政治

2016年9月23日

【上島嘉郎】能天気なデラシネが勝つ日本の不幸

From 上島嘉郎@ジャーナリスト(『正論』元編集長)

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NNN(日本テレビ系)が行った世論調査(9月18日配信)によると、新たに民進党代表に選ばれた蓮舫氏について「期待する」と答えた人が54.0%に上り、「期待しない」の35.8%を大きく上回りました。

蓮舫氏が台湾籍を持っていたことについては「そもそもいわゆる二重国籍自体を問題にすることはない」が31.7%、「日本国籍を持っており問題ない」が30.4%、「当初の発言と食い違っていたことが問題だ」が15.5%、「国会議員が二重国籍であることは問題」が14.6%という結果です。6割が不問に付すということですね。

蓮舫氏への期待の高さは、何が肝心かということがわからない、それ以前に何が肝心かということを考えようとはしない現下の日本人の能天気さを表しているように思います。

たしかに日本の公職選挙法は国会議員の被選挙権に多重国籍の除外規定はなく、首相や閣僚ら「特別国家公務員」も日本国籍があれば問題ありません。首相の指揮を受ける外交官は、人事院規則で日本国籍を持ち外国籍のない人に限られますが、これは二重国籍者では他国の利益を優先する可能性があるからで、国会議員にそれが法的に明文化され求められていないのは、「自明の理」を期待してのことでしょう。

国籍法第16条は「(日本国籍)選択の宣誓をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない」と定めています。「努力義務のような規定になっており、より厳格に運用することは現実的ではない」(近藤敦・名城大教授=9月8日付朝日新聞)という意見もありますが、蓮舫氏は31年間も違法状態を続け、その間に国会議員となり、平成22年には入閣もしていたわけです。

「生まれたときから日本人」
「台湾籍は抜いている」
「台湾籍は残っていた」

蓮舫氏の説明は二転三転しました。問題はあくまで蓮舫氏が法に基づく手続きを適切に行っていなかったことにあり、その説明責任に誠実さを著しく欠いたことです。

そもそも国籍は、個人の利便性で判断されるべきものではありません。国籍を持つとは、その国の政治に参画する権利を有すると同時に義務を伴うことを意味します。
たとえば、ある国民から米国民に転じれば、合衆国憲法への忠誠、米国籍取得以前のすべての外国への忠誠の放棄、国内外の敵から合衆国憲法を守ること、国が危急存亡の折は法律が定めた市民としての義務を果たすことなどが明確に求められます。

蓮舫氏がなぜ批判されねばならないか。米国が自国民に求める内容に照らせばはっきりわかります。蓮舫氏がいかに「私は日本人」と言っても、政治家としてそれが信じられる言動の積み重ね、米国風に言えば忠誠証明がないのです。違法性はないということと、国政の舵取りを委ねられるか、その任に相応しいか否かの判断は別です。蓮舫氏も、民進党もこの問題にきちんと向き合っていない。彼女が選んだ執行部も同じです。日本国民に対する政治責任を軽視しています。

繰り返しますが、多様な価値観や人権、人道、少数者差別といった問題について考えることと二重国籍問題は全く別です。この情理をはっきりさせなければ、「蓮舫さん、カワイソウ」といった空気が醸しだされ、またぞろ外国人参政権の問題が蒸し返されてくるかも知れません。

「外国人参政権は世界の趨勢だ」というのが推進論者の主張ですが、そもそもそれを認めている国々と日本とでは与件が違うのですから、いい加減こうした他国を是とする議論への盲従はやめたいものです。
日本には日本の価値観や判断がある、でいいのです。

「国政はダメでも地方参政権なら」という議論も、事の本質を無視してはならない。永住外国人に地方参政権を認めない公選法などの規定は住民自治を定めた憲法に違反すると、在日韓国人9人が起こした訴訟がありました。平成7年2月、最高裁第三小法廷は「憲法上、わが国に在留する外国人に対し選挙の権利を保障したものではない」とした一審判決を支持し、原告の請求を棄却しています。これが最高裁の判断です。

しかし、判決理由の「傍論」部分で「永住外国人に対し、地方レベルの参政権を法律をもって認めることは憲法上禁止されていない」との判断も示された結果、地方参政権付与推進派を勢いづかせました(「傍論」には判例拘束力はありません)。
この両論併記を、地方参政権付与推進派は巧みに“利用”し続けています。民主党政権下(菅直人首相)では先の「傍論」を「最大限尊重しなければならない」とする答弁書を決定し、仙谷由人官房長官(当時)も「戦前の植民地侵略の歴史があり、その残滓としての在日問題がまだ関わっている。その方々の人権保障を十二分にしなければならない。地方参政権も認めていくべきだ」と主張しました。

ちなみに、この「傍論」を書いたのは園部逸夫氏で、「在日の人たちには、戦争中に強制連行され、帰りたくても祖国に帰れない人が大勢いる」として、朝鮮生まれの自分の体験から身につまされるものがあり、それが傍論に反映されたと語っています(平成11年6月24日付朝日新聞)。
民主党政権が続いていたら、歴史的事実を棚上げして、過剰な贖罪意識から本当に「在日コリアン(韓国・朝鮮籍永住者)」に参政権が付与されたかも知れません。

それがどのような矛盾をもたらすか。
民主党政権下の2012年4月に行われた韓国総選挙で初めて在外投票制度が導入されました。日本国内でも韓国籍を持つ者で事前登録した内の約9800人が一票を投じましたが、かりに彼らに地方参政権(選挙権)が付与されれば、韓国の国政と日本の地方自治体に二重の投票権を持つことになります。

日韓の間には、戦後の被占領下に“強奪”され、その後も韓国に不法占拠されている竹島の問題や「慰安婦」問題などが存在します。地方自治体に限ったとしても、在日韓国人が参政権を行使した場合、それらの問題が複雑化し、国政を歪め、国益上大きな障害となることは容易に想像がつきます。

2005年に韓国が永住外国人に地方参政権を付与する法改正を行ったことから「相互主義」の観点で日本も認めるべきだ、という意見もありましたが、在韓の永住日本人で参政権を得るのは当時100人程度で、到底相互主義が成り立つ状況にはなく、それは現在も変わりません。

民主党は政権交代時の「政策集INDEX2009」に「永住外国人の地方選挙権」を掲げ、実際に鳩山政権は、韓国・朝鮮籍が100%近くを占める特別永住者だけでなく、中国籍約17万人を含む一般永住者約56万人をも対象にした参政権付与法案を検討しました。
それに対し、のべ35県が反対や慎重対応を求める意見書や決議を採択するなど、反対論が強まったことから法案提出は断念しましたが、その基本姿勢は野党に転じ、いままた民進党になっても変わってはいません。岡田克也前同党代表も、永住外国人への参政権付与を「民主党結党以来の悲願」と推進する立場でした。

さて、蓮舫氏は9月13日の記者会見で「私は一貫して、政治家としては、日本人の立場以外で行動したことはない。日本人としてわが国のために働いてきたし、これからも働いていきたい」と語り、その後民進党代表に選出されました。

蓮舫氏は本当にこの言葉どおり働いてくれるか――。
平成22年6月、行政刷新担当相として42歳の若さで初入閣を果たした彼女は、「就任後、内閣府で開いた記者会見で、閣僚が恒例とする国旗への一礼を省略した。当時台湾籍が残っていたことは、6年後に明らかとなる」(9月19日付産経新聞)。

推して知るべし、という気がしますね。
国家観、歴史観において健全な野党が不在であることは日本の不幸です。

〈上島嘉郎からのお知らせ〉
●日本文化チャンネル桜【Front Japan 桜】に出演しました(9月13日)
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【上島嘉郎】能天気なデラシネが勝つ日本の不幸への2件のコメント

  1. robin より

    グローバル化=格差拡大で0.1%の株主のための政策だとするとマスコミが煽る豊洲問題も二重国籍議員問題を隠すためのミスリードなのかな?グローバル株主とスポンサーの意向と筋書以外の報道は許さない、視聴者に善き消費者になってもらうためには余計な事は考えてもらっては困るし、あるいは素直で単純な消費者として使い潰したい、とか。報道機関の手品、詐欺には印象操作、ミスリード、嘘百篇、針小棒大、不自由な選択、木を見せ森を見せず、報道しない自由、朝三暮四、小さい嘘は直ぐ認めるが大きな嘘は絶対に認めない、言葉の質より量で相手に発言させない、虚実織り交ぜ意味消失させる、偶然を必然に見せかける、色々か。洗脳というなら教育も一種の洗脳的な側面もあるか、株主とあるいは資本主義という名目にとって都合の良い教化もあれば公教育にとって都合の良い教化、にどうにか善用出来ないものか。マスコミの支配体制は60年以上?続いているから同じだけの時間をかけるつもりじゃないと改善(してもまた別の問題は起こるのだろうが)しないのだろう。教育も投資だが、それは本来利益を上げるものだけに限らない、個人や法人企業の第一目的は利益で第二以降に社員の福利厚生だろうが、社会の目的は安全な生活環境の積極的能動的維持、とか生活の質の向上こそ第一だろう、「グローバル化と英語化により貧しくなった、しかし地球市民として世界平和に貢献し自ら(グローバル株主)の犠牲になったのだ」では持続的な社会が営まれるとは思えないが、あるいは紛争から戦争に至っても問題無い、儲けることが可能なら何でも善いのが0.1%の祖国無き人達、安全を金で保証する人達なのかもしれない。

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  2. 日本晴れ より

    藤井先生が築地市場の豊洲移転の事についてメディアや大衆の心理の事について語ってますが。この件もそうですね多分大衆の日本人は自分達が地球市民的な感覚で酔ってるんでしょうね。あの悪夢の民主党でも何に期待でるのかって感じです蓮舫氏は二重国籍の問題もそうですが事業仕分けで色んな予算削った張本人ですし、台湾となってますが中国に物凄い近い人です。蓮舫議員から台湾の事なんて聞いた事無いですし。女性だからってだけでこの人気があるとしたら地球市民的な感覚で不問にするなら日本の大衆はずれてるなと思う次第です。

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