From 佐藤健志
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11月8日に行われたアメリカ大統領選挙はご存じの通り、
民主党のヒラリー・クリントンを破って
共和党のドナルド・トランプが勝利する結果となりました。
メディアや専門家のほとんどは
〈選挙戦終盤にトランプが追い上げてきたのは事実だが、クリントンが逃げ切って勝つだろう〉
と予測していたのですから、まさに大番狂わせ。
「予想通りには行かない、番狂わせが面白い」
とは、わが国でも人気の高いミュージカル『エリザベート』の名台詞ですが、
現実の出来事となると、そうのんきに構えてもいられません。
安倍総理など、開票作業が終盤に達したとき、
「話が違うじゃないか!」
と叫んだと伝えられます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161111-00000058-spnannex-soci
外務省から「クリントンが勝つに決まっています」という趣旨のブリーフィングを受けていたものと思われますが、
いかなる報告が上がってこようと、最終的には自分の責任で判断するのが総理の役目。
「話が違うじゃないか!」とか、八つ当たりじみたことをおっしゃっては困りますね。
それはともかく。
今回の選挙結果については
「アメリカのメディアは全体にクリントンびいきだったので、
トランプ人気が盛り上がっていた現実を直視せず、
客観的な報道をしなかったのだ」
という主張が見られました。
専門家についても
「トランプ勝利の可能性を示すデータはあったのに、
あんな候補が勝つはずはないという先入観のあまり、
ちゃんとした判断をしなかったのだ」
とする主張が見られます。
とはいえ、本当にそうか?
事実に照らしてみると、どうも違うのですよ。
たしかにアメリカのメディアは、全体としてクリントンびいきだったと思います。
トランプのような候補が勝つはずはないと信じ込んでいた専門家もいるでしょう。
し・か・し。
クリントンびいきになるとは考えられない人々までが、じつはクリントンの勝利を予測していたのです。
たとえば共和党系の政治アナリストたち。
マット・マコーウィアックというアナリストは、8月11日にこうツイートしました。
「トランプは共和党そのものを脅かすにいたっている。
彼がもたらしたダメージを消し去るには十年かかるかも知れない。
われわれは党の存亡に関わる事態に直面しているのだ」
https://twitter.com/MattMackowiak/status/763789463575072768?ref_src=twsrc%5Etfw
惨敗を予想しているとしか思えない発言です。
ジョン・ウィーバーというアナリストも、トランプの追い上げが伝えられた投票日直前の時点で、こう発言しました。
「クリントンが圧勝することになると思う。
ただしそのあと、彼女はアメリカ史上最も人気のない大統領になるだろう。
矛盾しているって? その通りだよ」
それどころか!
ほかならぬトランプ陣営さえ、「クリントン勝利」を予測していたのです!!
今回の選挙に際し、トランプは大金を投じて、独自の選挙結果予測シミュレーション・ソフトをつくりました。
名づけて「BATTLEGROUND OPTIMIZER PATH TO VICTORY」。
日本語にすれば
「最適戦略考案装置〈勝利への道〉」
です。
で、投票日三週間前の10月18日に〈勝利への道〉が計算したトランプ大統領誕生の確率は・・・
!!!!\(◎o◎)/7.8%\(◎o◎)/!!!!
78%ではありませんよ。
7.8%。
ここのどこに「トランプ勝利の趨勢」があるのでしょう?
ちなみにその後、トランプ陣営は予測をやり直します。
ひとつにはクリントンのメール問題が再燃したからですが、より重要な理由としては
〈都市部以外の白人(とくに高年齢層)におけるトランプ支持の勢いが予想以上に強い〉
ことが見えてきたからでした。
もっとも選挙結果予測チームのリーダーを務めたマット・オクツォウスキーによれば、やり直しの動機には
〈とにかくトランプに勝ち目のありそうなシナリオを提示したい〉
という願望も混じっていたとか。
つまりは少々、トランプびいきの予測かも知れません。
何にせよ、トランプはその結果をもとに、
ペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガンなど
クリントン優位が揺るがないと思われていた州での選挙運動を強化。
ただしそれでも、
投票日直前に〈勝利への道〉が弾き出した
それらの州における勝率は・・・
!!!!\(◎o◎)/30%\(◎o◎)/!!!!
これって要するに、
〈多分クリントンが勝つだろうが、トランプが勝つ見込みも否定はできない〉
という話ではありませんか。
天気予報が「明日の降水確率は30%」と告げているとき、雨がざあざあ降ることを予想しますか?
せいぜい「念のため、折りたたみの傘でも持って行くか」というところでしょうに。
そしておおかたのメディアや専門家も、このころには
〈選挙戦終盤にトランプが追い上げてきたのは事実だが、クリントンが逃げ切って勝つだろう〉
という見解でした。
クリントンびいきであろうとなかろうと、そうそうハズしていたわけではないのです。
はたせるかな、アメリカの政治系サイト「THE HILL」には
開票が進み、トランプ優勢が明らかになった11月9日午前零時(アメリカ東部標準時間。以下同じ)の段階で、
こんな記事が出ています。
br />「トランプの側近たち、自分たちの予測の狂いに衝撃」
http://thehill.com/blogs/ballot-box/presidential-races/305101-trump-aides-shocked-by-how-wrong-their-own-polls-were
それによれば、11月8日の晩の段階における出口調査ですら
〈トランプはかなりの差をつけられてクリントンに負ける〉
という結果が出ていたらしいのです!
トランプ陣営の広報担当の大物、サラ・ハッカビーは
〈われわれの内部調査も、出口調査と同じくらいハズしていた〉
旨を認めたとのこと。
〈勝利への道〉が計算したトランプの勝率は、
全体で7.8%、
逆転勝利がありうるとされた諸州でも30%だったのですから、ハッカビーの発言はもっともです。
選対本部長ケリーアン・コンウェイ(この人も世論調査の専門家です)まで、
まだ投票が行われている11月8日夕刻の時点では
テレビの取材に答えて、こう述べていました。
「心配なのは、共和党の大物たちの十分な支援が得られなかったことね。
かりに僅差でしか勝てなかったとしたら、
民主党とか、他の対立勢力のせいというより、
共和党の元大統領や、元大統領候補たちが
トランプに投票してくれなかったことの影響が大きいと思う」
http://thehill.com/blogs/ballot-box/305049-trump-campaign-chief-casts-blame-before-polls-close
「僅差でしか勝てなかったとしたら」と言っているものの、
僅差でも何でも、勝てばこっちのものなんですから
コンウェイが本当に言わんとしているのが
「あと一歩というところで負けてしまったら」
なのは明らかでしょう。
投票が締め切られる前に、選対本部長が敗北を認めるわけにはいかないのです。
なおコンウェイは同日の夜11時になって
「ちょっと、すべての世論調査が間違っていたなんて言わないこと!」
とツイート。
https://twitter.com/KellyannePolls/status/796204501225107456
〈自分にはずっとトランプ勝利が見えていた〉
と主張したかったのでしょうが、
すでに紹介したマット・オクツォウスキーやサラ・ハッカビーの発言を思えば
これは負け惜しみならぬ「勝ち惜しみ」の可能性が高い。
要するに今回のトランプ勝利は、やはり大番狂わせだったのです。
そしてトランプはTPPからの離脱や、
日米同盟の見直しを唱えているのですから、
これはわが国にも重大な影響を与えること確実。
歴史は大きく動き始めているのではないでしょうか。
ではでは♪
<佐藤健志からのお知らせ>
1)というわけで、日本文化チャンネル桜の番組「闘論!倒論!討論!」に出演します。
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5)「事態は日を追って収拾がつかなくなっている以上、革命政府は唖然とするようなトンデモ政策を次々と打ちださざるをえないのだ」(8ページ)
トランプ勝利の翌日、日本ではTPPの承認案と関連法案が衆議院を通過しました。
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6)「人々の不満を巧みにとらえ、絶望のあまりヤケになった連中をまとめあげることで、政治権力を掌握してしまう者。
そんなヤカラが現れたら最後、新大陸の自由は大津波に流されたも同然となる」(164ページ)
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—発行者より—
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★★★★★:山本直美さまのレビュー
豊洲問題は、完全に小池百合子劇場に取り込まれていました。
解説を聞いてはっきり理解でき
月刊三橋の会員でよかったと心から思いました。
プロパガンダに騙されないつもりでいても、
見抜く知識や経験のなさで、簡単に
騙されるものだということがよくわかりました。
今回教えていただいた
1)恐怖プロパガンダ
2)ルサンチマン・プロパガンダ
3)木を見せ森を見せないプロパガンダ
をしっかり理解してこの3つのプロパガンダに
対しては騙されない人間になります。
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