日本経済

2024年9月16日

【三橋貴明】財政破綻から金利ある世界へ

【今週のNewsピックアップ】
立憲民主党代表選立候補者たちの回答
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12867119319.html
「国の借金」⇒「金利ある世界」
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12867477132.html

「積極財政を推進する地方議員連盟」の、
「財務省のホームページには、
『日・米など
先進国の自国通貨建て国債の
デフォルトは考えられない』
と記載されていますが、
国債の発行残高が増えることにより
財政破綻が起きると考えていますか?」
という質問に対し、
立憲民主党の代表選挙に
立候補している四名の内、
野田氏、枝野氏、泉氏が、

野田
「デフォルトになるかどうかは不明だが、
金利が上がる時代となったので、
利払い費を含む国債費の膨張が
他の政策経費を圧迫することは
まちがいない」

枝野
「財政破綻が起きずとも、
国債価格の暴落、物価や金利の高騰等、
日本経済を極めて不安定に
するのではないか」


「ただ金利の水準次第では、
国債の発行残高が増えることで
財政の硬直化を招く可能性はある」
と、「国債金利」について言及し、
財政破綻ではなく
「国債金利急騰による財政の硬直」を
強調していました。
極めて面白い。
彼らは、確実に財務省のレクチャーを
受けている。

もはや、財務省ですら
「財政が破綻する」という破綻論は
展開できない。

財務省は、
もちろんその種の「空気」の動きは
分かっていますから、
「国の借金で破綻は
しないかもしれないが、
これから【日銀が利上げしたから】
金利ある世界に突入し、
国債利払が膨張し、
他の予算を圧迫する~っ!」
という路線に切り替えたわけです。

上記プロパガンダのために
財務官僚が「編み出した」レトリックが、
「金利ある世界」。

いや、ちょとまて。
元々、日本は金利ある世界だった。

【日本の長期金利(十年物国債金利)の
推移】

http://mtdata.jp/data_93.html#JOB

国債金利(十年物)は、
0.8%くらいの金利水準が続いていた。
金利は元々「あった」んですよ。

さらには、
日銀は3月にマイナス金利政策を解除し、
7月に0.25%に引き上げましたが、
これは「国債金利」とは関係ない。

【日本の政策金利と
短期プライムレート(%)】

http://mtdata.jp/data_93.html#mutanpo

政策金利は、
銀行振り込みの決済をする際の
市中銀行間の日銀当座預金の
無担保コール翌日物金利です。
国債金利とは関係がありません。

それにもかかわらず、
財務省(と配下の御用メディア)は
「無担保コール翌日物金利」
「短期プライムレート」
「住宅ローンの変動金利」
「国債金利(長期金利)」
「住宅ローンの固定金利」をごっちゃにし、
「日銀が利上げした。
これからは国債金利が上昇する!」
という
プロパガンダを展開してきています。
政策金利と国債金利は
直接的な関係はないのですが、
まあ、普通の人は騙されるのでしょう。

もっとも、日銀の利上げ以降、
国債金利はむしろ下がってきています。

3月のYCC解除後、
長期金利は一時的に1%を超えました。
財務省的には
「勝利」だったのでしょうが、
その後、
需給関係
(国債金利が上がった!買えっ)
により、
長期金利は下がってしまいました。

結果、住宅ローンの固定金利が下がった。

この種の「現実」を目にしても、
多くの政治家は、
「日銀が政策金利を引き上げたから、
国債金利が上がる」
という
奇想天外な「金利ある世界」
プロパガンダに
引っかかる。

理由は、普通の人は
「利上げ」と聞いた際に、
「金利」の定義をしないためです。
金利とはいっても、
色々とあるんですよ。

この「金利ある世界」というプロパガンダ。
なかなか優れているため、
要注意です。
◆メルマガのFoomii配信を始めました。
「日本の解雇規制」
https://foomii.com/00305/20240914090000129128

◆時局2024年10月号に連載
「三橋貴明の経世論第90回 
財務省内閣」が
掲載されました。
http://www.jikyokusya.com/

◆経営科学出版から
「歴史教科書が教えてくれない 
聖徳太子の英雄物語」
が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38nike3_980

◆メルマガ週刊三橋貴明 Vol802 
日本の解雇規制
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
自民党総裁選挙に出馬している
一部の候補が
「解雇規制の緩和(解雇を容易にする)」を
主張しています。
日本の解雇規制は
本当に国際的に「厳しい」のでしょうか?

◆メディア出演

三橋TV、続々公開中です。

なぜコメ不足・電気代の高騰は
起きたのか?
安全保障を全く理解していない
日本政府の大罪
[三橋TV第910回]三橋貴明・saya
https://youtu.be/BG-haQlNqKI

日本の「保守」を徹底解説
~保守の仮面を被った
自民党総裁候補の正体
[三橋TV第911回]三橋貴明・saya
https://youtu.be/X7M8U-25V5Y

利上げで国債金利急騰!?
~財務省が仕掛ける金利の大嘘
[三橋TV第912回]三橋貴明・saya
https://youtu.be/beyvQUyiBOg

特別コンテンツ配信中。

【三橋貴明×青山繁晴】
財務官僚が押しかけてくる?
自民党のタブーに切り込む男を
直撃インタビュー
(三橋貴明×青山繁晴参議院議員)
https://youtu.be/DNLY2uzZRhA

【緊急】
小泉進次郎の発言が
間違いまくっているので解説します。
https://youtu.be/TTGVbGh2xMU

【緊急鼎談】
小泉進次郎は失速?
混戦の自民党総裁選を徹底解説!
(三橋貴明×藤井聡×saya)
https://youtu.be/96gCa31I4Fw

なぜ自民党の総理は
アメリカに逆らえないのか?
【9/18(水)までの限定公開】PRあり
https://youtu.be/ymi9SNOjk9w

総裁選前に全国民が知るべき
重要な事実をお話します。(PRあり)
https://youtu.be/7kS7E_VZtOk

日本は経済成長していない。
確かにその通りです。
ならば、
日本経済を成長させるためには
どうしたら良いのでしょうか。
日本経済の成長に本当に必要な指標、
考え方、そして政策を、
わたし、シンガーsayaと共に
学んでいただくのが
「シンガーsayaの3分間エコノミクス 
第二巻」です。
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特別コンテンツとして、
三橋貴明&saya
「シンガーsayaが三橋先生に
ひたすら聞いてみた第一回」の全編も
ご視聴いただけます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

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9月21日、
三橋経済塾第十三期第九回対面講義の
お申込受付を開始いたしました。
https://members13.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2194
ゲスト講師は佐藤健志先生です。

◆チャンネルAJER 
「国策金利が世界最低の日本国(前半)」
三橋貴明 AJER2024.8.27
https://youtu.be/FDkAJB96bYc?si=r9y23MBAkka2S_vf

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【三橋貴明】フルスペックの自民党総裁選挙

【三橋貴明】財政破綻から金利ある世界へへの3件のコメント

  1. 利根川 より

    <安藤裕チャンネル 絶望の日曜討論より⇓>

    安藤裕さん「子育て支援金はどうするんですかという質問なんですが」

    安藤裕さん「社会保険料に上乗せして徴収するみたいな感じになってるけども、高市さんは社会保険料に上乗せするのはあまり良くないと思ってましたと」

    安藤裕さん「そうじゃなくて、経済成長による税収増を目指すべきだと言ってるんですね」

    安藤裕さん「これ(財源は)国債でいいんですけど、なんで税収増が財源になるんですか?」

    安藤裕さん「(高市さんは)基本的に財源は税金だっていう頭でしゃべってます」

    <新世紀のビッグブラザーより抜粋⇓>

     色々と言いたいことがあるでしょうが、とにかく今は「最悪の事態」を回避することが重要です。

     最悪の事態とは何かといえば、小泉進次郎氏が新総裁となり、その後、早期解散。自民党が総選挙で大勝してしまうという事態です。

     この場合、小泉郵政選挙後と同様に、もはや構造改革、規制緩和、民営化、自由化、そして緊縮財政というグローバリズム路線を、押とどめることはできなくなるでしょう。

     明らかに構造改革・緊縮財政路線だった安倍内閣(※第二次安部政権発足以降)を、
    「あの頃の方がマシだった・・・」
     と、振り返ることになる。

    ということでした。
     税が財源だと思っている以上、最終的には高市さんも小泉進次郎と同じ路線に向かわざるを得なくなるのは三橋さんや藤井教授が一番よくお分かりなのではないでしょうか。三橋さんと藤井教授の対談を視聴しましたが、お二人とも高市さんが減税をするのか懐疑的なようでしたし…つまり、どちらになっても安倍晋三と同じ路線が継続されるということで、自民党政権が続く限り未来には絶望しかないということですね。
     むろん、選挙とは一番マシな者を選ぶものなわけで、それで言えば高市さんだというのは分かります。であれば、必要以上に応援して差し上げる必要もないのではないでしょうか。
     それにしても、財務省はどれだけ政治家の弱みを握っているのやら…安倍総理も裏金問題をバラされたくなかったら財務省に従って2度も消費増税をやったわけですが、今回、総裁選に出馬した候補者はいったいどんなことをやっているのか、、、恐ろしい。

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      1. 利根川 より

         昨日「積極財政を推進する地方議員連盟」が立憲民主党・代表候補らに質問状を送り、各候補から回答を得たという話題がありましたが、自民党総裁候補らにも同じ質問状を送っていたそうで、その回答が届いたということで…

         ちなみに、ちょっと「積極財政を推進する地方議員連盟」について紹介すると、この連盟は党の垣根を越えて活動しているそうで、地方から国政を動かそうという試みを行っているのだそう。地方自治体は延々と予算を削られ続けて地方経済は疲弊している。地方議員として地方自治体と違い「貨幣を発行できる」中央政府に対し、しっかり必要な予算を要求するということは重要なことだと思います。

        安藤裕さん「本当は国会議員がこれやらないといけないんですけど、国会議員が全然だめなんで地方議員の皆さんが立ち上がってる」

         党派をこえて「積極財政への取り組み」が行えるようになったのも三橋さんや藤井教授、中野剛志さんらの活動のおかげだと思います。知らない方は知らないでしょうけれど、10年ほど前の政治系の番組では中・韓を叩けば保守とか靖国参拝すれば保守とかそんな感じでした。そんな中、お話を聞いてくれるのであれば政治スタンスの左右関係なく講義に行きますという藤井教授らの活動が現在の「党派の垣根を超えた活動」に結び付いたのだと思います。まあ、三橋さんや藤井教授らはめちゃくちゃ自称保守に叩かれていましたけどね。

        自称保守「左翼と話をするなんて…あいつも左翼だ」

         さて、質問状への回答ですが、立憲側は代表候補者4人全員が回答を出してきたのに対し、自民党総裁候補者は全9人の内2人しか回答を送ってこなかったそうで…地方議員の話などムシしておけばいいとでも思っているのでしょうか、わかりません。
         
        河野太郎候補「回答はしない」(←ムシはしていない)

         きちんと回答をよこしたのは石破茂議員と高市早苗議員の2人だけだったということで。
         
         
        Q:あなたが総理になったら消費税を何%にしますか?

        高市早苗議員
        「税率については10%で現状維持。今後経済状対応することはありうる」

        ダイナさん「もう国難ですよ?」

        安藤裕さん「なんでこれだけはやらないのか本当に不思議です」

        石破茂議員
        「税率については答えない。消費税については税調で議論することになるが、現時点では消費税の増税・減税は考えていない」

        安藤裕議員「現時点では増税も減税も考えていないと、将来は増税は考えるってことですか?」

        Q:国の財政は破綻すると思うか

        高市早苗議員
        「財政破綻はしない。グロスとネットで考える必要がある。グロスで評価すれば厳しい状況だが、資産を評価したネットで考慮すればG7の中でも上位の健全性でありトータルとしての財政の健全性は担保されている」

        石破茂さん
        「何をもって財政破綻と考えるかは様々な考え方があると思う。~省略~(ハイパーインフレがどうこう)~国際社会からの信認確保の面からも財政健全化は不断に取り組む必要がある。以下、デフレ対策を3年間集中して行って日本経済復活が云々。税収アップでPB黒字化や財政健全化も進められる」

        安藤裕さん「30年以上、国会議員をやっていて経済成長させられなかったのはこの考え方を信じているから。この人が総理になったら絶対に経済成長しないよね」

        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
        三橋さん
         わたくしの目的は、「日本国民が豊かに、安全に暮らせる日本国を取り戻す」、つまりは経世済民の実現であり、そのためには、「何が正しい」もどうでもいいのですよ。
        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

         三橋さんのこの意見には100%同意します。わたしも以前から言っているように、裏金とか夫婦間の問題とか、そういうのはそれなりに結果(経済成長)出してくれればあまりうるさいことは言わないって口です。

        国民「ふざけんな!俺たちの税金が裏金に!許せねえ」

        お宅らの税金は回収されて消滅しているだけです、そろそろ理解しましょう。
         さて、経世済民ですが、どうして政治家も官僚もこの40年間、経世済民に反する緊縮・増税を続けてきたのかってことなんですよ。それは、

        財政健全化をしなければならない(税収の範囲内に支出をおさえなければならない)

        これがあったからですよね。
         税収の範囲内に支出を抑えようとすると、何かをするためには何かを削るしかない。それが嫌なら増税するか国の資産を外国人投資家様に売り払うか…こういうわけです。
         高市議員も石破議員もどちらも財政健全化を目指しておられることが今回の回答からも見て取れます。
         ということは、石破さんであれ高市さんであれ(進次郎さんも)経世済民は確実になされないということなのではないのでしょうか。
         「理解していないから」財政健全化を目指しているのであれば、今後、藤井教授や三橋さんのお話で政策を転換する可能性もあるのかもしれない。

        高市早苗議員「君子は豹変すル」

        でしたっけ?
         しかし、おそらくは安倍総理と同じで理解していないからではなく、財務官僚に弱みを握られているからなのではないかと。(自民党は賢い振り子とかふざけた話です)

        安藤裕さん「なんでこれだけはやらないのか本当に不思議です」

        なんでこれだけはやらないのか、その理由が弱みを握られているからなのであれば、今後、三橋さんや藤井教授がどのような話をしようとも決して経世済民が行われることはないと思います。

        「経世済民のためなら正しさなんてどうでもいい」

        私もそう思いますが、本当にこれで経世済民が行われると思っているのでしょうか。対談の様子からもそう言っている三橋さん自身がいまいち高市さんを信じきれていないように感じました。

        三橋さん
        「どこまでやるのかは分からない。たぶん減税はしない」

        三橋さん
        「高市さんもしばき保守の気があるでしょ」

         三橋さんらの活動のおかげで、今では党派や政治スタンスを超えて様々な人が積極財政への転換のために協力してくれるようになりました。中には自分のことを放り出してまで協力してくれた人だっているはずです。彼らにお勧めするのが高市早苗議員でいいのでしょうか?私には判断が付きません。私には、財務省に乗っかって財政健全化を目指している人間に経世済民など無理だと思えるのですが…

        加えて言うと、選挙の時だけ「積極財政っぽい」発言をして靖国参拝しとけばチョロいと思われるのも今後のことを考えると経世済民の妨げになるようにしか思えません。


        自民党の候補者の中では高市さんがマシと言われれば「そうですね」と思いますが、高市さんが経世済民に動くと言われると「せやろか?」としか思えません。何か高市さんが経世済民に動くという情報をお持ちなのでしょうか。

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