「新」経世済民新聞

いよいよ本年最初，関西では実に三年ぶりとなる，クライテリオン・シンポジウム＠尼崎（7月6日）が今週末となりました！

https://38news.jp/economy/28684

シンポから懇親会まで，編集長の当方はもちろん，柴山さん，浜崎さん，川端さんの編集委員の皆さんもガッツリ参加し，あれこれ語りあう一日といたしたいと思っております．

お申し込み未だの方は是非，ご参加お申し込み，ください！
参加申込：https://the-criterion.jp/symposium/7-6kannsaisympo/#app

さて，本日のメルマガテーマは，「過剰医療」問題．

このお話しを改めて今日書こうと思ったのは，この動画を見たからでした．
https://x.com/Awakend_Citizen/status/1807938630180298760

いやぁ…実に酷い動画ですね…

これは，武見太郎氏のインタビュー動画ですが，武見氏といえば，現在の武見厚労大臣の父で，現役の医師の誰もが知る，日本医師会のドン中のドンでした．1983年に他界していますが，それまでの間に，
・日本医師会会長
・世界医師会会長
を歴任しています．戦前から厚生行政の各種審議会の委員を務め，戦後は吉田内閣のブレーンも務めています．

彼は彼なりの「思想」があり，「開業医は病床を措くべきでない」という持論や，厚生省に働きかけて漢方医療を保健医療に入れさせる等，当方としても賛同できる仕事もされているとは思いますが，「開業医の利益の拡大」を目指すその姿勢は，「過剰」なものといわざるを得ません．

そして，兎に角異論を認めない激しい独善性故に，医師会のみでなく，薬剤師会，歯科医師会にも支配的影響力を持ち，「武見天皇」と言われていたとのこと．

で，先の動画のあの横柄な態度はまさに，「武見天皇」と皆が言うだけの事はある，態度，ですね．それはどれだけひいき目に見ても，「医師が薬付けにしている…」という図星を言われ，ぶち切れて罵詈雑言を言い出しているとしか見えない動画です．

さて，この動画を引用されている方は，次のようなツイートをされています．

「今の厚生労働大臣のお父様（武見太郎）の映像です
リポーター（田丸美寿々）に「薬漬けの医療」を問われて逆上し声を荒げて恫喝します

当時医師会会長だった武見太郎さんは支配下の医者にストライキをさせてまで高額薬剤の規制緩和、診療報酬の引き上げ、開業医の優遇税制を認めさせました

その流れで今や世界の薬の40%を日本人が消費し日本の年間医療費は45兆円以上（防衛費は5兆円）という世界一の薬漬け国家になったわけです」
https://x.com/Awakend_Citizen/status/1807938630180298760

ついては，このツイートを紹介為つつ，当方は以下の様にコメントいたしました．

『ホンットに，酷い話しです……

この医師達のおぞましき下劣なる真実を知れば知るほど
これまで財務省を徹底批判し続けた当方ですら
財務省が可哀想な被害者に見えてきてしまうのです…』
https://x.com/SF_SatoshiFujii/status/1808120153567383563

そもそも「過剰医療」の問題は，政界を席巻する「緊縮財政」に勝るとも劣らぬ程の深刻な現代日本の最も本質的な病理です．

それは，次のような問題です．

すなわち，開業医や病院経営者，介護施設経営者，薬剤師，製薬メーカー…等の医療関係者の「金儲け主義」によって，ホントはやらなくても良い治療や入院，投薬を加速する「過剰医療」状況が医療介護界のあらゆる領域で横行し，第一に，かえって国民の健康が害され，（生物寿命そのものは伸びることはあったとしても）「健康寿命」が短縮され，幸福水準が大幅に下落すると同時に，第二に，財政支出・社会保障支出が肥大化し，それによって経済が衰退し，国民所得が下落し，国民の幸福水準がさらに下落する，という問題です．

要するに，医療界が偽善面を見せながら日本国家全体の強烈な「寄生虫」として日本国家の富を吸い上げまくり，日本国家が衰弱，衰微している，という問題が「過剰医療問題」なのです．

このあたりのお話しは拙著『過剰医療の構造』（https://www.amazon.co.jp/dp/4828426019/）で詳しく書いておりますので是非未読の方はご一読いただきたいと思いますが，この過剰医療問題構造を作り上げた張本人が，この武見太郎氏だ，という次第．

彼の重大な「功績」は，開業医の税制優遇制度を政府に認めさせた，という点．何と言っても，開業医が支払う税金を徹底的に「ゼロ」に近づけるために，全国の医師をまとめて「ストライキ」を行い，自民党政権に「開業医の税制優遇」を認めさせたのです．

この「開業医の税制優遇」は，信じがたいほどに開業医に巨大な利益をもたらすものである，ということで，これまでも何度か廃止の議論がありましたが，未だに強烈に残存しています．

例えば現状の必要経費の金額は，下記となっています．

https://www.fp-soken.or.jp/fpnews/medical-fpnews/no217/

税金に詳しい人は，この表を見るだけで，怒髪天を突くお気持ちになるのではないかと…思います．

例えば，当方の友人の鹿児島で開業医をされている森田洋之氏は，ご自身の収益・税収について，以下のメッセージを送っていただきました．

「うちの場合、だいたい一年の診療報酬が1500万円。経費が毎月10万円（年120万円）ですので、仮にいち個人事業主としてまともに計算すれば、税金+保険料は400万から500万取られ、実質所得は1000万ほどになります。

でもこの制度を使えば、経費を1080万円計上できますので、扶養控除など各種控除も計上すると、課税所得は300万円くらい、税金は10-20万円。保険料（国保は高いので）合わせても50−100万円くらいになります。実質所得は1400万ほどになります。

ほとんど税金払わなくて良い、ということですね(^_^;)」
（ご本人から拡散して下さい，というメッセージも頂いておりますので，そのままご紹介さし上げました(^_^)　森田先生，ありがとうございました！）

つまり，1500万の収入がある開業医は，税金が100万円ほどで年収は1400万円程度だが，開業医ではなく他のビジネスをやっている方ならば，税金は500万程で1000万円程度になる，というお話しです．

つまり，医師だけは，400万円もの「特別減税」が行われているのです！要するに社会に対しては全く同じ貢献をしていたとしても，病院の経営者だけは，（例えばこのケースなら）税負担が四分の一で済むのです！

これぞ，日本のあらゆるところに病院が蔓延っている根本的原因．

医師になって，どこかの病院の勤務医になれば，3割も4割もの税金を払わないといけないけれど，開業すれば，納税額をほぼゼロにすることができるわけですから，税金逃れのために猫も杓子も医師免許さえ取れば開業医になろうとするわけです．

その結果，日本全国が病院で溢れかえり，その結果，一病院あたりの「客」が減ってしまうので，開業医達はナントカ経営を成立させるために，たいした病状でないものを無理矢理入院させたり，通院させたり，やらなくてもいい薬や治療を山ほどやる状況が今，常態化しているのです．

病院が少ない時代ならばいざ知らず，現代においては病院は掃いて捨てるほどあるのですから，もはやこの「税制優遇」制度なんて廃棄すれば良いのですが，どういうわけか全く廃止されていません．

考えられるのは，次の理由しか考えられません．

医師会が多くの自民党代議士達にパーティー券やら政治献金やらで，大量のカネを払っているから，です．自民党議員達はそのカネ欲しさに，この税制優遇制度の不合理性について見て見ぬふりをしているのでしょう．

もしそうでないというのなら…とっととこんな理不尽な税制優遇制度を廃止して貰いたいと．思います．

そんな流れを加速していくためにも是非，一人でも多くの方に，

『過剰医療の構造』
https://www.amazon.co.jp/dp/4828426019/

をご一読頂きたいと思います．

どうぞ，よろしくお願いします！

追伸1：表現者クライテリオン・シンポジウム『「液状化」する関西で考える保守の再興』，是非ご参加下さい！
日時： 7月6日(土)15:00-18:30
場所：尼崎総合文化センター（阪神尼崎駅より徒歩5分：https://x.gd/3uCld）
登壇者：藤井聡，柴山桂太，浜崎洋介，川端祐一郎
料金：一般3000円（早期申し込み2500円）　学生2000円
懇親会：一次会（19時〜21時）二次会（21時30分〜23時30分）
公式サイト：https://the-criterion.jp/symposium/7-6kannsaisympo/
参加申込：https://the-criterion.jp/symposium/7-6kannsaisympo/#app

追伸2：
表現者クライテリオンの最新刊は『自民党は保守政党なのか？』．今の政治をナントカするためにもまず，自民党とは一体どんな存在なのか，を徹底的に理解する必要があります．是非，ご一読下さい！
ＡＭＡＺＯＮ：https://amzn.to/3KGoiM4
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