【近況】
最近、話題にすることが多いレバノンで、
信じがたい規模の爆発事故(恐らく)が起き、
大勢の方が命や財産を失う悲劇的な事態になっています。
レバノンの爆発事故を受け、
三橋が思い出したのはフリードリヒ・リストの
「生産諸力」という言葉です。
フリードリッヒ・リスト(1789~1846)は、
フランス革命が勃発した年に
南ドイツのロートリンゲンで生まれました。
テュービンゲン大学教授の職を経て議員となり、
ドイツ統一の論陣を張るものの、
1825年にアメリカに追放されてしまいます。
同地で、リストはアメリカの保護主義に
理論的根拠を与える 『アメリカ経済学綱要』
(1827年)を執筆。
その後、アメリカ領事の資格でドイツに戻り、
1834年に成立したドイツ関税同盟で
指導的役割を果たしたものの、
主流派経済学者と対立し、
1841年ピストル自殺を遂げた人物です。
リストは、生産諸力の理論において、
「法律」「貨幣」「度量衡」「警察」
「司法制度」「輸送手段」などの「制度」が
生産性を向上させると説明しました。
生産性向上とは、供給能力の拡大そのものです。
レバノンは、食料ですら八割が輸入という、
供給能力が不足した国で、
最終的には財政破綻に追い込まれました(20年3月)。
http://mtdata.jp/data_70.html#boueki
今回の爆発事故で判明したのは、
レバノンは単なる「投資不足」ではなく、
政府の機能が弱く、生産諸力が
半崩壊状態だったという事実です。
市街地から近く、経済の中心である港湾に、
約2750トンもの硝酸アンモニウムが半放置状態だった。
港湾当局も、公共事業・運輸省も、司法当局も、
税関当局も、誰も主導的に対応しようとはしなかった。
現在、各行政機関の間で責任の
押し付け合いが始まっているようですが、
そもそもレバノンは18もの宗派が
権力を分け合っており、政府全体としての
パワーが極端に弱体化した国でした。
政府内が対立だらけで、生産諸力が弱く、
当然、投資による生産性向上も望めず、
危険物質の管理責任すら曖昧というレバノンの
構造そのものが、3月の財政破綻や今回の爆発事故につながった。
宗教対立が激しく、1975年から
90年まで内戦状態にあったレバノンでは、
現実には「国民国家」が成立しえない。
結果、リストの言う生産諸力の強化も望めない。
レバノンの現実を知ると、我々日本国民にとって、
二千年の歴史を持つ「日本国」」が、
どれほど貴重な存在で、財産であるかが
改めて理解できるのです。
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第380回 疫病恐慌曲線の上で右往左往
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(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
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反緊縮レント・シーキング
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
「政府は負債も大きいが、資産も巨額だ」
というレトリックで財政破綻論を否定する人には
気を付けましょう。公共財産の切り売りを
狙うレント・シーカーの可能性がありますよ、
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(絶対にサムネ詐欺だと思ったでしょ?)[三橋TV第271回]
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「理念なきバラマキ」って何? [三橋TV第272回]
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8月3日 チャンネル桜
「Front Japan 桜」に出演しました。
【Front Japan 桜】苛烈なり!
第二次世界恐慌! / 李登輝総統が日本人に託したもの[桜R2/8/3]
https://youtu.be/FHyZDf0T25Y
【ch桜・別館】夏休みシーズン、皆どうする?[桜R2/8/3] https://youtu.be/WNmCIUIZVYY
【RE:明るい経済教室 #6】
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「落選させるべき自民党議員(前半)」
三橋貴明 AJER2020.8.4
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【三橋貴明】レバノン爆発事故と生産諸力への3件のコメント
2020年8月9日 1:57 PM
もしもTPP 国家戦略特区で自由化何でもあり、
人や物の行き来自由化の名目で法律もモラルも無く
検疫も税関も無力化された国家とは言えない植民地では爆薬 武器 放射性物質 化学物質 麻薬 危険薬物 細菌
何でもありの 何でも通過OK ならば
港湾 空港近くに簡易に保管集積され各地に輸送拡散されるのは一番コストがかからず理想的だと自分が経営者ならば思うよな。
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2020年8月9日 2:20 PM
レバノンでは反政府運動起きているとか!?
かたや 原子炉が3つも大破壊で放射能拡散∞
しかもこの後何万年も続き あまつさえ放置されてるのに
go to home town go to heaven かよ、
日本轟沈!!!
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2020年8月10日 5:43 AM
何はともあれ国際社会をきちんと見極めるための基本は真っ白の状態で純粋に考えることです。だからそのためには正しい歴史認識をしなければならないわけです。それでそれを認識出来れば世の中の仕組みとその背景が理解できます。そうすると国際社会に必要不可欠のエネルギー事情と厄介な人種対立とか宗教対立を抱える中東情勢が認識できると思います。つまりこの背景が国際社会の縮図なのです。だから国際社会を知るためには中東を理解して認識するべきなのです。そうすればEUの問題やらロシアやらトルコ問題やらミャンマーやら香港やら米国やら朝鮮半島問題やら中国問題なども根本は同じだと理解できます。ならばその計画を実行する金融屋連中になびく奴等が、暴言を吐き挑発行動するメディアとか低次元で口先だけの弁護士とか政治家のカス連中なわけです。ちなみにおくびにもなくダブスタを展開する奴等だけは絶対に許さない!
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