統領は11月21日、
環太平洋連携協定(TPP)からの離脱など
2017年1月20日の就任初日に実行する政策を示した
ビデオメッセージを公表した。
トランプ氏が大統領選後にTPP離脱に言及するのは初めて。

トランプ氏は就任後100日間の
優先事項を説明する動画メッセージで
「我々の法を回復し、雇用を取り戻すため、
就任初日に大統領令で実行できる行動のリストを作成するよう、
私の政権移行チームに指示した」と述べた。

その上で就任初日にやることとして、
「貿易に関しては、我が国に災厄をもたらす恐れがある
環太平洋連携協定からの離脱の通知を出すつもりだ。
その代わりに、雇用と産業をアメリカに取り戻す
公平な2国間貿易協定の交渉を進めていく」と話した。
(明らかな誤記を一箇所修正)

http://www.huffingtonpost.jp/2016/11/21/trump-tpp_n_13138408.html
ビデオメッセージの動画つきです。ただし字幕なし。

字幕入りの動画をご覧になりたい方はこちら。
http://www.bbc.com/japanese/video-38060766?ocid=bbc-japan-twitterjapan

!!!!\(^O^)/これぞ「信頼できる指導者」の発言\(^O^)/!!!!
br />・・・という感じではありませんか。
br />片や安倍総理は、
同じ21日にブエノスアイレスで行った記者会見で
TPPをめぐってこう発言。
br />TPPは、米国抜きでは意味がない。
再交渉が不可能であるのと同様、根本的な利益のバランスが崩れてしまいます。

http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/1121kaiken.html

してみると
ドナルド・トランプが信頼できる指導者であるかぎり
もはやTPPには意味がないことになります。
br />トランプが信頼できる指導者だというのは
安倍総理自身の評価ですから、
この発言は
〈今国会でTPPの承認をめざすなど、まったくナンセンスである〉ことを
みずから認めたものと言えるでしょう。

さらに11月22日には、
オバマ政権が任期中のTPP承認を断念すると正式表明。
ホワイトハウス報道官のジョシュ・アーネストは
「次のステップとして示せるものは何もない」と語り、
TPP離脱を「悲劇的」と形容しました。

http://mainichi.jp/articles/20161124/k00/00m/020/033000c?fm=mnm

話を整理すれば以下の通り。

1)アメリカの現政権はTPPをぶん投げた。
2)アメリカの次期政権は最初からTPPをやる気がない。
3)アメリカ抜きのTPPは意味がない。

だいたいアメリカが抜けた場合、発効をめぐる規定によって、TPPは成立しません。

!!!!\(^O^)/グッバイ、TPP!!\(^O^)/!!!!

と・こ・ろ・が。
安倍総理、なぜか今なおTPPにこだわっているのです。
どうぞ。

安倍晋三首相は(11月)28日午前の参院本会議で、
トランプ次期米大統領が
環太平洋連携協定(TPP)の脱退を表明したことを巡り
「他国に影響されたり、他国に追従したりするのではなく、
日本として理念を掲げ、貫く信念がなくてはならない。
今、ぶれてはならない」と述べ、
今国会で承認手続きを進める意向を重ねて示した。
(二番目のカッコは原文)

http://mainichi.jp/articles/20161128/k00/00e/010/216000c?fm=mnm

現在の臨時国会の会期が
12月14日まで延長されたので、
何もしなくてもTPP承認案は12月9日に成立します。

同案は11月10日に衆議院を通過していますが
条約承認については、憲法の規定に基づき
〈通過後30日以内に参議院が議決しなければ自然成立〉という
衆議院の優越が認められているからです。

参議院で否決された場合でも、
両院協議会で話がまとまらなければ
衆議院の優越が認められます。

だとしても・・・

????\(◎o◎)/なんで?\(◎o◎)/????

トランプは信頼できる指導者なんでしょう?
その指導者が離脱を明言しているんですよ。
オバマ政権だって、TPP承認をあきらめました。

アメリカ抜きのTPPに意味はないんでしょう?
というか、成立しないでしょうに!
br />どうもこうなると、
安倍総理が信頼できる指導者かどうか疑わしくなってきます。
11月21日の発言と28日の発言は
明らかに認知的不協和をきたしているではありませんか。

「話が違うじゃないか!」と言えるのは
とりあえず、話に筋が通っているときのこと。
筋がなくなってしまったら
そもそも話が崩壊してしまいます。

「話にならない」というやつですね。
ではでは♪

<佐藤健志からのお知らせ>
1)日本文化チャンネル桜の番組「闘論!倒論!討論!」に出演します。

テーマ:国のために死ぬこと〜再考 大東亜戦争
放送予定:12月10日(土)20:00−23:00

2)戦後脱却をめぐる方向性にも、明らかな認知的不協和が見られます。これが解決されないかぎり、待っているのは自滅への道でしょう。詳しくはこちらを。

『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』(徳間書店)
http://www.amazon.co.jp//dp/4198640637/(紙版)
http://qq4q.biz/uaui(電子版)

3)それどころか保守派にしろ、はたまた左翼・リベラルにしろ、みずからのあり方に認知的不協和を抱えているのです。

『愛国のパラドックス 「右か左か」の時代は終わった』(アスペクト)
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4)もっと言えば、わが国の戦後史そのものが、認知的不協和を隠蔽するためにファンタジーをこしらえつづけた歴史でした。

『僕たちは戦後史を知らない 日本の「敗戦」は4回繰り返された』(祥伝社)
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5)「いくら失敗を繰り返しても、革命派はさっぱり懲(こ)りない。(中略)頑迷な石頭が、自分の間違いをどうしても認めない」(288ページ)
この迷走、この混乱! いまの日本とどれだけ違う?

『新訳 フランス革命の省察 「保守主義の父」かく語りき』(PHP研究所)
http://amzn.to/1jLBOcj (紙版)
http://amzn.to/19bYio8 (電子版)

6)「執着ぶりのスゴさたるや、誰にも止められない時の歩みのごとくにして、すべてを飲み込まずにはおかない死の絶対性のごとし」(246〜247ページ)
はて、トマス・ペインがTPPをめぐる総理の発言を知っているはずはないのですが・・・

『コモン・センス完全版 アメリカを生んだ「過激な聖書」』(PHP研究所)
http://amzn.to/1AF8Bxz(電子版)

7)そして、ブログとツイッターはこちらをどうぞ。
ブログ http://kenjisato1966.com
ツイッター http://twitter.com/kenjisato1966

—発行者より—

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