日本経済

2023年9月25日

【三橋貴明】デフレギャップと統計テクニック

【今週のNewsピックアップ】
デフレギャップの情弱ビジネス
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12821466247.html
新たな時代 インフレの時代
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12821596202.html

統計というのは、なかなか厄介で、
たとえば、輸入が
GDPの控除項目であることを無視し、
「輸入が減った結果、
GDPが増えた!経済成長!」
と、経済成長をアピールする手法があります。

あるいは、失業率とは
「失業人口÷労働人口」であることを
黙ったまま、
「失業者が雇用されることをあきらめて、
労働市場から退出した結果、
失業率が下がった!やった!」
などと、統計の定義を利用して
「嘘」を拡散しようとするテクニック。

さらには、統計の「期間」を
恣意的に利用し(たいていは、短くする)、
嘘を広めようとするテクニックもある。
たとえば、(なぜか)90年代前半以降の
データのみを抜き取り、
「インフレ率と生産性向上率は
負の相関関係にある」
と、嘘を広めようとするなどですね。

さらにさらに、統計の「定義変更」を活用し、
正しい批判を展開している人々を
貶めようとするテクニックもあります。
たとえば、厚生労働省が賃金統計について、
「給与の低い企業群を
統計の母数から退出させ、
給与の高い企業群を
統計の母数に入れ、
賃金が上がっていると主張する」
と、無茶苦茶をやりましたので、
わたくしは容赦なく批判しましたよ。
すると、「三橋は分かっていない。
統計の定義変更は普通のことだ」
と、もはや「アタオカ」としか
表現のしようがない攻撃をされました。

いや、わたくしは別に、
厚生労働省が
統計の定義変更をしたことは
批判していないだろ。
「悪い数値」を統計から追い出し、
「いい数値」を入れ込み、
「良くなったぜ!」とかやっているのを
批判しているわけです。

その国の「総需要の不足」を示す
デフレギャップ(需給ギャップのマイナス)は、
潜在GDPから名目GDPを
差し引いて算出します。

ということは、潜在GDPを
小さく見せられれば、
デフレギャップは縮まります。

【日本の需給ギャップ
(修正前・修正後 対GDP比%)】

http://mtdata.jp/data_86.html#GAP

内閣府は、実際に5月12日、
デフレギャップを小さく見せるための
定義変更をしました。

というわけで、定義修正を無視して
「日本はもはやデフレではない。
需給ギャップがプラス化した」とやるのが、
デフレギャップの情弱ビジネスですね。

もっとも、まだまだ高等テクニック
(というか、単なる知られていない事実)が
あります。

日本のデフレギャップは、
潜在GDPの計算時に
「平均概念」を使っており、
そもそも正しいデフレギャップは
計算できないのです。

というか、そもそも需給ギャップが
プラス化するとか、おかしいでしょ?
需給ギャップのプラス
(=インフレギャップ)とは、
「総需要>供給能力」という状態だから、
「生産されないものが
買われている」ことになっちゃうよ。

と、散々に
「平均概念の潜在GDP」について
批判していたのですが、
第一生命経済研究所の永濱利廣氏が、
ものすごく分かりやすい解説を
されていました。

 『内閣府もGDPギャップの
 推計に当たっては、
 潜在GDPを
 「経済の過去のトレンドからみて
 平均的な水準で
 生産要素を投入した時に
 実現可能なGDP」と定義しており、
 供給力の天井からの乖離を
 示したものではない。』

そうなのですよ。
内閣府は、GDPギャップ計算時に、
「潜在GDPを
「経済の過去のトレンドからみて
平均的な水準で生産要素を
投入した時に実現可能なGDP」
と、定義しているのです。

となれば、経済成長率
(実際の生産の変動率)が抑制されると、
潜在GDPは下がる。
結果、需給ギャップのマイナス
(デフレギャップ)が小さくなる。

つまりは、現在の日本の
需給ギャップ統計は、
二つ、問題を抱えていることになります。

1.23年5月に、
内閣府がデフレギャップが
小さく見える定義変更をした

2.そもそも、
内閣府は平均概念潜在GDPを
使っており、
デフレギャップは小さく出る
(それどころか、プラス化する)

この種の統計の事実を無視し、
需給ギャップがプラス化したことを受け、
「もはや日本はデフレではない!」
と、緊縮財政や、
金融引き締めを煽ってくる連中が
出てくると思います。

これこそがまさに
「情弱ビジネス」だと思うのですが、
いかがでしょう?

◆一般参加可能な講演会のお知らせ
2023年10月4日(水)18時から
船橋市民文化創造館きららホール
http://mtdata.jp/BNI.pdf
講演「公益経済主義とBNI
マクロ経済学から見る経済のこれから」

◆経営科学出版から
「財政破綻論の嘘
99%の日本人を貧乏にした
国家的詐欺のカラクリ」が刊行になりました。
https://in.38news.jp/38zase_blog

◆小学館から「日本経済 失敗の本質:
誤った貨幣観が国を滅ぼす」
が刊行になりました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4093888973

◆メルマガ 週刊三橋貴明 Vol751
全要素生産性のHPフィルター
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
内閣府は、
なぜ平均概念の潜在GDPに固執するのか?
理由は、全要素生産性の計測が
誰にもできないためなのです。

◆メディア出演

働き手が大事にされる社会が訪れる
これって、最高じゃね?
[三橋TV第757回]三橋貴明・高家望愛
https://youtu.be/–3Evrrg3gw

意外や意外の初登場
施光恒先生「新しい階級闘争が始まっている」
[三橋TV第758回]
施光恒・三橋貴明・saya
https://youtu.be/ssuRqoleiok

民主制・自由・平等・福祉
全て国民の仲間意識に基づき成立している
[三橋TV第759回] 施光恒・三橋貴明・saya
https://youtu.be/HLq3-uiCM44

日本は経済成長していない。
確かにその通りです。
ならば、日本経済を成長させるためには
どうしたら良いのでしょうか。
日本経済の成長に
本当に必要な指標、考え方、そして政策を、
わたし、シンガーsayaと共に
学んでいただくのが
「シンガーsayaの3分間エコノミクス
第二巻」です。
さあ、私と共に経済成長について
「ゼロ」から学んで下さい。
特別コンテンツとして、
三橋貴明&saya
「シンガーsayaが三橋先生に
ひたすら聞いてみた第一回」の
全編もご視聴いただけます。
https://keiseiron-kenkyujo.jp/economics/

◆三橋経済塾
9月16日、
三橋経済塾第十二期第九回対面講義が
配信になりました。
https://members12.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2238
ゲスト講師は篠原信先生でした。
インターネット受講の皆様、
お待たせいたしました。

◆チャンネルAJER
チャンネルAJER更新しました。
「お笑い大阪万博
とんでもないことになってるぞー」(前半)
三橋貴明 AJER2023.9.12
https://youtu.be/YYFptf8eLJ8

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