日本経済

2024年4月15日

【三橋貴明】ついに統計詐欺に手を染めた財務省(後編)

【今週のNewsピックアップ】
国賊たち
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12847788159.html
財務省の国家的詐欺
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12848161230.html

昨日の続きです。

当たり前ですが、
「政府の債務残高と実質GDP成長率」
について解説したいならば、
X軸に「政府の債務残高」、
Y軸に「実質GDP成長率」を
持ってこなければなりません。

ところが、財務省は
何とX軸に
「政府の債務対GDP比率」を
持ってきたのです。

当たり前ですが、
日本は過去四半世紀のデフレにより、
GDPが成長していない。
政府の債務対GDP比率は
上昇して当然です。

完全にナンセンスな
「政府の債務対GDP比率」を
X軸に持ってきた結果、
財政制度等審議会の
以下の右側のグラフになる。

【成長、人口・地域等
2024年4月9日 P6】

http://mtdata.jp/data_89.html#P6

いや、ちょっと待て!
「政府の債務残高と実質GDP成長率」を
見せたいならば、
X軸には「政府の債務残高」を
持ってこなければならないでしょう。

というわけで、
正しい
「政府の債務残高と実質GDP成長率」を
グラフ化しました。

【政府債務残高(倍)と
実質GDP成長率(%)】


http://mtdata.jp/data_89.html#vs6p
※OECD諸国のデータ。
トルコ、コスタリカ、コロンビアは
データが不十分であるため省いた。

財政制度等審議会の図では、
実質GDP成長率と政府の債務残高
「対GDP比率」が
負の相関関係にあるように見えます。
あるいは、何の相関関係もない、と。

ところが、正しくX軸に
政府の債務残高を持ってくると、
実質GDP成長率と
「正の相関関係」があるという事実が
わかるのです。

しかも、OECD諸国の中には、
オーストラリア
(対2007年比で9.54倍)、
チリ(7.37倍)など、
日本とは比較にならないほど
政府債務を増やした国がゴロゴロある。

というか、日本よりも
政府債務残高を増やしていないのは、
スイス、スウェーデン、ノルウェーの
三カ国しかありません。
ついでに、日本よりも
実質GDP成長率(平均)が低いのは、
イタリアとギリシャのみです。

日本は
十分に政府の財政支出を
拡大しなかったからこそ、
経済成長しなかった。
これが、事実です。

それにもかかわらず、
財務省は、
「政府の財政支出は経済成長に貢献しない」
を広めるべく、
ついに詐欺統計にまで
手を出してしまった。

政治的に問題にしたいと思います。

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「歴史教科書が教えてくれない
聖徳太子の英雄物語」が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38nike3_980

◆経営科学出版から
「経済大国ニッポンの不自然な没落
なぜ、「信じられない衰退」は現実化したのか」
が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38botu_teika

◆メルマガ週刊三橋貴明Vol780
財務省の詐欺統計
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
政府の債務残高とGDP成長率が
無関係という「妄想」を広めるために、
ついに財務省が「詐欺統計」に手を染めました。

◆メディア出演

三橋TV、続々公開中です。

日本建国の神話に隠された謎
〜自称保守の日本礼賛が危険な理由
[三橋TV第844回]三橋貴明・saya
https://youtu.be/aFqw8JxbeWE

岸田内閣が生き残るたった一つの方法
[三橋TV第845回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/tI6NBiMdfcQ

言論の自由と移民政策
〜グローバリズムの罠に陥った日本の末路
[三橋TV第846回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/oUZn8gGgSEU

日本は経済成長していない。
確かにその通りです。
ならば、日本経済を成長させるためには
どうしたら良いのでしょうか。
日本経済の成長に
本当に必要な指標、考え方、
そして政策を、
わたし、シンガーsayaと共に
学んでいただくのが
「シンガーsayaの3分間エコノミクス
第二巻」です。
さあ、私と共に経済成長について
「ゼロ」から学んで下さい。
特別コンテンツとして、
三橋貴明&saya
「シンガーsayaが
三橋先生にひたすら聞いてみた第一回」
の全編もご視聴いただけます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

◆三橋経済塾
4月20日
三橋経済塾第十三期第四回対面講義の
受付を開始いたしました。
https://members13.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2107
ゲスト講師は坂本篤紀先生です。

◆チャンネルAJER
「値上げしろ、人を囲い込め、
投資しろ(前半)」
三橋貴明 AJER2024.4.2
https://youtu.be/y_Vr2hE8egc

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【三橋貴明】ついに統計詐欺に手を染めた財務省(後編)への2件のコメント

  1. 利根川 より

     いろいろなところで見かける”世界各国の”政府の債務残高と実質GDP成長率のグラフ。今回、財政制度等審議会が出してきた詐欺グラフですが、三橋さんに言われて初めて気が付きました。

    「あれ?傾きがいつもと逆じゃね?」

    X軸に「政府の債務残高」ではなく「政府の債務対GDP比率」を持ってくるとこうなるんですね。私は言われるまで分かりませんでしたが、流石に専門家はわかるでしょうし、わざとやってますよね、これ。

    正「政府の債務残高と実質GDP成長率」

    X軸「政府の債務残高」、Y軸「実質GDP成長率」

    誤「政府の債務残高と実質GDP成長率」

    X軸「政府の債務対GDP比率」、Y軸「実質GDP成長率」

    財務省「政府が支出を増やしたってGDPは増えないんだからね!」

    とうとう詐欺行為にまで手を染めましたか。まあ、財務省は自分たちの出世のために「公文書改ざん(森友問題・赤木ファイル・および2024/1/9「ザ!世界仰天ニュース」(日テレ系)参照)までやっていますから、別に驚くようなことではないのかもしれませんが、専門家まで財務省と一緒になってやっているのは見るに堪えませんね。
     話は変わりますが、森永卓郎さんのお花見の話題。行った場所が悪かったのか時期が悪かったのか、あまり咲いている花が見られずにファミレスに行ったということですが、来年もありますのでこれに懲りずにまた来年、お花見に行っていただければと思います。割とマジで公的機関(財務省)がこんな詐欺資料を堂々と出していて、誰も何も言わないとか終わってるんで、きちんと言ってくれる森永卓郎さんには今後も長く活躍してもらわないと困ったことになりそうです(もうなってる…)

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      1. 利根川 より

        衆議院・国土交通委員会2024年4月10日見ました。

        令和新選組のたがや亮議員をはじめ、物流問題について質疑を行ってくださった議員の皆様、ありがとうございました。

        今回の質疑で、2024年問題の発端が「構造改革・規制緩和」による「過当競争」「労働環境の悪化」であることが広く共有されているようで、その点では安心しました。
         問題点が共有化されたのであれば、現在政府が推し進めている「外国人ドライバーの大量投入」はかつての「規制緩和による過当競争」と同様の効果をもたらし、かえって問題を悪化させる恐れがあることは理解していただけると思います。外国人がダメとかそういった排外的な話ではなく、「過当競争」に陥るようなやり方はやめてほしいということです。
         それから、たがや議員の質疑で運送業者の高速料金の無料化、もしくは定額化をしてほしいという話や、ガソリンの暫定税率をやめてほしいという話が出ていましたが、それに対してニワ道路局長は

        道路局長「債務の安定的返済のためにそれは難しい」

        という返答を返していました。やるのであれば「増税」が必要ということで、結局、貨幣のプール論が立ちはだかるのかと…
         管理通貨制に移行してかなりの時間がたったのに、未だに金本位制(もしくはドル固定為替相場制)を引きずっているとか…なんとかならないものなんでしょうか。
         とりあえず、スキャンダルの話とは違って実生活(国民生活)の話は目立たないし分かりにくい所がありますが、そうした所に目を向けてくれる政治家がまだまだ居るというのは大変ありがたいことだと思いました。
         ちなみに、未だに運送業者に荷下ろしや品出しまでやらせている業者が居るという話でしたが、政治家のスキャンダルと違ってTVではあまり取り上げられないけれど、悪質な事業者についてはトラックGメンだけでなく公正取引委員会も処理しているということでした。
         今の経産省は話の通じる相手ですし、斎藤国土交通大臣も見た所、いきなりブロック(河野・ブロック・太郎 参照)するような人物ではないようなので、話は聞いてもらえそうです。協力して問題にあたってもらえれば幸いです。

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