日本経済

2024年6月3日

【三橋貴明】日本に財政問題は存在しない

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日本に財政問題は存在しない
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自民党の責任ある積極財政を推進する
議員連盟の提言が
公開になりました。

 『「衰退途上国」とならないための
 経済財政運営と改革の基本方針
 (骨太方針)2024への提言
 1. カレンダーベースでの
 プライマリーバランス(PB)黒字化目標を
 撤廃すること。
 その上で新たな財政規律置くとすれば、
「公共事業費等の投資的な経費を
 PB対象歳出から除いた
 経常的歳出」とすること。

 2. 非社会保障費に係る
 「3年間で1000億円増以内」とする、
 いわゆる歳出キャップを外すと共に、
 公共事業における社会的割引率を
 長期金利と適切に連動させること。

 3. 経常的な歳出は当初予算に計上し、
 当初予算にはインフレ率も加味すること。

 4. 国債60年償還ルールの撤廃により、
 無用の現金償還を止め、
 歳出から債務償還費を除外すること。

 5. 外国為替資金特別会計の収益を、
 投資的財源として積極的に活用すること。

 (後略)』

ついに「衰退途上国」という表現が
メジャーデビューしたか。
もっとも、日本はすでに衰退途上国です。
だからこその、
サプライロス型インフレなのですよ。

能登半島地震からの復興が
遅れているのは、
もちろん補正予算が組まれず、
「予備費対応」しているという
問題もあります。

同時に、「供給能力」が
「震災復興」という
需要に全く追いつていない。

無論、供給能力が
能登半島に集わないのは、
予算が不十分という理由もあるでしょう。
能登半島の復興現場の仕事を受ければ
「儲かる」環境にすれば、
日本中から業者が集まるかも知れない。

とはいえ、
衰退途上国から「衰退国」に
移行してしまった場合、
「カネ」(予算)を出したとしても、
震災からの復興がおぼつかなくなる。

問題は、カネではなく、
供給能力なのですよ。
供給能力がない国は、
どれほど政府がカネを出したところで
「どうにもならない」のです。

日本は「まだ」その段階に
至っていませんが、
PB黒字化目標を初めとする
緊縮財政により、
次第にそちらに向かっている。

わたくしが
↑この問題を言い始めたのは、
2012年8月の浜岡原発視察が
切っ掛けです。
細かい話は省きますが、
日本はデフレ放置政策により
供給能力が毀損し、
やがて需要を満たすことが
できない国と化すことを知った。

自分の国の企業や人材、技術では
「橋を架けられない」
「高層ビルを建てられない」国に
落ちぶれる。
これが発展途上国化
(=衰退途上国化)である、
と、警鐘を鳴らし始めたのが2012年。
あれから、12年も経っているわけですよ。

12年間、
まともなデフレ対策はほとんど行われず、
投資は進まなかった。

当然、こうなる。

今回の積極財政議連の提言のポイントは、

1.PB目標破棄

2.投資的経費を財政指標の対象外とする

の二点になります。

社会保障以外の支出を
「三年で1千億円増以内とする」や、
「国債60年償還ルール」、
「一般会計に債務償還費を計上」といった、
頭のおかしいルールは破棄するのが
当然であるのは言うまでもありません。

同じタイミングで、
自民党の緊縮財政本部
(※財政健全化推進本部)の提言案も
明らかになりました。

提言案は、
国と地方のPBを2025年度に黒字化する
現行目標の「堅持」を明記。
その後も継続的に黒字幅を
確保するとなっています。

緊縮財政本部の連中は、
一体、何を望んでいるのか?
過去の緊縮財政が国民を貧困化させ、
日本国を衰退させ、
産業や科学技術を凋落させ、
かつ財政も悪化させた
(※政府の債務対GDP比率を
上昇させた)ことは
あまりにも明らかです。

それにもかかわらず、
相変わらず陳腐な財政破綻論に基づき、
日本衰退政策であるPB黒字化にこだわる。

意味が分からない。

この手の「日本国」「日本国民」の
経世済民以上に「PB黒字化」を
優先しようとする政治家が跋扈する限り、
我々に繁栄の未来はないのです。

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