日本経済

2018年10月27日

【平松禎史】「霧につつまれたハリネズミのつぶやき」:第五十話

From 平松禎史@アニメーター/演出家

○アバンタイトル

安倍首相が、来年10月の消費税10%増税を改めて「予定通り行う」と表明しました。
新聞を読むと、10%増税は「もう決まったこと」という印象が強い。
このまま、スルスルっと決まってしまうのか?

巨大な人災を引き起こす増税を、真剣に止めようしないのはなぜでしょうか?

第五十話:「消費税10%増税は、決して避けられない〈自然災害〉なのか?」

「ラドンが生きている限り、我々は文句の持っていき場のない被害を、再び被らなくてはならないのです。」

これは、昭和三十一年(1956年)公開された『空の大怪獣ラドン』で、最後の決戦前に自衛隊の司令が述べたことばです。
いきなり映画の話で恐縮ですが、日本人の根っこにある考え方、日本人の特質が強烈に現れた場面だと思います。特に、戦後歪められた意識がよく現れています。

ラドンとはプテラノドンの一種で翼長120メートルにもなる大怪獣です。
超音速で飛びますので、低空飛行では大型トラックが転覆し、木造家屋は吹っ飛び、コンクリート製の建物さえ崩壊する。
半世紀以上前の映画にもかかわらず、円谷英二の特撮映像の説得力は、今年相次いで上陸した大型台風被害をそのまま表現したかのようで驚かされます。

ラドンの飛翔は世界を震撼させます。
帰巣本能によって阿蘇山麓に戻ってくるたび、北九州一帯は市街地も田畑もメチャクチャな被害を被る。
当時の自衛隊機は第1世代のF-86Fセイバーだったため、超音速のラドンには為す術もなく、衝撃波で撃墜されてしまいますが、自衛隊は多大な犠牲を出しつつも、ついに弱らせることに成功します。
ところが
ラドンは「つがい」で、もう一匹いた。絶望的です。

これを撃破するためには、巣に戻っているところを奇襲するしかない。自衛隊司令は、大量のミサイル攻撃による生き埋め作戦を発表します。
そこで、地震研究所所長が断固反対する。
そんなことをしたら、阿蘇山が噴火して大変なことになる。街も田畑もどうなってしまうかわからない、と。
その反論が、冒頭記した自衛隊司令のことばです。
もちろん、地域一帯の住民は避難させた上での作戦でした。

「ラドンが生きている限り、我々は文句の持っていき場のない被害を、再び被らなくてはならないのです。」

自衛隊司令の主張に、地震研究所所長も主人公たち一同も沈黙するしかなかった。
「文句の持っていき場のない被害」を解消するには、みづから引き起こす別な被害を受け入れねばならない、と納得するのです。
どの道 破滅的じゃないですか。

自衛隊の奮闘はもちろんだが、結局、ラドンを倒したのは阿蘇山の噴火だった。
これまた、「文句の持っていき場のない」力による決着でした。

佐原健二演じる主人公は、後半何もすることがなく、良く言えば「見守った」、正直言えば「やりすごした」だけに終わっています。
これもまた、象徴的な表現でした。

+ + +

「文句の持っていき場のない被害」

このセリフは、『ゴジラ』にはじまる日本の怪獣が、自然災害を象徴している証左です。
戦争や核兵器との関連は、作劇上の合理的説明に過ぎず、本質は自然災害に直面してきた日本人の特質を表しているのだと思う。

すなわち、我々が被る「何らかの」被害は、「文句の持っていき場のない」ことなのだ。
と、決着してしまう感覚です。
そうだとしても、復興のために事業を興し、更に発展する道を進めれば問題ありません。
日本には、「民のかまど」や「稲むらの火」(https://www.town.hirogawa.wakayama.jp/inamuranohi/siryo_inamura.html)のような、未来を豊かにする貴重な故事があります。

ところが
戦後は、厄介な特質が加わってきます。
「文句の持っていき場のない被害」に対処するため、みづから引き起こす被害を受け入れようとする感覚です。
外的な被害を防ごうとせず、内的な人災を起こすことによって、主体的に受け入れようとする。

安倍首相は、消費財増税を中止する理由として「リーマンショック級の危機が起こらない限り予定通り行う」と外的要因を持ち出しますが、「アレよりマシだろう?」と言っているにすぎず、破滅の道を選んでいるのです。
東日本大震災以降の災害がまだ続いている上に、今年の自然災害でも多大な被害を被っているのに、それは見ようとしない。
外的要因を理由にするかぎり、何が起ころうが「アレよりマシだろう?」と、「アレ」の程度は都合よく変更すれば良い。結論を変えない口実として実に便利です。
なぜ、主体的に危機を回避しようとせず、改善策やろうとせず、破滅の道を選ぶのか?

「消費増税、反動減対策の歳出は厳選せよ 」(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXKZO36520030V11C18A0EA1000/
《自然災害への対応などは財政が機動的に対応すべき分野だ。真に必要なお金をきちんと出せるように、消費増税対策に名を借りたバラマキは慎むべきだ。》

「【主張】消費税率10% 混乱回避へ万全な対策を」(産経新聞)
https://www.sankei.com/column/news/181016/clm1810160002-n1.html
《政府は、増税を実施できるように経済環境を整えるだけではなく、駆け込み需要や反動減などに目を光らせた経済対策を講じるべきだ。ただし経済効果の薄いばらまきは、厳に慎まなくてはならない。

「(社説)消費増税対策 何でもありは許されぬ」(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13724874.html?ref=editorial_backnumber
《防災や減災、国土強靱(きょうじん)化のための緊急対策もとるというが、消費税対策として実施するのは筋違いではないか。》

経済紙と左右を代表する新聞、すべてが10%増税は避けられない前提で書いています。

朝日新聞は防災減災・国土強靭化と増税対策をゴッチャにしてますが、これは間違いだ。
ということを横においたとして、いずれにしても
主要紙すべてが、消費税増税が多大な被害をもたらすことを知りながら、アレコレと条件をつけて財政拡大をさせまいと論陣を張っているように見えますね。
まるで、大型台風をやりすごすまで、ただ布団にくるまってじっとしているいじましい態度だ。

安倍政権も追随する新聞も、8%増税前のような駆け込み消費を期待しているようですが、今回はかなり小さいのでは?と心配しています。
増税後の反動減を和らげる事前の対策が多岐にわたるほど、増税ショックが和らぐため、駆け込み消費を相殺してしまう。
振り返れば、前回増税時には一年前の10兆円補正で景気が回復しかけていました。
今はどうでしょう?
10%増税まで一年を切りましたが、景気は低迷したままで、経済対策予算はまだ検討中です。
このままでは、駆け込み消費など起こらず、ただただ景気が悪化するだけになるんじゃないでしょうか。

景気は悪いままだという現実。
消費税が景気を悪化させる事実。
財政拡大で景気回復できる事実。
…どれも明白なのに、捻じ曲げて「この道しかない」と自滅の道を選ぶ。

なぜなんでしょう。

なぜ、被害があるとわかってることを止められないのか?
なぜ、さらに被害が長期化することをやり続けるのか?
なぜ、決して避けられないと、諦めてしまうのか?
あまつさえ、外的要因を持ち出して断行しようとするのか?

(天災であれ人災であれ)決して避けられない文句の持っていき場のない被害だと受け止め、対処のつもりで別な被害をみづから引き起こそうとする特質。
その結果、本質からは遠ざかり、「やりすごした」だけで忘れてしまう。

どうしてそうなってしまうのか。
真剣に考え直さないと堂々巡りを繰り返します。

○エンディング

貿易交渉でも、国防でも、懸命に対処を論じつつ、なぜか本質から遠ざかり、国益に資するかどうかは、被害を「やりすごした」かどうかで評価されます。
前向きな得点は「ない」のが前提であるかのように。
戦後日本においては、やりすごすたび、主体性が失われていくよう方向付けられているようです。

『ラドン』の8年後、「三大怪獣地球最大の決戦」では、ゴジラ、ラドン、キングギドラの猛威を防げない体たらくを批判されると、防衛大臣はこう答弁します。
「問題は、日本一国の問題ではございません。全世界の問題でございます。諸君は、ゴジラ、ラドンに対し、核兵器を使用せよと言う勇気がございますか?」と延べ、「天命を待つのみ」と半ば放棄してしまう。
結果、モスラの仲介でゴジラとラドン(外的要因)に助けてもらうことになるのです。
中立的な存在であるモスラは、さながら国連です。
しかし、彼らが動物的本能でキングギドラを退けたとして、人類の脅威であることに変わりないのです。
やはり、「やりすごした」だけ、なんですよね。

怪獣映画ににじみ出ている戦後日本人の特質…主体性の欠如…は、佐藤健志さんの『平和主義は貧困化への道 または 対米従属の爽快な末路』で詳しく説明されています。

私達日本人の特質を自覚しないと、誰が首相であろうと、延々同じことを繰り返すのだと思います。
延々繰り返すのが我々日本人なのだとしたら、少しづつでも改善できるようにしましょうよ。

できていないことを自覚する、それが、できるようになる第一歩、です。

○コマーシャル

『さよならの朝に約束の花をかざろう』
DVD・Blue-ray、10月26日に発売!

『ICE ADOLESCENCE ユーリ!!! ON ICE劇場版』
YouTube動画です→ https://youtu.be/-wjrCriMOO8
2019年公開予定!

『平松禎史 アニメーション画集』発売中。
『エヴァンゲリオン』シリーズや『彼氏彼女の事情』などカラーイラストを多数収載。
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画集第二弾『平松禎史 Sketch Book』発売中。
キャラクターデザインのラフや楽描き、国民の祝日の絵「ハタビちゃん」シリーズなど収載。
http://amzn.asia/hUQoCkv

ボクのブログです。
http://ameblo.jp/tadashi-hiramatz/

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  2. たかゆき より

    一億総白痴化

    出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

    一億総白痴化(いちおくそうはくちか)とは社会評論家の大宅壮一が生み出した流行語である。「テレビというメディアは非常に低俗なものであり、テレビばかり見ていると人間の想像力や思考力を低下させてしまう」という意味合いの言葉である。

    テレビに至っては、紙芝居同様、否、紙芝居以下の白痴番組が毎日ずらりと列んでいる。ラジオ、テレビという最も進歩したマスコミ機関によって、『一億白痴化運動』が展開されていると言って好い。
    — 『週刊東京』1957年2月2日号「言いたい放題」より

    解は既に 1957年に提示されており、、

    いまでは シンブンガミも パクチー もといコリアンダー。。

    優秀な日本人は先の大戦で全て 英霊になられ

    神国に残されたモノは

    一億を越える白痴と 大陸 半島由来の有害獣

    結論

    白痴(含小生)は死ななきゃ 治らない ♪

    返信

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  3. 赤城 より

    神様ご主人様飼い主様お隣ヤクザ様結託の
    尊いご命令なんでしょう
    増税デフレネオリベ自滅衰退していけと
    さもなくば命は無いぞとね

    主権無くスパイ天国なんですもの
    その上敗戦後の
    白痴化家畜奴隷地球市民教育を受けた日本人のみしか
    もうほとんど日本には居ませんもの
    もうどこにも日本民族はいないんだもの
    なんて言っても仕方ありませんね失礼しました。

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